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第61話 え?スティールできませんでした #4
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「まさか進化の瞬間をこの目で見る日が来ようとは……測定は!? やったぞ! データ取れてる! よしっ! よーしっ!!」
こんなに興奮――っていうかはしゃいでるオートカさんって初めて見た。
ゴブリンの進化なんかより、むしろそっちの方が珍しいんじゃ……?
「進化の場面に遭遇するのは極めて稀なんですよ! その様子を測定出来たのは今回が世界初かも! これは凄い事ですよ!!」
おお、世界初! こんなオートカさんも世界初?
「で、進化時のデータはどんな感じ? マジシャンになった瞬間に魔力量が跳ね上がったりとか?」
そんなモリスさんの疑問の声に、冷静さを取り戻したオートカさんが測定器を覗き込んだ。
「魔力量は先ほどまでと全く変わっていませんね。これは……『進化したから魔力量が増える』のではなく『魔力量が増えたから進化する』という事なのでしょうか」
「なるほど……そうかもしれないねえ。なら、カルア君の【スティール】は魔物の魔力量に影響されるって事なのかなあ。とすれば魔石を魔力で包もうとする力が足りてないとか、魔物の魔力が魔石に入るのを止めきれないとか……ああ、だとすると『魔石抜き』がゴブリンで失敗したのも同じ仮説が成り立つなあ」
色々考えてるみたいだけど……
「あの……ゴブリンマジシャンはほっといていいんですか? さっきから色々魔法を使い始めてますけど……?」
うん、結界の中で魔法を撃って……狭いから自分でダメージ受けてるよ……
「さっきの仮説が正しければ、魔力が減った状態なら成功するんじゃないかな。カルア君、マジシャン君がもう少し魔法を使ってから【スティール】を再挑戦してみようか?」
そんなモリスさんの言葉に従い、暫くゴブリンマジシャンの様子を眺めていたんだけど……暫くして結界の中の魔法が止まったみたい。
でもこれって魔力が尽きたっていうよりも、自分の魔法で自滅しちゃいそうって事にやっと気付いただけかも。
「――そろそろ試してみようか。じゃあカルア君、もう一度【スティール】よろしく」
「はい。【スティール】」
今度はいつも通りの感触。弾かれた感じはなかった。
そしていつものように目の前に魔石が現れ、そして結界の中でゴブリンマジシャンが倒れて――
「おおーー、やっぱりか! いやぁ『想定通り』ってのは実に気持ちがいいねえ。うんうん、これで【スティール】と魔力量の関係はほぼ決まりかな。後はスキルの進化だけど……ねえオートカ、確かゴブリン系が多いダンジョンって――」
「『セカンケイブ』……ですね。フタツメにある超不人気ダンジョンの」
「だったよねえ。ゴブリンの対処が面倒くさいのに魔石の他に取れる素材が無いから……。でもカルア君、もし君が【スティール】を進化させるとしたら、実にちょうど良いダンジョンなんじゃないかなあ」
フタツメの『セカンケイブダンジョン』かぁ……
「さて、じゃあ色々分かった事だしそろそろ戻ろうか。行き先はオートカの部屋でいいんだよね?」
「だからあそこは私の部屋じゃ――って、ええ。それで構いませんよ。流石にもうミレアさんも帰った事でしょうし」
「……ふふふ、それは甘いよオートカ。じゃあ行くよー」
「ちょモリス! それって――」
僕達がオートカさんの部屋に戻ると、やっぱりそこにはミレアさんの姿があった。
流石に今回は僕もそうだろうと思ってた。
オートカさん考え甘すぎじゃないかな……ってちょっと待って、オートカさんって僕よりもミレアさんの事をよく知ってるはず……?
あっ、まさか分かっててワザと!?
