スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第31話 結界の魔道具を試作してみました #3

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今僕の前には、さっき森で採ってきたいくつかの魔石が置いてある。
失敗も研究の材料になる……か。だったら恐れも遠慮も無く――
ってよく考えてみたら失敗したって追加の魔石も簡単に手に入れられるじゃん!
さあ、それじゃあやってみよー。

ええっと、オートカさんの【障壁】っていうと……
そうそう、外からの攻撃は防いで中からはやりたい放題の極悪仕様。
じゃあ視界はどうかって言うと、外の様子は普通に見えてるし魔物もこっちを見てたから外から中の様子を見えてたはず。
じゃあ攻撃を防ぐのはどうやってる? 空気? 風? それとも他の見えない何か?
あれって確か光魔法だったよね……それなら光? でも光ってる感じはしなかったし……
あ、でも今回のは時空間魔法でやるんだから……
今まで見た時空間魔法でそれに近いような何かあったっけ……?

あ、あれならどうかな、モリスさんの「空間ずらし」。
空間を切ったって事は、切れた空間同士は繋がってないって事。空間が繋がってなければ攻撃は通らないんじゃない?
これっていけるかも。

あれ? でも完全に遮断しちゃったら中から外へも攻撃出来なくなる……?
だったら外への攻撃には【俯瞰】の把握を組み合わせたらできるかな? でも繋がっていない空間を把握出来る? ああ、こんがらがってきた……
そんな時は実践あるのみ! ここまでを魔法として発動出来るかやってみよう。

イメージ……僕の右側だけ……【界壁】を……展開っ!

出来た……見た目はオートカさんの【障壁】と似た感じかも。
外から中へは――うん、ちゃんと弾いてる。固くも柔らかくもない何か不思議な感触の壁みたい。
中から外へは――あ、こっちは駄目だ。同じように弾かれるから攻撃は通らなそう。
まあそれはそうか。そういきなり成功する訳なんてないよね。
よし、それじゃあ色々と試してみよう……



――これ難しい。何度やっても全然上手く出来ないや。
中から外、中から外、界壁を通り抜ける……
通り抜ける……通り抜ける? どこを? 壁を……壁を通り抜ける……と言えば……出入り口……出入り口と言えば……扉? 門? ……ゲート!?

一方通行のゲート!!
よし、このイメージで!!
「【界壁】!」

よしよし、外から中はちゃんと弾いてるね。
中から外は……おおっ通れるよ!!
壁の役割はこれで大丈夫そうかな。だったら次は【遠見】の遮断を……
あ、その前に今のこの状態だとどうなってるかな?
中から外は……狭く遠い把握で……うん、普通に把握できた。
次は逆方向、外から中は……あ、壁から先が見えない。ってこれ遮断してる? だったら音は……うん、音も聞こえない。
あれ? もしかしてこれ……もう出来ちゃった、って事!?



出来てる? 出来てない? どっちだろう……?
あ、そんな時はモリスさん! 魔石に付与したのを見て貰えば……
それがいい、そうしよう。

じゃあ早速付与を――でもあの姿を見られるのはやっぱりちょっとね。
だから気付かれないようにこっそりと……

魔石を両手で持って、出来るだけ顔に近付けて――額のあたりがいいかな?
そしたら声も出来るだけ小さく。
「魔石くん、君は防御と攻撃の天才だ。外からの攻撃は空間の壁で防ぐし、中からの攻撃は【ゲート】で外へとすり抜ける。君って凄いんだ。大丈夫、やれるやれる! 君なら絶対出来るって!」

お、光った。ちゃんと付与出来たみたいだ。

「モリスさん、ちょっとこれ見てもらっていいですか?」
「うん? 何か分からない事でもあった?」
「あ、いえ。ちょっと試作したので」
「えっ、もう最初の試作品が出来たの? お試しにしても随分と早いねえ。じゃあちょっと動作確認してみようか」

