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第56話 エルフ少女が世界を変えそうです #2
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さて――
第一回カルア対策会議の次の日、ラーバルはマリアベルの元へと訪れていた。
「何だいラーバル、まさかもうギブアップとか言うんじゃないだろうね?」
開口一番マリアベルから飛んできた憎まれ口に、ラーバルは苦笑で応える。
「勿論そんな事はないですよ。――ただちょっと気が変わりまして、今日は以前辞退したものを受け取りに伺ったんです」
その言葉にマリアベルは肩を竦めた。
「ふん、あれだけ大口叩いておいて随分早い心変わりじゃないか……とは言わないよ。まあよく持ったほうだろうさ。カルアが相手だからね。――どうせあれからも随分とやらかしたんだろう?」
「――ははは、実はその通りなんです」
力ないラーバルの同意にマリアベルは苦笑を返し、そして通信具を手にした。
「まあ待ちな。『近々そんな話があるだろうからその時には是非呼んでくれ』――なんて言ってたバカがいるからさ、ちょっとそいつに声を掛けるよ」
「お待たせしました校長。ってこちらも校長だから分かり難いなあ。じゃあ今日のところは校長の事は『ベルベ――」
「――モリス?」
一瞬で戦闘態勢に入るマリアベル。その瞬間、モリス――ととばっちりのラーバルは己の死を幻視した。
「っ――『マリアベルさん』『ラーバルさん』とお呼びします!」
「ああ、そうしてくれ」
霧散した殺気にホッと力を抜くモリス。そのモリスにマリアベルは言葉を続ける。
「――それでモリス、あんたの言った通りになった訳だけど、どういうつもりで同席したかったんだい?」
「あははは、ちょっとカルア君の最新状況を把握したくて。それに僕の方も『追加情報』を持ってきたしね」
そのモリスの返事に、ある程度の覚悟を持っていたマリアベルでも溜息が零れ落ちる。
「その追加情報ってのは、やっぱりロクでも無い事――なのかい?」
「もちろん! 最っ高にロクでも無い話ですよ!」
「っ! このバカが嬉しそうに言い切りやがって……」
そして気持ちを切り替えるかのように、今度はしっかりと大きく溜息を吐いた。
「まあいいさ……ふん、こうしてたって仕方がない。さっさと始めようじゃないか」
まずはマリアベルから。これまでのカルアについて順を追ってラーバルに説明した。
「――で、そのお陰でカルアの奴は無事生還できたって訳さ」
「【スティール】から【コアスティール】への進化ですか。よくまあそんな土壇場で……全く奇跡としか言いようがありませんね。それにしてもスキルの進化ですか。進化は他のスキルでもあり得るのか、それに彼以外の【スティール】も進化する事があるのか……? ですが迂闊に検証する訳にもいきませんね。余計な詮索を受けかねません」
「――で、その魔石ってのがコレさ。モリス、あんた抜いた方の魔石持ってんだろう? そっちも出しな」
そう言ってマリアベルはラーバルに透明な魔石を手渡した。そしてモリスも。
「確かに透明度が違いますね。それで実際、効率にはどれ程の差があるのですか?」
「そうだねえ、ざっと2倍ってところかな。ただ……抜いた方の魔石は属性によって揺らぎがあるんだよねえ。もしかしたらほんの少し残ってる魔力の属性に影響されるんじゃないかって事で、今サンプルを集めて調べてるところさ」
「なるほど……」
「――錬成についてはそんなところだね」
「初日でいきなり分離、ガラスの錬成は一度見ただけで……。彼の祖先にはドワーフがいたりしたんでしょうか?」
「あはは、だったらエルフもいたんじゃない?」
「まあ血が何とか言う前にだ――いきなり魔石を錬成しようなんて考えるような奴だよ? 常識を全く知らないから人前で簡単にやって良い事と悪い事の区別だってついちゃいないんだよ。ラーバル、そのあたり特に気を配っとくれよ?」
「――空間の把握から【探知】の初歩まで、たった数時間で……?」
「あれには僕もビックリしたよ。普通はさ、どれだけ才能があっても把握くらいまででしょ? だからその先については大して説明してなかったんだよ。それなのに視点は自由に動かすし、種類指定も出来ちゃうし、挙句に『音や匂いも分かって便利ですね』なんて言い出してさ。あの時はもうどうしたらいいのか途方に暮れちゃったよ」
「ああ、やはりあれの発見者は彼でしたか。それにしても初歩を教わったその日にだったとは……」
「――まあそんな感じで、今度は付与までも覚えちまったって訳さ」
「ロベリー君から教わったものとばかり……まさかピノ君からだとは」
「そして何と、カルア君が改良した付与を今はロベリー君が使ってるんだよ」
「それはまた……」
「――でさ、『収納が出来るようになりました』とか言いながら、見た事ない魔力の塊を手の上に出したんだよ」
「それが【ゲート】だったってんだろう? まったくあの子は……」
「ええ、【ゲート】は私も見せてもらって今習得に向けて研究中です。モリスさんも習得されたそうですね」
「まあね。カルア君がうっかり人前でやっちゃった時に備えてね。僕の方に注意を向けさせれば如何様にも出来るからさ。まあでも正直かなり必死だったよ。生まれてから今まであんなに一生懸命になった事なんて……あれ? 最近は結構あるなあ。は、はは……」