「オートカ先輩おかえりなさーい。さっきモリス先輩『ちょっと』って言ってたから、どれくらいちょっとか気になって時間を計ってたんですよー。そしたらなんと、モリス先輩の『ちょっと』っていうのは――」
そんなミレアさんの声を遮ったモリスさんが、二人に向かってもの凄く悪戯っぽい笑顔を浮かべた。
「じゃあミレア君、君のオートカはちゃんと返却したからね。ああオートカ、結果はまた明日聞きに来るからよろしくね。あ、聞きにくるのは測定の結果であってミレア君との結果じゃないから、そこのとこ間違えないようにね。じゃあまったねえぇぇぇ……」
「もうっ、『わたしの』だなんて……それに『結果』だなんて、もうっ……」
オートカさん、僕も健闘を祈ってます……
こうして怒涛の展開過ぎる放課後もようやく終わりを迎えそうで、僕達はモリスさんの部屋へと戻ってきた。
「――さて、そんな訳で結果は明日のお楽しみだ。そうそう、さっき君が抜いた魔石は僕の方で預からせてもらっていいかい? せっかくだから研究してみたいんだ」
「ええどうぞ。っていうか差し上げますから好きに研究しちゃって下さい。いつもお世話になってるし」
――この程度じゃお礼にもならないけど。
「やあ、それは有り難い。でも流石に無償っていうのは気が引けるなあ。代わりに何か……あっそうだ、この間君から預かった圧縮魔石を返すよ。あれから君の魔石を追加で突っ込んで20倍まで圧縮してあるけど、ちゃんと安定してて普通に使えるから。使い方は圧縮前と一緒で容量だけが20倍になってるって感じかな。錬成で形は変えられるはずだけど、まあ念のため今回は今の形のままで使ってみて」
それって20倍の付与が出来るって事!? 凄い!!
「ありがとうございます! 20倍かぁ、何か色々出来そう……」
「ははっ、遠慮なく使ってよ。君のその『何か』に僕はすっごく期待しているんだからさ」
――という事でモリスさんの用事は終わり、ようやく家に帰ってきた。
今日は色々あり過ぎて疲れちゃったし、この20倍魔石の使い道は……今度ゆっくり考えよっと。
▽▽▽▽▽▽
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こんなに興奮――っていうかはしゃいでるオートカさんって初めて見た。
ゴブリンの進化なんかより、むしろそっちの方が珍しいんじゃ……?
「進化の場面に遭遇するのは極めて稀なんですよ! その様子を測定出来たのは今回が世界初かも! これは凄い事ですよ!!」
おお、世界初! こんなオートカさんも世界初?
「で、進化時のデータはどんな感じ? マジシャンになった瞬間に魔力量が跳ね上がったりとか?」
そんなモリスさんの疑問の声に、冷静さを取り戻したオートカさんが測定器を覗き込んだ。
「魔力量は先ほどまでと全く変わっていませんね。これは……『進化したから魔力量が増える』のではなく『魔力量が増えたから進化する』という事なのでしょうか」
「なるほど……そうかもしれないねえ。なら、カルア君の【スティール】は魔物の魔力量に影響されるって事なのかなあ。とすれば魔石を魔力で包もうとする力が足りてないとか、魔物の魔力が魔石に入るのを止めきれないとか……ああ、だとすると『魔石抜き』がゴブリンで失敗したのも同じ仮説が成り立つなあ」
色々考えてるみたいだけど……
「あの……ゴブリンマジシャンはほっといていいんですか? さっきから色々魔法を使い始めてますけど……?」
うん、結界の中で魔法を撃って……狭いから自分でダメージ受けてるよ……
「さっきの仮説が正しければ、魔力が減った状態なら成功するんじゃないかな。カルア君、マジシャン君がもう少し魔法を使ってから【スティール】を再挑戦してみようか?」
そんなモリスさんの言葉に従い、暫くゴブリンマジシャンの様子を眺めていたんだけど……暫くして結界の中の魔法が止まったみたい。
