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第83話 地域密着型シンセカンケイブです #2
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両手を上げた姿勢のまま暫く身動ぎ一つしなかった精霊さんだけど、やがてその手を下ろし、満足げな笑みを浮かべた。
「んーー、大体こんな感じかな。細かい所は後で詰めていけばいいんだしね。それにしても……ふふっ、こんな事を思いつくなんて、アーシュ姉さまって凄い! ありがとう! アーシュ姉さま!!」
そんな感極まった声を上げて、精霊さんがアーシュに飛び付いて抱き付いて。
「ちょ、何よアーシュ姉さまって! あ、あんた本当の姉妹がいるんでしょ、セカンケイブ!!」
「もおっ、セカンケイブなんてそんな他人行儀なのはイヤ。私の事は『セカン』って呼んで、アーシュ・姉・さ・まっ!」
「うええぇぇ……」
そんな『微笑ましい?』二人の様子に、モリスさんのニヤニヤが止まらない。
「はははっ、アーシュ君、可愛らしい妹さんが出来て良かったじゃないか」
――これ絶対面白がってるよね。
とその時、『いい事思い付いた!』みたいな顔をした精霊さんがアーシュにしがみ付いていた両腕を離し、そしてちょっとだけ離れて――
「私の姉さまなんだから、他の姉妹達みたいにいつでもお話し出来るように繋いじゃう。えいっ!」
精霊さんが軽く握った拳から人差し指を突き出すと、ダンジョンコアから光が飛び出しアーシュを包んで……
「ええっ!? ナニコレ!?」
「ふふっ、これでいつだってアーシュ姉さまを感じてられるわ。私に用がある時はいつでも呼び掛けて――あ、勿論用が無い時だって大歓迎よ。アーシュ姉さまの為なら私、いくらでも頑張っちゃうんだから!」
可愛らしく話すその内容は、強制リンクからのストーキ……ちょっと違うか。そしてそんな面白現象にモリスさんが黙っている筈もなく――
「ははは、確か精霊ってお伽噺とかだと『自分に良くしてくれた相手には倍返しくらいの勢いで恩返しするけど、調子に乗り過ぎてよく失敗する』って話が多いよね。アーシュ君も気を付けてね」
そんなモリスさんの言葉にアーシュはガックリと肩を落とした。
「はああ、何だかなあ……」
「あははは、アーシュ頑張って」
そんな慰めが逆効果だったのか、アーシュは僕をジロリと睨む。
「カルア……そういうタイプはあんたでもうおなか一杯なんだけど」
「ええっ!? ひどいよアーシュ。僕そんな失敗なんて……」
「やり過ぎ注意!!」
「ううっ……それを言うならアーシュの『馬車』だって……」
「そっそれはっ! ………………そうかも」
そんな僕とアーシュの不毛な言い争いの中、一人マイペースに表情を改めたモリスさんは、精霊さんに向き直っていた。
「それでセカン君、いくつか訊きたい事があるんだけど、いいかい?」
「む? あなたにまでその呼び方を許した覚えはないんだけど……まあ姉さまの知り合いだし、さっきこの部屋が崩れるのを支えてくれたし。それに他の人達にも迷惑掛けちゃったし、今ここにいる全員は私の事をセカンって呼んでいいわよ。特別に許してあげる」
よかった。さっきからどう呼んでいいか分からなくて、ずっと『精霊さん』で通してたんだ。『セカンケイブ』だとこのダンジョンと被っちゃうしね。
「あはははは、それはどうも。それでセカン君、さっきのってもしかして、この部屋を第9階層に移動したのかい?」
「ええ、移動したわよ。魔力が足りなかったから」
「そうそう、訊きたいのはそれなんだよ! それってもしかして、『ダンジョンコアは深いところに置いた方がダンジョンの魔力が増える』って事なのかい?」
えっ、それどういう事?
「もちろんその通りよ。この大地のずっと地下深くには世界を支える『根幹の魔力』が渦巻いていてね、ダンジョンはその『根幹の魔力』をエネルギーに活動しているの。そしてその『根幹の魔力』を吸い上げてダンジョンを管理するのがダンジョンコアの役割。だからダンジョンコアが『根幹の魔力』に近づけば近づくほど多くの魔力を使用出来るようになるってわけ」
「へえぇ! そういう仕組みなのかぁ」
あのモリスさんの顔……『ダンジョンが大きく深くなっても魔力が尽きない理由が初めて分かっちゃったよ!』とか叫び出しそう。
「でもほら、ダンジョンコアが結界に閉じ込められちゃったでしょ? それで階層を下にどれだけ延ばしても、そこにコアを移動出来なくなっちゃったのよ。一応延ばした階層自体にも『根幹の魔力』は少しずつ染み込んでくるから、それを得る事だけなら出来るんだけど……。でもそれだとやっぱり効率が悪いから、下の階層が出来たらコアはそっちに移設したいのよね」
「そうか、ダンジョンコアの結界にはそんな弊害も……僕達はダンジョンが育つのを邪魔しちゃってた訳か」
あれ、ダンジョンコアは深い所にあったほうがいい? それってつまり……
「フィラストダンジョンが超初心者向けなのは、ダンジョンコアが地下3階層にあるからって事?」
そんな僕の言葉に、セカンがもの凄い顔でこちらを見てきた。
「フィラスト姉さんのコアって、第3階層にあるの!? そんな所じゃダンジョンを保つギリギリの魔力しか得られないじゃない!! お姉さまが可哀想よ!!」
だそうですよ、モリスさん?
