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第一部 ダンジョンの階層主は、パーティに捨てられた泣き虫魔法使いに翻弄される
20. 対峙
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ギィィィ…
70階層ボスの間の重い両扉を開き、アレク達は暗闇の中へ歩みを進めた。
騎士のロイドを先頭に、アレク、ルナ、リリスが続く。
ボスの間の構造は様々であったが、大抵は最奥に玉座があり、謁見の間のような造りになっている。まるでこの空間の王への供物のように、挑戦者は玉座に向かって歩みを進めるのだ。
4人が部屋の中央付近で背を預け合うようにして立ち止まると、ボボボボッと部屋を囲むように設置された燭台に火が灯された。
「よう、待ちくたびれたぜ」
燭台の灯りにぼんやりと浮かび上がる人影。その頭には2本の鋭い角が生えている。
「……お前が『破壊魔神』、この階層の主か」
アレクがゆるりと抜刀し、長剣を構えた。その刀身に燭台の炎が反射して、妖しく揺れている。
ロイドは盾を構え、後ろにルナとリリスを庇う。
「くくっ、そうだ。俺の名は『ホムラ』。まあ好きに呼ぶがいいさ」
次第に目が慣れ、部屋の全容が把握された。おおよそ円形の広い部屋には、天井まで伸びる太い柱が幾つも聳え立っている。燭台はその間を縫うように置かれているようだ。
ホムラと名乗った男は、着物を着崩して片腕を出していた。その手には赤く煌めく灼刀が握られており、その切っ先をゆらゆらと揺らしながらアレク達に近付いて来た。
「へぇ、お前がアレクか?まあ構えはそれなりに見えるじゃねえか」
顎に手を当てて、自分達を観察するように見るホムラ。
「なぜ俺の名を………なるほど、エレインか」
ホムラは飄々としているが、そのプレッシャーは今までの階層主とは比べものにならず、アレクの心臓はばくばくと早鐘のように打ち鳴らされている。たらりと頬を伝った汗が、顎から滴る。
「くくっ、ああ、そうだ。アイツがどうなったか知りたいか?」
何がおかしいのか、ホムラは肩を揺らしながら愉快に笑っている。
「…ふん、どうせ切り刻んで殺したか、あるいは灼熱の炎で骨まで残らず燃やし尽くしたかといったところだろう」
アレクが吐き捨てるように答えると、ホムラは一層楽しそうに笑った。
「へぇ、それで…お前はどっちで殺されたい?」
「っ!下がれ!」
顎に手を当てたまま、ニヤリと口角を吊し上げたホムラは、ぐっと地面を踏み締めると、あっという間にアレク達の眼前まで距離を詰めて来た。
キィィィィン!!
ホムラの灼刀と、アレクの長剣が交わり、眩い火花を散らす。変則的に打ち込まれる太刀に、アレクは防ぐのが精一杯であった。
ロイドは盾を構えつつ、ルナとリリスを守り、ルナはいつでも魔法を唱えられるように魔力を練り上げる。
カァン!
アレクの長剣が弾き飛ばされて、リリスの足元まで滑ってきたため、リリスは慌てて長剣を拾い上げた。
「チィッ!」
「アレク!」
ホムラが加虐的な笑みを浮かべながら、アレクに向かってゆらりと灼刀を振り上げた。刀身が勢いよく振り下ろされたと同時に、アレクは後方に飛び退いて灼刀をかわした。
「ルナ!今だ!」
「『闇の暗礁より騒めく怨念よ。彼の者を喰らい尽くせ』《暗黒の流星群》!!」
アレクが距離を取ったことで、漸くルナが攻撃魔法を放つことができた。杖の先から幾つもの闇夜のような漆黒の球が、ホムラ目がけて飛んでいく。闇の上級魔法であり、ほとんどの魔力と引き換えに、ルナの使える最大威力の魔法であった。
「へぇ、面白い魔法を使うもんだな。最近は初級魔法ばっか相手してたからな…」
ホムラは目を輝かせて魔法を見ながら、何やらブツブツ言っている。その間にも、数多の漆黒の球はホムラに襲い掛かろうとしていた。
「いける…!」
ルナは拳を握り締めたが、ホムラは易々と灼刀一太刀で無数の攻撃を切り伏せてしまった。
「…嘘。ルナの魔法が…」
「魔法ってのはな、こういうもんだぜェ」
とっておきの魔法が簡単に打ち消されてしまい、呆然と立ち尽くすルナ。
一方のホムラは、空いた手で火球を作り出すと、灼刀にその業火を纏わせた。その炎はみるみるうちに勢いを増し、龍がとぐろを巻くように唸りをあげ始めた。
「な、に…こんな威力の魔法…敵うわけない」
「ルナ!気をしっかり持って!私たちは炎に耐性のある外套を羽織っているわ!ダメージはそう入らないはずよ!」
顔面蒼白でへたり込むルナに、無理やり魔力回復のポーションを飲ませて叱咤するリリス。だが、顔を青くしているのはルナだけではなかった。
「…いくら耐火の外套とはいえ、あんなのを食らって無事で済むのか…?」
冷や汗を垂らしながら、よろりと後退りをしたのはロイドだ。
「くそっ…くそぉっ…!」
アレクも膝をついたまま、ジロリとホムラを睨みつけることしかできなかった。
何故だ。今まで一度もダンジョン攻略で躓いたことはなかった。それに、今日までしっかりと身体を休めたはずなのに、随分と身体が重かった。
腕力も、脚力も、攻撃力ですら、いつも通りの力を発揮できていない気がする。
眼前に迫る炎の柱を前にして、アレクの心は折れる寸前であった。
「ほらよ」
そんな絶望の淵に立たされたアレク一行に向かって、無情にも、ホムラは灼刀を振り抜いた。もうダメだと4人は肩を抱き合い、死を覚悟した。
炎は渦を巻きながら、勢いよくアレク達に襲いーーーーかからなかった。
ホムラが放った炎はアレク達の真横の床を抉り取り、尚も燃え盛っていた。
一呼吸遅れて助かったと脳が理解し、ホッと息をつくアレク。ふと隣を見るとルナとリリスが啜り泣きをしていた。ロイドも腰を抜かしたようで、燃え盛る炎を焦点の合わない目でぼんやり眺めていた。
(何故、攻撃を当てなかったんだ…?)
