スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

文字の大きさ
186 / 278

第77話 手加減は、道具で解決すればいい #3

しおりを挟む
ダンジョンを出た僕達は、近くの草原にシートを敷いてお昼ご飯の用意を始めた。冒険者らしくって事だし、今日はテーブルを作ったりはしない。
でも取り出したお弁当は朝買ってそのままボックスに入れたままだから、出来立てのほっかほか。これくらいは許して欲しい。って事で――
いっただっきまーーすっ!!

「そう言えばクーラ先生、フィラストダンジョンってダンジョンコアを結界で囲んでからボスの金属バットが出現しなくなった、って聞いてたんですけど、ここは普通に出てくるんですね」
ご飯を食べながらふと気になっていた事を訊いてみると、クーラ先生は『そうなのよ』って頷いた。

「色々調べてはいるみたいだけど、今のところ理由は分かってないみたい。一応『ダンジョンが保有する魔力の量が多いから』なんて言われてるけど、そもそもダンジョンの魔力量なんてどうやって調べるんだって話だし。このあたりって授業でやってない?」

やってなかった……よね?
まだ2年だから、この先出てくるのかな?
あ、でも編入の勉強オーバーキルでも出てこなかったから、もしかして学校じゃ習わないところなのかな……?

「クーラ先生の頃は授業で出てきたんですか?」
「私? 私はちょっと経歴が特殊でね、学校には行ってないのよ。だから学校の授業の内容って細かくは知らないの。でも学校でやる内容だったらほとんど知ってると思うから、分からないところとかあったら質問してくれていいわよ」

特殊な経歴……すっごく気になるワード!
でもきっと触れない方がいいんだろうなあ……主に安全面で。

「それにしても、やっぱりアーシュの指示って的確だよね。もうアーシュがリーダーでいいんじゃない? 僕よりずっとリーダーっぽいよ」
「そんなの当たり前じゃない、小さな頃から家でそういう教育を受けてきたんだもの。でもこんなのは所詮技術なのよ。だからカルア、もし出来ないって言うんだったら、あたしのを見て覚えればいいの!」

技術……か

「そうね。アーシュのリーダーっぷりは中々だったわ。でもカルアだってリーダーとしては全然負けてないのよ?」
「えっ、僕が?」

そんなリーダーらしい事とかした覚え無いんだけど?

「リーダーって言うのはね、その特徴によって大きく3種類のタイプに分けられるの。まずは『仲間を引っ張る』リーダー。アーシュがこのタイプよね。次に『仲間を押し上げる』リーダー。あなた達の知ってる例だと……カバチョッチョがそのタイプね。仲間にやる気と勇気を与えるタイプ。物語ではそうじゃなかった?」
「あ、そうかも」

「それで最後が『仲間を引き寄せる』リーダー。そこにいるだけで自然と仲間が寄ってくる。リーダーの為にって皆が一丸となる。そんなタイプね。私が見たところ、カルアはこのタイプよ」

僕が……みんなを引き寄せる……?

「ああ、確かにそうかもしれないわね。あたし達だってそんな感じだったし、お祖母様や他の大人達だって、何だかんだで自然とカルアの周りに集まってきたんじゃない? それって、あんたの人柄っていうか適性っていうか、そんな星のもとに生まれた――みたいな感じ?」

そう……なのかな?

「あ、でも勿論それだけじゃないと思うわよ? 頑張るあんたの姿を見てたから、みんな『助けてあげよう』って思ったんだろうし。だからカルア、あんたはあんたらしく頑張っていけばいいのよ。足りないところは覚えてけばいいし、困った時は『助けて』って言えばいいの!」

そっか……そっか!

「ありがとうアーシュ!」
「ふふん、これくらいどうって事無いわよ!」
「それにしても……こういうところもやっぱりリーダーっぽい!」
「それはもういいでしょ! あたしはカッコいい『陰の』リーダーなんだからね!!」



お昼が終われば午後も勿論ダンジョンアタック。僕もみんなも午前中より効率よく動けるようになって、今度はまだ明るいうちに踏破しちゃった。
でももう一周すると多分日が暮れちゃうだろうし、今日は余裕があるうちに終了って事になりダンジョンを出た。それで街に帰ってちょっと早めの晩ごはんをみんなで食べて、宿に着いたら今日は解散!
みんなお疲れー。

今日は早く終わってくれてラッキーだった。だってこれから錬成の時間だから。みんなの撲撲ボコボコ棒を作らなきゃだから。
あっそうだ、せっかくだからクーラ先生にもあげようかな。これきっと訓練とかにも丁度いいと思うんだ。

