スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第32話 ロベリーさんは甘い苺の香でした #2

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「そろそろいいかな、ロベリー君?」

10分くらい経ったかな……ロベリーさんも落ち着いたみたいだ。
「ええ室長。すみません、ちょっと感極まってしまって……」
「うんうん、構わないよ。いやぁ実によかった。これで君も吹っ切れたんじゃあないかな、ロベリー君。それで今後は付与をやってくれるって事でいいんだよね? さっきの話からして、もちろんそうだろうとは思ってるけどまあ念の為ね。という事で、ちょっとこのカルア君の付与を【解析】してみてくれるかい?」
「ふふふ、全くそういうとこやっぱり室長ですよ。分かりました。ちょっと視てみますね」

え? 【解析】って――もしかして付与した内容って見ること出来るの?

「ああそうか、カルア君はまだ付与の【解析】を知らないんだね? 付与術師っていうのはね、付与された属性なんかを【解析】する事も出来るんだよ。そしてその付与を【転写】する事もね。だから付与術師は自分に適性が無い属性でも、サンプルさえあれば【転写】によって付与することが出来るんだ。このサンプルに使用するのがつまり、『リファレンス』なんだよ」

「そうなんですか……。あれ、でもモリスさんだったら【解析】出来るんじゃ?」
「うん、もちろん僕も【解析】は出来るよ。なんだけどさ、ほら、さっきも言った通り君やロベリー君の付与って既存の付与とはまったく別の技術なんだ。この前君にもらったアレを【解析】しようとやってみたんだけど――どうやっても出来なかったんだよね」



と、そんな話をしているモリスさんロベリーさんから声を掛かった。
「あれ? 室長、何だか分からない魔法が……えっ、これ魔法? 何かちょっと違和感が……。ええと、この部分は室長の【空間ずらし】で、それを壁にして……あれ? その両面に貼り付けてあるこれ、魔法っていうより、何か別の――嘘っ! もしかしてこれスキル!?」

「そうなんだロベリー君。そこに付与されているのは間違いなくスキルさ。まあその話はまた後でね。でも安心したよ。やっぱり君だったら【解析】出来るんだね。じゃあ次、これをそのままこっちの魔石に【転写】してくれるかい?」

ロベリーさんは魔石を受け取ると、両手にそれぞれを持って額の前に近づけ、囁くように――
「魔石さん、驚かないで聞いてね。こちら、あなたの双子のお兄さんなの。知らなかったと思うけど、あなたって実は双子でね、このお兄さんとは小さい頃に生き別れになってしまっていたの。ええ、混乱するのは仕方ないわ。でもほら、よく見て。お兄さんってあなたとそっくり――ううん、瓜ふたつでしょ? ほら、お兄さんの属性とか魔法とか――ね、あなたと全く同じよ。大丈夫、怖がらないで。素直になって……ありのままを受け入れて。ね?」

やっぱりロベリーさんの付与って……
いや、もういいや。
僕も受け入れよう――ありのままを。



「はい【転写】出来ました」
「おおー【転写】も無事成功したね。これでロベリー君やカルア君の付与をベースにした魔道具の開発にも光明が見えたってものだよ。あとは使い手を増やしていってくれれば量産化も可能だね。うん、ロベリー君、ついに『ロベリー流付与術』が世界に知れ渡る日がやってきたよ。そして君は先程君自身が言ってたように『付与の聖女』として――」
「あの室長!」
「ん? 何だい?」

「――やっぱり『付与の聖女』はやめて下さい」

顔を真っ赤にして俯くロベリーさん。
うん、僕も思ってたんだ。
――それってなんだか例の病気みたいだなって。



そんな感じで色々あったけど、ピノさんが合流したからお手伝いはここで終了。
僕とピノさんはモリスさん達と別れ、ギルド本部を後にした。
「ふふっ、じゃあここからまたデートの続きね。一緒にお店とか見て回りましょうか」
「はいっ」



「ここは服屋さんね。……あれ? この服ってカルア君が着てるのとちょっと似てるかも」
「あ、ホントだ」
「他にも似てるデザインのが結構あるみたい。もう何年も前に用意した服なのに最近の服のデザインと似てるなんて、ちょっと不思議ね。『流行は繰り返す』って事かしら」
「あはは、そうかもしれませんね」

そんな事を話しながら店内を見て回ったけど――
「どう? カルア君は何か欲しいものあった?」
「うーん、着るものって言うとどうしても冒険の服とか装備を最初に考えちゃいますね」
「カルア君も冒険者だものね。じゃあ後で武器とか防具とかも見てみましょうか」
「やった!」



「あ、ここアクセサリー屋さんだ。へえー、この宝石にも何か付与とか出来るのかな?」
「ふふっ、さっきまで付与をやってたから、どうしてもそっちを考えちゃうよね」
「あはは、ホントですね。あ、これ可愛いかも」
「本当、素敵……」

青く透き通った小さな石が付いたネックレス。
シンプルなデザインだから日常使いにもいい感じ。

「あの、ピノさん。もしよかったら、今日の記念にプレゼントしていいですか?」
「嬉しい、ありがとうカルア君。でもちょっとお値段がね……そうだ、私カルア君が錬成してくれたアクセサリーがいいな。材料とか用意すれば作れるんじゃない?」

「えと……ああそうか、出来るかも! でも宝石とかはどうしよう……」
「カルア君の魔石は? あれって宝石に負けないくらい綺麗よ?」
「そっか。魔石だったら……、うん、じゃあ金属だけどこかで買って……。あの、デザインの参考にしたいから、もう少しこの店を見ていっていいですか? ピノさんが好きなデザインのとかあったら教えて下さい」
「ありがとうカルア君。ふふっ、すっごく楽しみ」
そして僕とピノさんは店内を隈無く見て回った。
店を出るまで、店員さん達の微笑ましげな視線には一切気付く事なく。
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