第一回カルア対策会議の次の日、ラーバルはマリアベルの元へと訪れていた。
「何だいラーバル、まさかもうギブアップとか言うんじゃないだろうね?」
開口一番マリアベルから飛んできた憎まれ口に、ラーバルは苦笑で応える。
「勿論そんな事はないですよ。――ただちょっと気が変わりまして、今日は以前辞退したものを受け取りに伺ったんです」
その言葉にマリアベルは肩を竦めた。
「ふん、あれだけ大口叩いておいて随分早い心変わりじゃないか……とは言わないよ。まあよく持ったほうだろうさ。カルアが相手だからね。――どうせあれからも随分とやらかしたんだろう?」
「――ははは、実はその通りなんです」
力ないラーバルの同意にマリアベルは苦笑を返し、そして通信具を手にした。
「まあ待ちな。『近々そんな話があるだろうからその時には是非呼んでくれ』――なんて言ってたバカがいるからさ、ちょっとそいつに声を掛けるよ」
「お待たせしました校長。ってこちらも校長だから分かり難いなあ。じゃあ今日のところは校長の事は『ベルベ――」
「――モリス?」
一瞬で戦闘態勢に入るマリアベル。その瞬間、モリス――ととばっちりのラーバルは己の死を幻視した。
「っ――『マリアベルさん』『ラーバルさん』とお呼びします!」
「ああ、そうしてくれ」
霧散した殺気にホッと力を抜くモリス。そのモリスにマリアベルは言葉を続ける。
「――それでモリス、あんたの言った通りになった訳だけど、どういうつもりで同席したかったんだい?」
「あははは、ちょっとカルア君の最新状況を把握したくて。それに僕の方も『追加情報』を持ってきたしね」
そのモリスの返事に、ある程度の覚悟を持っていたマリアベルでも溜息が零れ落ちる。
「その追加情報ってのは、やっぱりロクでも無い事――なのかい?」
「もちろん! 最っ高にロクでも無い話ですよ!」
「っ! このバカが嬉しそうに言い切りやがって……」
そして気持ちを切り替えるかのように、今度はしっかりと大きく溜息を吐いた。
「まあいいさ……ふん、こうしてたって仕方がない。さっさと始めようじゃないか」
まずはマリアベルから。これまでのカルアについて順を追ってラーバルに説明した。
「――で、そのお陰でカルアの奴は無事生還できたって訳さ」
「【スティール】から【コアスティール】への進化ですか。よくまあそんな土壇場で……全く奇跡としか言いようがありませんね。それにしてもスキルの進化ですか。進化は他のスキルでもあり得るのか、それに彼以外の【スティール】も進化する事があるのか……? ですが迂闊に検証する訳にもいきませんね。余計な詮索を受けかねません」
「――で、その魔石ってのがコレさ。モリス、あんた抜いた方の魔石持ってんだろう? そっちも出しな」
そう言ってマリアベルはラーバルに透明な魔石を手渡した。そしてモリスも。
「確かに透明度が違いますね。それで実際、効率にはどれ程の差があるのですか?」
「そうだねえ、ざっと2倍ってところかな。ただ……抜いた方の魔石は属性によって揺らぎがあるんだよねえ。もしかしたらほんの少し残ってる魔力の属性に影響されるんじゃないかって事で、今サンプルを集めて調べてるところさ」
「なるほど……」
「――錬成についてはそんなところだね」
「初日でいきなり分離、ガラスの錬成は一度見ただけで……。彼の祖先にはドワーフがいたりしたんでしょうか?」
「あはは、だったらエルフもいたんじゃない?」
「まあ血が何とか言う前にだ――いきなり魔石を錬成しようなんて考えるような奴だよ? 常識を全く知らないから人前で簡単にやって良い事と悪い事の区別だってついちゃいないんだよ。ラーバル、そのあたり特に気を配っとくれよ?」
「――空間の把握から【探知】の初歩まで、たった数時間で……?」
「あれには僕もビックリしたよ。普通はさ、どれだけ才能があっても把握くらいまででしょ? だからその先については大して説明してなかったんだよ。それなのに視点は自由に動かすし、種類指定も出来ちゃうし、挙句に『音や匂いも分かって便利ですね』なんて言い出してさ。あの時はもうどうしたらいいのか途方に暮れちゃったよ」
「ああ、やはりあれの発見者は彼でしたか。それにしても初歩を教わったその日にだったとは……」
「――まあそんな感じで、今度は付与までも覚えちまったって訳さ」
「ロベリー君から教わったものとばかり……まさかピノ君からだとは」
「そして何と、カルア君が改良した付与を今はロベリー君が使ってるんだよ」
「それはまた……」
「――でさ、『収納が出来るようになりました』とか言いながら、見た事ない魔力の塊を手の上に出したんだよ」
「それが【ゲート】だったってんだろう? まったくあの子は……」
「ええ、【ゲート】は私も見せてもらって今習得に向けて研究中です。モリスさんも習得されたそうですね」
「まあね。カルア君がうっかり人前でやっちゃった時に備えてね。僕の方に注意を向けさせれば如何様にも出来るからさ。まあでも正直かなり必死だったよ。生まれてから今まであんなに一生懸命になった事なんて……あれ? 最近は結構あるなあ。は、はは……」
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