それにしても二日続けて錬成する事になるとは思わなかったよ。昨夜はアレを作ってたから……
まあ多分使う事無いだろうけど、あの人が余りにテンプレってたから一応念のためにね。



王都の某魔道具店奥。
「――にしても、当初の予定から随分と状況が変わったもんだねえ」
溜息交じりのマリアベルの言葉には、全員苦笑いを浮かべるしかない。

「全くです。当初は同年代の子達が魔法の習得に苦労する様子を見せて、自身の特異性を自覚させるのが目的だったのだが……」
重々しく頷きながらそう同意したのは、最初にカルアに学校を勧めたブラックだ。

「まさか逆に周りの子達がカルア君みたいになっちゃうなんてねえ。あはははは。まあそれが出来るだけの才能を持った子達が集まってたって事も驚きだけどさ」
モリスもまたカルアの入学を望んでいたのだが、ブラックとは逆に想定外の展開を面白がっていた節がある。

「あの学校には昔から飛び抜けた才能を持つ者達が現れる事がありましたからね。我々が気付いていないだけで、あのパーティメンバー以外にもカルア殿に触発された子供達がいるかもしれませんよ?」
オートカには、自分もその『飛び抜けた才能を持つ』者達の一人であるという自覚はない。

マリアベルはオートカの言葉に『ふむ』と考え、ラーバルへと視線を向けた。
「あの子達以外にねえ……そのあたりどうなんだい、ラーバル?」
前校長からの問い掛けを現校長のラーバルは真剣に受け止め、そして生徒一人一人の情報を脳内で反芻する。
「そうですね…………ああ、そういえば、彼らの初めての狩りに同行した同学年の子達のパーティがいまして。彼らはカルア君達のパーティに大いに刺激を受けたようですよ? 暫く何か考え込んでいたようですが、その後に特別授業を受けたいと申し出て来ました」

思いの外面白そうな情報が返ってきた事で少々前のめり気味となったマリアベルは、楽し気な表情を浮かべてラーバルに問い返した。
「ほほう、それでどうしたんだい?」
「ええ、彼らのパーティは【身体強化】の前衛2名と回復役1名の3人パーティなんですが、カルア君達が座学に集中していた期間、時間が空いていたクーラ先生の特別指導を受けさせていたんです。今は私が回復魔法と【障壁】の指導を行っていますが、その後はヒトツメギルドでの校外授業として、ブラックさんにお預けしようかと思ってます」

「ほう、私にか」
「ええ。あなたと……それと出来ればピノさんにも是非彼らの指導をお願いしたい。彼らの目標は『カルア君達パーティに並び立つ』事だそうです」
「ほほう、それは面白い。それで、その彼らの名前は?」

「パーティリーダーのアイ、それにルビーとバックです」



▽▽▽▽▽▽
このお話が面白いと感じてくれた方、「いいね」をお願いします。
続きが気になる方、「お気に入り」登録はいかがですか。
作者に一言ツッコみたい方やモノ申したい方、「感想コメント」お気軽にどうぞ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

一流冒険者トウマの道草旅譚

黒蓬
ファンタジー
主人公のトウマは世界の各地を旅しながら、旅先で依頼をこなす冒険者。 しかし、彼には旅先で気になるものを見つけると寄らずにはいられない道草癖があった。 そんな寄り道優先の自由気ままなトウマの旅は、今日も新たな出会いと波乱を連れてくる。

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――

銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」 世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。 魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。 彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。 一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。 構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。 彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。 「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」 暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。 管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。 これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。 ※アルファポリスで先行で公開されます。

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

中年オジが異世界で第二の人生をクラフトしてみた

Mr.Six
ファンタジー
 仕事に疲れ、酒に溺れた主人公……。フラフラとした足取りで橋を進むと足を滑らしてしまい、川にそのままドボン。気が付くとそこは、ゲームのように広大な大地が広がる世界だった。  訳も分からなかったが、視界に現れたゲームのようなステータス画面、そして、クエストと書かれた文章……。 「夢かもしれないし、有給消化だとおもって、この世界を楽しむか!」  そう開き直り、この世界を探求することに――

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

不死王はスローライフを希望します

小狐丸
ファンタジー
 気がついたら、暗い森の中に居た男。  深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。  そこで俺は気がつく。 「俺って透けてないか?」  そう、男はゴーストになっていた。  最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。  その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。  設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。

処理中です...