「うん、それは確かにフィラストダンジョンについても一度考えないといけなさそうだね」
僕とセカンにそう頷いたモリスさん。セカンもほっと胸を撫で下ろしたようだ。
「まずはここの結界を君達の通信を通すよう改良してみるよ。それが出来たら次は他のダンジョンの結界も改良していくからさ、そうしたらセカン君の方で姉妹達に話を通してくれるかい?」
「もちろんオッケーよ。これでやっとお姉さま達とお話しが出来る!」
凄く嬉しそうなセカン。これまで話し相手がゴブリンだけだったなんて可哀想過ぎる。
「僕の方はダンジョンコアを下の階層へと移設出来るように、冒険者ギルドや国の方に呼び掛けてみるよ。まあこのダンジョンの変化とフタツメの景気向上を見ればダメとは言わないだろうけど」
「そうね、それは是非お願い。フィラスト姉さんだってきっと困ってるはずだもの。でも……」
そこでセカンは一度言葉を切った。
『でも』って何だろう……?
「でも、最初はセントラルを助けてあげて欲しいの。ダンジョンって作ったばかりの時が一番脆くて危険だから、何とかあの子の事を助けてあげたいの」
そう言ってセカンは何故かモリスさんじゃなくって僕を見つめてきた。
「ねえカルア、私の代わりにあなたがあの子を助けてあげてくれない? 私と繋がったアーシュ姉さまが一緒ならあの子も受け入れるだろうし、それに何たって――」
何たって……なに? もし変な事だったら、当方に肩を落とす準備あり!
「――あなたのその膨大な魔力があの子の役に立ってくれるはず!」
ああよかった、変な事言われなくって。でも魔力が役立つって何故?
「きっとセントラルってば、魔力が足りなくて困ってると思うの。私も最初の頃はずっとそうだったし、あの子も同じように困ってると思う。だからカルア、あなたの魔力をセントラルのダンジョンコアに注いであげてくれないかな?」
「んーー、大体こんな感じかな。細かい所は後で詰めていけばいいんだしね。それにしても……ふふっ、こんな事を思いつくなんて、アーシュ姉さまって凄い! ありがとう! アーシュ姉さま!!」
そんな感極まった声を上げて、精霊さんがアーシュに飛び付いて抱き付いて。
「ちょ、何よアーシュ姉さまって! あ、あんた本当の姉妹がいるんでしょ、セカンケイブ!!」
「もおっ、セカンケイブなんてそんな他人行儀なのはイヤ。私の事は『セカン』って呼んで、アーシュ・姉・さ・まっ!」
「うええぇぇ……」
そんな『微笑ましい?』二人の様子に、モリスさんのニヤニヤが止まらない。
「はははっ、アーシュ君、可愛らしい妹さんが出来て良かったじゃないか」
――これ絶対面白がってるよね。
とその時、『いい事思い付いた!』みたいな顔をした精霊さんがアーシュにしがみ付いていた両腕を離し、そしてちょっとだけ離れて――
「私の姉さまなんだから、他の姉妹達みたいにいつでもお話し出来るように繋いじゃう。えいっ!」
精霊さんが軽く握った拳から人差し指を突き出すと、ダンジョンコアから光が飛び出しアーシュを包んで……
「ええっ!? ナニコレ!?」
「ふふっ、これでいつだってアーシュ姉さまを感じてられるわ。私に用がある時はいつでも呼び掛けて――あ、勿論用が無い時だって大歓迎よ。アーシュ姉さまの為なら私、いくらでも頑張っちゃうんだから!」
可愛らしく話すその内容は、強制リンクからのストーキ……ちょっと違うか。そしてそんな面白現象にモリスさんが黙っている筈もなく――
「ははは、確か精霊ってお伽噺とかだと『自分に良くしてくれた相手には倍返しくらいの勢いで恩返しするけど、調子に乗り過ぎてよく失敗する』って話が多いよね。アーシュ君も気を付けてね」
そんなモリスさんの言葉にアーシュはガックリと肩を落とした。
「はああ、何だかなあ……」
「あははは、アーシュ頑張って」
そんな慰めが逆効果だったのか、アーシュは僕をジロリと睨む。
「カルア……そういうタイプはあんたでもうおなか一杯なんだけど」
「ええっ!? ひどいよアーシュ。僕そんな失敗なんて……」
「やり過ぎ注意!!」
「ううっ……それを言うならアーシュの『馬車』だって……」
「そっそれはっ! ………………そうかも」
そんな僕とアーシュの不毛な言い争いの中、一人マイペースに表情を改めたモリスさんは、精霊さんに向き直っていた。
「それでセカン君、いくつか訊きたい事があるんだけど、いいかい?」
「む? あなたにまでその呼び方を許した覚えはないんだけど……まあ姉さまの知り合いだし、さっきこの部屋が崩れるのを支えてくれたし。それに他の人達にも迷惑掛けちゃったし、今ここにいる全員は私の事をセカンって呼んでいいわよ。特別に許してあげる」
よかった。さっきからどう呼んでいいか分からなくて、ずっと『精霊さん』で通してたんだ。『セカンケイブ』だとこのダンジョンと被っちゃうしね。
「あはははは、それはどうも。それでセカン君、さっきのってもしかして、この部屋を第9階層に移動したのかい?」
「ええ、移動したわよ。魔力が足りなかったから」
「そうそう、訊きたいのはそれなんだよ! それってもしかして、『ダンジョンコアは深いところに置いた方がダンジョンの魔力が増える』って事なのかい?」
えっ、それどういう事?
