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第二部 パーティに捨てられた泣き虫魔法使いは、ダンジョンの階層主に溺愛される
74. 迎え
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「はぁ…」
エレインが75階層に身をよせて、3日が経過した。この3日間、エレインはウォンに色々なことを教えてもらった。
食用の植物、すりつぶすと傷薬として使える薬草、決して触れてはいけない毒草など、まだまだほんの一部だが、有意義な知識を身につけることができた。
時間があれば風魔法の特訓にも付き合ってもらった。
川で水を汲み、蒸留して飲み水を確保し、食事は基本的には山菜や根菜であるが、稀に狩りをして獣の肉を焼いて食べた。
何かと充実した日々であったが、エレインにとってこの3日間は恐ろしいほどに長く感じた。
(…ホムラさん、今頃何してるんだろう)
手が空くと、つい考えてしまうのはホムラのことばかり。その度にハッとして首をブンブンと振って頭の中からホムラを追い出した。
(帰るタイミングが分からない…)
もういっそこのままウォンとここで暮らそうか。そんなことも何度も考えた。だが、やはりエレインは70階層で、ホムラやアグニと笑って過ごしたい。何度思考をめぐらせてもいつもその結論に至った。
「はぁ…」
「さっきから何度目だ?ずっと溜息をつくぐらいなら戻ればいいだろうに」
幾度も溜息をつくエレインに、ウォンが呆れたように声をかけた。
「うぅ…帰れるものなら帰りたいけど…こんな中途半端な気持ちで帰ってもいいのかなあ」
ただでさえホムラに1人にして欲しいと言われたエレイン。
その上自分が抱いているホムラに対する気持ち。それが一体何なのか、エレインの中で答えは出ていなかった。如何せん、恋のこの字も知らないエレインだ。特定の人物に特別な感情を抱くことももちろん初めての経験で、どうその気持ちと向き合っていいのか分からなかった。
「はぁ…」
大樹の前の木の根に座り、両手で頬杖をついて再度溜息をつくエレイン。
「全く…側から見れば自明であろうものを」
ウォンはエレインに聞こえないようにボソリと呟いた。ウォンははっきりとしないエレインの様子に、呆れるばかりである。
特定の人物を想い、悩み、溜息をつき、また悩む。それは恋煩い以外の何物でもなかろう。ウォンはそう思うのだが、これ以上お節介を焼くつもりもなかった。エレインがエレインなりに気持ちに折り合いをつけて、ホムラと向き合う必要があるのだ。
「おい、もうすぐ日暮の時間だ。魔物が騒ぎ始める前に樹洞の中に戻れ」
「あ、うん。分かった」
すでに早めの夕飯を済ませていたウォンとエレインは、揃って樹洞の中に入った。樹洞の中で、エレインはウォンに教わった香作りや、植物を編み込んでカゴを作って時間を潰す。
手を動かしていると幾分かは気が紛れる。エレインが黙々と作業をしている間、ウォンは何かを待つように時より樹洞の外に視線を移しながら、静かにエレインの様子を眺めていた。
「ふ、どうやら迎えが来たようだぞ」
「え?」
間もなく、樹洞の脇にもたれていたウォンは、外に視線を投げつつエレインに声を掛けた。
エレインは恐る恐る樹洞から身を乗り出すと、ゆっくりと地面に降り立った。
辺りを見渡すと、そよ風に朱色の髪を揺らしながら、ホムラが大樹にもたれかかっているのを見つけた。
その姿を視界に入れた途端、エレインの胸はどきりと高鳴った。
(あれ?どうしたんだろう…)
胸に手を当てて首を傾げるエレインに気付いたホムラが静かに歩み寄る。
「よう」
「ど、どうも…」
3日ぶりの再会であるが、もっとずっと離れていたような気がする。
久しぶりに聞くホムラの声は、少し低くて、とても安心する響きをしていた。
