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しおりを挟むそして、少し間を開けてから「知っているかな?」とも。
なんとなく演技臭い表情でと思っていると何人かの手がすぐに上がる。
「もちろんです!」
「知っております!」
それと歓喜する声も。
ただし、パーティー会場のほとんどの方はわからないようであれはなんだと顔を見合わせたり首を傾げていたが。
「あの変わった形の刀と銃はなんでしょう……」
それは私もと思っていると平井様が前に出てこられる。岩倉様の持つ刀と銃に視線を向けられ「最近、開発された魔獣を倒せる武器だ。ちなみに刀の方が魔殺一式、銃の方が魔殺二式で既に試験的に使用されて何体も倒しているんだ」と説明も。
そして、自信を持った表情でその試験には自分も参加したとも続けて仰られて。
つまりはご自分でもあの刀か銃で魔獣を倒していると……
そう考えていると会場中から賞賛の声があがりだす。先ほど側で首を捻っていた方も。
「な、なんだって!? それは凄いじゃないか!」
「ああ。だが、凄いのはその二つだけではない。おそらく今日は直近で試験が終わったあれも皆にお披露目しようとしているのですよね? 岩倉総大将」
皆さんの視線が再び向くと岩倉様はゆっくりと頷かれる。
「そうだ。試験が無事に終わり、今後は異能の力が無いだけでなく戦闘経験が少ない者でも魔獣を倒せる最終兵器が完成したのだ」
そして刀と銃を高く掲げ、勝利は我らのものだと言わんばかりに。
ただし、残念なことにパーティー会場内が盛り上がることはなかったが。杉沼様の嬉しそうな声がパーティー会場内に響きわたったので。
「これでこの国は我らだけで守れる!」
更に続けて誰かが余計なことも。
「もうよそ者はいらん!」と。
岩倉様はその言葉を聞いた直後、不敵な笑みを浮かべられるが。しかも、不穏な空気感漂う会場を更に混沌に落とすように「そのよそ者と言っている者達からの情報提供で作られた武器なのだがな」とも。
ただし、一人の和国軍の方が驚いた表情を浮かべて「し、溱璽国のだと……。なぜあいつらのものを我らに?」と仰られると今度は呆れた表情に変わられたが。
「むろん魔獣を倒すために決まっているだろう」
「し、しかし、魔獣など我らだけで……」
「それは無理だろうよ」
「い、岩倉総大将!?」
「くどいぞ。それにもう良い加減目を覚まさんか。溱璽国は我らのためにここまでしてくれているのだぞ。なのにお前達ときたら感謝もせずにいつも悪態ばかりつきおって」
すると痛いところを突かれたのか和国軍の方は意気消沈する。
「まあ、新たな武器を用意したことには感謝する。しかし、この和国は我らだけで守るべきではないでしょうか? なあ、和国の民もそう思わないか?」と杉沼様が労うように背中を叩くと勢いよく復活されたが。
「ああ、そうだそうだ! 杉沼殿の言う通りだ!」
更に半数近くの和国軍の方々とその家族も「我らだけで十分だ」と。
岩倉様はそんな彼らを無視されるが。その行動は想定内と言わんばかりに。
まあ、それは杉沼様もであったけれど。動揺されることがない岩倉様に「ふん、やはり我らが総大将だな」と驚かれる様子もなく感心……いや、勝手な行動をしているからむしろと思った矢先、岩倉様が直球の質問を杉沼様に投げつけられる。
「杉沼第五隊長。貴様はわしを馬鹿にしているのか?」
ただ、これも想定内らしく杉沼様は誰でも演技とわかるような動きで答えられるが。
「何を仰るのですか!? 私は貴方に目を覚まして頂きたいだけです!」
「……では、溱璽国に恩ではなく仇で返せと?」
「そこまでは。ただ、後は我らだけでと。何せ、この考えは和国民の総意ですからな」
「何を言っている? 全てではないだろうが」
「時期に全てになりますよ。溱璽国が本性を見せれば。いや、見せる前に気づかなければならないのですがね」
「溱璽国はとっくに代替わりしている。それにうちだってそう言われたら同じだろうが」
「いいえ、和国は崇高な考えで行っていたことですからね。他国と一緒にされても困りますよ。なあ、和国の民よ?」
「ああ、そうだそうだ!」
「さすがは杉沼殿、よく言った!」
「和国万歳!」
「うむうむ。ほら、どうです? 我らが総大将」
「貴様ら……」
岩倉様は静かに杉沼様を睨む……が、何かに気づかれた様子で出口の方に急いで視線を向けられる。旦那様が見ている方と同じの。
いいえ、睨まれている?
