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1月25日(水)
小野寺さんの隣で、少し潰した中華ポテトの刺さったフォークを掲げたまま、娘の映美が船を漕いでいた。数分前までは睡魔に抵抗していたようだけど、流石に限界らしい。席を立ち、映美の手から何とかフォークを外してベッドまで抱えていく。
小野寺さんは、小皿に残った焼き飯とエビチリを口に運びながら、私が戻ってくるのを目で追いかける。自分の席に戻って、彼女のカップへお茶を注ぎ足した。小野寺さんは自分の口元を抑え、彼女が一緒に持ってきたペーパーナプキンでエビチリのソースを拭う。
「すみません。ありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそすみません。お昼までご馳走になっちゃって」
正午より少し早いタイミングで、雁飯店のテイクアウトを提げた小野寺さんがやってきて、映美と共に美味しい中華をいただいてしまった。自分たちの分を払おうと思ったけど、彼女は「商談ってことで、経費にできると思うので」と断った。
娘の食べかけを口に運んだ。
「上のお子さんは、幼稚園でしたっけ。旦那さんは」
「今日は珍しく外出してて、武藤さんのオフィスで打ち合わせ、だって」
3年前頃から基本的に家にいて、普段から積極的に家事も育児も手伝ってくれている。亜衣が帰ってきたらちょっと大変だけど、彼は映美が起きる前には帰ってくるだろう。
「ふーん」と頷いていた小野寺さんは、自分の用事を思い出したように、持ってきた荷物をゴソゴソし始めた。私と彼女の前にあったお皿を流しに片付け、彼女が包装紙で包まれた箱を置く前に、軽く布巾でテーブルを拭いた。
「あぁ、すみませ~ん」
「いえいえ」と返していたら、小野寺さんは先ほどの箱をそこに置いた。
「年始の会に芽衣さんだけ来られなかったんで、改めてご挨拶に」
「あら、そんな。わざわざ、ありがとうございます」
包装紙を剥がし、箱を開けると中は個包装の洋菓子、ラングドシャっぽい焼き菓子が入っていた。彼女には先ほど、お父さんからもらったと言う神戸のチョコレートもいただいている。
「こんなに色々、良いんですか?」
「良いんです、良いんです。今年も、よろしくお願いします」
小野寺さんの動きに釣られ、こちらも座ったまま頭を下げる。
「せっかくなんで、コーヒーどうですか?」
「お言葉に甘えて、いただきます」
さっきいただいたチョコレートも、横に出そう。電気ポットに水を入れ、スイッチを入れる。お湯が沸くまでに、食卓を片付け、流しの食器を洗っていく。台所で洗い物をしている間、小野寺さんは椅子を離れて食卓の周りを見て回る。
「え、康徳さん、文学賞取ってるんですか?」
カラーボックスの上に飾った賞状に目を止める。
「地域の小さな賞だから、何にもならないんですけどね」
2つ、3つ、似たような規模の賞状を置いてある。その隣には、5冊の冊子も並べてある。小野寺さんは美容雑誌でも手に取るように、一冊抜き取った。そのまま自然に、パラパラめくる。
「これも、康徳さんの?」
「彼が学生時代に作っていた、同人誌」
小野寺さんは軽いトーンで「へー」と最後までめくって、冊子を元に戻した。彼女のコーヒーを入れ、食卓に置く。小野寺さんは「ありがとうございます」と言いながら、席についた。彼女は「そっか、書けるんだ」と呟いて、コーヒーを飲んだ。
小野寺さんは、小皿に残った焼き飯とエビチリを口に運びながら、私が戻ってくるのを目で追いかける。自分の席に戻って、彼女のカップへお茶を注ぎ足した。小野寺さんは自分の口元を抑え、彼女が一緒に持ってきたペーパーナプキンでエビチリのソースを拭う。
「すみません。ありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそすみません。お昼までご馳走になっちゃって」
正午より少し早いタイミングで、雁飯店のテイクアウトを提げた小野寺さんがやってきて、映美と共に美味しい中華をいただいてしまった。自分たちの分を払おうと思ったけど、彼女は「商談ってことで、経費にできると思うので」と断った。
娘の食べかけを口に運んだ。
「上のお子さんは、幼稚園でしたっけ。旦那さんは」
「今日は珍しく外出してて、武藤さんのオフィスで打ち合わせ、だって」
3年前頃から基本的に家にいて、普段から積極的に家事も育児も手伝ってくれている。亜衣が帰ってきたらちょっと大変だけど、彼は映美が起きる前には帰ってくるだろう。
「ふーん」と頷いていた小野寺さんは、自分の用事を思い出したように、持ってきた荷物をゴソゴソし始めた。私と彼女の前にあったお皿を流しに片付け、彼女が包装紙で包まれた箱を置く前に、軽く布巾でテーブルを拭いた。
「あぁ、すみませ~ん」
「いえいえ」と返していたら、小野寺さんは先ほどの箱をそこに置いた。
「年始の会に芽衣さんだけ来られなかったんで、改めてご挨拶に」
「あら、そんな。わざわざ、ありがとうございます」
包装紙を剥がし、箱を開けると中は個包装の洋菓子、ラングドシャっぽい焼き菓子が入っていた。彼女には先ほど、お父さんからもらったと言う神戸のチョコレートもいただいている。
「こんなに色々、良いんですか?」
「良いんです、良いんです。今年も、よろしくお願いします」
小野寺さんの動きに釣られ、こちらも座ったまま頭を下げる。
「せっかくなんで、コーヒーどうですか?」
「お言葉に甘えて、いただきます」
さっきいただいたチョコレートも、横に出そう。電気ポットに水を入れ、スイッチを入れる。お湯が沸くまでに、食卓を片付け、流しの食器を洗っていく。台所で洗い物をしている間、小野寺さんは椅子を離れて食卓の周りを見て回る。
「え、康徳さん、文学賞取ってるんですか?」
カラーボックスの上に飾った賞状に目を止める。
「地域の小さな賞だから、何にもならないんですけどね」
2つ、3つ、似たような規模の賞状を置いてある。その隣には、5冊の冊子も並べてある。小野寺さんは美容雑誌でも手に取るように、一冊抜き取った。そのまま自然に、パラパラめくる。
「これも、康徳さんの?」
「彼が学生時代に作っていた、同人誌」
小野寺さんは軽いトーンで「へー」と最後までめくって、冊子を元に戻した。彼女のコーヒーを入れ、食卓に置く。小野寺さんは「ありがとうございます」と言いながら、席についた。彼女は「そっか、書けるんだ」と呟いて、コーヒーを飲んだ。
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