ホムラに視線で促され、2人で並んで木の根に腰掛ける。肩が触れそうで触れない距離を保ちながら、話を切り出すタイミングを互いに測る。
「……俺が正気を失っていた時、怖い思いをさせたよな」
ホムラは静かに、改めて暴走していた時のことを切り出した。
どう答えるのが正解か、答えは分からない。だが、この3日の間で何度も考えたことだ。
エレインは、正直に自分の気持ちを伝えることにした。
「…怖かった…けど、怖くなかったです」
「あァ?どういうことだよ」
エレインの曖昧な答えに、ホムラが首を傾げる。
「ホムラさんのことが、怖いとは思わなかったです。でも、でも…ホムラさんが…意地悪だけど、面倒見が良くて、優しくて…そんないつものホムラさんに戻らなかったらどうしようって、そのことがとても、怖かったです」
ギュッと自分の身体を抱きしめるようにして、エレインが絞り出した言葉。その言葉を受けて、ホムラも静かに言葉を紡いだ。
「……俺も、怖かった」
「えっ」
ホムラの口からそんな言葉が出ると思わなかったエレインは、思わずホムラの方を振り向いた。すると、思ったよりも至近距離に真面目な顔をしたホムラが居て、慌てて俯いた。何故だか真っ直ぐにホムラの目を見ることができなかった。
「あの時、俺はダンジョンに住む魔物だってことを心底痛感した。身体の奥深くには破壊衝動があって、その本能のようなものが掻き回されるみてぇだった。いつか、この手でお前を深く傷付けるんじゃねぇかって…それに、そんな俺の獣の部分を見たお前に…見限られるんじゃないかって、怖かった。だからあの時、お前のことを壊しちまいそうで…向き合うことが出来なかった」
エレインは静かにホムラの言葉に耳を傾ける。
「俺は、お前がダンジョンに戻って来たあの日誓ったんだ。何があっても俺がお前を護るってな。だが、その俺がお前を傷つけたんじゃ…本末転倒だろうが」
「ホムラさ…」
エレインが口を開こうとした時、目の前にシャランと何かが差し出された。
「ほらよ」
「え…これって…」
ホムラが素気なく突き出した手には、薄紫色の魔石のペンダントがぶら下がっていた。
エレインはペンダントを受け取り、魔石をじっと見つめる。エレインの瞳と同じ色だ。
「…治癒師に聞いた。地上じゃ、瞳の色と同じ魔石の装飾品を大切な奴にやるんだろ?やるよ」
「え…?」
エレインはキョトンと首を傾げる。ホムラが素っ気なく語った地上の流行りについて、エレインは心当たりがなかったからだ。
「…は?もしかして、知らなかったのか?」
その様子に、ホムラは信じられないといったように目を見開いた。
「えっと、はい…」
「はぁー…」
エレインが気まずげに頷くと、ホムラは肩を落として脱力した。
「あの、ホムラさん…た、大切な奴って…えっと…」
エレインはホムラがさっき発した言葉が気になり、おずおずと尋ねた。すると、ホムラは少し不貞腐れた顔をしながらも、真っ直ぐにエレインの目を見て言った。
「チッ……あぁ、認めるよ。お前は俺にとって大切な存在だ。もう二度と、お前を傷付けねぇと誓う。だからよ…戻って来い」
「………はい」
エレインはふにゃりと笑みを溢すと、こてんとホムラの肩にもたれ掛かった。ホムラは少しびくりと肩を強張らせたが、ゆっくりと肩の力を抜いてエレインの体重を受け止めた。
「…」
「…何見てんだよ」
「えへへ、何でもありません」
エレインが肩にもたれたまま、上目遣いでホムラを見つめると、ホムラは罰が悪そうに口角をへの字に曲げた。だが、その表情に嫌悪感はなく、どことなく目元が赤らんでいる気がする。
(あったかい…)
エレインとホムラはしばらく肩を寄せ合っていた。とくんとくんと、心臓がいつもより少し早めの鼓動を刻む。その音色さえも心地よかった。
やはり、ホムラの隣はとても安心する。