私はお二人と同じ方向……出口の方に視線を向ける。それから徐々に疼いていく右肩にそっと触れようとすると壁が盛大に破壊され、大型の魔獣が現れたのだ。
『ウオォォオーーーーンッ!』
「な、なぜここに魔獣が!?」
「知らん」
驚いた表情の杉沼様の隣で岩倉様が持っていた銃で淡々と魔獣を撃ち始める。
パンッ!
続けて何発も。
パンッ! パンッ! パンッ!
残念ながら魔獣は巨体を機敏に動かし弾を全て避けてしまったが。しかも今度は反撃とばかりに。
『グオーーーーンッ!』
ただ、岩倉様は「全く老体に鞭打たせやがって」と愚痴りながらも余裕そうに刀を抜き放ち魔獣を迎えうつが。側にいた杉沼様を庇い。
「う、うわーー!」
まあ、かなり戦いにくそうではあったけれど。
そう思っていると「全く、いつも足手纏いで……」と旦那様の側に対魔獣師団が駆け寄られる。更には面倒臭さそうに「どうします第二師団長?」とも。
「一人加勢してやれ」
そう命令されるなり言葉を発した方は急ぎ向かわれていったが。そして次の師団員が「残りの者はどうします?」と、そう尋ねられるなり非常口の方を向かれて指示も。
「避難者の誘導を」
一番悲鳴を上げている客人を指差されて。しかも冷静にと私は邪魔をしないように一歩下がる。
そして部下の方が全員動かれた後、こちらに向きなおられる旦那様に口を開きも。「大丈夫なのですか? 今は皆様は……」と。
本来なら刀を差している腰付近を見つめ。
まあ、その心配はすぐに取り越し苦労だったことに気づくけれど。部下の方が優勢に戦う姿が視界に映り、旦那様も即答してこられたので。「我々は異能の力でも十分戦える。だから君も早く避難をするんだ」と。
出口の方に私を軽く押し、そして魔獣との間に立ち、こちらが逃げやすいようにも。
つまりはやるべきことはと私は「はい」と頷く。そして、少しでも邪魔にならないようにと足早に出口へと。今だに足手纏いになっていらっしゃる杉沼様のようにはなりたくはなかったので。
特に誰かの命がかかっているならなおさらと、私は怪我人がでないようにと祈りながら移動する。今このパーティー会場にある全ての命は私の命より間違いなく重いと確信して。
それはあの方でもと、太々しい杉沼様の姿を思い出しながら必死に走り続ける。残念ながらしばらくしてふらつき倒れてしまったけれど。
「ううっ……」
右肩に尋常じゃない痛みが走り、意識が飛びかけたので。
ただし、意識が飛びそうな瞬間、「優月!」と旦那様の声が聞こえ、我にかえることができたけど。そして、立ち上がるなり旦那様の声に応えずに出口に向かって走り出しも。
何せこんな時でも旦那様に痛みで歪んだ顔を見られたくなかったので。
絶対にと、その後は必死に痛みを堪え、走り続ける。出口付近まで。ここまでくればもう我慢しなくていいからと、和須田先生に渡された薬を急いで飲み込む。
そして、すぐにこれは強い薬と理解し、これならひとまずなんとかなりそうだとも。
ただ、そう思った矢先に別の痛みを感じてしまったが。ある光景を見て心の痛みには効果はないのがわかってしまったので。大きな機械を台車に乗せた軍の方々と、館にやってきた女性がパーティー会場に入っていくのが見えたから。
更には旦那様が女性に駆け寄り肩を掴む光景も。
「何をしている星羅! 君はこの世界の誰よりも大切な存在なんだぞ!」
そして聞きたくない会話も……と、私は目を閉じ、両手を耳元に持っていく。でも、ぼーっとして体が上手く動かないうちに女性……星羅様は何かを言い返されたが。
そして、それを見た私は心底安堵も。
「私だって……なの!」と、薬の所為で頭が回らず星羅様の言葉が私の耳には届かなかったので。
まあ、ただしこれ以上は目の前の光景は見ていられなかったので背を向け歩きだしたのだけれど。本当はあの素敵な女性が星羅様だとわかったのだから喜ばなければならなかったのに。
これで安心してお役目も終わらせられる。二人の後ろ姿をもう一度見つめながら「お幸せに」とも。
ただし、現実は今もお二人から背を向け、歩き続けているが。どうしても二人の姿をこれ以上見れなかったので。醜い感情が生まれてきそうな気がしたから。
嫉妬や妬み、そして……私は両手で顔を覆う。
「なぜ一人で避難を? あの男は?」と甲斐様がこちらに駆け寄ってこられたので慌てて表情を作り身だしなみを整えたが。
