スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第69話 皆さんにお礼がしたくて、僕は… #2

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シンプル……なら機能は必要最小限に。じゃあ包丁に付けたい機能って何だろう。
切れ味がいいは当然だよね。それにその切れ味が悪くなったり刃毀はこぼれとかはしない方がいいに決まってる。あとは……そうだ、ピノさんは切った物が貼り付かないと嬉しいって言ってたっけ。
ええと……うん、そんなところかな? それをシンプルに作ろうとすると……

あれ? もしかしてこれって錬成だけで出来なくない?
切れ味とかは都度刃先を整えるようにすればいいんだし、貼り付きとか汚れは表面の【分離】で解消出来そう。

あ、凄い事思いついちゃった。
錬成って言えばノルトの【分解】、あれってちょっとした応用で細かく切る事だって出来る気がする。だって見た目『粉砕』だったし。
ひと息で野菜をみじん切りとか、すっごく便利じゃない?

だから、付与するのは包丁を錬成で整える機能、それに汚れや貼り付きを抑える機能。
それから――
錬成による食材のカット!!
包丁に切り方のイメージを流して、包丁がそれを食材に伝える。みじん切りだけじゃなくって輪切りとか千切りとかってね。
自分で切っても包丁に任せてもいいって画期的じゃないかな?
試作したらピノさんに見てもらおう。

……あ、でも包丁なんだからやっぱり安全が第一だよね。
食材以外は切れないようにしとこう。
これで切れるのは、食材の肉とか野菜だけ。うん、いいんじゃないかな。


よし、じゃあ作ってみよう。
まずは鍋から――
大きさと形を決めたら【加熱】と【冷却】で温度調整出来るように、っと。
蓋も忘れずに付けなきゃね。
あ、鍋の中に井戸から水を直接『お取り寄せ』出来たら便利じゃない?
でもそうしたら奥様方から『井戸に集まる機会が減っちゃう!』って言われるかも?
……でも付けちゃお。ふふふ。

鍋が出来たら次は包丁を――
形はうちの包丁と同じにして、錬成のアレコレを付与して……
よし、出来た。

魔石が透明だから出来上がった包丁もやっぱり透明で……って見えづらくて危ないよ! どうしよう……?
そうだ、属性が付与出来るんだから、もしかして色だって付与出来るんじゃない?
魔石君――いや包丁君、君の気品はとってもシルバー!
おおっ、ホントに出来た!



『――カルア君、聞こえるか? そろそろ迎えを頼む』
おっと、丁度ネッガーの方も終わったみたい。
「はい、ちょっとだけ待ってて下さいね」
テーブルの上をちょっと整理してからお迎えに。【転移】っ!



「中々良かったと思う。これなら明日か明後日には基礎が習得出来そうだな」
「はい! ありがとうございます」
森に到着すると、ギルマス達は今日の総括的な話をしているところだった。
僕に気付いたギルマスはチラッと僕に一瞬微笑み、そしてネッガーへの説明を続ける。
「基礎が習得出来たら次は実践訓練に移る。まずは森、その次はダンジョンの中でだ。まずダンジョンでの【気配察知】の感じを掴み、それからカルア君が発見した魔物部屋で訓練する」
「はい」

――えっ、あそこで訓練するの?

「魔物部屋で訓練するんですか?」
あ、思わず訊き返しちゃった。
「全方向からの飽和攻撃は【気配察知】による回避や攻撃の訓練に丁度よさそうだからな。その時はまた君にギリーを頼むとしよう。」
「はいっ、ギリー承りました」
「うむ、では戻るとしようか」

ギルマスとネッガーを連れてギルドに戻ると、ピノさんも仕事が終わったみたい。
「じゃあネッガー君を送ってきますね」
ピノさんはペンダントの【転移】でネッガーを学校まで送ると、一分もしないうちに戻ってきた。ホントに行って帰ってきただけって感じ。
「じゃあカルア君、帰りましょうか」
「はいっ!」



ピノさんと並んで歩く帰り道。
【転移】でパッと移動するのは確かに便利だけど、こうしてお喋りしながら歩く時間は最高に楽しい。転移しちゃうのが勿体ない――って感じるくらいに。
「――それでビックリして振り返ったら、ワルツがいて……」
「まあ、ふふふ」
「そしたら何と、ノルトが……」
「えー、それって大丈夫だったの?」



家に着くまであっという間だった。まるでうっかり【転移】しちゃったみたいに。
二人で家に入ると、そのままやって来たのは台所だ。
「――じゃあピノさん、さっき話した鍋と包丁を見て貰えますか?」
「ええ。このテーブルの上に並んでるのがそう?」
「はい!」

ピノさんは鍋を持ち上げて色々と見回し、やがてニッコリと頷いた。
「うん、とっても使いやすそう。カルア君のお鍋よりちょっと大きくしたのね」
「ええ。家族全員分でちょっと大きめな鍋を使ってるみたいだから」
家族が多いんだから当然使う鍋も大きいよね。

「機能は何を付けたの? この間作った鍋と同じ感じ?」
「はい、あの温度調節の鍋にしました。あ、でも井戸の水から直接水を取り込む機能も付けたんですよ」
「まあ! それは便利ね。使う人の事を考えた良い機能だと思うな」
「でも『井戸に集まれなくなるじゃないか』って言われそうな気もして」
「ふふっ、言いそう! それも使う人の事を考えたって言うのかな?」
「あははははっ」

鍋の次は――
「あれっ、普通の包丁……?」
包丁を手に不思議そうな顔をするピノさん。
金属に魔石を【混合】すると何処となく透明がかった色合いになるけど、この包丁は見た目金属だけの色合いだから。

「ふふふ、実はこれ金属を使わずに魔石だけで作ったんですよ。それに金属っぽい色を付与したんです」
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