チラリとホムラに視線を投げると、それに気付いたホムラが今度は優しい笑みを返してくれた。
ホムラが微笑むと、胸がぎゅうっと掴まれるようで、苦しくて、だけど嫌じゃない。
(そっか…この気持ちが…)
エレインはようやく自分の気持ちを自覚した。散々悩みまくった答えが、ホムラと会うことで、いとも簡単にスッと心に落ちた。
いつの間にか心に芽生えていた淡い恋心。
願わくば、ずっと、この優しい鬼神の隣に居たい。
ーーーそのためにも、『大切な存在』、その温かくも心地よい立ち位置にすっぽり収まることを許して欲しい。
エレインは今の関係を壊さないためにも、この気持ちをホムラには伝えずに、大事に心に留めておこうと誓った。
だが、再びチラリと見上げたホムラは、何だか開き直ったような顔をしている。
「…数日離れて分かったんだが、俺はお前のことを手放したくねぇみてぇだわ」
「…え?」
ホムラの発した言葉に、エレインは身体を真っ直ぐ正して首を傾げる。
「ま、自覚しちまったからには…これからは遠慮はしねぇってこった。覚悟しとけよ」
ホムラは頭を掻きながら立ち上がり、エレインに向かって宣誓するようにそう言った。
「???はい」
エレインはホムラの言葉の意図がよく分からなかったが、首を傾げながらとりあえず頷いておいた。
ホムラは「こいつ分かってんのか?」と明らかに顔に出ていたが、一つ息を吐くと、エレインに手を差し出した。
「おら、帰るぞ。アグニも心配してるしな」
そして、優しい笑みを浮かべた。
「…はい!」
エレインは躊躇うことなくその手を取った。しっかりと手を繋ぎ、しばし視線を交わす2人。
不意にホムラが大樹の方を振り返った。そこにはやれやれと肩をすくめるウォンが佇んでいた。
「…世話んなったな」
「ふ、せいぜい手放さないように頑張ることだ」
「言われなくてもそうするさ」
ホムラとウォンは一瞬バチりと火花を飛ばしたが、挨拶を交わすとその場を後にした。
離れた位置に用意されていた魔法陣に乗り、エレインは数日ぶりに70階層へと帰還した。
ホムラと共にーーー
エレインが75階層に身をよせて、3日が経過した。この3日間、エレインはウォンに色々なことを教えてもらった。
食用の植物、すりつぶすと傷薬として使える薬草、決して触れてはいけない毒草など、まだまだほんの一部だが、有意義な知識を身につけることができた。
時間があれば風魔法の特訓にも付き合ってもらった。
川で水を汲み、蒸留して飲み水を確保し、食事は基本的には山菜や根菜であるが、稀に狩りをして獣の肉を焼いて食べた。
何かと充実した日々であったが、エレインにとってこの3日間は恐ろしいほどに長く感じた。
(…ホムラさん、今頃何してるんだろう)
手が空くと、つい考えてしまうのはホムラのことばかり。その度にハッとして首をブンブンと振って頭の中からホムラを追い出した。
(帰るタイミングが分からない…)
もういっそこのままウォンとここで暮らそうか。そんなことも何度も考えた。だが、やはりエレインは70階層で、ホムラやアグニと笑って過ごしたい。何度思考をめぐらせてもいつもその結論に至った。
「はぁ…」
「さっきから何度目だ?ずっと溜息をつくぐらいなら戻ればいいだろうに」
幾度も溜息をつくエレインに、ウォンが呆れたように声をかけた。
「うぅ…帰れるものなら帰りたいけど…こんな中途半端な気持ちで帰ってもいいのかなあ」
ただでさえホムラに1人にして欲しいと言われたエレイン。
その上自分が抱いているホムラに対する気持ち。それが一体何なのか、エレインの中で答えは出ていなかった。如何せん、恋のこの字も知らないエレインだ。特定の人物に特別な感情を抱くことももちろん初めての経験で、どうその気持ちと向き合っていいのか分からなかった。
「はぁ…」
大樹の前の木の根に座り、両手で頬杖をついて再度溜息をつくエレイン。
