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その日の帰り道
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実習室を出たあとも、美紀の下腹部には鈍い熱が居座り続けていた。数リットルの温水によって限界まで拡張され、空っぽになった腸壁が、自身の拍動を直接伝えてくるような奇妙な違和感。制服のプリーツスカートを穿き直す際、指先で触れた腹部は、先ほどまでの膨張が嘘のように平らで、どこか頼りないほどに柔らかかった。
校門を出ると、街灯が灯り始めた並木道に、冷ややかな夜気が流れ込んでいた。美紀と亜希は、いつものように肩を並べて駅へと続く坂道を下る。
「……ねえ、本当に平気? さっきから歩き方が、なんだかふわふわしてるよ」
亜希が、美紀の腕を支えるように自分の腕を絡めてきた。制服のブレザー越しに伝わる親友の体温が、今は妙に生々しく感じられる。
「……大丈夫。ただ、お腹の中が、ずっと空っぽなのが変な感じなの。空気が通るだけで、背中のあたりまでゾクゾクするっていうか」
「それ、全部出しちゃったからだよ。あんなに無理やり流し込んだんだもん。……でも、美紀のあのお腹、すごかった。シャツを捲り上げてたから、波打ってるのが丸見えで……正直、見てるこっちまで心臓がバクバクしちゃった」
亜希の声が、夜の静寂に溶け込むように低くなった。美紀は、実習室の蛍光灯の下で晒した自分の姿を思い出し、頬を朱に染めた。水色のレースのブラジャー、剥き出しになった腹部、そして親友に見守られながら排泄の快楽と苦痛に悶えた自分。
「亜希……。あんな姿、他の人には絶対に見せられない」
「わかってるよ。私たち、看護科だもん。……でもね、美紀。さっき言った『ダイエット』の話、あながち嘘じゃないかも。今の美紀、横から見るとウエストがびっくりするくらい薄いよ。制服のスカート、少し緩くなってない?」
美紀は立ち止まり、ブレザーの上から自分の腰回りを確かめるように撫でた。確かに、プリーツの重なりが以前より遊びを持っている。数リットルの汚濁を吐き出した代償として手に入れた、病的なまでの喪失感。
「……本当だ。なんだか、悪いものも全部出ちゃったみたい」
「究極の美容法だよね。佐藤先生はあんなに厳しく言ってたけど、私たちは……もっと別の使い道を知っちゃったのかも。ねえ、今度また実習があるとき、もっとたくさん入れてみない? 私、美紀がどこまで『綺麗』になれるか、見てみたいんだ」
亜希の瞳が、街灯の光を反射して怪しく光る。それは心配する親友の顔ではなく、共に禁忌の味を知ってしまった共犯者の目だった。美紀は、その視線から逃れるどころか、自ら吸い寄せられるように頷いていた。
「……いいよ。亜希になら、何を見せても、何をされてもいい。……今日のあの感覚、まだ消えないの。お腹の奥が、ずっと痺れてるみたいで」
駅のホームに滑り込んできた電車の風が、二人のスカートを激しく揺らした。美紀は、自分の身体が以前よりもずっと軽く、そして他人の手によって「浄化」されることを待ち望んでいることに気づいていた。
車内の窓に映る二人の少女。清潔な制服を纏いながらも、その内側には、誰にも言えない水色のレースと、温水が切り拓いた甘美な汚濁の記憶を隠している。
「……次は、亜希の番だよ」
「えっ……。私、あんなにたくさん入れられるかな」
「大丈夫。私が、ちゃんと見ててあげるから」
美紀の唇に、薄く、妖艶な微笑が浮かんだ。それは、十六歳の少女が持つにはあまりに重く、深い悦びの欠片だった。二人の秘めやかな放課後は、これからもより深く、より逃れられない泥濘へと続いていく。
校門を出ると、街灯が灯り始めた並木道に、冷ややかな夜気が流れ込んでいた。美紀と亜希は、いつものように肩を並べて駅へと続く坂道を下る。
「……ねえ、本当に平気? さっきから歩き方が、なんだかふわふわしてるよ」
亜希が、美紀の腕を支えるように自分の腕を絡めてきた。制服のブレザー越しに伝わる親友の体温が、今は妙に生々しく感じられる。
「……大丈夫。ただ、お腹の中が、ずっと空っぽなのが変な感じなの。空気が通るだけで、背中のあたりまでゾクゾクするっていうか」
「それ、全部出しちゃったからだよ。あんなに無理やり流し込んだんだもん。……でも、美紀のあのお腹、すごかった。シャツを捲り上げてたから、波打ってるのが丸見えで……正直、見てるこっちまで心臓がバクバクしちゃった」
亜希の声が、夜の静寂に溶け込むように低くなった。美紀は、実習室の蛍光灯の下で晒した自分の姿を思い出し、頬を朱に染めた。水色のレースのブラジャー、剥き出しになった腹部、そして親友に見守られながら排泄の快楽と苦痛に悶えた自分。
「亜希……。あんな姿、他の人には絶対に見せられない」
「わかってるよ。私たち、看護科だもん。……でもね、美紀。さっき言った『ダイエット』の話、あながち嘘じゃないかも。今の美紀、横から見るとウエストがびっくりするくらい薄いよ。制服のスカート、少し緩くなってない?」
美紀は立ち止まり、ブレザーの上から自分の腰回りを確かめるように撫でた。確かに、プリーツの重なりが以前より遊びを持っている。数リットルの汚濁を吐き出した代償として手に入れた、病的なまでの喪失感。
「……本当だ。なんだか、悪いものも全部出ちゃったみたい」
「究極の美容法だよね。佐藤先生はあんなに厳しく言ってたけど、私たちは……もっと別の使い道を知っちゃったのかも。ねえ、今度また実習があるとき、もっとたくさん入れてみない? 私、美紀がどこまで『綺麗』になれるか、見てみたいんだ」
亜希の瞳が、街灯の光を反射して怪しく光る。それは心配する親友の顔ではなく、共に禁忌の味を知ってしまった共犯者の目だった。美紀は、その視線から逃れるどころか、自ら吸い寄せられるように頷いていた。
「……いいよ。亜希になら、何を見せても、何をされてもいい。……今日のあの感覚、まだ消えないの。お腹の奥が、ずっと痺れてるみたいで」
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