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龍星本山編

八.五話 テスト前夜にあえてゲームをする方が点を取れたりする。

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〈8話との繋がりはありません。本編にはなんの関わりもないです。〉



「やあ、卍原クン!」

「なんすか、野畑さん。俺、今、勉強中なんすけど。」

明日はテストだ。そのため自室に籠って勉強してたわけだが、、、。

まぁ、俺はオマエらと違って、日頃から勉強だけは欠かさないエリートなんでぇ、余裕なんすけど。やっぱり心配なものは心配だよねっ。

ん?オマエらが誰かって?おいおい、気づいてないと思ってたのかwww?

オ・マ・エ・ラ・だ・よっ☆

「ん?そっちの方向に何かあるのかい?」

「いえいえ、お気にせずに。」

「おぉ。最近の学生はすごいなぁ。アラビア語なんかやってるのかー。」

「いえ、シンハラ語です。」

「おぉっ!なら、この野畑さんがテストをしてあげよう! වඩා හොඳ, කිනිතුල්ලන් හෝ බූරුවෙකුට ඔබ කැමති කුමක්ද?」

「ගැහැණු ළමයෙකු පෙනුමෙන් විනිශ්චය කරන ඔබ කුණු කසළ ය. ගැහැණු ළමයින් කාමුකද නැද්ද යන්න විනිශ්චය කළ යුතුය.」

「...」

「...」

無言で見つめ合う二人。

野畑が手を差し出してくる。

手を握り返してがっしりと固い握手を交わす。分かり合えたようだ。

「それで、なんのようですか?」

勉強の片付けを行いながら野畑に尋ねる。

「それはだね。ちょうど新人も入ったことだし、そろそろ、決めるべきだと思ったんだよ。」

「いったい何を?」

「最強を、、、。」

「なるほど、、、。」

「こんな夜更けにやることじゃないってことは分かってるさ。でもさ、ってのはしょうがないよね?」

「...」

無言でついていき連れて行かれた先は地下5階に位置する、そう『娯楽室』

「ようやく来たか、、、。」

「おせーぞバカ!」

「ついに決める時が来ましたか。」

そして、野畑が叫ぶ。

「第七回!!スマブラ最強決定戦!!!!!」

「「イエーイ!!!」」

大乱闘スマッシュブラザーズ。略してスマブラは大人気家庭用アクションゲームである。様々な作品のキャラクターがぶっ飛ばし合うこのゲームは世界中でプレイされている。

これがあると聞き、実はこっそり寝る間を惜しんで練習していたのだ。

「今回はトーナメント形式で行くよー!!1回戦の組み合わせはこちら!!!」

野畑がリモコンを押すと画面に映し出されたトーナメント表の隠されていた部分が消え去る。

「マジかよぉ!?」

「あらあらぁ。」

なるほど、俺の初戦は3試合目で相手は、、、檸檬さんか。これはイケるな!

段々と試合が進んでいき、ついに俺の番がくる。

「卍原君で私に勝てるかなー?」

「俺はこれでも地域じゃ5番目くらいには強かったんですよ。」 

両者が大画面スクリーンの前に並んですわる。

キャラクターを選択し、決定。

「それじゃー準備はいいねー?
第三試合 スタート!!!」

野畑の掛け声とともに『レディファイト』の表記が現れゲームが開始される。

俺が扱うキャラクターはff7から出演のクラウド、そして檸檬さんのキャラクターは、なに?、セフィロスだとぉっ!?

課金キャラクターじゃないかっ!?

やばい、正直、侮っていた。

「私はいつでもおまえのそばにいる、、。」

檸檬さんが普段は絶対みせないような顎をしゃくらせた表情をしてセフィロスの名言を言ってくる。

「クッソ、俺、セフィロスと戦ったことなんてねーよ!!!」

おまけにこの人、小ジャンプまでできんのかよ!?

小ジャンプとはこのゲームでいう技能の一つでこれができなければ、コンボができなかったりなど必須項目だ。

しかしこれが、なかなか難しい。

ドーン

「大丈夫?あと1ストックだよ?(笑)」

「こっからですよ。」

ドーン

「よっし!」

「でも君の方が劣勢なのは依然変わらないよー!」

この隙にリミットゲージを貯めてリミットブレイクの準備をする。

セフィロスが黒い炎を飛ばし、クラウドが近づけないようにしてくるが、俺には効かぬ。

そのまま近づき、隙に攻撃を当ててダメージを稼ぐ。

しかし、コンボに繋げる前にガードを差し込まれ止まってしまう。

そして、着地した瞬間、セフィロスのガードキャンセルからのスマッシュ。

けれど、そんな見え透いた攻撃には引っかかりはしない。

こちらもしっかりガードを挟んでー

「ガーキャン上Bだぁっ!!!」

ドーン

『winner クラウド』

リザルト画面に映し出される自機。

『ウヘヘヘへ....俺はなにをした!』

ん?クラウドの勝利ボイスが一度も聞いたことのないような物だったが気のせいだろうか?

