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幕間4:脱出行
幕間4-4:脱出行/決別―リーダーの矜持―
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すでに3子は柳澤と、6美は田沼と手を握っていた。二人のステルスは手を触れることで自分以外の物をステルス化することができるのだ。二人が俺のことを心から慕っていて、心から案じているのは痛いほどに分かっていた。だが3子の問いに俺は心を鬼にしてこう告げたのだ。
「俺は残る。エイトのおっさんのサポートが必要だ」
「えっ?」
移動しようとしていた二人の足が止まった。案の定だ、ふたりとも迷ってやがる。だが俺は叫んだ。
「馬鹿野郎! おっさんも言ってたろう! 客人たちを脱出させるのにお前ら二人が要になるって! 自分の役割忘れんな!」
癇癪を起こしたわけじゃない。ただ純粋に二人が抱くであろう迷いを正してやる必要があったのだ。
「いいか? これはリーダー命令だ。ゲストの二人を速やかに脱出させろ。そして偽装トレーラーでエイトのところの3人と一緒に先に帰還するんだ!」
立体映像の偽装モードとはいえ3子も6美も半ば涙目である。俺を置いていくと言う事は今までにはなかったからだ。だが――
「わかった」
「気をつけてねリーダー」
二人とも無意識の仕草なのだろうが、片手で目元を拭っている。そして迷いを振り切るように柳澤の兄ちゃんたちを連れて走り出したのだ。甘ったれのギャルガキだとばかり思ってたが、それなりにチームのメンバーとして成長していたのだった。
その去り際に柳澤が言う。
「恩にきります」
その声にエイトも振り返る。田沼が言う。
「ご武運を」
その声を最後に、3子たちのホログラムステルスに囲まれて姿を消していったのだった。
エイトも自らの子分たちに告げている。
「いいか、今、フォーのとこの姉ちゃんたちが客人をそっちに連れて行く。乗り込み次第、脱出しろ――あ?――馬鹿野郎! 俺の事心配する前に逃走ルートの事考えろ! いっぱち! 退路確保はお前が要だ! なんのために1番の番号背負ってるのか考えろ! 追手が来たときはお前らが連携して事に当たれ! エイト組の若頭はお前なんだ! それを忘れんな!」
エイトもまた自らの子分たちを叱咤していた。
リーダーは部下を可愛がるだけでは務まらない。時には強い言葉で突き放すことも必要なのだ。
「よし――頼んだぞ。東京で必ず落ち合おう」
エイトも通信を終えた。これで準備は整った。
「おっさん」
「あぁ――」
エイトが軽くため息を付いている。
「まったく、いつまでたってもオシメが取れねえぜ」
「ウチもだ。でもよ――」
俺はエイトに語りかける。警察の大部隊が接近してくる気配がする。
「――かわいい子分なんだろ?」
「それは――」
茂みの向こうから光がする。サーチライトの光だった。
「お前も同じだろう? フォーよ?」
「あぁ、世話のやけるけどな」
だが頼りになる仲間だ。
奴らの脱出を信じて、俺たちは戦いの場へと足を踏み出したのである。
「俺は残る。エイトのおっさんのサポートが必要だ」
「えっ?」
移動しようとしていた二人の足が止まった。案の定だ、ふたりとも迷ってやがる。だが俺は叫んだ。
「馬鹿野郎! おっさんも言ってたろう! 客人たちを脱出させるのにお前ら二人が要になるって! 自分の役割忘れんな!」
癇癪を起こしたわけじゃない。ただ純粋に二人が抱くであろう迷いを正してやる必要があったのだ。
「いいか? これはリーダー命令だ。ゲストの二人を速やかに脱出させろ。そして偽装トレーラーでエイトのところの3人と一緒に先に帰還するんだ!」
立体映像の偽装モードとはいえ3子も6美も半ば涙目である。俺を置いていくと言う事は今までにはなかったからだ。だが――
「わかった」
「気をつけてねリーダー」
二人とも無意識の仕草なのだろうが、片手で目元を拭っている。そして迷いを振り切るように柳澤の兄ちゃんたちを連れて走り出したのだ。甘ったれのギャルガキだとばかり思ってたが、それなりにチームのメンバーとして成長していたのだった。
その去り際に柳澤が言う。
「恩にきります」
その声にエイトも振り返る。田沼が言う。
「ご武運を」
その声を最後に、3子たちのホログラムステルスに囲まれて姿を消していったのだった。
エイトも自らの子分たちに告げている。
「いいか、今、フォーのとこの姉ちゃんたちが客人をそっちに連れて行く。乗り込み次第、脱出しろ――あ?――馬鹿野郎! 俺の事心配する前に逃走ルートの事考えろ! いっぱち! 退路確保はお前が要だ! なんのために1番の番号背負ってるのか考えろ! 追手が来たときはお前らが連携して事に当たれ! エイト組の若頭はお前なんだ! それを忘れんな!」
エイトもまた自らの子分たちを叱咤していた。
リーダーは部下を可愛がるだけでは務まらない。時には強い言葉で突き放すことも必要なのだ。
「よし――頼んだぞ。東京で必ず落ち合おう」
エイトも通信を終えた。これで準備は整った。
「おっさん」
「あぁ――」
エイトが軽くため息を付いている。
「まったく、いつまでたってもオシメが取れねえぜ」
「ウチもだ。でもよ――」
俺はエイトに語りかける。警察の大部隊が接近してくる気配がする。
「――かわいい子分なんだろ?」
「それは――」
茂みの向こうから光がする。サーチライトの光だった。
「お前も同じだろう? フォーよ?」
「あぁ、世話のやけるけどな」
だが頼りになる仲間だ。
奴らの脱出を信じて、俺たちは戦いの場へと足を踏み出したのである。
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