きっとやり直せる。双子の妹に幸せを奪われた私は別の場所で幸せになる。

しげむろ ゆうき

文字の大きさ
8 / 9

8

しおりを挟む
 ※ホラー回なので苦手な人は飛ばして下さい。
 若干、他の話を読んでる人達ようへのネタです。
 九話から見ても問題ないようにしています。
 



 リリスside.

 ぎぎぎぎぎっ! 
 許さない許さない許さない! 
 なんでアイリスが侯爵令嬢で私が修道女なのよ!
 逆でしょうがっ!

 そう思いながら湿って薄暗いシルフィード修道院の廊下を適当に掃き掃除をしていると、いつ頃から側にいたのか知らないが、顔以外を修道服で隠した女が声をかけてきたのだ。
 「赤ちゃんを父親の家に取られて悔しいのはわかるけど、そんな顔しちゃ駄目よ」と、勘違いした発言を。
 だから、私は思い切り睨みつけてやったが。
 「違うわよ! それに勝手に話しかけてこないでよ!」と。
 何しろ、仕事中に誰かと余計な会話しているところを見られたら、その日の食事を減らされるので。場合によっては二、三日も——と、私は女に背を向ける。
 ただ、女は全く気にする様子もなく私の肩に腕を乗せてきたが。

「いいのよ、そんな嘘を吐かなくてもわかってるから」

 再び勘違い発言をしてきながら。

「嘘じゃないわよ! 赤ん坊より私は侯爵令嬢になれなくて悔やんでるのよ!」

 そう言っても「……ふふ、そういう事にしといてあげる。でも、赤ちゃんって可愛いわよね。お目めパッチリ開いちゃってえ」と、人の言葉を信じようとせずに。
 しかも、何となく小馬鹿にした感じで——と、私は肩に乗せられている腕を振り解き、女を睨む。
 「だから、違うって言ってるでしょうがあ!」と、持っていた箒を構え、次に話しかけてきたら叩くわよという雰囲気を出しながら。
 女は「もう、わかったわよ。赤ちゃんの話は今はやめておきましょう。それなら今度は何の話する?」と、気にしていない様子だったが。
 しかも、「しないわよお!」と、こっちが箒を振り下ろしても軽く避けてしまい「もう、恥ずかしがらないでよ。じゃあ、こういう話はどお?」と、私の両手を掴んできて。

「聞かないから!」

 そう拒否しても「ええとね、確か机の引き出しにカマキリを入れておいたのよ。それで、数日放置しちゃってえ」と、全く話を聞かずに——と、私は想像しかけて必死に女から逃げようとする。

「それ以上言わないでええ!」
「あっ、ちなみにカマキリはメスよ。それで開けたらね……」

 しかし、女は話をやめずに頬を染めながら、私の耳元で……

「ぎゃあああああっーーーー!」

 おかげで、私は丁寧な説明で明確に想像してしまい失神してしまったが。
 目を覚ますと牢獄みたいな自室のベッドで寝かされており、同室のサミーに「あら、やっと起きたわ。大丈夫かしら、リリスさん」と。

「大丈夫じゃないわよ。なんなのあの話を聞かない女は!?」

 私がそう言っても首を傾げてきて。

「……えっ、何言ってるの? あなた突然に廊下で一人で喚いて倒れたのよ」
「はっ? いやいや、顔だけ出した修道服着た女がいたでしょう!?」

 そう言っても、呆れ顔を向けられてしまい「もう、今は頭を覆うタイプの修道服は誰も付けてないでしょうが」と、私がハッとする言葉を。
 確かに彼女の言う通りそんな修道服を着た人物はここにはいないはずなので。

 しかも、あの顔はそういえば見たことが……

 そう思った直後、耳元で声が……

『オギャアッ』

 おかげで「ひいっ!」と、私は声を上げてしまったが。
 「ちょっと、びっくりさせないでよ」と、サミーに睨まれも。

「こ、声が聞こえたのよ」

 「はあ、疲れてるんでしょう。とりあえずもう少し横になってなさい。私はあなたが起きた事を修道長に連絡してくるから」と、こちらの言葉を信じる様子すら見せずに部屋を出て行ってしまい……
 つまりは窓のない牢獄の様な薄暗い部屋に一人——と、私は恐怖感でいっぱいになってしまう。
 そして、考えたくないのにさっきの声を思い出しも。

「あれって赤ちゃんの声じゃなくてあの女の声だったわよね……」

 後、声が聞こえてきた場所は——と、隣のサミーのベッドの下に視線を向けて。
 それから死ぬほど後悔をしてしまいも。
 何しろ、ベッドの下の暗がりに顔の上部分だけを出したあの修道女が無表情でこっちをじっと見ていたので。
 そして、私の意識がゆっくりと落ちていく瞬間に耳元ではっきりと……