「そ、それは……」
答えようとすると甲斐様の視線がある方向に固定される。そして表情が険しくなりながら「あいつ」と。
なのでついつい私も視線を向けてしまうが。そして旦那様が星羅様の手をとって何処かへと急足で歩いていく姿が視界に映るなり後悔も。顔を向けてしまったことにと、私は再び歩き出す。
ただし、「送ります。もう一体魔獣が侵入したと報告がありましたので」そう甲斐様の声が聞こえてくるなり、先ほどの光景が吹き飛び振り向いてしまったが。
「えっ、もう一体ですか?」
「はい。それと魔獣がいつもと違う不穏な動きをしていますので責任を持って俺が貴女を安全な場所に送ります」
甲斐様そう仰ってこらるなり私の横に並ばれ、岩倉様が所持していた刀と同じものを軽く叩いてこられる。自信に満ちたと思っていると、その表情はすぐ不満顔に変わる。
そして「あの、良かったのですか?」と。
もっともな質問を……
ただし、私と旦那様達の関係、それと現在の状況で問題はなくなるわけだけれど。
「あの方は魔獣関連で重要な職に就かれているのでしょう。だからいいのですよ」
つまりはあの行動は大切な仕事をしているだけであると。
契約だけの繋がりと真実の愛は関係なく……
甲斐様はなぜか納得できないという表情を見せてこられだけれど。すぐにはっとすると咳払いされるが。
「わかりました……」
そして再び不満気な表情でと、私は気づかないふりをしながら笑顔を作る。
それ以降は話は終わりと少しだけ俯きながら歩きも。
何せ思い出してしまうので。
これ以上喋れば旦那様と星羅様の姿が……
そう思っていると早速、頭の中に薄っすらと仲睦まじい姿のお二人が浮かんでくる。
しかも、段々と距離を縮めて……と、私は頭を軽く振って別のことを考える。上書きするように。そして塗り潰すようにと。惨めな気持ちになりながら。
ただ、そんな気持ちさえすぐに吹き飛ぶことが起きてしまったが。右肩が疼き『グルルル』と声が聞こえたので。
そして先ほどの魔獣には感じなかった恐怖も……と私は身体を小刻みに震わせていると甲斐様が不敵な笑みを見せる。
「来たな」
それから建物の影から生えるように現れた魔獣と激しい戦闘も。私の目では追えないほどの速さで。
しばらくして見事な一太刀を魔獣に入れるのが見え勝利したのは甲斐様だとわかったが。
「よし、やってやったぞ!」
しかも刀を掲げる姿も。まるでお伽話の英雄がするようなと、私はほっと胸を撫で下ろしながら甲斐様に歩み寄る。
倒されたはずの魔獣が起き上がり向かってくるのに気付かずに。
「しまった! 逃げて!」
「えっ……」
私は甲斐様の声で振り返る……が、目前に迫ってきた爪はすぐに視界から消える。旦那様の声と共に。
「優月!」
更に、続けて今度は側で魔獣の悲鳴と甲斐様の声も。「消え失せろ!」と、思わず私は悲鳴を上げそうになってしまったが。
とどめを刺されている魔獣がこちらを向いたので。勢いよくと、要は目が合ってしまったのである。憎悪が籠った瞳と。
まるで、私に恨みでもあるようなと震えていると、その視界を誰かが塞いでくれる。いや、すぐにわかってしまう。
「見なくていい」
声と雰囲気、そして密着する温もりでわかったので。旦那様であると。
ただ、それでも先ほどの光景を思い出しながら私はそっと離れるが。旦那様がここを離れられる理由を言いながら。「もうこちらは大丈夫です。だから旦那様はまだ現れるかもしれない魔獣への対応をお願い致します」と。
何せ、旦那様のいるべき場所はここではなく愛する人の元だから。きっと……いや絶対にと、私は気持ちを必死に押さえつけ、頭を下げる。意図を理解していただけたらと願い。
「なんだなんだ喧嘩か?」
「いや、旦那である師団員に魔獣がまだいないか見てこいってさ」
「ほお、よくできた嫁だな」
更には周りに集まってきた方達に、私達の仲を疑われないようにと思っていると、どうやら考えが伝わったらしい。
旦那様は無言で立ち去られたので。足早にと私は小さく息を吐く。内心、安堵して。
「いいのですか?」
事情を知らない甲斐様は不満気だったけれどと、私は頷く。
「ええ。これ以上、私に時間を使わせるわけにはいきませんので」
「な、何を言っているのですか? 貴女はあいつの妻……はっ、まさか!?」
甲斐様は旦那様が去っていった方を睨まれるので私は首を横に振る。
