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第59話 冒険初日にみんながんばりました #4
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そんな感じで狩りは進み、時間はそろそろ夕方に差し掛かる頃。森の中は暗くなるのが早いから、そろそろ――
「野営の準備を始めないとね」
うーーん、この近くに開けた場所って無いんだよねえ。どうするノルト?
「じゃああの辺りを『整地』しちゃおうか」
僕の視線で言いたい事が分かったのか、ノルトは少し離れた場所を指差した。
「そうね、じゃあノルトお願い。あたし達ここで待ってるから」
「りょーかい。あ、ネッガーだけちょっと手伝いをお願い。あの木を切り倒して椅子とテーブルにしちゃってよ」
「分かった」
ネッガーが剣を軽く横に振ると、その太い幹は剣筋そのままに切断された。
えっ、その剣ってただ折れないだけだよ? 【空間ずらし】とか付与して無いよ?
そんな僕の戸惑いとかは一切気付く事なくネッガーは作業を続ける。枝を落として……皮を剥いて……そしてあっという間に綺麗な丸太の出来上がり。
その丸太を満足げに見つめ、ネッガーはノルトに声を掛けた。
「いいぞ、乾かしてくれ」
ノルトは『了解っ』と軽く応え、そして丸太に手を翳すと――
「【分離】」
木は一瞬で乾燥――というより『木の中から程よく水分が消え去った』ってのが正しいかな。前に聞いた時、『全部の水分を【分離】させないのがポイントなんだよ』って言ってたから。
ビックリだよね、ノルトがやって見せるまで植物とかを錬成するなんて思いも付かなかったよ。でも言われてみれば『なぜ思い付かなかったんだろう』って逆に不思議に思える。
乾燥が済んだ丸太を持ってネッガーがその場を離れると、ノルトは杖を地面に突いて――そこからがいよいよ本領発揮。
「さあ始めるよー。まずは【分解】」
何とこの【分解】、ノルトのオリジナル錬成なんだ。
ノルトが言うには『ドロドロに溶かせるんだったら粉々にだって出来るでしょ? それって【分離】の考え方とそんなに変わらないじゃん』だって。
これもやっぱり『言われてみれば確かに!』って感じ。
でも今やってるこれ、見た目は【分解】っていうより【粉砕】じゃないかな?
だって、周りに生えている木が次から次へと粉々になってくんだもの。
「【分解】【分解】【分解】【分解】……」
そしてその声が止まった時――
その前にあるのは、さっきまで木だったものの山と拓けた地面だった。
でもノルトの見せ場はまだまだ終わらない。
「よし、じゃあ次は【緩解】からの【混合】」
土魔法と錬成の連続発動――
【分解】によってできた木の屑は【緩解】によって柔らかくなった地面と混ざり合い、そして目の前に広がるのはまるで畑みたいに柔らかな土の地面だけになった。
「それじゃあ最後の仕上げ、【圧縮】っと」
柔らかく盛り上がっていた土は【圧縮】されて固く平らに。こうしてさっきまで木が生い茂る森の一部だったその場所は、ちょっとした広場へとその姿を変えた。『整地』を開始してからたったの5分、土プロの本気恐るべし……
「よし、こっちも出来たぞ。後は頼む」
そう言ってネッガーが綺麗に切ってきた木の板を並べると、ここでまたまたノルトの出番。
「いくよ、【癒着】」
ここでまたノルトのオリジナル錬成、【癒着】の登場。
【癒着】は接着したい部分だけを【融解】【凝固】して一体化させる魔法だ。並べた木の板は一枚の大きな板――テーブルの天板になった。
天板が出来れば後はそれに足を付けるだけ。
「【癒着】」
こうして出来上がったテーブルの周りに切り株を椅子として並べれば――はい、テーブルセットの完成だ。
――ノルト、たった2週間でこの仕上がり。もう錬成でノルトに勝てる気がしないよ……
と、ここで陰のリーダーアーシュのチェックが入る。
「ちょっとノルト、この辺の地面濡れてるじゃないの。もうちょっと乾かしておきなさいよね」
「ああそうか、ゴメンゴメン。【分離】っと。……これどうしようか?」
【分離】によって地面の土から除去され、空中に浮かんでる綺麗な真水。それを見たアーシュは、【収納】から大きな鍋をいくつか取り出してテーブルに並べた。
「料理とか飲み水に使うから、この鍋に入れちゃって。入りきれない分は氷の塊にして隅に置いといてくれる?」
うーーん、なんて無駄がない……
場所が出来たから次はみんなで解体の時間。
最初は恐る恐るって感じだったけど、やってるうちに慣れてきたみたい。
皮、骨、肉、腱、内臓、そして……黒い魔石。
ラビットもボアも無事に解体が完了した。
食べるもの、持ち帰るもの、廃棄するものに分けたら、持ち帰るものはアーシュが【収納】し、廃棄するものはノルトが土に還した。
そんな僕達の様子を静かに見つめるクーラ先生やアイ達の表情は、今まで何度も見てきたあの人達のそれと同じで……
でもきっと大丈夫。そんな表情をしてきたみんな、今はすっごく楽しそうだから。
ほら、今朝も楽しそうだったでしょ?
