スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

文字の大きさ
75 / 278

第46話 最後まで油断ならない初日でした #3

しおりを挟む
学校から徒歩10分。
冒険者ギルドへも徒歩10分。
そこが僕の住むアパート。
「ただいまー」
――って言っても、当然誰もいないんだけどね。

「お帰りなさい、カルア君」
「えっ!?」
この声、もしかして!?

「ピノさんっ!! うわぁ、どうしてここに!?」
「ふふふ、今日一日だけ夕方でお仕事を抜けさせてもらって、片付けのお手伝いと晩御飯を作りにね。こっちへは学校が終わる時間に来たんだけど、カルア君まだ帰ってきてなかったみたいだから、ちょっとビックリさせちゃおうと思ってここで待ってたの。ふふ、驚いた?」

「すっごく。声でピノさんだってすぐ分かったけど、『何故ここにいるの?』って――」
「この部屋は私も一緒に選んだんだもの。場所さえ知ってれば【転移】して来るのは簡単よ。折角こんな素敵な【転移】の魔道具を貰ったんだから、ちゃんと使わなくっちゃね」

一人でやる予定だった引越し荷物の片付けは、ピノさんと二人だったお陰ですぐに終わっちゃった。
その後買い物に行って足りない物を買い足したら、ヒトツメみたいに二人で晩御飯!
「今日は久し振りにカレヱライスにしましたよ」
「やった!!」
「ふふふ、ちょっと多めに作ったから、明日も食べてね。鍋の魔力を切らさなければ傷まないから。あ、焦げ付く事は無いけど水分が飛んじゃうから、そうしたら水を足してね。あと香りはだんだん弱くなるかも。あっそうだ、鍋にフタを付けたら水分飛ばないかも」
「ああ! フタ、いいですね。作ってみます」



学校での出来事を話しながら楽しい食事。
「ふーん、すっごく変わった先生なんだね」
「ビックリしましたよ。それで返事をする時は、みんなで声を揃えて『はーーい』って」
「ふふふ、本当に幼年学校みたいね」
「それで後で聞いたんですけど、レミア先生って実はミレアさんのお姉さんで」
「そうなんだ。あの学校って優秀な卒業生をそのまま教員に採用する事があるから、もしかしたらそれかもね」
「えっ、優秀――なのかな?」



「それでその人がベルベルさんのお孫さんだったんです。アーシュっていうんですけど、そのあと僕の事を『宿命のライバル』とかって」
「ふふふ、それでカルア君のライバルになったわけね。――私のライバルにならなきゃいいけど」
「え?」
「ふふ、それからどうなったの?」



「一般教養の学科は今のところみんなに教えてもらった内容の復習みたいな感じで。ベルベルさんは『いつでも卒業できる』なんて言ってたけど、ずっとこんな感じなのかな?」
「うーん、新発見とかあるとそれがすぐに反映されるし、歴史なんかでも学説が変われば教わる内容も変わるから、油断しない方がいいかもね」
「えー、途中で内容が変わったりするんですか。それは要注意ですね」



「それでアーシュが『昼食フォーメーション』って――」
「!?」
「『バーサクフェアリーピノ様が編み出した伝説の戦術』とか言って……あれ? ピノさん? ちょ、ちょっとしっかり! ピノさーーーん!?」



「そのアイさんって人がピノさんのファンクラブの現会長とかで、アーシュもその会員で……」
「ななな、なぜアレが今もまだ存続を? 卒業と同時に解散したものとばかり……」
「それでみんなに囲まれて、ピノさんとの関係を訊かれて……」
「なっ、何て答えたの!?」
「『姉弟です』って……」
「ソウナンダ……」



「午後は魔法の実技で、自分の受けたい属性ごとに分かれたんです」
「カルア君は何を選んだの?」
「僕は土魔法にしました。そしたらノルトがいて、『実家の手伝いで土魔法で畑を耕してた』って。小さい頃から魔法で家の手伝いとか、凄いですよね。あっそうそう、アーシュも一緒だったんです。『ライバルなんだからお互い見える所にいないと』とか言って」
「そうね。小さな頃から魔法で手伝いとか、ノルト君凄いわね。それにアーシュちゃんもスゴイワネ……」



