司祭シエルは今日も優雅な神殿生活を謳歌する

斗成

文字の大きさ
15 / 15

最終話 司祭シエルの優雅な日常

しおりを挟む
 エリーゼが旅立った後も、神殿には変わらぬ静寂が訪れていた。春の風が木々を揺らし、庭に植えたハーブや花々の香りが、シエルの心を穏やかに満たしてくれる。

 朝は、祈りと共に始まる。祭壇に灯をともし、静かに目を閉じて、神に感謝を捧げる。特別な言葉は要らない。ただ、この穏やかな日々が続くことを願う。

 朝食は、自分で育てた野菜を使ったシンプルなもの。パンを焼き、ハーブを混ぜたオムレツを作る。丁寧に淹れたお茶と共に、ゆっくりと味わう。

 食後は、書斎にこもり、古文書を読む。歴史、哲学、芸術。様々な知識が、シエルの心を豊かにする。時折、難しい言葉に出会うが、それもまた楽しい。

 昼になると、領民が相談に訪れる。作物の不作、家族の問題、些細な喧嘩。シエルは、彼らの言葉に耳を傾け、出来る限りの助言を与える。解決できない問題もあるが、ただ話を聞くだけでも、彼らの心は軽くなるようだ。

 午後は、庭の手入れをする。花に水をやり、雑草を抜く。土に触れていると、心が落ち着く。植物たちは、シエルの言葉を理解しているかのように、すくすくと育っていく。

 夕食は、その日に採れた野菜を使った料理。スープを作ったり、サラダを作ったり。簡単なものが多いが、どれも美味しい。

 食後は、音楽を奏でる。ピアノを弾いたり、ヴァイオリンを弾いたり。アエムロリアの讃歌や、世界中で有名な曲、そして、自作の曲を演奏する。音楽は、シエルの心を自由にさせてくれる。

 夜は、星空を眺める。神殿の庭は、街の明かりが届かないため、星がよく見える。無数の星々が、シエルの心を宇宙へと誘う。

 就寝前には、日記をつける。その日にあった出来事、感じたこと、考えたことを書き留める。日記は、シエルの心の整理を手伝ってくれる。

 そして、眠りにつく。穏やかな呼吸と共に、深い眠りにつく。夢の中で、シエルは、様々な場所を旅する。美しい景色を見たり、懐かしい人々と出会ったり。

 時折、エリーゼから手紙が届く。彼女は、各地で人々の役に立ち、成長しているようだ。シエルは、エリーゼの活躍を喜び、彼女の未来に幸多からんことを祈る。

 シエルは、自分の選んだ静かな生活に満足している。王都での華やかな生活よりも、この辺境の神殿での穏やかな日々の方が、彼には合っている。

 力を持っているからといって、それを人の為に使うべきとは考えていない。ただ、自分の住んでる環境を良くしたいだけ。神殿に来るものを助け、自分の庭を愛でる。それだけで、十分なのだ。

 今日も、シエルは、優雅な神殿生活を謳歌する。太陽の光を浴び、風の音を聞き、土の匂いを嗅ぎながら。

 そして、明日もまた、同じように、穏やかな一日が始まるだろう。ロスドワーヌの静かな神殿で、シエルの優雅な日常は、これからも続いていく。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった

海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····? 友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

大好きなおねえさまが死んだ

Ruhuna
ファンタジー
大好きなエステルおねえさまが死んでしまった まだ18歳という若さで

新緑の光と約束~精霊の愛し子と守護者~

依羽
ファンタジー
「……うちに来るかい?」 森で拾われた赤ん坊は、ルカと名付けられ、家族に愛されて育った。 だが8歳のある日、重傷の兄を救うため、ルカから緑の光が―― 「ルカは精霊の愛し子。お前は守護者だ」 それは、偶然の出会い、のはずだった。 だけど、結ばれていた"運命"。 精霊の愛し子である愛くるしい弟と、守護者であり弟を溺愛する兄の、温かな家族の物語。 他の投稿サイト様でも公開しています。

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

処理中です...