「全く…側から見れば自明であろうものを」
ウォンはエレインに聞こえないようにボソリと呟いた。ウォンははっきりとしないエレインの様子に、呆れるばかりである。
特定の人物を想い、悩み、溜息をつき、また悩む。それは恋煩い以外の何物でもなかろう。ウォンはそう思うのだが、これ以上お節介を焼くつもりもなかった。エレインがエレインなりに気持ちに折り合いをつけて、ホムラと向き合う必要があるのだ。
「おい、もうすぐ日暮の時間だ。魔物が騒ぎ始める前に樹洞の中に戻れ」
「あ、うん。分かった」
すでに早めの夕飯を済ませていたウォンとエレインは、揃って樹洞の中に入った。樹洞の中で、エレインはウォンに教わった香作りや、植物を編み込んでカゴを作って時間を潰す。
手を動かしていると幾分かは気が紛れる。エレインが黙々と作業をしている間、ウォンは何かを待つように時より樹洞の外に視線を移しながら、静かにエレインの様子を眺めていた。
「ふ、どうやら迎えが来たようだぞ」
「え?」
間もなく、樹洞の脇にもたれていたウォンは、外に視線を投げつつエレインに声を掛けた。
エレインは恐る恐る樹洞から身を乗り出すと、ゆっくりと地面に降り立った。
辺りを見渡すと、そよ風に朱色の髪を揺らしながら、ホムラが大樹にもたれかかっているのを見つけた。
その姿を視界に入れた途端、エレインの胸はどきりと高鳴った。
(あれ?どうしたんだろう…)
胸に手を当てて首を傾げるエレインに気付いたホムラが静かに歩み寄る。
「よう」
「ど、どうも…」
3日ぶりの再会であるが、もっとずっと離れていたような気がする。
久しぶりに聞くホムラの声は、少し低くて、とても安心する響きをしていた。
ホムラに視線で促され、2人で並んで木の根に腰掛ける。肩が触れそうで触れない距離を保ちながら、話を切り出すタイミングを互いに測る。
「……俺が正気を失っていた時、怖い思いをさせたよな」
ホムラは静かに、改めて暴走していた時のことを切り出した。
どう答えるのが正解か、答えは分からない。だが、この3日の間で何度も考えたことだ。
エレインは、正直に自分の気持ちを伝えることにした。
「…怖かった…けど、怖くなかったです」
「あァ?どういうことだよ」
エレインの曖昧な答えに、ホムラが首を傾げる。
「ホムラさんのことが、怖いとは思わなかったです。でも、でも…ホムラさんが…意地悪だけど、面倒見が良くて、優しくて…そんないつものホムラさんに戻らなかったらどうしようって、そのことがとても、怖かったです」
ギュッと自分の身体を抱きしめるようにして、エレインが絞り出した言葉。その言葉を受けて、ホムラも静かに言葉を紡いだ。
「……俺も、怖かった」
「えっ」
ホムラの口からそんな言葉が出ると思わなかったエレインは、思わずホムラの方を振り向いた。すると、思ったよりも至近距離に真面目な顔をしたホムラが居て、慌てて俯いた。何故だか真っ直ぐにホムラの目を見ることができなかった。
「あの時、俺はダンジョンに住む魔物だってことを心底痛感した。身体の奥深くには破壊衝動があって、その本能のようなものが掻き回されるみてぇだった。いつか、この手でお前を深く傷付けるんじゃねぇかって…それに、そんな俺の獣の部分を見たお前に…見限られるんじゃないかって、怖かった。だからあの時、お前のことを壊しちまいそうで…向き合うことが出来なかった」
エレインは静かにホムラの言葉に耳を傾ける。
「俺は、お前がダンジョンに戻って来たあの日誓ったんだ。何があっても俺がお前を護るってな。だが、その俺がお前を傷つけたんじゃ…本末転倒だろうが」
「ホムラさ…」
エレインが口を開こうとした時、目の前にシャランと何かが差し出された。
「ほらよ」
「え…これって…」
ホムラが素気なく突き出した手には、薄紫色の魔石のペンダントがぶら下がっていた。