「もちろんその通りよ。この大地のずっと地下深くには世界を支える『根幹の魔力』が渦巻いていてね、ダンジョンはその『根幹の魔力』をエネルギーに活動しているの。そしてその『根幹の魔力』を吸い上げてダンジョンを管理するのがダンジョンコアの役割。だからダンジョンコアが『根幹の魔力』に近づけば近づくほど多くの魔力を使用出来るようになるってわけ」
「へえぇ! そういう仕組みなのかぁ」
あのモリスさんの顔……『ダンジョンが大きく深くなっても魔力が尽きない理由が初めて分かっちゃったよ!』とか叫び出しそう。
「でもほら、ダンジョンコアが結界に閉じ込められちゃったでしょ? それで階層を下にどれだけ延ばしても、そこにコアを移動出来なくなっちゃったのよ。一応延ばした階層自体にも『根幹の魔力』は少しずつ染み込んでくるから、それを得る事だけなら出来るんだけど……。でもそれだとやっぱり効率が悪いから、下の階層が出来たらコアはそっちに移設したいのよね」
「そうか、ダンジョンコアの結界にはそんな弊害も……僕達はダンジョンが育つのを邪魔しちゃってた訳か」
あれ、ダンジョンコアは深い所にあったほうがいい? それってつまり……
「フィラストダンジョンが超初心者向けなのは、ダンジョンコアが地下3階層にあるからって事?」
そんな僕の言葉に、セカンがもの凄い顔でこちらを見てきた。
「フィラスト姉さんのコアって、第3階層にあるの!? そんな所じゃダンジョンを保つギリギリの魔力しか得られないじゃない!! お姉さまが可哀想よ!!」
だそうですよ、モリスさん?
「うん、それは確かにフィラストダンジョンについても一度考えないといけなさそうだね」
僕とセカンにそう頷いたモリスさん。セカンもほっと胸を撫で下ろしたようだ。
「まずはここの結界を君達の通信を通すよう改良してみるよ。それが出来たら次は他のダンジョンの結界も改良していくからさ、そうしたらセカン君の方で姉妹達に話を通してくれるかい?」
「もちろんオッケーよ。これでやっとお姉さま達とお話しが出来る!」
凄く嬉しそうなセカン。これまで話し相手がゴブリンだけだったなんて可哀想過ぎる。
「僕の方はダンジョンコアを下の階層へと移設出来るように、冒険者ギルドや国の方に呼び掛けてみるよ。まあこのダンジョンの変化とフタツメの景気向上を見ればダメとは言わないだろうけど」
「そうね、それは是非お願い。フィラスト姉さんだってきっと困ってるはずだもの。でも……」
そこでセカンは一度言葉を切った。
『でも』って何だろう……?
「でも、最初はセントラルを助けてあげて欲しいの。ダンジョンって作ったばかりの時が一番脆くて危険だから、何とかあの子の事を助けてあげたいの」
そう言ってセカンは何故かモリスさんじゃなくって僕を見つめてきた。
「ねえカルア、私の代わりにあなたがあの子を助けてあげてくれない? 私と繋がったアーシュ姉さまが一緒ならあの子も受け入れるだろうし、それに何たって――」
何たって……なに? もし変な事だったら、当方に肩を落とす準備あり!
「――あなたのその膨大な魔力があの子の役に立ってくれるはず!」
ああよかった、変な事言われなくって。でも魔力が役立つって何故?
「きっとセントラルってば、魔力が足りなくて困ってると思うの。私も最初の頃はずっとそうだったし、あの子も同じように困ってると思う。だからカルア、あなたの魔力をセントラルのダンジョンコアに注いであげてくれないかな?」
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