アレクは、燃え盛る炎からホムラに視線を戻した。ホムラはブンと灼刀を振ると、肩に灼刀を置いて首を鳴らしている。
「はぁー、全く…手加減して戦うのも骨が折れるな。なぁ、そろそろ真面目に戦ってもいいか?」
傷一つつかずにそんなことを言うホムラに、アレクの顔から血の気がひく。
(ま、まさか…これで手加減していたというのか…?)
ほぼダメージを受けていないホムラに対して、既にアレク達は満身創痍であった。リリスやルナは恐らくもう戦うことはできない。ロイドも完全に心が折れている。
(ダメだ…勝てるわけがない)
これまで負け知らずだったアレクは、初めて敗北という屈辱を味わっていた。
アレク達が戦う気力を失ったことに気づいたのか、ホムラはつまらなさそうに刀を収めた。
「なんだァ?戦意喪失か?はぁーー…やっと力量の差ってもんを悟ったみてぇだな。さて、と。もう少し遊んでやってもいいんだが…おい!そろそろ出てこい」
ホムラは肩越しに後ろを振り向くと、誰かに呼びかけるようにそう言った。しばらくすると、ボスの間の奥でガタタッと物音がした。
「お、お前は……!?」
何故かドラゴンに襟元を咥えられて現れたのは、この世にいるはずのない人物でーーー
「嘘だろ…」
「そんなわけない」
「ま、まさか…」
皆が絶句して見つめる先に居たのは、死んだはずのエレインであった。
70階層ボスの間の重い両扉を開き、アレク達は暗闇の中へ歩みを進めた。
騎士のロイドを先頭に、アレク、ルナ、リリスが続く。
ボスの間の構造は様々であったが、大抵は最奥に玉座があり、謁見の間のような造りになっている。まるでこの空間の王への供物のように、挑戦者は玉座に向かって歩みを進めるのだ。
4人が部屋の中央付近で背を預け合うようにして立ち止まると、ボボボボッと部屋を囲むように設置された燭台に火が灯された。
「よう、待ちくたびれたぜ」
燭台の灯りにぼんやりと浮かび上がる人影。その頭には2本の鋭い角が生えている。
「……お前が『破壊魔神』、この階層の主か」
アレクがゆるりと抜刀し、長剣を構えた。その刀身に燭台の炎が反射して、妖しく揺れている。
ロイドは盾を構え、後ろにルナとリリスを庇う。
「くくっ、そうだ。俺の名は『ホムラ』。まあ好きに呼ぶがいいさ」
次第に目が慣れ、部屋の全容が把握された。おおよそ円形の広い部屋には、天井まで伸びる太い柱が幾つも聳え立っている。燭台はその間を縫うように置かれているようだ。
ホムラと名乗った男は、着物を着崩して片腕を出していた。その手には赤く煌めく灼刀が握られており、その切っ先をゆらゆらと揺らしながらアレク達に近付いて来た。
「へぇ、お前がアレクか?まあ構えはそれなりに見えるじゃねえか」
顎に手を当てて、自分達を観察するように見るホムラ。
「なぜ俺の名を………なるほど、エレインか」
ホムラは飄々としているが、そのプレッシャーは今までの階層主とは比べものにならず、アレクの心臓はばくばくと早鐘のように打ち鳴らされている。たらりと頬を伝った汗が、顎から滴る。
「くくっ、ああ、そうだ。アイツがどうなったか知りたいか?」
何がおかしいのか、ホムラは肩を揺らしながら愉快に笑っている。
「…ふん、どうせ切り刻んで殺したか、あるいは灼熱の炎で骨まで残らず燃やし尽くしたかといったところだろう」
アレクが吐き捨てるように答えると、ホムラは一層楽しそうに笑った。
「へぇ、それで…お前はどっちで殺されたい?」
「っ!下がれ!」
顎に手を当てたまま、ニヤリと口角を吊し上げたホムラは、ぐっと地面を踏み締めると、あっという間にアレク達の眼前まで距離を詰めて来た。
キィィィィン!!