エレインはペンダントを受け取り、魔石をじっと見つめる。エレインの瞳と同じ色だ。
「…治癒師に聞いた。地上じゃ、瞳の色と同じ魔石の装飾品を大切な奴にやるんだろ?やるよ」
「え…?」
エレインはキョトンと首を傾げる。ホムラが素っ気なく語った地上の流行りについて、エレインは心当たりがなかったからだ。
「…は?もしかして、知らなかったのか?」
その様子に、ホムラは信じられないといったように目を見開いた。
「えっと、はい…」
「はぁー…」
エレインが気まずげに頷くと、ホムラは肩を落として脱力した。
「あの、ホムラさん…た、大切な奴って…えっと…」
エレインはホムラがさっき発した言葉が気になり、おずおずと尋ねた。すると、ホムラは少し不貞腐れた顔をしながらも、真っ直ぐにエレインの目を見て言った。
「チッ……あぁ、認めるよ。お前は俺にとって大切な存在だ。もう二度と、お前を傷付けねぇと誓う。だからよ…戻って来い」
「………はい」
エレインはふにゃりと笑みを溢すと、こてんとホムラの肩にもたれ掛かった。ホムラは少しびくりと肩を強張らせたが、ゆっくりと肩の力を抜いてエレインの体重を受け止めた。
「…」
「…何見てんだよ」
「えへへ、何でもありません」
エレインが肩にもたれたまま、上目遣いでホムラを見つめると、ホムラは罰が悪そうに口角をへの字に曲げた。だが、その表情に嫌悪感はなく、どことなく目元が赤らんでいる気がする。
(あったかい…)
エレインとホムラはしばらく肩を寄せ合っていた。とくんとくんと、心臓がいつもより少し早めの鼓動を刻む。その音色さえも心地よかった。
やはり、ホムラの隣はとても安心する。
チラリとホムラに視線を投げると、それに気付いたホムラが今度は優しい笑みを返してくれた。
ホムラが微笑むと、胸がぎゅうっと掴まれるようで、苦しくて、だけど嫌じゃない。
(そっか…この気持ちが…)
エレインはようやく自分の気持ちを自覚した。散々悩みまくった答えが、ホムラと会うことで、いとも簡単にスッと心に落ちた。
いつの間にか心に芽生えていた淡い恋心。
願わくば、ずっと、この優しい鬼神の隣に居たい。
ーーーそのためにも、『大切な存在』、その温かくも心地よい立ち位置にすっぽり収まることを許して欲しい。
エレインは今の関係を壊さないためにも、この気持ちをホムラには伝えずに、大事に心に留めておこうと誓った。
だが、再びチラリと見上げたホムラは、何だか開き直ったような顔をしている。
「…数日離れて分かったんだが、俺はお前のことを手放したくねぇみてぇだわ」
「…え?」
ホムラの発した言葉に、エレインは身体を真っ直ぐ正して首を傾げる。
「ま、自覚しちまったからには…これからは遠慮はしねぇってこった。覚悟しとけよ」
ホムラは頭を掻きながら立ち上がり、エレインに向かって宣誓するようにそう言った。
「???はい」
エレインはホムラの言葉の意図がよく分からなかったが、首を傾げながらとりあえず頷いておいた。
ホムラは「こいつ分かってんのか?」と明らかに顔に出ていたが、一つ息を吐くと、エレインに手を差し出した。
「おら、帰るぞ。アグニも心配してるしな」
そして、優しい笑みを浮かべた。
「…はい!」
エレインは躊躇うことなくその手を取った。しっかりと手を繋ぎ、しばし視線を交わす2人。
不意にホムラが大樹の方を振り返った。そこにはやれやれと肩をすくめるウォンが佇んでいた。
「…世話んなったな」
「ふ、せいぜい手放さないように頑張ることだ」
「言われなくてもそうするさ」
ホムラとウォンは一瞬バチりと火花を飛ばしたが、挨拶を交わすとその場を後にした。
離れた位置に用意されていた魔法陣に乗り、エレインは数日ぶりに70階層へと帰還した。
ホムラと共にーーー
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