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第44話 ただ試験を頑張っただけなんです #2
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さあ、今日はいよいよ編入試験の日だ。
――何だろう、今からもう緊張してきたよ。
今日やる試験は『実技』と『学科』のふたつ。
魔法クラスだから『実技』はもちろん魔法。試験の内容は、自分が使える魔法を見せるだけなんだって。元校長先生が言うんだから間違いないよね。
『学科』はみんなに教えてもらったからきっと大丈夫。基礎となる読み書きや計算のやり方なんかは昔父さんや母さんから教えてもらったのと同じだった。ベルベルさんも問題なしって言ってくれたからきっと大丈夫。
そのベルベルさんからは地理とか歴史を、オートカさんからは魔法や魔力に関する基礎知識、ギルマスからは各地の魔物やダンジョンとかについて教えてもらった。
モリスさんから教えてもらったのは魔道具作成について。魔力を動力に変換する方法とか。モリスさんは馬の代わりに魔力で動く乗り物を作りたいんだって。流石インフラの人だね。ああ、あとはアルゴリズムを少し。『条件分岐こそ至高!』みたいな?
ミレアさんは『私はオートカ先輩のアシスタントをやるから』だって。まあこれだけ教えてくれる人がいるんだから教える分野が足りなくなるよね。ミレアさんの場合はもっと大事な理由があるからだろうけど。
そして『学科』の勉強の最終日――
「――これだけ詰め込めばまあ十分だろうね。これならいつでも卒業出来るだろうさ」
あれ、聞き間違いかな? 今『編入』じゃなくて『卒業』って言った?
聞き間違いじゃなければ……、まさか前にピノさんが言ってた「オーバーキル」ってやつ!?
一方『実技』はと言えば……
学校の内容と直接関係ないけどロベリーさんから付与について教えてもらった。もちろんロベリー式のだけど、基礎知識や細かい便利技とかを。
そしてピノさん。
一緒に料理をやりながら色々な調理方法や技術を教えてくれた。それに野営の時の時短調理とかも。最近は待ってるだけじゃなくって、少しお手伝いしたり一緒に料理出来るようになってきたのがすっごく嬉しい――
魔法については座学だけで『実技』は最後まで誰も何も教えてくれなかったんだ。
『やらかし不可避』とか『リカバリー時間が』とか『責任問題』とか言ってね。
みんなちょっと酷くないかな……?
ここは『ゴブま』の中級編みたいな感じで教えてくれませんか、ミレアさん?
あ、目を逸らさないで……お願いします……ダメ?……そうですか……
以上!
――という事で今日の試験を迎えた訳なんだ。
「ベルベルさん、おはようございます」
「ああ、来たねカルア。それじゃあこのまま学校に向かおうか」
「はい、お願いします」
学校に到着すると、聞いていた通り今日は休みの日で生徒は誰もいない。
僕達は直立不動で目だけが泳いでいる門衛の人の前を通って受付へ。挙動不審なのはベルベルさんと一緒だからかな?
受付でベルベルさんが学校の人に声を掛けると――うわっ、学校の人のほうがすっごく緊張した顔で頭を下げてる。挙動不審の原因はやっぱりベルベルさんかぁ。
「じゃあカルア、あんたはこの試験官の案内に従って試験を受けるんだよ。あたしはラーバルの奴と話があるから一緒なのはここまでだ。終わる頃にまた来るからね。しっかりやり過ぎるんじゃないよ」
「はい、分かりました」
って答えたけど、えっと――
『しっかりやり過ぎるんじゃないよ』ってどういう意味?
しっかりやるほうがいいの? やらないほうがいいの?
「君はこちらだ。ついて来たまえ」
その試験官の人について行くと、到着した場所は以前見学した講堂のひとつだった。他には誰もいないみたい。って事は……
今からここで僕一人試験を受けるのか。まるで貸し切りみたい。
という事で学科試験だけど……ひとつひとつの問題は超簡単、だけど問題の数が多かった。これもしかして1年分の内容全部が出題範囲なのかな?
――とは言ってもやっぱり問題は簡単だったから、見直しを含めても30分も経たないうちに全部解き終わっちゃった。
えっと……時間が来るまで待たなきゃダメなのかな?
「あの、すみません」
「はい、どうしましたか? 何かトラブルが?」
「いえ、全て終わったんですけど、時間まで待たなきゃダメですか?」
「ええっ……まだ随分時間が残っているけれど、本当に終了して大丈夫かな?」
「はい。全部出来ましたので」
「そうですか……。分かりました、では少々早いが実技試験に移りましょう」
そして移動した先は――
ここって確か技術実習室だったよね。魔法とか剣術の訓練をする場所。
「これからここで魔法の実技試験を行います。ここでは魔法の熟練度を見せてもらうのだが、君の適性は土魔法と時空間魔法だったね。それ以外は?」
「適性チェックしたんですけど、よく分からない結果になって。その後は調べていないんですけど、風とか水は使えるんじゃないかって言われました」
「分かりました。では最初にあの的に向かって何か魔法を撃ってみて下さい」
そう言って指差した先には……鎧を着た案山子が数体並んでる。ギルドで魔剣の試し斬りをしたアレと似た感じ。久し振り、元気?
