ブラザーフッド:インテリヤクザと三下ヤクザの洒落にならない話 【全話執筆完了!毎日更新中!】

美風慶伍

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伍:横浜港

伍の九:横浜港/保税蔵置場

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 そして、それから7日ほどの時間が過ぎていた。

 俺たちは横浜港の本牧埠頭の片隅に姿を表していた。本牧埠頭の敷地の南のハズレに保税蔵置場と呼ばれる、物資仮置場がある。輸出入の際に物資を一時的に保管するための場所であり、税関などの管理承認下にある。そこではトラックやユニッククレーン車や重機類と言った特殊車両が国外へと運び出されるのを待っている。

 だが、本来なら厳しい管理下にあるはずだが、どこをどう操作したのか、この日のために氷室のオジキが中心となり、交渉場所として場所を押さえてきたのだ。表向きは物資搬入と言う名目で関与するそれぞれが深夜の間に集まりセブンカウンシルの担当役引き継ぎの手続きを終える――と言う筋書きで話がつけられたものだ。税関港湾施設を使うと言う大掛かりな筋書きが〝箔〟となり、警戒心の塊のような強欲の榊原も素直に話についてきたのだ。
 
 時間は深夜0時
 手はずはすでに綿密に練られていた。
 この場に結集する偽装トレーラーは計3両、サイレントデルタの交渉役が乗るものと、俺たち天龍のオヤジの手の者が乗るもの、榊原の一派が乗るものの3両である。

 事前に緋色会の息のかかった手の者がその施設の中に事前潜伏していた。職員を装って施設の入り口のゲートを操作する。トレーラーが順次入っていき――

 俺たち天龍のオヤジの乗る側のトレーラーが右手に
 強欲の榊原の連中が持っているトレーラーか左手に

――それぞれ並列に向かい合わせに停められる。

 さらに、並列に停められたトレーラーの後部側に横付けするようにもう一両トレーラーが停められる。
 3両のトレーラーがカタカナの〝コの字〟を描くように停められて即席の交渉施設を形成することになる。
 トレーラーはいずれも側面がゲート式になっている。
 規定の時間の10分前に停め終えたトレーラーが交渉開始の時を不気味なまでの静けさでじっと待っていた。
 俺も、天龍のオヤジも、そしてあの強欲の榊原も、ひたすら沈黙していた。交渉開始の時間をひたすら待ちながら――

 そして時間は来る。
 深夜12時、日付が1日文書き換わる瞬間。示し合わせたように3両のトレーラーの側面ゲートが静かに開いていく。
 跳ね上げ式の扉が開けば、俺と天龍のオヤジ、強欲の榊原とその側近が一人、そして見届け人としてサイレントデルタの側から2名が姿を現した。

 一人は頭部がシルバーメタリックのミラーのようになっていて目鼻立ちも耳もない。着ているものは濃紺の三つ揃えのスリーピースのスーツだ。
 もう一人が頭部が漆黒の直方体のモノリスのようになっておりその表面に8セグメントのデジタル表示が隙間なくびっしりと敷き詰められている。こちらも着ているものは三つ揃えの背広である。
 サイレントデルタが、今回の引き継ぎ交渉に際して提示したルールがいくつかある。

 開始時刻は深夜0時、
 交渉役本人とその補助一人の2名が参加すること、
 当然余分な武装は持ち込み厳禁、
 全ての交渉はサイレントデルタの監視下によって行われサイレントデルタの承認によって効力を発揮する

――と言うものだった。
 強欲の榊原は不承不承ながらこれを了承した。

 そして今、トレーラーの車体が開かれ俺たちは向かい合わせに視線を交わしている。
 戦いはすでに始まっていた。
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