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第一部 ダンジョンの階層主は、パーティに捨てられた泣き虫魔法使いに翻弄される
19. エレインのいないパーティ③
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リリスは、中央神殿の礼拝堂で両手を組んで神に祈りを捧げていた。
ウィルダリアの中央神殿は、この街で最も大きくて立派な神殿である。多くの人が参拝に訪れ、各々信じるものに祈りを捧げる。ウィルダリアには、各地から多様な民族が集まるため、唯一神を持たず多神教である。それぞれ自由に神殿での時を過ごしているのだ。
リリスも定期的に中央神殿でパーティの無事を祈っていたのだが、今日の用事はそれだけではなかった。
ダンジョンで見殺しにしたエレインの冥福を祈っているのだ。
リリスもアレク達同様、エレインはパーティのお荷物だとずっと思って来た。実際、アレクの足を引っ張る存在を疎ましく思っていた。
だが、いざエレインを排除してみればどうだ。自らが人の命を見殺しにしたということが、リリスの心に重石のようにのしかかってきた。
あまりにも自分勝手な感情に、リリスは自嘲しつつも、せめて安らかに眠って欲しいと、エレインをダンジョンに置き去りにしたあの日以降毎日祈りを捧げている。
祈り終え、リリスは静かに目を開けた。
(毎日祈っているのに、不安が増していくのはなぜでしょうか。ーーー何か良くないことが起こるような、とても不吉な予感がします)
リリス達のパーティは恐らく5日後には、再びダンジョンに潜り、70階層の階層主に挑戦する。これまで負け知らずであり、アレクをはじめ、ロイドもルナも勝利を疑っていない様子だ。
だが、どうしてもリリスは、いつものように勝てるビジョンが見えないのだった。
◇◇◇
その日の夜。各々やるべきことを終えたアレク達は、行きつけの酒屋で夕食を取っていた。
「ルナはポーションや外套の仕入作業が完了した。褒めてもいい」
「ふふっ、ありがとうございます。助かりました」
得意げなルナの頭をリリスが撫でる。ルナは気持ちよさそうに目を細めている。
「色々買ったから結構お金がかかった」
「そうだな、ロイド!ダンジョンでの稼ぎはどうだった?」
ルナの言葉に、ジョッキを傾けていたアレクがロイドに問いかけた。
「…採ってきたぞ」
ロイドはというと、仏頂面で魔石をテーブルの上に放り投げるようにして転がした。
「おいおいおい、たったの3個かよ!?」
それを見たアレクが文句を垂れるが、それにカチンときたのは勿論ロイドだ。
「あのなぁ!これだけ取るのに俺がどれだけ苦労したか…文句があるなら自分で採りに行けよ!使いっ走りはもうごめんだ!俺は二度と小遣い稼ぎの魔石狩りなんてしない!」
バン!と力強くジョッキをテーブルに置き、その勢いでビールの泡が溢れてジョッキに泡の筋ができた。
「な、なんだよ。そんなに怒ることねぇじゃねーか。魔石は換金して盾の支払いに充ててくれ」
「ああ、そうさせてもらう。俺が採ってきたんだから当たり前だがな」
いつもと違う様子のロイドに、アレクは戸惑いがちに他の2人に視線をやる。ルナとリリスも驚いた顔をしていた。
「ま、まあ、今日は飯を食ったらお開きにするか。俺の剣も今日武器屋に預けて来たんだが、仕上がりに後4日はかかるらしい。剣と盾の準備が整ったらいよいよ70階層攻略だ!それまでは各々好きに過ごして英気を養ってくれ」
「ルナは承知した」
「…ああ」
「分かりましたわ」
少しギクシャクしたまま、アレク達はそれぞれの宿へと帰って行った。
そして、あっという間に5日の時が流れーーー
いよいよ70階層のボスの間の前へとやって来たのだった。
ウィルダリアの中央神殿は、この街で最も大きくて立派な神殿である。多くの人が参拝に訪れ、各々信じるものに祈りを捧げる。ウィルダリアには、各地から多様な民族が集まるため、唯一神を持たず多神教である。それぞれ自由に神殿での時を過ごしているのだ。
リリスも定期的に中央神殿でパーティの無事を祈っていたのだが、今日の用事はそれだけではなかった。
ダンジョンで見殺しにしたエレインの冥福を祈っているのだ。
リリスもアレク達同様、エレインはパーティのお荷物だとずっと思って来た。実際、アレクの足を引っ張る存在を疎ましく思っていた。
だが、いざエレインを排除してみればどうだ。自らが人の命を見殺しにしたということが、リリスの心に重石のようにのしかかってきた。
あまりにも自分勝手な感情に、リリスは自嘲しつつも、せめて安らかに眠って欲しいと、エレインをダンジョンに置き去りにしたあの日以降毎日祈りを捧げている。
祈り終え、リリスは静かに目を開けた。
(毎日祈っているのに、不安が増していくのはなぜでしょうか。ーーー何か良くないことが起こるような、とても不吉な予感がします)
リリス達のパーティは恐らく5日後には、再びダンジョンに潜り、70階層の階層主に挑戦する。これまで負け知らずであり、アレクをはじめ、ロイドもルナも勝利を疑っていない様子だ。
だが、どうしてもリリスは、いつものように勝てるビジョンが見えないのだった。
◇◇◇
その日の夜。各々やるべきことを終えたアレク達は、行きつけの酒屋で夕食を取っていた。
「ルナはポーションや外套の仕入作業が完了した。褒めてもいい」
「ふふっ、ありがとうございます。助かりました」
得意げなルナの頭をリリスが撫でる。ルナは気持ちよさそうに目を細めている。
「色々買ったから結構お金がかかった」
「そうだな、ロイド!ダンジョンでの稼ぎはどうだった?」
ルナの言葉に、ジョッキを傾けていたアレクがロイドに問いかけた。
「…採ってきたぞ」
ロイドはというと、仏頂面で魔石をテーブルの上に放り投げるようにして転がした。
「おいおいおい、たったの3個かよ!?」
それを見たアレクが文句を垂れるが、それにカチンときたのは勿論ロイドだ。
「あのなぁ!これだけ取るのに俺がどれだけ苦労したか…文句があるなら自分で採りに行けよ!使いっ走りはもうごめんだ!俺は二度と小遣い稼ぎの魔石狩りなんてしない!」
バン!と力強くジョッキをテーブルに置き、その勢いでビールの泡が溢れてジョッキに泡の筋ができた。
「な、なんだよ。そんなに怒ることねぇじゃねーか。魔石は換金して盾の支払いに充ててくれ」
「ああ、そうさせてもらう。俺が採ってきたんだから当たり前だがな」
いつもと違う様子のロイドに、アレクは戸惑いがちに他の2人に視線をやる。ルナとリリスも驚いた顔をしていた。
「ま、まあ、今日は飯を食ったらお開きにするか。俺の剣も今日武器屋に預けて来たんだが、仕上がりに後4日はかかるらしい。剣と盾の準備が整ったらいよいよ70階層攻略だ!それまでは各々好きに過ごして英気を養ってくれ」
「ルナは承知した」
「…ああ」
「分かりましたわ」
少しギクシャクしたまま、アレク達はそれぞれの宿へと帰って行った。
そして、あっという間に5日の時が流れーーー
いよいよ70階層のボスの間の前へとやって来たのだった。
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途中迷走してました……。
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追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
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