「あーあー負けちゃったー。」

「まさか、追加ダウンロードコンテンツを購入しているとは思いませんでしたよ。」

「え?皆、購入してるよ?(笑)」

まじかよ。



そして、第1回戦が終了し第2回戦が始まる。

俺の相手は、

「俺か、、、。」

まさかまさかのフェデーレ。

「あんた、ゲームできたんすね。」

そして、1回戦同様に野畑によって火蓋が切られた。

フェデーレの使用キャラクターはメタルギアからスネーク。

俺の使用キャラはポケモンのプリンだ。

プリンはこのゲームでも珍しい5段ジャンプが可能だ。

けれどもスネークは飛び道具を多用してくるキャラのため、しくじると空中でダメージを稼がれ、吹っ飛ばされてしまう。

「この程度っ!」

スネークのミサイルや手榴弾、地雷を避けて接近する。

「甘いっ!」

「なにぃっ!?」

避けたはずのミサイルが後ろから接近してきているではないか。

やばい、ガード間に合うか!?

その瞬間にスネークがプリンを掴み、下に投げる。

「耐えろぉぉぉぉおおお!!!!」

無常にも、スマブラ界最軽のプリンはふっとばされていく。

残念なことに俺は2回戦で敗退となってしまった。

しかし、それでよかったのかもしれない。

現在、第3回戦。蜜柑さんと野畑の試合なのだが、、、。

『ヒャッフウ! ドーン winner ルイージ』

野畑が開幕から即死コンを決められ、見事に2タテされた。

「う、うん。別に、別にゲームだしっ、、。悔しくなんかないよ!? ちょっとトイレ行ってくる、、、。」

惨めにも部屋を出る野畑。ほんとカワイソ。

「じゃあ、次は俺たちだな!」

「まさか、坊主だったとは、、、。」

3回戦2試合目はフェデーレと、、、ベルガモット!?

あの単細胞でもゲームという文明の力を扱うことができたのか!おりゃ感動だよ。

そうこうしているうちに試合は始まる。最初は特におかしな様子もなく普通に試合は進んでいたのだが、互いに残りストック1、両者吹っ飛び率120%超え。それは突如起きた。

「これで仕舞いだ、、。」

フェデーレのスネークが撃ったミサイルがベルガモットのソニックの頭に当たる。

しかし、ソニックは走りながら、自分の頭をいきなり手で外しミサイルを避けた後また付け直し、何事もなかったかのように再び走り出したのだ。

「ちょっと待てぇぇ-!!!!!」

「どうしたんですか、うるさいですよ。」

「プレイの妨害はぁ、ご法度ですよぉ。」

何故だ、何故誰も今のに気づかないんだ、、、。

確かにそれは一瞬だった。ほんの数フレームの出来事かもしれない。でもよ、ソニックって頭外せたっけぇ!?

そのまま、スネークは吹っ飛ばされベルガモットの勝ちとなったわけだが。どこか釈然としない。

そして、主催者である野畑不在のまま決勝戦が始まる。

「ベルちゃんには、、、負けない、、、。」

「姉貴の“あいでんてぃてぃ“だっけか?そいつをぶっ壊してやるよ!」

俺の頭は壊れているのかもしれない。

だって、今ベルガモットが使おうと選択したキャラは絶対にスマブラに、いや、ゲーム業界に存在しないキャラだから。

それは満面の笑みを浮かべながらトンカチを振りかざしているリス。

ハピネスクラブの広告にいたマスコットキャラじゃねーか!?

『ハピリスゥー』

スマブラの司会をしてくれてる機会音声さんがマジで聞いたことのない名前を発する。

「ん、ハピリスじゃん。」

「うちのマスコットってスマブラに出てたんですね。」

駄目だこいつら。あとこのリスってハピリスって名前なんすね、安直だなぁ。

「ベルちゃん、、、。そういうことするなら私も負けられない、、、。」

蜜柑さんが選んだキャラは

『バツリスゥー』

チェーンソーを持った泣き顔のリスが画面に映し出される。

あぁ、ダッシュファイターいたんだね。

ハピリスとバツリスのスマブラと言っていいのか分からない戦いが始まる。

片方が頭を外して投げたと思えば、もう一方は腕をちぎって投げ、かと思えば自分のパーセント表記を取ってそれで殴ったり、空からストックのマークが降ってきたりとプロチーター顔負けのぶっ壊れ具合である。

むちゃくちゃすぎて逆に寒いわ。

『ブチンっ』

「「あっ。」」

ハードへの負荷のかけ過ぎのせいかスイッチが火花を上げている。

辺りに流れる沈黙。

「それじゃあ、他のゲームしよっか?」

檸檬さんがカセットをしまおうと取り出したケースはスマブラのもの、、、

ではなくそれによく似た何か。そこには「大乱交スマックルブロッサムズ」と書いてある。

なーるほど。俺たちがやってたのはスマブラはスマブラでもパチモンのスマブラでしたと。

くだらね。

こうして俺が寝ようと思った時には既に4時。あと5じかん後にてすとだぁ~。

寝よ。



本編に続く



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