神すら喰らいしスキルと世界に抗う大罪スキル

てる

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1:世の中、中々上手くいかないもんだ。大体が妖怪の所為ではと疑うのも無理なかろう

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 城木 宗太しろき そうた 十四歳。
 特段容姿が良いとか頭が良いとかはなく、平凡などこにでもいる普通の少年。敢えて言うなら女の人に弱いと言う事位だろう。

 もし、『何故女性に弱いのか?』と聞かれれば、大抵は姉などの影響、もしくは知り合いの女の子の影響でそうなったとなるのが多いだろう。しかし宗太には姉はもちろんの事、妹もいない。女の子の友達はいない訳ではないが友達の影響でもない。

 影響の主は母ーー城木 涼香しろき りょうかーーが大きかったと言える。

城木家は母子家庭であった。その為母親である涼香が仕事と育児の両方をしなければならず、その姿を見て育ってきた宗太は、何か自分にも出来る事はないか、助けたいと言う思いを抱き積極的に行動した。
    そんなことがあり『女の人=助けてあげなければ』という風になったのだ。

 生きていく為にはお金が必要であり、お金を稼ぐ為には働く事が絶対と言えるだろう。母子家庭だからといって不自由な生活はさせたくないという思いから涼香は宗太のために仕事に打ち込んだ。

 土日は基本的に休みではあるが、宗太は母が仕事で疲れているからと思い、わがままを言わずにいた。それを察していた涼香は内心申し訳ない気持ちになりながらごめんね。と宗太に謝ることが多々あった。



 その日は珍しく母が出掛けよう!と言って外出した。
     母と一緒に外出するのは久しぶりで気分が高揚していた。良い一日だな。と少しどころかかなり浮かれていた。

    だからだろうか…こちらに向かって突っ込んでくる車に気づかなかったのは…



 止めどなく流れ出る血、電柱にぶつかり変形した車、そこかしこから聞こえる悲鳴。片側二車線の合わせて四車線の道路。左右の道にはお店が立ならんでいる。その所為もあり、すぐに人が集まってくるのが薄れる意識の中に見える。

その中の誰かが救急車を呼んでくれたのだろう。遠くから鳴り響く間延びしたような救急車の音を聞きながら宗太は自分より母さんを助けてくれと、ただ心の中で神に祈るしかできなかった。


 意識が朦朧とする中、救急隊員が母親の状態を確認するのが窺えた。が、確認作業をしていた救急隊員が首を左右に振り、手遅れだと沈痛な面持ちで言ったのを段々と沈みゆく意識の中で聞いた。

    その瞬間、怒りもしくはそれを超える何かーー怒りより強い感情ーーを覚えた。 


 神を憎んだ。


 身体は動かない。
    流れ出る血でTシャツは真っ赤に染まっている。

 意識は落ちる寸前。それでもたった一つの願いも聞いて貰えなかった、神と言う存在を憎んだ。

 巫山戯るなっ!と。お門違いなのはわかってはいたがそれ以外考えられなかった。
    

    強い感情を抱きながらこうして宗太は短い生涯に幕を下ろした。













 眼を開けるとそこには見知らぬ人物ーー男女ーーと天井が映った。
   見知らぬ二人は、まだ十代後半から二十代前半位と年若いように見える。


「あら、セリム 起きたの?」


 そう言い話しかけてくる女の人。最初、何言ってんだこいつ?セリムって誰だよ!とツッコもうとしたが言葉が出てこず、意味をなしていない、あーとかうーとか言う単語だけがかろうじて出てきただけだった。



「セリム、起きたのか。ママだけじゃなくパパにも顔を見せてくれ~」


 そういって近寄ってきたのは先程の女の人と一緒にいた男の人だった。危うくまたツッコみそうになるが何故か突っ込めないのでそのままスルーすることにする。

 見知らぬ男女に話しかけられながら、会話を聞いていると分かったことがある。

 俺こと宗太は、この二人の子供らしかった。
    二人は女の人がシトリア。重いという印象の無い黒っぽい紫色のセミロングで日本人に似ている綺麗な人だった。特におっぱいが大きかったのがいい。大きすぎず小さすぎない。
    俺も生前は男だしーーこの世界では赤ん坊な為まだ確認できないが、おっぱいには弱いのだろう…

 男の人はハンスと言うらしい。灰色がかった茶髪でアップバングのショートヘアと言うのだろうか…詳しくないからわからないがそんな感じの中々爽やかな感じの人物だ。

 どうゆう訳か俺はセリムとしてまったく知らない土地ーー見た感じ生前の世界とは違うーーで新たな人生を得たというのを理解した。
    多少は何故?と言う疑問もあったが、然程混乱もしなかった。

 生前あまりお金を使わないようにしていたこともあり、図書館などで本を読んだりしていた。その時に読んだ本の中に死んだ主人公が転生するという話があったのを覚えていたからかもしれない。
    そんなことを考えていると妙な引っ掛かりを覚えた。


(母さんはどうなったのか…)


 俺はこうして第二の人生を得る事が出来ている。
    ならっ…と考えた所ですぐに結論は出てしまう。

 そう都合よく物事はいかないと。

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