――ってちょっと待って! 今僕が使える魔法で攻撃って……? あれ? 【空間ずらし】は使用禁止だよね。魔物じゃないから【スティール】は効かないし――ってそもそも【スティール】だって使用禁止だよ。あとは……魔剣? いや魔法の試験に魔剣ってダメに決まってるよ。あと他に出来そうな事って……? 不味い、これじゃあ試験に落ちちゃうよ! えっと、何か何か何か……鎧を壊す……魔法――あっそうだよ、鎧を壊せばいいんだよ! それならアレでいけるかも!
「もし無理そうなら何か別の――」
「大丈夫! 今からやります!」
危ない危ない、中止されるところだった。
よし、じゃあ空間把握からあの鎧を指定して……うん、思った通り大丈夫そうだ。
じゃあ――
「【融解】」
鎧はドロドロに溶け、ずるずるぼとぼとと案山子の足元に落ちていった。
よし、狙い通り! どうですか試験管さん!?
って試験官の人を見ると――あれ? いつかどこかで見た事ある表情を……?
そう、あれはギルマスとかモリスさんとかが――
「――あの、どうでしょう、か?」
「……あ、っと、そ、そうだった、すまないね。ちょっと驚いたというか……ええーと……それで今のはどのような攻撃魔法かな?」
「あっいえ、攻撃魔法っていう訳じゃなくって、時空間魔法で鎧を指定してから錬成魔法で【融解】したんです」
「なっ!? 遠隔……錬成……だって?」
「あの、もしかして……『錬成』じゃダメ、でしたか?」
「いや大丈夫だ……多分。――それでこの魔法は複数の相手への同時攻撃などは?」
「ああ、それなら出来ると思います。ちょっとやってみますね」
並んでいる鎧は全部範囲内だから問題なし。それら全てを指定したら――
「【融解】」
――うん、成功。
どうですか、試験官さん――って、あれ? 校舎の中に走って行っちゃった。
「ちょちょちょ、ちょっとそのまま待つように! すぐに戻るからぁぁぁ…………」
――何だろう、今からもう緊張してきたよ。
今日やる試験は『実技』と『学科』のふたつ。
魔法クラスだから『実技』はもちろん魔法。試験の内容は、自分が使える魔法を見せるだけなんだって。元校長先生が言うんだから間違いないよね。
『学科』はみんなに教えてもらったからきっと大丈夫。基礎となる読み書きや計算のやり方なんかは昔父さんや母さんから教えてもらったのと同じだった。ベルベルさんも問題なしって言ってくれたからきっと大丈夫。
そのベルベルさんからは地理とか歴史を、オートカさんからは魔法や魔力に関する基礎知識、ギルマスからは各地の魔物やダンジョンとかについて教えてもらった。
モリスさんから教えてもらったのは魔道具作成について。魔力を動力に変換する方法とか。モリスさんは馬の代わりに魔力で動く乗り物を作りたいんだって。流石インフラの人だね。ああ、あとはアルゴリズムを少し。『条件分岐こそ至高!』みたいな?
ミレアさんは『私はオートカ先輩のアシスタントをやるから』だって。まあこれだけ教えてくれる人がいるんだから教える分野が足りなくなるよね。ミレアさんの場合はもっと大事な理由があるからだろうけど。
そして『学科』の勉強の最終日――
「――これだけ詰め込めばまあ十分だろうね。これならいつでも卒業出来るだろうさ」
あれ、聞き間違いかな? 今『編入』じゃなくて『卒業』って言った?
聞き間違いじゃなければ……、まさか前にピノさんが言ってた「オーバーキル」ってやつ!?
一方『実技』はと言えば……
学校の内容と直接関係ないけどロベリーさんから付与について教えてもらった。もちろんロベリー式のだけど、基礎知識や細かい便利技とかを。
そしてピノさん。
一緒に料理をやりながら色々な調理方法や技術を教えてくれた。それに野営の時の時短調理とかも。最近は待ってるだけじゃなくって、少しお手伝いしたり一緒に料理出来るようになってきたのがすっごく嬉しい――
魔法については座学だけで『実技』は最後まで誰も何も教えてくれなかったんだ。
『やらかし不可避』とか『リカバリー時間が』とか『責任問題』とか言ってね。
みんなちょっと酷くないかな……?
