スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第101話 ダンジョンとスラスラと研究者 #1

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第6階層――
この階層、出てくるスライムの数がもの凄く多い。
それにその現れ方がまた……
何もいない通路を歩いてたら、急に壁とか天井からじわーっと滲み出てきたりするから油断ならない。

……でも大丈夫!
何が起きてもすぐ気付けるように、空間把握とアクティブ型気配察知の組み合わせを常時発動したから。おっと、早速そこの天井から出てきそう――「【スティール】!」
――ってね。

「スライム地獄……かぁ。こうしてスライム達が何もできずに倒されてくのを見てると、何だかその呼び名も空しく聞こえるねえ。……ちなみにネッガー君、君ならこの階層、どうやって攻略する?」
「俺ですか……むむ……効果的な攻撃手段を持たない以上はひたすら避けて躱す事に徹するしか。【気配察知】でスライム達の出現と軌道を読みながら【身体強化】で高速移動、出口まで一気に駆け抜ければ攻略できるかと」
「はははっ、それが可能って言うんだから、やっぱり君も大概だねえ」

そんな世間話をしながら後ろを歩いてくるモリスさんとネッガー。
うんうん、ネッガーは凄いんですよモリスさん。

「この階層、魔物の配置的に最下層が近い筈です。なのにこれ、戦いにすらなってないです。うちのダンジョンの強制モフられ事案は発生したのが上層だったからまだ諦めもつくですけど、もし最下層でやられてたら……ちょっと言葉にならないです」

そんな事を呟きながら僕のすぐ横をふわふわ飛んでるラル。

「そういえばセカンケイブお姉ちゃんも『お兄ちゃん達に何度も高速周回された時は、諸行が無常で必衰感MAXだった』って言ってたです。きっとアレもこんな気持ちだったですね」

えっセカンがそんな事を!?
……いやダメ今は周囲の警戒に集中集中! 聞こえない聞こえなーい。

脇目も振らず雑音ツッコミにも耳を貸さず。
そうやってひたすら進み続けたおかげで、ようやく通路の先に下層への階段が見えてきた。
さあ、これでやっと最下層へ――

ぼいーーーーんっ

――と思ったらいきなり階段のすぐ前の天井からスライムが降ってきた……ナニコレでっか!!

天井に届きそうなくらいの高さ、通路と同じくらいの横幅!
全体的に色は白くって、その中をぼんやりとした虹色の光がゆらゆらと揺らめいている。ちょっと綺麗かも。

「ラル、このでっかいスライムの情報お願い」
「ええと……あれっ、無い? そんな筈は……ってやっぱり無いです! このスライムの情報、ダンジョンコアに無いですよ!? こんなスライム知らないです!」

ええと、ダンジョンコアに情報が無い……?
それってつまり……
「ダンジョンの魔物じゃないって事?」
「それも分からないです。完全にN∕Aです! アンノウンです!」

うーん……?
よく分からないけど、まあでも――
「とりあえずスライムで敵なのは間違いないよね。だったら今まで通りに……【把握】からの【加熱】!」

スライムが光に包まれて……

「……む、効いていないのか?」
ネッガーの言う通り、スライムに変化はないみたい。熱がダメなら――
「こっちならっ……【把握】からの【冷却】っ!」

さっきと同じようにスライムが光に包まれて……

「……どうやら変化ないみたいだねぇ」
冷やすのもダメ? それって……
「この短時間でもうカルア君の必殺コンボが対処されちゃった?」
「おおっ、流石サーケイブお姉ちゃんです。頑張れサーケイブお姉ちゃん、頑張れ大きなスライム!」

ラル……

「ラルは僕の味方だと思ってたのに」
「ラルはもちろんカルアお兄ちゃんの味方ですよ? でも今はサーケイブお姉ちゃんを応援するです。これぞ伝統の判官贔屓ほうがんびいきってやつです!」

……まあ確かにここまでずっと一方的だったけどさ。
うーん、今までと同じやり方でダメなら今度は何か違うやり方を……あっそうだ、でもその前にコレ試してみよ!

「魔力循環、開始ぃー」

ぐるぐるぐるぐる……

「――うひゃうっ! またカルアお兄ちゃんのアレが出たです! ラルを中から外から無理矢理書き換えた、ドロドロと粘っこいカルアお兄ちゃんの溢れるアレが、です!!」

……ラル、言い方。

「よし、これくらいでいいかな。じゃあこの状態で【把握】! ……からのぉ【冷却】っ!」

でっかいスライムは、でっかい氷のオブジェになった。
今度こそ倒した? どうかな……
そうだ、確認するならあの言葉で!

「……やったか!?」

このセリフ、どんな物語でも9割9分やれてない。つまりこれを言っても動かなければ――!

……で、それからしばらく待ってみたけど、そのでっかいスライムが動く事はもう動かなかった。
どうやら本当に倒せたみたいだ。

「いやぁ、これはまた……何とも凄い力技で解決したものだねぇ。いや実にカルア君らしいやり方だと思うよ。そして実にスラスラな……ぷくくく……あっはっはっは…………」
「カルアお兄ちゃんってば容赦なさすぎです。分かってた結果ではあるですけど、でも……」

もうっ、せっかく倒したんだから二人とも素直に喜んでよ。
「やったな、カルア!」
ほら、ネッガーみたいにさ。

「……サーケイブお姉ちゃん、落ち込んでないといいですけど」
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