スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第62話 そして僕はある事を決心しました #2

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「それじゃあみなさぁーーん、寮の人もそうでない人もー、みんな気を付けてお家に帰ってくださいねーー-っ」
「「「「「はーーーいっ」」」」」

さてと、ホームルームも無事終わったし今日も訓練を――
と思ったその時、僕の目の前に一通の手紙が現れた。

◇◇◇◇◇◇
カルアへ

あたしだよ。終わったら来な。
◇◇◇◇◇◇

はは、今日の呼び出しはベルベルさんか……
ん? でもベルベルさんって『転送』出来たっけ……?

「ゴメンみんな。今日はちょっと知り合いに呼ばれちゃったから、放課後の訓練は不参加にさせて」
「まあそういう事なら仕方ないわね。ところで呼び出しって誰から? もももしかしてピノ様……とか?」
「ううん、アーシュのとこのお師匠様から」
「ほっ……。そう、お祖母様から……カルア、今日は何を怒られるのかしら」

そんなアーシュの不吉な声を背に教室を出た僕は、ベルベルさんの店へと向かった。
もちろん歩いてね。転移するほどの距離じゃないし、周りの目もあるし。
言われた事はちゃんと守ってますからね、ベルベルさん!
怒られるような事なんて……して、ません、よ? たぶん。



大通りから少し奥――どことなく怪しげな雰囲気に包まれたその通りを進んでいくと、やがて看板も何もない小さな建物が見えてくる。ここがベルベルさんのお店。で、その扉を開けて小さな店内に足を踏み入れるとそこには……誰もいない。まあきっといつも通り奥にいるんだろうな。
「こんにちはーーっ。ベルベルさーん……?」
「カルアかい、奥に来な」
呼び掛けた僕の声に奥から返ってきたのは、そんなぶっきらぼうな声。
うう、やっぱり何か怒られるのかなあ?

「お待たせしました。それで今日はどうし――ってあれ?」
そこには何故かチームカルアが全員集合。これってまさか……全員から怒られる流れ?
「ええっと……ひょっとして僕、何かやっちゃいました?」
「いいや今回は何も――っていや、やっちまったねえ。確かにあんたがやっちまったのが事の始まりだったよ。カルアあんたあたしの可愛いアーシュによくも――」

ええっ、一体何の事?

「ああカルア殿? 別に何かがあったわけじゃあないですから安心して下さい。今日のはただの相談事ですから、取り敢えずこちらへどうぞ」
そう言ってピノさんの横に僕の席を用意してくれるオートカさんにほっと一安心。このメンバーの中では数少ない常識人だ。
そしてピノさん――
「こんにちはカルア君。パーティ、大活躍だったんですってね」
「ありがとうございますピノさん。でもあれって成り行きで害獣駆除しただけなんですよ?」

最後のゴブラオは別として、他はただただ面倒くさかっただけで全然大した敵じゃなかったし。

「ふふふ、カルア君らしいですね。でもその『成り行き』のお陰で王都の人たちの生活が守られたんですから、やっぱりカルア君達のした事は素晴らしい事だと思いますよ。だからもっと胸を張っていいと思います」
「……はい」
どうしよう……ピノさんの優しい笑顔が――それにその言葉が、ものすごく嬉しい。
でも周りのみんなの目が……特に師匠と姉弟子の目が……

とその師匠から――
「さて、そろそろ本題に入っていいかねえ。それともあたしらはもう少し待ったほうがいいかい? 胸を張るところも見てたほうがいいかい?」
そしていつも通りそれに乗っかる姉弟子が――
「ししょーー、『若いふたり』を邪魔しちゃあ駄目ですよ-。いつでもどこでもふたりきりの世界に入れるのは、『若いふたり』の特権なんですからっ。――ねぇぇオートカ先輩っ?」
「うぐっ……」

――ってあれ? 何かいつもと様子が違う?
それにオートカさんの反応も……

「おやおやぁ、なんだかこっちは怪しげな雰囲気だねえ……。ひょっとしてもしかしたら、君達ついに?」
「いやぁだあモリス先輩ったらーーー。私たちまだそんなお付き合いなんてしてませんよぉーーー。……二日しか」

ええっ、それって……

「なっ、何だってぇぇーー-っ!? あっあたしゃ何にも聞いてないよミレアっ!?」
「そうかあ……って事はやっぱりミレア君、昨日あの後ついにって事かあ。いやあこれはめでたいねえ。ねえオートカ、君もそう思うだろう?」
「……何故それを私に訊くのですかモリス」

そうか、あの後オートカさん達……
「いいなあ、ハッキリ言ってもらえるなんて、ミレアさんいいなあ……」
うっ……

ピノさん……
分かってます。分かってますから、もうちょっと待って下さい……

「ああもう! ほら、そろそろ本題に入るよ! ミレア、あんたその件は後で報告書に纏めて提出しな! あんたへの聞き取りの後はオートカにダブルチェックするからね、適当な事書くんじゃないよ?」
「はーーーーい!」
「勘弁して下さい――」

いつものそんな騒々しいやり取りも一段落し、これでようやく本題に……ってそもそも本題って何なの?
「――さてカルア、あんたパーティのメンバーに色々魔法の指導とかしてるそうじゃないか」

ん? 魔法の指導? ……ってした事あったっけ? あ、もしかして【加熱】とかの事かな?

「ええっと、一緒に授業受けたりとか、気づいた事をお互い話したりとかはしましたけど、指導なんて……【加熱】の説明をしたくらいじゃないかなあ?」

「そうかい。じゃあ訊き方を変えようか。あんたのパーティメンバー、みんな随分と優秀みたいじゃあないか。あの子らを見て、あんたはどう思ったんだい?」
やっぱりベルベルさんもみんなの事優秀だって思ってるんだ。うんうん僕もそう思うよ、みんな凄いよね!

「アーシュはどんな魔法もあっという間に出来るようになっちゃうし、それに魔力の使い方とかがもの凄く上手で。ノルトは小さな頃から土魔法で家の手伝いをしてた土のプロで、錬成もすぐ出来るようになって、今じゃあ僕よりもずっと凄いし」
アーシュは魔法の天才、ノルトは土プロで錬成の天才。

「ワルツはすっごく器用だから、きっとすぐに他の物質操作も覚えるんじゃないかな。それにネッガーは強すぎて、模擬戦とかでも絶対僕には勝ち目ないし」
この二人も得意分野は絶対僕よりずっと凄い。

「皆さん僕の事を『凄い凄い』って言ってくれてたから、もしかして僕って凄いのかな――なんてちょっと自信を持ったりもしたけど、あれを見ちゃうと僕ってやっぱり『人並み』だったんだなあって――」
「「「「「……」」」」」

まあでも人並みに魔法が使えるだけでも『凄い』って事なんだよね、きっと。
――ってあれ? みんなどうしたの? そんなところで集まっちゃって……
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