解体が終われば食材も出来る。それを調理すれば食事の時間。
ここで意外な才能を見せたのがワルツだった。何と、【加熱】と【冷却】を器用に使いこなし、あっという間に全員分の夕食を一人で作っちゃった。
そんなワルツの料理は、ピノさんのとは違うちょっと変わった一品。今日のメニューは『賑やかな森の夕べ~兎と猪が踊る肉の響宴、もぎたて生レバーとともに~』だって。
その夕食を食べながらワルツから聞いたんだけど、ワルツの家って地元で有名なレストランなんだって。
そしたら今度みんなで行こうよなんて話になって……ああ、パーティって最高!!
食事の後は野営の時間。交代で見張りをしながらゆっくり休もう。
じゃあみんな、一日目お疲れさま。明日もがんばろう!
夜のテントにて――
「先生、私これ以上あれを見てたら冒険者としてダメになると思うんです。もしあれを普通って感じるようになっちゃったらって思うと……」
「僕今日自己紹介のあと一言も喋ってないんだ。いる意味あるのかな?」
「わたしも。ずっと、何故ここにいるんだろうって考えてて……」
「お願い、あと一日だけ頑張って。――ごめんね、私もまさかこんな事になるなんて思わなかったの。あの子達、すっかりカル――染まっちゃって。ちょっと前まで普通の生徒だったはずなのに……」
▽▽▽▽▽▽
『こっちもだとぉーーっ!?』
ピキキーーーン☆
「あれ、今何か……あれ?」
「ピノ、報告書の件でギルマスが呼んでるわよ?」
「あ、うん……」
「野営の準備を始めないとね」
うーーん、この近くに開けた場所って無いんだよねえ。どうするノルト?
「じゃああの辺りを『整地』しちゃおうか」
僕の視線で言いたい事が分かったのか、ノルトは少し離れた場所を指差した。
「そうね、じゃあノルトお願い。あたし達ここで待ってるから」
「りょーかい。あ、ネッガーだけちょっと手伝いをお願い。あの木を切り倒して椅子とテーブルにしちゃってよ」
「分かった」
ネッガーが剣を軽く横に振ると、その太い幹は剣筋そのままに切断された。
えっ、その剣ってただ折れないだけだよ? 【空間ずらし】とか付与して無いよ?
そんな僕の戸惑いとかは一切気付く事なくネッガーは作業を続ける。枝を落として……皮を剥いて……そしてあっという間に綺麗な丸太の出来上がり。
その丸太を満足げに見つめ、ネッガーはノルトに声を掛けた。
「いいぞ、乾かしてくれ」
ノルトは『了解っ』と軽く応え、そして丸太に手を翳すと――
「【分離】」
木は一瞬で乾燥――というより『木の中から程よく水分が消え去った』ってのが正しいかな。前に聞いた時、『全部の水分を【分離】させないのがポイントなんだよ』って言ってたから。
ビックリだよね、ノルトがやって見せるまで植物とかを錬成するなんて思いも付かなかったよ。でも言われてみれば『なぜ思い付かなかったんだろう』って逆に不思議に思える。
乾燥が済んだ丸太を持ってネッガーがその場を離れると、ノルトは杖を地面に突いて――そこからがいよいよ本領発揮。
「さあ始めるよー。まずは【分解】」
何とこの【分解】、ノルトのオリジナル錬成なんだ。
ノルトが言うには『ドロドロに溶かせるんだったら粉々にだって出来るでしょ? それって【分離】の考え方とそんなに変わらないじゃん』だって。
これもやっぱり『言われてみれば確かに!』って感じ。
でも今やってるこれ、見た目は【分解】っていうより【粉砕】じゃないかな?
