スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第104話 楽しくて美味しいヨツツメです #3

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暫くしてアイが受付から戻ってきた。
「手紙は送れた?」
「ええ、ちゃんと送れたわ」
ルビーに返事をするアイだけど、何故か僕の方をチラチラと。

「ええっと、何?」
「……を出す頻度、下がるといいなあって」
「??」

それ僕に言われても……
手紙と関係ないのに。

「それよりあなた達は何故ここに? まさか夕方までの自由行動の間に依頼を受ける訳じゃないでしょ?」
「勿論だよ。初めての街だから、ここのギルドの様子とか雰囲気を見ておこうかなってだけ。アイ達は?」
「手紙を出しにちょっと寄っただけよ。まだ暫くはダンジョンとか見たくないし」

そう言ってギルドから出ていくアイ達を見送り、あらためてギルドの中をぐるっと見渡した。やっぱり雰囲気は他のギルドとよく似てるなぁ。

「さてと、じゃああたし達は――」
「ねえ、ちょっといいかしら?」

そう僕達に声を掛けて手を振ってるのは……受付のお姉さん?

「何ですか?」
アーシュがそう返事してカウンターに向かい、僕達もそれに付いて行くと、カウンターのお姉さんはニッコリ笑顔。
「あなた達って王都の学校の生徒さんよね。パーティを組んでるのかしら?」
「ええ、そうよ」
「パーティ名を教えてくれる?」

……今日二度目。
アーシュは『その質問を待っていた!』とばかりに、すっごいドヤ顔を見せた。
「ふふん、よく訊いてくれたわ。あたし達は……オーディナリーダよ!」
どどーーん!

そんなアーシュの勢いにお姉さんは一瞬だけ引いて、でもすぐに表情を笑顔に戻した。プロだ……。
「やっぱり! 聞いてた特徴と似てたからもしかしてって思ったけど……ちょっと待っててくれる?」

そう言って奥に入っていくお姉さんを見送るアーシュは、不思議そうな、でも満更でもなさそうな表情を浮かべてる。でもきっと僕も似たような表情してるんだろうな。

「初めてのギルドで名前を知られてるとか……これもう有名パーティって事よね!」
ドヤ顔を益々深めるアーシュの勢いに押されて小さく頷いてると、奥からお姉さんが戻ってきた。
「オーディナリーダの皆様、お待たせしました。ギルドマスターがお会いしたいとの事ですので、奥に来てもらえるかしら?」
「ふふん、分かったわ!」

初めて来たギルドなのにギルドマスターから呼び出しって……
まさか本当に有名パーティの仲間入り!?

お姉さんの後についてギルドマスターの執務室に入ると、そこには凄く大きな人が。……でっか。
凄く大きかったフタツメのギルドマスターと同じくらい大きいんじゃない?
「おお、よく来てくれたな。俺がここのギルドマスター、モナオーだ」

四角い顔のモナオーさん。
その顔つきと大きな体格のせいかな、身に纏う雰囲気がフタツメのギルドマスターとよく似てるって感じるのは。

「ジャンボの奴から『オーディナリーダってパーティに凄く世話になった』と聞いてな、学校の生徒のパーティだと聞いていたから、もしかしたら合宿に乗じて今日あたり来るんじゃないかと思ってたんだ」

ジャンボさん……?
確かさっきからちょくちょく僕の脳裏に登場するフタツメのギルマスの名前……

「あの、ジャンボさんってもしかしてフタツメのギルドマスターのジャンボさんですか?」
「そうそう、そのジャンボだ。アイツと俺とは昔から親友でライバル同士でな、そのジャンボがそこまで言うパーティなんて初めてだったから、俺も会ってみたいと思ったんだ」

成程、そういう流れで……って、ん?
横でアーシュのテンションが凄く上がって……
あ、あれか。さっきのモナオーさんの『親友でライバル同士』って言葉が刺さったのか。
「ギルドマスター同士が親友でライバル……」
ああ、やっぱり。

そのアーシュが直球で切り込む。
「ライバルってどんな感じのライバルだったんですか?」
「ん? そうだな……アイツとの出会いは学校、同じ冒険者クラスだったんだ。その頃から俺とアイツは雰囲気がよく似ていてな、周りからは『ゴツい双子』などと揶揄からかわれていたものだ」

その時の様子が目に浮かぶ……
あ、勿論当時の顔は知らないから、今の顔で――だけど。

「俺達はな、二人とも格闘を中心とした戦闘スタンスだったんだ」

……だろうね。
この体格で魔法中心だったら逆にビックリだよ。周りの人から『筋肉に謝れ!』とか『筋肉詐欺だ!』とか言われそう。

「その上お互い格闘の実力も近くてな、自然とお互いがお互いをライバル視するようになっていったんだ」

強さまで似てるとか。ホントに他人?

「だが不思議とお互い反発するってよりもウマが合ってな、偶に一緒に魔物の相手をしに行ったりとかしてたんだ。そうそう、セカンケイブのゴブリンなんかもよく相手にしてたぞ」

そっか、セカンのトコのお得意さんだったんだ……

「まあそんな感じで卒業後もお互い実績を積んでいってな、俺はここヨツツメで、あいつはフタツメでそれぞれギルドマスターになったんだ。ギルドマスターになってからのあいつは『ゴブリンじゃあ冒険者を呼べん!』ってよく愚痴をこぼしてたぞ。……ゴブリンも初級から中級くらいまでの遊び相手としては丁度いいんだがなあ」

まあ魔物と戦うのを遊びって言っちゃうのが、何と言うかそもそもね……

「で、そのゴブリンダンジョンが突如森のダンジョンになって、今では大人気ダンジョンとして大賑わいと言うから驚きだ。本部からの話によれば、確かダンジョンが変化したのはお前達がフタツメの農園を守った暫く後くらいのはずだ。もう少し早ければお前達もその現場を見られたんじゃないか? 惜しかったなあ」

ははは……ソウデスネ……



ギルドマスターの話というのはそんな感じだった。
「呼びつけてすまなかったな。今回は学校行事だから無理だろうが、うちのフォーケイブダンジョンにも一度遊びに来てくれ。その時はここの受付で申告してくれればいいからな」

という事で、ギルドマスターの執務室を後にした。
それにしても……

初めての街でギルドに顔を出すのは普通なんだろうけどさ、ギルドマスターの執務室に顔を出すって絶対普通じゃないよね!?
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みんなの感想(2件)

yuta
2025.11.07 yuta

初っ端から面白く楽しませていただいてます。登場するキャラがいい人ばっかりで、主人公のうっかりが多発でも読んでて安心感がありますね。たまにソロで冒険らしい事して欲しい気もしますが。。
あと、主人公がモテるってのも鉄板ですが、 お姉さんなはずのピノさんが健気というか不憫可愛い♪反面、よく居るタイプのアーシャのツンデレが… ワガママ多めでカワイクナイのが惜しい言うかウザい(ごめんなさい)

冒険者らしい展開もいずれは?と期待しつつ、引き続き楽しみにしています。

2025.11.08 東束末木

感想ありがとうございます。
楽しんでいただいている事が文面から伝わってきて嬉しくなりました。

解除
nayuta
2025.09.18 nayuta

凄く面白くて楽しく読ませていただいてます。

カルア君の天然やらかしキャラがモリスさんの濃い~キャラを飲み込んじゃってる所が良い味を出してると思います。

もはや『魔物』だけじゃなくて『常識』とか『定時退勤』の天敵になってますよね。

2025.09.18 東束末木

本作品初の感想、ありがとうございます!
これからも楽しく読んでいただけるよう頑張ります!

解除

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