スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第31話 結界の魔道具を試作してみました #2

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僕の表情に気づいたモリスさんは『大丈夫だよ』って感じの笑顔を見せた。
「ああ、ごめんごめん。別にやり方が間違ってるとかじゃないよ。むしろ逆。あれって一般の付与と比べてもの凄く優れた技術なんだ。付与した魔法効率は2割以上も高いし、付与に掛かる時間は半分以下。だから僕もやってみたくって試したんだけどさ、何度やっても真似出来なかったんだよね。他のみんなもやっぱりおんなじで、実際誰も再現が出来なかったんだ」

「そうなんですか。じゃあ僕は凄い付与術を教わったって事なんですね。変な付与術とかじゃなくってよかったぁ」
「まあやってる姿はすごーく変なんだけどね」
「あははは……」

やっぱりそうかぁ。

「じゃあやっぱり、普通の付与って話し掛けたりとかは……」
「しないね――と言うかむしろ逆。付与をやるときは完全に無言になるんだ。そうだなあ、普通の付与の場合は――――。まず魔法を発動しようとするだろ? 次にそれを発動寸前で無理やり抑えるんだ。で、その状態で対象にゆっくり魔力を注ぎ込む――これは焼き付けるようなイメージかな」

それって想像するだけで……

「結構大変そう」
「うん、実際大変なんだ。ちょっと失敗すると魔法が発動しちゃったり霧散しちゃったりするから、長時間もの凄く集中し続けなきゃならないんだよ」

って、想像よりもっと大変そうだった!

「だからみんなロベリー君の付与を初めて見た時に愕然としたんだ。高速、安全、高効率。これはとてつもない新技術だってね。何だけどさ、ロベリー君は逆に普通の付与を見てから自分の付与が嫌いになっちゃったみたいでね、みんなで説得したんだけど、滅多にやってくれなくなっちゃったんだよ」

あの姿を見られたくない気持ちは僕も分かるなあ。僕もそうだし、ピノさんだってちょっと恥ずかしそうだったし。

「えっと、それじゃああの付与を出来る人ってロベリーさん以外にはいないんですか? あ、ロベリーさんに付与を教えた人とか?」
「あの付与はね、ロベリー君が独自に生み出したものなんだ。何でもね、付与の勉強をしたくって付与術師にお願いしに行ったら、『付与術は他人に見せるものではない』って言って断られたんだって」

あれ? 何かその言葉って聞いた事あるような……? 何だったかな……あっ思い出した、ピノさんが付与を教えてくれた時に言ってたんだ。
『付与術師って付与するところは絶対誰にも見せないらしい』って。
じゃああれって、その付与術師に言われた『ただの断り文句』だったって事!?

「それでロベリー君は色々と試行錯誤を繰り返して彼女自身の付与術を生み出したんだって。そんな理由で彼女は僕達の所に来るまで普通の付与を見た事が無かったんだよ。だからこそ……普通の付与術を見た時に受けた衝撃は大きかったんだろうねえ」

ロベリーさんが不憫すぎる……

「でもね、付与を全く知らなかった子があの素晴らしい付与を独自開発したんだ。その過程はどうであれ、やっぱり彼女は『付与の天才』なんだよ。そしてピノ君もカルア君も付与を全く知らないところから……ん? ……あれ? ……ええと、ちょっと待ってね。今何かが引っ掛かって閃きそうな……共通点……知らない……知ってる僕達……あ!! もしかしてそういう事か!?」

あれ? どうしたんだろう……
途中から独り言みたいになった?

「僕達は既存の付与技術を知っているし使ってもいる。けれどもそれは彼女の付与技術とは全く方向性が違う。するとその知識と経験に引っ張られて彼女の付与の発動が失敗してしまう。一方で付与を全く知らない状態であれば――」

一瞬のフリーズ、からガバッと顔を上げて声のボリュームも上げて――
「そうだよ! そこに使える者と使えない者の差異、そして共通点があったんだ!」
そして納得の表情でうんうんと一人頷いた。

「……これは実に興味深い考察だ。是非後でロベリー君も交えて話してみたいところ――ってゴメンゴメン、ちょっと自分の世界に入っちゃったよ。よし、じゃああまり時間もない事だし、そろそろ話を戻そうか」

あ、ここで戻るんだ……ってどこまで戻るの?
「それで、【結界】への統合なんだけどさ……」

――最初までだった。

「僕は僕で今までの方式で統合してみるからさ、カルア君も自分の解釈でやってみてくれるかな? イメージは……そうだなあ、オートカの【障壁】で【遠見】も遮断する感じかな。もちろん失敗したって全然構わないよ。その失敗だってちゃんと研究材料になるんだからね」
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