『ママァ、ヒマナライッショニアソボ』


 あの日からリリスは急に汗水流して働く様になった。
 しかも、休みもほとんど取らずに何やらぶつぶつ呟きながら。

「遊ぶ暇さえ作らなきゃあいつは出てこない……」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

自称病弱いとこを優先させ続けた婚約者の末路

泉花ゆき
恋愛
令嬢エルアナは、ヴィンセントという婚約者がいた。 しかし彼は虚言癖のあるいとこ、リリアンの嘘に騙されてエルアナとの大切な約束を破り続ける。 「すまない、リリアンが風邪を引いたらしくて……」 エルアナが過労で倒れても、彼はリリアンの元へ走り去る始末。 ついに重大な婚約披露パーティまでも欠席した彼に、エルアナは婚約者への見切りをつけた。 「さようなら、ヴィンセント」 縋りつかれてももう遅いのです。

幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。 そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。 たった一つボタンを掛け違えてしまったために、 最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。 主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?

いつまでも甘くないから

朝山みどり
恋愛
エリザベスは王宮で働く文官だ。ある日侯爵位を持つ上司から甥を紹介される。 結婚を前提として紹介であることは明白だった。 しかし、指輪を注文しようと街を歩いている時に友人と出会った。お茶を一緒に誘う友人、自慢しちゃえと思い了承したエリザベス。 この日から彼の様子が変わった。真相に気づいたエリザベスは穏やかに微笑んで二人を祝福する。 目を輝かせて喜んだ二人だったが、エリザベスの次の言葉を聞いた時・・・ 二人は正反対の反応をした。

【完結】妹ばかり愛され追い出された姉ですが、無口な夫と暮らす日々が幸せすぎます

コトミ
恋愛
 セラフィナは、実の親と、妹によって、家から追い出されることとなった。セラフィナがまだ幼い頃、両親は病弱なカタリナのため設備環境が良い王都に移り住んだ。姉のセラフィナは元々両親とともに住んでいた田舎に使用人のマーサの二人きりで暮らすこととなった。お金のない子爵家な上にカタリナのためお金を稼がなくてはならないため、子供二人を王都で暮らすには無理があるとセラフィナだけ残されたのだ。そしてセラフィナが19歳の時、3人が家へ戻ってきた。その理由はカタリナの婚約が上手くいかず王宮にいずらくなったためだ。やっと家族で暮らせると心待ちにしていたセラフィナは帰宅した父に思いがけないことを告げられる。 「お前はジェラール・モンフォール伯爵と結婚することになった。すぐに荷物をまとめるんだ。一週間後には結婚式だ」  困惑するセラフィナに対して、冷酷にも時間は進み続け、結婚生活が始まる。

〖完結〗妹は私の物が大好きなようです。

藍川みいな
恋愛
カサブランカ侯爵家に双子として生まれた、姉のブレアと妹のマリベル。 妹は姉の物を全て欲しがり、全て譲ってきたブレア。 ある日、ダリアル公爵家長男のエルヴィンとの縁談が来た。 ダリアル公爵は姉のブレアを名指しし、ブレアとエルヴィンは婚約をした。 だが、マリベルはブレアの婚約者エルヴィンを欲しがり、ブレアを地下に閉じこめ、ブレアになりすまし結婚した...。 主人公ブレアがあまり出てきません。 本編6話+番外編1話で完結です。 毎日0時更新。

可愛い姉より、地味なわたしを選んでくれた王子様。と思っていたら、単に姉と間違えただけのようです。

ふまさ
恋愛
 小さくて、可愛くて、庇護欲をそそられる姉。対し、身長も高くて、地味顔の妹のリネット。  ある日。愛らしい顔立ちで有名な第二王子に婚約を申し込まれ、舞い上がるリネットだったが──。 「あれ? きみ、誰?」  第二王子であるヒューゴーは、リネットを見ながら不思議そうに首を傾げるのだった。

甘やかされすぎた妹には興味ないそうです

もるだ
恋愛
義理の妹スザンネは甘やかされて育ったせいで自分の思い通りにするためなら手段を選ばない。スザンネの婚約者を招いた食事会で、アーリアが大事にしている形見のネックレスをつけているスザンネを見つけた。我慢ならなくて問い詰めるもスザンネは知らない振りをするだけ。だが、婚約者は何か知っているようで──。

【完結】我儘で何でも欲しがる元病弱な妹の末路。私は王太子殿下と幸せに過ごしていますのでどうぞご勝手に。

白井ライス
恋愛
シャーリー・レインズ子爵令嬢には、1つ下の妹ラウラが居た。 ブラウンの髪と目をしている地味なシャーリーに比べてラウラは金髪に青い目という美しい見た目をしていた。 ラウラは幼少期身体が弱く両親はいつもラウラを優先していた。 それは大人になった今でも変わらなかった。 そのせいかラウラはとんでもなく我儘な女に成長してしまう。 そして、ラウラはとうとうシャーリーの婚約者ジェイク・カールソン子爵令息にまで手を出してしまう。 彼の子を宿してーー

処理中です...