モリスさんは僕から魔石を受け取り、そこに魔力を注いで起動した。
「凄い凄い、ちゃんと壁になってるじゃないか――ってあれ? これ通り抜けちゃうよ?」
モリスさんが壁を触ろうとすると、その手は壁をすり抜けて界壁の外へ。
「オートカさんの【障壁】だから、中から外へは出られるんです」
「嘘っ、もうそれ付けたの!?」

だってオートカさんの【障壁】だし。これは必須の機能。

「じゃあカルア君、外から叩いてみてくれる?」
僕が【界壁】を叩くと、やっぱり不思議な感触で弾かれる。
「ふむ、どうやらちゃんと機能してるようだね。凄いじゃないか、一発目でもう【界壁】の形になってるなんて。しかも中から通すところまでも再現してるとか本当に驚きだよ。じゃあこれをベースにして次はいよいよ【遠見】の遮断だね」

「いや、あの――」
「ん? ああ、ここからどうやればいいかって相談かな。そうだよね、【遠見】を遮断する魔道具なんて見た事ないよねえ」
「えっと、そうじゃなくって……もうそれも――」

あれ? モリスさんがいつものあの顔に……

「えっとカルア君? まさかとは思うけど、もしかして――」
「はい。試して貰っていいですか?」

「うん……じゃあやってみようか……」

それから僕とモリスさんが交互に中と外で……
無事、【遠見】も遮断出来ました。


「は、はは……何だろうね、こうもアッサリと……ちなみにカルアくん、この【結界】の挙動について教えてくれるかい?」
「あっはい。まず基本となったのはモリスさんの【空間ずらし】の断面、あれを壁としました。それで、外からはその壁が防ぎ、中からは壁の内側に薄く貼った一方通行の【ゲート】が壁の外側に繋いでいる感じです。もし外側の【ゲート】に攻撃を受けたらどうなるかっていうのはちょっと分からないんですけど」

「成程、強度については要調査か……。それで【遠見】の遮断は?」
「どうも一方通行のゲートが防いでいるみたいです」

「ゲートが……? ああそうか、それなら一方通行の時空間魔法を展開すれば……待てよ、この方式なら【遠見】に限らずその他の時空間魔法も……? ならばむしろ個別に機能を用意するよりも……うん! カルア君、これは素晴らしい! ゲートに置き換わる時空間魔法さえ用意出来れば、とてもシンプルな構成で実現出来るかも! よし、既存の形のリファレンス化と並行してこの方式も研究してみよう!!」

うん、これって僕がモリスさんの役に立てたって事だよね!
――やったぁ!!



「ちょっと室長!! いきなりカルア君を連れ込むとか一体どういう事ですかっ!!」
わっ、びっくりした。
いきなり扉が開いて、ロベリーさん――とその後ろからピノさんが。

「いやあロベリー君、こうしてここに来たって事は、無事に手紙を読んでくれたって事だね。うん、よかったよかった。まあ手紙に書いた通りさっきの件はもう思い出さなくって――」
「そんな事はどぉーーーーーっでもいいです! 一番大事なのは最後の一行だけでしょう!? 全くホントに所長はいつもいつも……って聞いてますか所長ぉ!?」

「ああロベリー君、ほらカルア君もびっくりしてるみたいだからさ……その話はまた今度って事で、ね?」
「はあああぁぁぁーーー、分かりました。……絶対逃しませんからね?」
「ははは……。うん、そうしてくれると助かるよ」

何て言うか……息が合ってる? きっと毎日こんな感じなんだろうなあ。

「それで所長、何故カルア君がここにいるのか聞かせてもらえますか?」
「ふふん、彼にはね、ここで新しい【結界】の魔道具制作を手伝ってもらってたんだよ。ああそうそう、カルア君ってば君の付与術を使いこなしてるみたいだね。ちゃんとは見てなかったけど」
「はあああぁぁぁーーーあ!?」

モリスさん――それ、今言う必要無かったんじゃないかな。
だってロベリーさんの表情が……ああ……



▽▽▽▽▽▽
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