「そう言えば、ピノさんって魔法はどうなんですか?」
「私? 私は使けど、【身体強化】ばっかり使ってたかな。ほら、誰よりも速く動いて誰よりも強く殴れば、大体勝てるじゃない?」
「ああそっか、それで『バーサクフェアリー』って――」
「うっく、お願いカルア君、その呼び名の事は忘れて……」
「え? でもピノさん、学校でみんな知ってたみたいですけど」
「何故? 何故今もまだ……はっ! ファンクラブ! そうか、それが私の――敵っ!!」
「ちょピノさん! カレヱがめ、いやえちゃいますよー!」



「それで何だかよく分からないうちにパーティを組む事になって……。嫌な訳じゃないんだけど……むしろ嬉しかったし。でもみんな怪我とかしたら大変だから、どうしたらいいかなって。それで冒険者クラスの先生とかに相談しようって言って……」
「ふふふ。何だ、ちゃんとパーティリーダーしてるじゃない。そうね、『如何いかにリスクを抑えて最大の効果を得るか。その為にはどう動くべきか』、これをちゃんと考えられる事が良いリーダーになる為のの条件よ。だから、カルア君はしっかりしたリーダーになれそうね」
「……そうでしょうか」
「これでも冒険者クラスを卒業して冒険者ギルドの受付嬢をやってるんだから。ふふ、私の言葉を信じなさい。ね?」
「――はいっ!!」



「……他にもまだ何か残ってたりしないでしょうね? 『ファンクラブ』とか『昼食フォーメーション』とか今でも残ってるなんて……大体『バーサクフェアリー』なんて恥ずかしい呼び名が生徒の間で今でも知られてるなんて、想定外すぎよ。ううぅーーーー」
「――あの、ピノさん?」
「それに何、アーシュって? 何でその子いきなりそんな積極的なの? もしかしてこれなの? これがロベリーが前に言ってた『誰かに突然掻っ攫われる』って事? だとしたら……。ど、どうしよう……」
「――あのーー、ピノさん? ……ピノさーーーん!」
「私っ、どうしようーーー」



▽▽▽▽▽▽
このお話が面白いと感じてくれた方、「いいね」をお願いします。
続きが気になる方、「お気に入り」登録はいかがですか。
作者に一言ツッコみたい方やモノ申したい方、「感想コメント」お気軽にどうぞ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

一流冒険者トウマの道草旅譚

黒蓬
ファンタジー
主人公のトウマは世界の各地を旅しながら、旅先で依頼をこなす冒険者。 しかし、彼には旅先で気になるものを見つけると寄らずにはいられない道草癖があった。 そんな寄り道優先の自由気ままなトウマの旅は、今日も新たな出会いと波乱を連れてくる。

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――

銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」 世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。 魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。 彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。 一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。 構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。 彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。 「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」 暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。 管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。 これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。 ※アルファポリスで先行で公開されます。

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

中年オジが異世界で第二の人生をクラフトしてみた

Mr.Six
ファンタジー
 仕事に疲れ、酒に溺れた主人公……。フラフラとした足取りで橋を進むと足を滑らしてしまい、川にそのままドボン。気が付くとそこは、ゲームのように広大な大地が広がる世界だった。  訳も分からなかったが、視界に現れたゲームのようなステータス画面、そして、クエストと書かれた文章……。 「夢かもしれないし、有給消化だとおもって、この世界を楽しむか!」  そう開き直り、この世界を探求することに――

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

不死王はスローライフを希望します

小狐丸
ファンタジー
 気がついたら、暗い森の中に居た男。  深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。  そこで俺は気がつく。 「俺って透けてないか?」  そう、男はゴーストになっていた。  最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。  その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。  設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。

処理中です...