スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第46話 最後まで油断ならない初日でした #2

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魔法の実技も終わり、今日の授業は全て終了。帰りのホームルームも無事に乗り切ったし、さて帰ろうかな。
お、誰かこっちに……ノルトと、えっと筋肉の――そう、ネッガーだ。
「やあ、初日はどうだった? やっぱり緊張とかした?」
「んー……何て言うか、緊張は朝のホームルームで吹き飛んだよ。衝撃的すぎて」
「あはは、そうだよね。レミア先生、凄いから」
「……だよねえ」

「ところでさ、カルア君ってどこに住んでるの? 僕達は学生寮だけど、誰かが新しく入ったって話は聞かないから寮じゃないんだよね?」
「うん、近くのアパートを借りてる。寮にしようかアパートにしようか悩んだんだけど、こっちでも冒険者の仕事をやりたいからアパートにしたんだ」

寮には色々制限があるって聞いたから。

「ああ、寮だと門限とか外出許可とかあるからか。でもアパートに住めるって、実はカルアくんの家って結構裕福?」
「そんな事ないよ。ヒトツメでも独り暮らしだったし、普通に冒険者の仕事で生活してる感じだよ」

「それって、この年齢としでもう完全に自立してるって事? それもまた凄いね」
「カルア、冒険者だったら魔物とかも狩ってるんだろう? 今度、狩りの話とか聞かせてくれないか?」
「ああ、いいよネッガー。といってもそんな冒険みたいな話は無いんだけどね」
「構わない。冒険者の生の声ってのを聞いてみたいんだ」

とそこへ身支度を終えたアーシュも会話に加わってきた。
「何? さっきからずいぶん楽しそうな話をしてるじゃない。冒険者の話だったらあたしも聞かせて欲しいんだけど。――もちろんライバルとしてね」
「ライバルとして――ってもしかしてアーシュも冒険者登録するの?」
「べべべ、別にそんなつもりはないけど……で、でも折角あんたが誘ってくれたんだから、ちょっとは考えてみようかしら」

あれ? 今のって僕がアーシュを誘った事になるの?
……えっと、ノルト? ネッガー?
二人に視線を送ると、どちらも肩を竦めたり首を捻ったり。
だよねえ……?

でも――
「そうか冒険者登録か。それもいいかもな」
「お、ネッガーもそう思った? だったら僕も登録してみようかな」
何故かそのまま乗り気な流れに。

「みんな武器は使えるの? 冒険者をやるんだったら武器の扱いも必要になるけど」
「使えるぞ。1年目の魔法の授業は座学だけで実技は剣術だったからな。全員それなりに使えるはずだ」
「へえ、そうなんだ。じゃあ大丈夫かな。結構凶暴な魔物とかもいるから、みんなくれぐれも気を付けてね。あと最初に回復魔法を使えるようになっておいたほうがいいよ。冒険者ギルドでも言われると思うけど」

あれ? 何だかみんなキョトンとしてる。

「えっと、カルア君ってもしかしてもう誰かとパーティを組んでるの?」
「パーティ? いや、僕は昔からずっとソロだったよ?」
「そうなんだ。ああゴメン、何となく話の流れでみんなでパーティを組むような気になってたからさ。みんなもそうだったよね?」

うなずくネッガーとアーシュ。

「だからカルア君も同じパーティでって思ってたんだけど……もしかして嫌だった?」

パーティ!?

「パパパ、パーティって僕が!? いやだって『何とかギリギリ人並み冒険者』としてヒトツメギルドで名を馳せたこの僕だよ!? ロンリー冒険者カルア・ソロだよ!? カルア・ザ・ソロリアンだよ!? そろそろソロそろそうろうだよ!?」
「いや、ちょっと途中から何を言ってるのか分からなかったけど。でもこの年齢としで『人並みの冒険者』っていうのは凄い事だよね? 僕達全員初心者だからさ、経験者がパーティに入ってくれると凄く安心なんだけど、駄目かな?」

……ちょっと待って。
ここは勢いで返事しちゃ駄目だ。まずは落ち着いて考えよう。
パーティ、僕がパーティに……、いけないいけない、ニヤけてる場合じゃない。
僕はパーティの経験がないから、役割とか分担とか全く分からない。
だから僕も素人同然だ。しかもみんなの能力だってまだ知らない。うーん……

「多分だけど、今のまま冒険者登録しても冒険者として活動するのは難しいと思う。僕もパーティの経験が無いからどうしたらいいか分からないし。だからまず、冒険者クラスの先生とかに相談してからがいいんじゃないかな。それで連携とか練習しつつ、冒険者に絶対必要な回復魔法を覚える。そうすると冒険者の活動は夏頃からになるのかな? ああ、あと必ず親の許可を取ること。登録の時にギルドで確認されるからね。そんな感じでどう?」

「「「おおー、経験者っぽい意見!」」」

「ふふん、じゃあそれで行きましょう。カルア、パーティリーダーはあんたがやんなさいよ、経験者なんだから。あたしは陰からみんなを引っ張る『陰のリーダー』役をやるわ」

「陰のリーダー……?」
何その心に響くフレーズ!

「お祖母様に教えてもらったのよ、それが一番おいしいポジションだって。普段は陰からみんなを支えて、困難を前にした時にはリーダーを導くの。それって物語だと賢者とか大魔法使いの定番の役割よね! 私にピッタリだと思わない!?」

な、何て美味し過ぎる役回り……
ベルベルさん、孫娘に何て事を吹き込むんだ!

「さあ、そうと決まれば早速今から――」
「いや、今日はまだ部屋の片付けとか買い物をしなきゃだから無理。明日からでいい?」
「そう? まあカルアがそう言うのなら。あ、何だったら買い物とか付き合ってあげようか? あたしも丁度買いたい物があっ、た……し……? あーーーっ、しまった! 今日お母様と約束があるんだった! ゴメン、急いで家に帰らないといけないから、また明日ねーーっ!!」

嵐のように去っていった……

「……じゃあそろそろ僕達も寮に戻ろうか。カルア君、また明日ね」
「ああ、じゃあなカルア」
「うん、二人ともまた明日」

最後の最後にこんなイベントが残ってたとは……
学校、恐るべし……

――さて、僕も帰ろっと。
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