ホムラの灼刀と、アレクの長剣が交わり、眩い火花を散らす。変則的に打ち込まれる太刀に、アレクは防ぐのが精一杯であった。
ロイドは盾を構えつつ、ルナとリリスを守り、ルナはいつでも魔法を唱えられるように魔力を練り上げる。
カァン!
アレクの長剣が弾き飛ばされて、リリスの足元まで滑ってきたため、リリスは慌てて長剣を拾い上げた。
「チィッ!」
「アレク!」
ホムラが加虐的な笑みを浮かべながら、アレクに向かってゆらりと灼刀を振り上げた。刀身が勢いよく振り下ろされたと同時に、アレクは後方に飛び退いて灼刀をかわした。
「ルナ!今だ!」
「『闇の暗礁より騒めく怨念よ。彼の者を喰らい尽くせ』《暗黒の流星群》!!」
アレクが距離を取ったことで、漸くルナが攻撃魔法を放つことができた。杖の先から幾つもの闇夜のような漆黒の球が、ホムラ目がけて飛んでいく。闇の上級魔法であり、ほとんどの魔力と引き換えに、ルナの使える最大威力の魔法であった。
「へぇ、面白い魔法を使うもんだな。最近は初級魔法ばっか相手してたからな…」
ホムラは目を輝かせて魔法を見ながら、何やらブツブツ言っている。その間にも、数多の漆黒の球はホムラに襲い掛かろうとしていた。
「いける…!」
ルナは拳を握り締めたが、ホムラは易々と灼刀一太刀で無数の攻撃を切り伏せてしまった。
「…嘘。ルナの魔法が…」
「魔法ってのはな、こういうもんだぜェ」
とっておきの魔法が簡単に打ち消されてしまい、呆然と立ち尽くすルナ。
一方のホムラは、空いた手で火球を作り出すと、灼刀にその業火を纏わせた。その炎はみるみるうちに勢いを増し、龍がとぐろを巻くように唸りをあげ始めた。
「な、に…こんな威力の魔法…敵うわけない」
「ルナ!気をしっかり持って!私たちは炎に耐性のある外套を羽織っているわ!ダメージはそう入らないはずよ!」
顔面蒼白でへたり込むルナに、無理やり魔力回復のポーションを飲ませて叱咤するリリス。だが、顔を青くしているのはルナだけではなかった。
「…いくら耐火の外套とはいえ、あんなのを食らって無事で済むのか…?」
冷や汗を垂らしながら、よろりと後退りをしたのはロイドだ。
「くそっ…くそぉっ…!」
アレクも膝をついたまま、ジロリとホムラを睨みつけることしかできなかった。
何故だ。今まで一度もダンジョン攻略で躓いたことはなかった。それに、今日までしっかりと身体を休めたはずなのに、随分と身体が重かった。
腕力も、脚力も、攻撃力ですら、いつも通りの力を発揮できていない気がする。
眼前に迫る炎の柱を前にして、アレクの心は折れる寸前であった。
「ほらよ」
そんな絶望の淵に立たされたアレク一行に向かって、無情にも、ホムラは灼刀を振り抜いた。もうダメだと4人は肩を抱き合い、死を覚悟した。
炎は渦を巻きながら、勢いよくアレク達に襲いーーーーかからなかった。
ホムラが放った炎はアレク達の真横の床を抉り取り、尚も燃え盛っていた。
一呼吸遅れて助かったと脳が理解し、ホッと息をつくアレク。ふと隣を見るとルナとリリスが啜り泣きをしていた。ロイドも腰を抜かしたようで、燃え盛る炎を焦点の合わない目でぼんやり眺めていた。
(何故、攻撃を当てなかったんだ…?)
アレクは、燃え盛る炎からホムラに視線を戻した。ホムラはブンと灼刀を振ると、肩に灼刀を置いて首を鳴らしている。
「はぁー、全く…手加減して戦うのも骨が折れるな。なぁ、そろそろ真面目に戦ってもいいか?」
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(ま、まさか…これで手加減していたというのか…?)
ほぼダメージを受けていないホムラに対して、既にアレク達は満身創痍であった。リリスやルナは恐らくもう戦うことはできない。ロイドも完全に心が折れている。
(ダメだ…勝てるわけがない)
これまで負け知らずだったアレクは、初めて敗北という屈辱を味わっていた。
アレク達が戦う気力を失ったことに気づいたのか、ホムラはつまらなさそうに刀を収めた。
「なんだァ?戦意喪失か?はぁーー…やっと力量の差ってもんを悟ったみてぇだな。さて、と。もう少し遊んでやってもいいんだが…おい!そろそろ出てこい」
ホムラは肩越しに後ろを振り向くと、誰かに呼びかけるようにそう言った。しばらくすると、ボスの間の奥でガタタッと物音がした。
「お、お前は……!?」
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