スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第86話 セントラルダンジョンを探します #3

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ダンジョンの中に直接【転移】する事は出来ないから、【転移】先は当然ダンジョンの入口になる。って事で【転移】する為にセカンケイブの入口を遠見したんだけど――
あれっ、誰もいない?
森ダンジョンになって不人気ダンジョンじゃなくなったから、かなり賑わってるって思ったんだけど……?
まあいいか。丁度良いからこのまま【転移】しちゃおっと!

ダンジョンの前に【転移】した僕達は、いつもみたいに入口の転送装置でダンジョンに入る。中に入ればダンジョン内は【転移】出来るから、そこから一気に最下層に【転移】っと。

「来てくれてありがとうアーシュ姉さまぁ!」
最下層に到着した瞬間、ダンジョンコアから飛び出したセカンが一直線にアーシュに飛びついて抱きついて――

アーシュってば暫くどうしていいか困ってたみたいだけど、左手を軽くセカンの背に回して右手でその頭を撫で始めた。
それですっごく嬉しそうな顔になったセカンは、そのままアーシュの胸に横顔を押し当てて……ふふっ、小さくても見た目はお姉さんっぽいのに、何だかホントにちっちゃな子供みたいだ。

そんな感じで暫くアーシュにしがみついていたセカンだけど、ようやく満足したらしく、アーシュから顔を離した。
「それで今日はどうしたの、アーシュ姉さま?」

そう自分を見上げる小さな顔に、柔らかな微笑みを浮かべたままアーシュが答えた。
「ちょっと訊きたい事があって。さっき王都の森にセントラルを探しに行ったんだけど、時空間魔法に反応がなくてね、どうやって探せばいいのか相談に来たわけ」

セカンはちょっと考えて、そして何かに思い至ったみたい。
「もしかしてまだダンジョンになりきってないのかも。その状態だと魔力を素通ししちゃって普通の地面と同じ反応になっちゃうと思うから」

えっ、それって森を直接見て回らないと見つけられないって事?

「困ったわね、あたし達あまり時間がないんだけど?」
「うーん、私が近くに行ければあの娘の事を感じ取れるんだけどな。でも私ここから動けないし……あっそうだ、アーシュ姉さまを通してなら感じ取れるかも! ちょっと繋げて……あれっ、繋がらない? あっそうだ、あれからまた結界張ったんだった……」

やっぱりさっき通信できなかったのも結界が原因だったか。

「そうだ、この間の人に結界を止めてもらってくれないかな? セントラルを探す間だけでいいから」
「この間の人……ってモリスさんの事? 外で訊いてくるからちょっと待ってて」
「頼んだわよカルア」

ダンジョンの入口の間に【転移】、そこから転送装置でそのまま外へ出て、そして――
「モリスさん聞こえます?」
通信具に呼び掛けた。

『はいはーい、聞こえてるよー。君達、今日はセントラルを探してるんだよね――って、もしかしてもう見つけたの!?』
「いえ、見つけられなくってセカンに相談に来たんですけど、そしたらセカンがモリスさんにコアの結界を止めてもらえないかって」

『なるほど。じゃあ今からそっちに行くよ。今セカンケイブの前かな?』
「そうです」
『りょーかーい。じゃあ今行――』
「くよーー」
今日は喋ってる途中で転移して来るパターンだった。
「さて、それじゃあ中に入ろうか」

モリスさんと一緒にセカンの所に戻った途端、誰よりも早くモリスさんが口を開く。もう本当にいつものモリスさんって感じで。
「やあやあお待たせセカン君。結界の改良は待たせちゃってすまないねえ。数日中に調査に来る予定になってるから、もうちょっとだけ待っててね。それで今日は結界を止めればいいのかい?」
「ええ、そうなの。アーシュ姉さまを通じてセントラルの気配を感じ取れると思うんだけど、その為には結界がね」

「成程ね、通信と同じように遮断しちゃうって訳か。了解了解、ちょっと待ってね」
そう言ってモリスさんはダンジョンコアが結界具を操作すると、ダンジョンコアを囲う結界がその動作を停止した。
「オッケー、止まったよ。これでどうかな?」
「じゃあ……アーシュ姉さまに接続……うん、今度は大丈夫!」

「よし、それじゃあ僕は暫くここで待機してるよ。このままここを離れるって訳にもいかないだろうしね。君達は探索の方をよろしく」
「はい、出来るだけ急いで見つけてきますね」
「あっ、そうだ。今なら魔力使い放題だし、ここを改装しちゃおっと。この部屋だけ森っぽくないし殺風景なのが気になってたのよね。じゃあ……、改・装っ!」

セカンの魔力が部屋に溢れると、僕達がいる最下層ボスの間は光に包まれた。
やがてその光はゆっくりと収まってゆき、そこに現れたのは――

「何よコレ!? 急にお洒落な部屋になっちゃって! これもう絶対ボスの間とかじゃないわ!」

――お洒落な丸太小屋の中みたいな部屋だった。

「これからは森の資源目当ての冒険者しか来ないんだから、今更ダンジョンボスなんて用意する必要ないでしょ? ここは私の憩いの場にするわ」

憩いの場……
ダンジョンの最下層は精霊さんの憩いの場……
あれ? ダンジョンって一体……

「そうだ! ついでにこの部屋、あなた達以外入れないように閉じちゃおっと。あ、これでもうここには誰も来れないんだから、あの監視の魔道具は撤去してもらえる? 流石に憩いの場をずっと覗き見られるってのはちょっとね」
「ははっ、了解。カルア君達を待ちながら取り外すよ」

あれ? これってもしかして、さっきクーラ先生が話してた『誰でもダンジョンの精霊にコンタクト出来ちゃう』問題が解消しちゃったって事?

「よし、じゃあ行くわよ。カルア、転移よろしく」
こうして僕達は再び王都の森へ!



「セカン聞こえる? ……ええ、今森の中よ。どう、セントラルを感じ取れる? …………やった! それでどっちの方向? ……あっちね、距離は? ……分かった、ちょっと待って。今俯瞰で確認して……あ、あれかな? 小さな洞窟みたいなのが見える。……うん、じゃあ行ってみるわ。……ええ、また後でね」

どうやらアーシュとセカンでセントラルの場所を見つけたみたい。あっさりと。
「場所は森の真ん中あたりよ。さあ行きましょう」

それから僕達は森の中をひたすら歩き、そしてようやくそれらしい場所に辿り着いた。そこには木々の中に大きな岩が鎮座し、その岩に人ひとり何とか通れそうなくらいの小さな穴が空いてるんだけど……

これダンジョン?
絶対奥行きとか足りないと思うけど、ホントにダンジョン?

――なんて考えてると、突然頭の中に女の子の声が響いてきた。
『ここはダンジョンじゃないですよー。だから早くここから離れるですよー。セントラルダンジョンなんてここには無いですよー』
いや、これって逆に……



こうして僕達は、セントラルダンジョンを発見した。



▽▽▽▽▽▽
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