スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第38話 似た者同士って事じゃないですか #2

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「ミレア、魔力の隠蔽ってまだ実用化されていないのかい?」
ベルベルさんとミレアさんは、何とか解決策を見つけようと話し合いを続けてくれている。

「はい。研究は続いてますけど、まだ取っ掛かりすら見つかっていません」
「駄目か。じゃあ魔力の吸収や放出は?」
「吸収は多分カルアくんの魔石を使えば出来ると思いますけど、この魔力量だと……」
「あっという間に頭打ちか。放出の方はどうだい?」
「出来なくはないと思いますけど――その放出も一緒に感知されちゃいますよ?」
「チッ、それじゃあ何の解決にもならないね。もっと他には何かないのかい!?」
「後は――何か魔法を発動し続けて常に魔力を空っぽにしておくとか」
「それじゃあ逆に最大量がどんどん増えていっちまうだろう!?」

何だか難しい話をしてるけど――
「あのぉーー……」
「何だいカルア? 今あんたの事で頭を悩ませてるところだ。大した用じゃなけりゃ後にしな」
「いやその――魔力の循環、めましょうか?」
「「――それだあっ!!」」

て事で循環を止めて、っと。
「これで止まりましたけど、どうですか?」
「……さっきまでの視え方に戻ったね」
「てゆーか、ししょー。こんな簡単な事に何故気付かないんですか!!」
「あん!? そりゃあんたもだろう!? サラッと自分の事棚に上げてんじゃないよ!! ったく何処でそんなに性格ひん曲がっちまったんだいこの娘は!」
「私は素直ですぅ、ししょーの影響ですぅ」

はぁ、またコントが始まっちゃったよ。
それにしても何かこの二人って、全然違うタイプに見えて実は似た者同士じゃない?
――って言うか、この口論からケンカ別れになったりとかしないよね!? そんな事になったらすっごく気まずいんだけど……

「――さてと、それじゃあそろそろ次の訓練に進むかね」
「ふふー、さぁさぁやりましょー、ししょー」
えっ、口論は? 終わり? いきなり何事も無かったみたいに元通り!?
えーっと……

まさかホントにコントだったなんて事――は流石に無いよね? でも……
――どうしよう、このノリについていける自信がないんだけど?
――どうしよう、もう弟子入りしちゃったんだけど?

そんな僕の戸惑いをよそに話はどんどん進んでいく。
「いいかいカルア、あんた普段は今まで通り魔力は循環させずにいな。それで魔法を使う時だけ瞬間的に循環させるんだ。それなら何とか誤魔化せるだろうさ。って事だから、最初に必要なのは素早く循環と停止を切り替える訓練だ。これだって魔力操作のいい訓練になるから、逆にちょうど良かったと考えるかね。さあ始めるよ、10秒おきに循環と停止を繰り返すんだ!!」
「はいっ」



それから色々教えてもらって魔力操作の訓練は終了した。
ホントの『魔力集中』もちゃんと使えるようになったし、循環と停止だってパパっと出来るようになった。あと【身体強化スーパーモード】も。
そして『ゴブま』には魔力操作の項目が追加されたんだけど……

◇◇◇◇◇◇
【魔力を動かす】
魔力操作はすべての基本。動かせないなんてもうホントだめだめですよ。
体の中をぐるぐる回して必要な所にはギュって集中。魔力循環きっちり回せ。
1.体の中を回っている魔力を感じ取りましょう。自分の中に集中して。
2.右手の魔力の流れをせき止めてみて。溜まったら今度は流す。繰り返して。

◆ポイント
・右手が疼く? じゃあ次は左眼を試してみて。あなたが10代なら何かに目覚めるかも。
・魔力循環の速さを変えるのもいい練習。目指せスーパーモード!?
・体に魔力が回ってない? ああ、そんな人もいたなあ――ひとりだけ。
◇◇◇◇◇◇

ところどころに特定の誰かへの悪意を感じるのは――僕の気のせいかな?



翌日。
今日は歴史とか計算とかの一般教養を勉強する日だって。そういう勉強も嫌いじゃないけど、やっぱり魔法とかの方が楽しいよね。
まあ試験に出るんじゃ、やらないって訳にはいかないんだけどさ。

――なんて思ってたせいかな、途中でミレアさんが乱入してきた。
「ししょー、カルアくんの魔石についてオートカ先輩にお訊きしたい事があるんですけど、呼んで貰っていいですかー」
「うちの通信具は今故障中だよ。直接行って呼んできな」
「ちぇー、分かりましたよー。早く直しといて下さいね」

そう言って部屋を飛び出していくミレアさん。
今日も飛ばしてるなあ。

「あれ? モリスさんみたいに手紙を【転移】させたりってしないんですか?」
「ああ、【転送】かい? 出来なくはないけど、あたしもミレアも時空間魔法の適性はそんなに高くないからね。オートカの所までだとちょっと遠過ぎるのさ」
「そうなんですか……? ちょっと意外です」

だってあれって簡単そうだし。ベルベルさんなら出来そうなのに……

「あんた、何か勘違いしてるようだけど、時空間魔法の適性って相当レアなんだよ? ちょっと適性があるだけでも凄い事なんだからね」
「え? でもモリスさんとかスラシュさんとか……それにジェニさん達とかも」

――って言ったら、ベルベルさんは頭痛を我慢してるみたいな表情に。

「やっぱり勘違いしてたかい……。あいつらは国中から集められた時空間魔法のエリート集団なんだから基準になんてならないよ。それなのに魔法を覚えたてであんな連中とばっかりつるんでるんだ、そりゃあ勘違いもするだろうさ。それにあんた自身もまあ――こんなんだからねぇ」

『こんなん』……って。

「まあうちにもバカみたいに時空間適性が高いむすめが一人いるんだけどね。あのがいれば頼めるんだけど、……ったく何処をほっつき回っているんだか」
「へぇ、その人ってベルベルさんの娘さんですか? 一度時空間魔法の話を聞いてみたいです。これまで会った事無いけど、いつも何処かに出かけてるんですか?」

ベルベルさんは楽しげで寂しげで、何処と無く懐かしげな表情を浮かべる。
「ああ、あたしの下の娘さ。あのもあんたと同じでカバチョッチョが大好きでね、『ちょっとカバチョッチョの足跡そくせきを辿ってくるね。聖地巡礼ってやつ?』なんて言って何年か前に飛び出して行っちまったんだよ。たまに一瞬だけ戻ってきちゃあまたすぐにどっかに跳んでっちまうんだ。さて前回帰って来たのはいつ頃だったかねえ」

聖・地・巡・礼!
なんて羨ましい!!
それにしても『ちょっと』出掛けるのが年単位って――スケールが凄いな。

「それは是非聖地巡礼の話を聞いてみたいです! 今度戻ってきたらそう伝えてもらっていいですか?」
「まあ、そう言うだろうとは思ったよ。あんただしね」
「あ、あははは……ええっと……あ、他のご家族はどうしてるんですか?」
取り敢えず話を逸らして――

「ああ、上の娘はもう結婚してるよ。そうそう、その娘の子供が魔法クラスに通ってるんだ。あんたが編入する学年だから仲良くしてやっとくれ。あたしの孫娘だけあって、あたしに似て美人で性格もいい娘だけど……、手を出すんじゃないよ?」

「出しませんよ! ……………………ピノさんがいるし」ぽそっ
「あん!? 何だって?」
「なっ、何でもありませんから! それよりも勉強の続き、お願いします」
「ああ、そうだね。もう時間も少ないからね、詰め込むよ!」
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