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第103話 いよいよ海合宿が始まりました #1
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道場を後にした僕は、ネッガーのご両親や弟と一緒に客間へ移動。ネッガーのお祖父さんは門下生への指導があるからって、そのまま道場に残った。
「いや、しかしさっきのは参った。あれは【結界】の魔法だったのかな?」
ローテーブルを囲んで小さな平たいクッションに座った僕達。ネッガーのお母さんが淹れてくれた新緑色のお茶を口に含み、ほっと一息ついたところでお父さんが発した第一声がこれ。まあそうなるよね。
「はい、そうです」
「やはりそうか……【結界】は身を守る為の魔法だとばかり思っていたが、まさかあんな使い方があるとはなあ。最近はよく使われる手法なのかな?」
「あーー、えっと……どうなのかな?」
他の人が【結界】をどう使ってるなんて訊かれても困るよ。実際に使うとこ見たのって、オートカさんやモリスさん達くらいだったと思うし。
「父上、おそらくあれを使うのはカルアだけかと。学校では『結界を動かす事は出来ない』と教わりましたので」
「ふむ、そうなのか……」
ネッガーからのフォロー。ありがとう助かった!
でもそれを聞いたネッガーのお父さんは……ちょっと考え込んでる?
「……そうするとあの【結界】はカルア君独自の魔法という事になるな。その若さで大したものだ」
えっと……そういう事になるのかな?
「――と同時に安心したよ。世の中の魔法師が皆あんな凶あk――悪らっ――モノ凄い【結界】を使い出したら、対処方法の見当もつかん」
凶悪で悪辣って……
やっぱり相当根に持たれてるような……
「……とはいえそれも今だけのこと。対処方法は早く見つけ出さんとな。まずは通常の【結界】を斬る技術から始めるとしようか。【結界】……ふふふ、実に斬りごたえがありそうだ」
ひとり言葉を紡ぎながら徐々に目の輝きが強くなってくネッガーのお父さ――えっと、ベスタさん。
そのベスタさんが最後にニヤリと笑ったあたりで思わず目を逸らせた。
「そっ、それでネッガー――」
……ネッガーに話し掛けるふりして。
だってあの表情……ねぇ。
ええと、声掛けたはいいけど何話したら……
あっ、そういえば……
「本当に今さらなんだけどさ、こちらがネッガーのお父さん――なんだよね?」
「ああ、そうだ。こちらが父のベスタ、そして道場にいたのが祖父のスターだ」
そんな僕達の会話に、ベスタさんもその事に気付いたみたいで、ちょっと気まずそうな表情。
「すまない、先入観を持たずに立ち合って貰いたくて、先ほどは敢えて名乗らなかったんだ。礼儀に反した行為、申し訳ない」
「ああいえ、そんな」
それよりも突然立ち合えとかいう方をやめて欲しかった。
とここでネッガーのお母さんからも自己紹介。
「あら御免なさい、私も名乗っていなかったわね。私はネッガーの母、シルよ。よろしくねカルア君」
「えっ!?」
シル!?
「うん? どうしたの?」
「ああいえ、すみません。さっき知り合ったばかりのひとと同じ名前だったので」
「ははは、俺もさっきはどんな表情していいか分からなかったぞ。まさかダンジョンで母上と同じ名を聞くとは思わなかったからな」
だよね。言われてみればあの時のネッガー、ちょっと微妙な表情してたかも。
「まあ! そんな偶然もあるのねえ……でもこの辺りに同じ名前の人っていたかしら?」
「あ、そのひとは愛称がシルさんなんです。それにこの街の人じゃないので」
「あら、そうなのね」
……本名と住んでる場所は言えないけど。
それから学校の事とか冒険の事とか色んな話をして、あとついでにネッガーが小さかった頃の話とかも聞いて。
……そして王都に帰る時間になった。
ここから王都まで【転移】出来る事を広めるつもりはないからに、ネッガーの家族には最終便の馬車で帰るって言ってあるし、もちろんそれを疑われる訳なんてない。
あ、でも見送りはここまでで結構です。ホントに!
そんな僕の必死の説得も、当たり前だけど遠慮だと受け止められて、でもお見送りは玄関先までとしてくれた。そんなベスタさんの別れの挨拶はというと――
「カルア君、是非また遊びに来てくれ。それまでに【結界】を斬る技を会得しておくからな」
戦う事が前提のお誘いだった。
「あははは……」
ホント最後まで……なんだかなぁ。
「じゃあお邪魔しました」
「本当だぞ! 本当に待っているからな!」
こうして僕達は王都への途についた。
「待っているからなーーー!!」
……決して振り返る事なく。
乗り合い馬車の前を素通りしてそのまま街を出た僕達は、来る時に使った転移スポットへ。そこから王都の転移スポットまで【転移】して、王都の門をくぐった。
「今日はありがとうな。無事祖父と父にカルアが認められて安心した」
大通りを歩いている最中、ネッガーからそんな言葉が。
えっと……安心?
「口に出してはいなかったが、あの祖父の事だ、もしカルアが弱かったりした場合は、パーティを抜けるように言われていたかもしれん。カルアの事だから、その事については全く心配していなかったが」
うそ、あれってそんな試験的な感じだったの?
だったら先に言っていてくれたらよかったのに。
「もし先に伝えていたら、張り切りすぎたお前が何をしでかすか分からんからな、ノルトとも相談して敢えて言わない事にしたんだ。お陰で祖父と父が無事にカルアを認めることが出来て、本当に安心した」
……ちょっと待って。
安心したのは僕の合格にじゃなくって家族の無事だったの!?