ここは『ゴブま』の中級編みたいな感じで教えてくれませんか、ミレアさん?
あ、目を逸らさないで……お願いします……ダメ?……そうですか……
以上!
――という事で今日の試験を迎えた訳なんだ。
「ベルベルさん、おはようございます」
「ああ、来たねカルア。それじゃあこのまま学校に向かおうか」
「はい、お願いします」
学校に到着すると、聞いていた通り今日は休みの日で生徒は誰もいない。
僕達は直立不動で目だけが泳いでいる門衛の人の前を通って受付へ。挙動不審なのはベルベルさんと一緒だからかな?
受付でベルベルさんが学校の人に声を掛けると――うわっ、学校の人のほうがすっごく緊張した顔で頭を下げてる。挙動不審の原因はやっぱりベルベルさんかぁ。
「じゃあカルア、あんたはこの試験官の案内に従って試験を受けるんだよ。あたしはラーバルの奴と話があるから一緒なのはここまでだ。終わる頃にまた来るからね。しっかりやり過ぎるんじゃないよ」
「はい、分かりました」
って答えたけど、えっと――
『しっかりやり過ぎるんじゃないよ』ってどういう意味?
しっかりやるほうがいいの? やらないほうがいいの?
「君はこちらだ。ついて来たまえ」
その試験官の人について行くと、到着した場所は以前見学した講堂のひとつだった。他には誰もいないみたい。って事は……
今からここで僕一人試験を受けるのか。まるで貸し切りみたい。
という事で学科試験だけど……ひとつひとつの問題は超簡単、だけど問題の数が多かった。これもしかして1年分の内容全部が出題範囲なのかな?
――とは言ってもやっぱり問題は簡単だったから、見直しを含めても30分も経たないうちに全部解き終わっちゃった。
えっと……時間が来るまで待たなきゃダメなのかな?
「あの、すみません」
「はい、どうしましたか? 何かトラブルが?」
「いえ、全て終わったんですけど、時間まで待たなきゃダメですか?」
「ええっ……まだ随分時間が残っているけれど、本当に終了して大丈夫かな?」
「はい。全部出来ましたので」
「そうですか……。分かりました、では少々早いが実技試験に移りましょう」
そして移動した先は――
ここって確か技術実習室だったよね。魔法とか剣術の訓練をする場所。
「これからここで魔法の実技試験を行います。ここでは魔法の熟練度を見せてもらうのだが、君の適性は土魔法と時空間魔法だったね。それ以外は?」
「適性チェックしたんですけど、よく分からない結果になって。その後は調べていないんですけど、風とか水は使えるんじゃないかって言われました」
「分かりました。では最初にあの的に向かって何か魔法を撃ってみて下さい」
そう言って指差した先には……鎧を着た案山子が数体並んでる。ギルドで魔剣の試し斬りをしたアレと似た感じ。久し振り、元気?
――ってちょっと待って! 今僕が使える魔法で攻撃って……? あれ? 【空間ずらし】は使用禁止だよね。魔物じゃないから【スティール】は効かないし――ってそもそも【スティール】だって使用禁止だよ。あとは……魔剣? いや魔法の試験に魔剣ってダメに決まってるよ。あと他に出来そうな事って……? 不味い、これじゃあ試験に落ちちゃうよ! えっと、何か何か何か……鎧を壊す……魔法――あっそうだよ、鎧を壊せばいいんだよ! それならアレでいけるかも!
「もし無理そうなら何か別の――」
「大丈夫! 今からやります!」
危ない危ない、中止されるところだった。
よし、じゃあ空間把握からあの鎧を指定して……うん、思った通り大丈夫そうだ。
じゃあ――
「【融解】」
鎧はドロドロに溶け、ずるずるぼとぼとと案山子の足元に落ちていった。
よし、狙い通り! どうですか試験管さん!?
って試験官の人を見ると――あれ? いつかどこかで見た事ある表情を……?
そう、あれはギルマスとかモリスさんとかが――
「――あの、どうでしょう、か?」
「……あ、っと、そ、そうだった、すまないね。ちょっと驚いたというか……ええーと……それで今のはどのような攻撃魔法かな?」
「あっいえ、攻撃魔法っていう訳じゃなくって、時空間魔法で鎧を指定してから錬成魔法で【融解】したんです」
「なっ!? 遠隔……錬成……だって?」
「あの、もしかして……『錬成』じゃダメ、でしたか?」
「いや大丈夫だ……多分。――それでこの魔法は複数の相手への同時攻撃などは?」
「ああ、それなら出来ると思います。ちょっとやってみますね」
並んでいる鎧は全部範囲内だから問題なし。それら全てを指定したら――
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