だって、周りに生えている木が次から次へと粉々になってくんだもの。
「【分解】【分解】【分解】【分解】……」
そしてその声が止まった時――
その前にあるのは、さっきまで木だったものの山と拓けた地面だった。
でもノルトの見せ場はまだまだ終わらない。
「よし、じゃあ次は【緩解】からの【混合】」
土魔法と錬成の連続発動――
【分解】によってできた木の屑は【緩解】によって柔らかくなった地面と混ざり合い、そして目の前に広がるのはまるで畑みたいに柔らかな土の地面だけになった。
「それじゃあ最後の仕上げ、【圧縮】っと」
柔らかく盛り上がっていた土は【圧縮】されて固く平らに。こうしてさっきまで木が生い茂る森の一部だったその場所は、ちょっとした広場へとその姿を変えた。『整地』を開始してからたったの5分、土プロの本気恐るべし……
「よし、こっちも出来たぞ。後は頼む」
そう言ってネッガーが綺麗に切ってきた木の板を並べると、ここでまたまたノルトの出番。
「いくよ、【癒着】」
ここでまたノルトのオリジナル錬成、【癒着】の登場。
【癒着】は接着したい部分だけを【融解】【凝固】して一体化させる魔法だ。並べた木の板は一枚の大きな板――テーブルの天板になった。
天板が出来れば後はそれに足を付けるだけ。
「【癒着】」
こうして出来上がったテーブルの周りに切り株を椅子として並べれば――はい、テーブルセットの完成だ。
――ノルト、たった2週間でこの仕上がり。もう錬成でノルトに勝てる気がしないよ……
と、ここで陰のリーダーアーシュのチェックが入る。
「ちょっとノルト、この辺の地面濡れてるじゃないの。もうちょっと乾かしておきなさいよね」
「ああそうか、ゴメンゴメン。【分離】っと。……これどうしようか?」
【分離】によって地面の土から除去され、空中に浮かんでる綺麗な真水。それを見たアーシュは、【収納】から大きな鍋をいくつか取り出してテーブルに並べた。
「料理とか飲み水に使うから、この鍋に入れちゃって。入りきれない分は氷の塊にして隅に置いといてくれる?」
うーーん、なんて無駄がない……
場所が出来たから次はみんなで解体の時間。
最初は恐る恐るって感じだったけど、やってるうちに慣れてきたみたい。
皮、骨、肉、腱、内臓、そして……黒い魔石。
ラビットもボアも無事に解体が完了した。
食べるもの、持ち帰るもの、廃棄するものに分けたら、持ち帰るものはアーシュが【収納】し、廃棄するものはノルトが土に還した。
そんな僕達の様子を静かに見つめるクーラ先生やアイ達の表情は、今まで何度も見てきたあの人達のそれと同じで……
でもきっと大丈夫。そんな表情をしてきたみんな、今はすっごく楽しそうだから。
ほら、今朝も楽しそうだったでしょ?
解体が終われば食材も出来る。それを調理すれば食事の時間。
ここで意外な才能を見せたのがワルツだった。何と、【加熱】と【冷却】を器用に使いこなし、あっという間に全員分の夕食を一人で作っちゃった。
そんなワルツの料理は、ピノさんのとは違うちょっと変わった一品。今日のメニューは『賑やかな森の夕べ~兎と猪が踊る肉の響宴、もぎたて生レバーとともに~』だって。
その夕食を食べながらワルツから聞いたんだけど、ワルツの家って地元で有名なレストランなんだって。
そしたら今度みんなで行こうよなんて話になって……ああ、パーティって最高!!
食事の後は野営の時間。交代で見張りをしながらゆっくり休もう。
じゃあみんな、一日目お疲れさま。明日もがんばろう!
夜のテントにて――
「先生、私これ以上あれを見てたら冒険者としてダメになると思うんです。もしあれを普通って感じるようになっちゃったらって思うと……」
「僕今日自己紹介のあと一言も喋ってないんだ。いる意味あるのかな?」
「わたしも。ずっと、何故ここにいるんだろうって考えてて……」
「お願い、あと一日だけ頑張って。――ごめんね、私もまさかこんな事になるなんて思わなかったの。あの子達、すっかりカル――染まっちゃって。ちょっと前まで普通の生徒だったはずなのに……」
▽▽▽▽▽▽
『こっちもだとぉーーっ!?』
ピキキーーーン☆
「あれ、今何か……あれ?」
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「あ、うん……」
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