「旦那様は優しくてとても素晴らしい方ですよ」
「じ、じゃあ……」
「私が相応しくないのです。全てにおいて」
「えっ……」
驚く甲斐様に私は微笑むと歩き出す。もう甲斐様は何も仰ってこなかった。きっと私に問題があるとわかってくださったのだろう。
なので誤解が解けた事に安堵しながらも更に歩く速度を早めるが。色々な感情が生まれてしまったこの場を早く離れたかったので。一秒でも早くと、私は唇を噛み締める。
しばらくして笑顔を作ったが。前方から対魔獣師団の方々と匙裏さんが駆け寄って来るのが見えたから。
「ありがとうございます。後は大丈夫です」
つまりは甲斐様にお礼をと、深く頭を下げると今度は否定されず「何か困り事があれば必ず行きますので」と返事され、走り去っていかれる。
「奥様、車を用意していますから帰りましょう」
匙裏さんと入れ替わるようにと、私は頷く。そして車に向かって歩き出される匙裏さんの後に続きも。
突然、目の前に旦那様が現れなければだったけれど。
「だ、旦那様!?」
「後は簡単な仕事だったから部下に任せてきた」
「大丈夫なのですか?」
「ああ、優月を送る方が大切だからな」
旦那様はそう仰ると優しく微笑み、密着してこられる。わざと周りに見せびらかすように。
「ほお、あの堅物の九条殿がね。中々にお似合いじゃないか」
「ふん、こんな時にあんな間の抜けた顔を」
まあ、おかげで旦那様の微笑みも私に向けているわけではなく、この行動も周りの目を気にされただけだと理解することができたけれど。
たんに契約通り仲良く見せるために、早く星羅様と一緒になりたいだろうから。
本当は一年なんて待たずに……
私はそっと旦那様の顔を見つめる。それから周りに人がいなくなったのを確認するなりお二人の幸せを願いも。
「旦那様、帰ったら私の話を聞いて頂きたいのですが」
「何の話だ?」
「もちろん、この契約……白い結婚のことです」
「白い結婚だと……」
「ええ、もしかしたらもっと早くこの契約を終わらせる方法があるかもしれないのです。だから……」
「駄目だ!」
旦那様はなぜか私の言葉を遮り強く首を横に振る。更には匙裏さんまでも。
「契約のことなら忘れて下さい。奥様は気になさらず李玲様……旦那様と幸せな生活を送って頂ければ良いのですから」
なので正直、困ってしまうが。何せ想像していたことと違う対応を旦那様だけでなく匙裏さんまでしてきたから。
まあ、しばらくして腑に落ちてもしまうのだけど。匙裏さんは旦那様と星羅様二人の関係を知らないのだと。
きっと、九条家の方々も。
そう思いながら私は一歩下がる。星羅様がこちらに歩いて来るのが見えたから。しかも少し怒った様子で旦那様を睨みながら。
「どこへ行くつもりかしら?」
「もちろん帰るのだが」
「……何を仰っているのですか? 貴方様が間を取り持たないと和国軍と和解できませんのよ。それに魔獣を早く駆逐したいのでしょう。今が踏ん張りどきでは?」
星羅様はこちらに視線を向けてこられるので意図を理解した私は口を開く。「私のことは気ななさらず大切なお仕事に集中して下さい」と。更には黙ってしまわれる旦那様に軽く頭を下げるなり車へと。
ただ、途中で慌てて車の中に駆け込んでしまったが。何せ一瞬見えてしまったから。
袖から出た手首付近に少しだけ見えたもの……私の死期が早まったのが理解できる印、魔蝕病の痣を。
ただし、胸の方に広がっていなければまだ少しはと、館に戻るなり慌てて部屋に行き確認しに行ったが。鏡の前に立ち着物を捲り上げて。
「ふうっ」
私は安堵し、胸を撫で下ろす。調べた結果、胸の方に痣は広がってなかったから。
今日明日に死ぬわけではないのがわかったと。
まあ、それでも限られた時間は後少しばかりだろうけれど……
私は右肩をさすりながら契約書に視線を向ける。
それから、しばらく目を閉じ頭の中で必死に整理も。次にお会いした時、もう一度話すためにと。
今度は理解されるはずだから。これを見せればと手首付近まで黒くなった痣を見つめる。
そして旦那様がこれを見た時の反応も。
お優しい方なのできっと悲しんでくれるだろう、だからこそ私の最後の願いを叶えてくれるはずだとも。
貴方様の幸せを全うして下さいと。
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