でもこれって魔力が尽きたっていうよりも、自分の魔法で自滅しちゃいそうって事にやっと気付いただけかも。
「――そろそろ試してみようか。じゃあカルア君、もう一度【スティール】よろしく」
「はい。【スティール】」
今度はいつも通りの感触。弾かれた感じはなかった。
そしていつものように目の前に魔石が現れ、そして結界の中でゴブリンマジシャンが倒れて――
「おおーー、やっぱりか! いやぁ『想定通り』ってのは実に気持ちがいいねえ。うんうん、これで【スティール】と魔力量の関係はほぼ決まりかな。後はスキルの進化だけど……ねえオートカ、確かゴブリン系が多いダンジョンって――」
「『セカンケイブ』……ですね。フタツメにある超不人気ダンジョンの」
「だったよねえ。ゴブリンの対処が面倒くさいのに魔石の他に取れる素材が無いから……。でもカルア君、もし君が【スティール】を進化させるとしたら、実にちょうど良いダンジョンなんじゃないかなあ」
フタツメの『セカンケイブダンジョン』かぁ……
「さて、じゃあ色々分かった事だしそろそろ戻ろうか。行き先はオートカの部屋でいいんだよね?」
「だからあそこは私の部屋じゃ――って、ええ。それで構いませんよ。流石にもうミレアさんも帰った事でしょうし」
「……ふふふ、それは甘いよオートカ。じゃあ行くよー」
「ちょモリス! それって――」
僕達がオートカさんの部屋に戻ると、やっぱりそこにはミレアさんの姿があった。
流石に今回は僕もそうだろうと思ってた。
オートカさん考え甘すぎじゃないかな……ってちょっと待って、オートカさんって僕よりもミレアさんの事をよく知ってるはず……?
あっ、まさか分かっててワザと!?
「オートカ先輩おかえりなさーい。さっきモリス先輩『ちょっと』って言ってたから、どれくらいちょっとか気になって時間を計ってたんですよー。そしたらなんと、モリス先輩の『ちょっと』っていうのは――」
そんなミレアさんの声を遮ったモリスさんが、二人に向かってもの凄く悪戯っぽい笑顔を浮かべた。
「じゃあミレア君、君のオートカはちゃんと返却したからね。ああオートカ、結果はまた明日聞きに来るからよろしくね。あ、聞きにくるのは測定の結果であってミレア君との結果じゃないから、そこのとこ間違えないようにね。じゃあまったねえぇぇぇ……」
「もうっ、『わたしの』だなんて……それに『結果』だなんて、もうっ……」
オートカさん、僕も健闘を祈ってます……
こうして怒涛の展開過ぎる放課後もようやく終わりを迎えそうで、僕達はモリスさんの部屋へと戻ってきた。
「――さて、そんな訳で結果は明日のお楽しみだ。そうそう、さっき君が抜いた魔石は僕の方で預からせてもらっていいかい? せっかくだから研究してみたいんだ」
「ええどうぞ。っていうか差し上げますから好きに研究しちゃって下さい。いつもお世話になってるし」
――この程度じゃお礼にもならないけど。
「やあ、それは有り難い。でも流石に無償っていうのは気が引けるなあ。代わりに何か……あっそうだ、この間君から預かった圧縮魔石を返すよ。あれから君の魔石を追加で突っ込んで20倍まで圧縮してあるけど、ちゃんと安定してて普通に使えるから。使い方は圧縮前と一緒で容量だけが20倍になってるって感じかな。錬成で形は変えられるはずだけど、まあ念のため今回は今の形のままで使ってみて」
それって20倍の付与が出来るって事!? 凄い!!
「ありがとうございます! 20倍かぁ、何か色々出来そう……」
「ははっ、遠慮なく使ってよ。君のその『何か』に僕はすっごく期待しているんだからさ」
――という事でモリスさんの用事は終わり、ようやく家に帰ってきた。
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▽▽▽▽▽▽
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