それに知らないところでノルトまで……
「じゃあまた明日、学校で会おう」
こうしてサーケイブダンジョンとネッガーの実家へのお宅訪問は、無事に終了した。
……僕達が無事、っていう意味だからね!
「いや、しかしさっきのは参った。あれは【結界】の魔法だったのかな?」
ローテーブルを囲んで小さな平たいクッションに座った僕達。ネッガーのお母さんが淹れてくれた新緑色のお茶を口に含み、ほっと一息ついたところでお父さんが発した第一声がこれ。まあそうなるよね。
「はい、そうです」
「やはりそうか……【結界】は身を守る為の魔法だとばかり思っていたが、まさかあんな使い方があるとはなあ。最近はよく使われる手法なのかな?」
「あーー、えっと……どうなのかな?」
他の人が【結界】をどう使ってるなんて訊かれても困るよ。実際に使うとこ見たのって、オートカさんやモリスさん達くらいだったと思うし。
「父上、おそらくあれを使うのはカルアだけかと。学校では『結界を動かす事は出来ない』と教わりましたので」
「ふむ、そうなのか……」
ネッガーからのフォロー。ありがとう助かった!
でもそれを聞いたネッガーのお父さんは……ちょっと考え込んでる?
「……そうするとあの【結界】はカルア君独自の魔法という事になるな。その若さで大したものだ」
えっと……そういう事になるのかな?
「――と同時に安心したよ。世の中の魔法師が皆あんな凶あk――悪らっ――モノ凄い【結界】を使い出したら、対処方法の見当もつかん」
凶悪で悪辣って……
やっぱり相当根に持たれてるような……
「……とはいえそれも今だけのこと。対処方法は早く見つけ出さんとな。まずは通常の【結界】を斬る技術から始めるとしようか。【結界】……ふふふ、実に斬りごたえがありそうだ」
ひとり言葉を紡ぎながら徐々に目の輝きが強くなってくネッガーのお父さ――えっと、ベスタさん。
そのベスタさんが最後にニヤリと笑ったあたりで思わず目を逸らせた。
「そっ、それでネッガー――」
……ネッガーに話し掛けるふりして。
だってあの表情……ねぇ。
ええと、声掛けたはいいけど何話したら……
あっ、そういえば……
「本当に今さらなんだけどさ、こちらがネッガーのお父さん――なんだよね?」
「ああ、そうだ。こちらが父のベスタ、そして道場にいたのが祖父のスターだ」
そんな僕達の会話に、ベスタさんもその事に気付いたみたいで、ちょっと気まずそうな表情。
「すまない、先入観を持たずに立ち合って貰いたくて、先ほどは敢えて名乗らなかったんだ。礼儀に反した行為、申し訳ない」
「ああいえ、そんな」
それよりも突然立ち合えとかいう方をやめて欲しかった。
とここでネッガーのお母さんからも自己紹介。
「あら御免なさい、私も名乗っていなかったわね。私はネッガーの母、シルよ。よろしくねカルア君」
「えっ!?」
シル!?
「うん? どうしたの?」
「ああいえ、すみません。さっき知り合ったばかりのひとと同じ名前だったので」
「ははは、俺もさっきはどんな表情していいか分からなかったぞ。まさかダンジョンで母上と同じ名を聞くとは思わなかったからな」
だよね。言われてみればあの時のネッガー、ちょっと微妙な表情してたかも。
「まあ! そんな偶然もあるのねえ……でもこの辺りに同じ名前の人っていたかしら?」
「あ、そのひとは愛称がシルさんなんです。それにこの街の人じゃないので」
「あら、そうなのね」
……本名と住んでる場所は言えないけど。
それから学校の事とか冒険の事とか色んな話をして、あとついでにネッガーが小さかった頃の話とかも聞いて。
……そして王都に帰る時間になった。
ここから王都まで【転移】出来る事を広めるつもりはないからに、ネッガーの家族には最終便の馬車で帰るって言ってあるし、もちろんそれを疑われる訳なんてない。
あ、でも見送りはここまでで結構です。ホントに!
そんな僕の必死の説得も、当たり前だけど遠慮だと受け止められて、でもお見送りは玄関先までとしてくれた。そんなベスタさんの別れの挨拶はというと――
「カルア君、是非また遊びに来てくれ。それまでに【結界】を斬る技を会得しておくからな」
戦う事が前提のお誘いだった。
「あははは……」
ホント最後まで……なんだかなぁ。
「じゃあお邪魔しました」
「本当だぞ! 本当に待っているからな!」
こうして僕達は王都への途についた。
「待っているからなーーー!!」
……決して振り返る事なく。
乗り合い馬車の前を素通りしてそのまま街を出た僕達は、来る時に使った転移スポットへ。そこから王都の転移スポットまで【転移】して、王都の門をくぐった。
「今日はありがとうな。無事祖父と父にカルアが認められて安心した」
大通りを歩いている最中、ネッガーからそんな言葉が。
えっと……安心?
「口に出してはいなかったが、あの祖父の事だ、もしカルアが弱かったりした場合は、パーティを抜けるように言われていたかもしれん。カルアの事だから、その事については全く心配していなかったが」
うそ、あれってそんな試験的な感じだったの?
だったら先に言っていてくれたらよかったのに。
「もし先に伝えていたら、張り切りすぎたお前が何をしでかすか分からんからな、ノルトとも相談して敢えて言わない事にしたんだ。お陰で祖父と父が無事にカルアを認めることが出来て、本当に安心した」
……ちょっと待って。
安心したのは僕の合格にじゃなくって家族の無事だったの!?
それに知らないところでノルトまで……
「じゃあまた明日、学校で会おう」
こうしてサーケイブダンジョンとネッガーの実家へのお宅訪問は、無事に終了した。
……僕達が無事、っていう意味だからね!
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