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24:8つ目の神敵スキル保持者
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翌。
キーラとのことがあってから一日がたった。いつも通り、顔を洗い朝食をとる。そして冒険者ギルドへと向かう。
「そろそろ本格的に金を稼がないとな。まずは魔石だけでも売っとくか」
売るためだけに魔石は集めていたので特にとっておきたい等とは思わない。素材に関しても正直集めるのが面倒だなと思っているので大体売ってしまう。それでもオーダーメイドで武器を作るなら必要になるのだが…
冒険者ギルドへと到着する。とそこでは何やら人だかりができていた。未だ十時位なのでこれから依頼を受けて出る連中で込んでるんだろうと思い、空くまでモンスターの情報が載った紙を見ておくことにするのだった。
●オーク
〇生態に関して
・非常に性欲が強く人間の女など見境なく襲って犯す。
・雑食で何でも食べる。
・動きは緩慢で格下の冒険者でも倒すことはできないわけではない。
〇スキル
・スキルは基本的に筋力強化、体力強化、咆哮、受け流し、この四つを持つものが多いとされる。オークの身体の脂肪、スキル受け流しにより打撃は効きにくい。剣などの斬撃系の武器で戦うことがいい。
・咆哮を食らうと耐性が低い者は少しの間は身体が動きずらくなるため注意が必要。
とまぁ、ざっくり書かれていた。先日戦ったオークに打撃が効きにくかった理由が判明した。大方予想はできていたが…思ったよりも詳細な情報が載っていた為他のページも読んでみることにする。
すると周りがざわめき始めた。何事かとセリムもそちらに視線を向ける。そこでは人垣を割って中からレイニーが出てくるところだった。
酒場などにいた冒険者たちも他の奴が何に騒いでいるのか気になるようでさっきから人垣の方へと向き直っていたり、直接確かめに行っている。
(何か祭り事でもやるのか?)
興味がないわけじゃなかったが、人が多いところにわざわざ行きたいとは思わない性質なのでそのまま紙をめくっていく。
「セリムは見に行かないのか?」
「おはよう、セリム」
そう言って話しかけてきたのはこの都市で初めてあった冒険者ラッツとメルの二人だ。
「おはよう。まぁ、人が多いからな」
「苦手なの?」
何か意外そうな感じで問うメル。メルとしてはセリムが試合をしたときに人が大勢集まり、その中で戦ったのを知っていたのでああゆうのは好きなんじゃないかと思ったのだ。実際には人垣と試合での人垣では違うものがあるのだが。
「心外だな、俺にも苦手なものはある。あれが男ばっかな集団ってことも関係するが…逆に女の集団なら喜んで飛び込むぞ」
そういってメルの方向を向くとひきつり顔もしくは引いた顔をしながら物理的に距離をとっていた。
「セリムってもしかしてそうゆう目で私を見てたの?」
「だったら嬉しいか?」
ここで少しは照れたりすれば可愛げがあるのかもしれないが生憎そんなものはなかった。セリムのからかいにメルが悲鳴にも似た声を上げる。その横でラッツはちょっと顔を赤くしていた。この程度で赤くなるとはさては童貞か?とも思ったがセリムとしても同じなのでそこは言わない。
「で、あの集団は何なんだ?」
最初の話に戻る。セリムとしても気にはなっていたので聞いてみることにしたのだ。
人垣の方へ視線を向けたラッツは自分たちに他の冒険者たちの視線が向いているのに気づく。視線にさらされて多少居心地悪くなりながらも話し出す。
「それがさ、俺たちもまだ見てないんだ」
どうやら二人もまだ人だかりの意味を知らないようだった。セリムとしては二人が知って入れば良かったなと思っていたのだが、それは残念ながら期待外れだったようだ。
「そうか。なら、見てきたら教えてくれ」
見てきたら教えろと自分はあくまでも行かないスタンスを貫く。
「ったく、今回だけだぞ」
二人は微妙な表情をしながらも了承してくれた。その表情には仕方がないと言うよりも周りの視線を気にしての事だった。その為、二人はそそくさとこの場を離れていった。また戻ってくるはめになるのだが。
中々いい奴等だ。そう思いながら二人を眼で追う。そこで、皆がこちらを遠巻きに見ているのに気が付いた。
(何だ? 何かしただろうか)
セリムとしては特に思い当たる節は無かった。あるとすれば自分がルーキーだからってことで調子乗んなよ的なものかと思ったくらいだ。実際にはそんな事ではないのだが。
周りの冒険者はセリムが両試合で見せた力に対して興味を持っていたのだ。ルーキーということでまだどこのパーティ属してしない筈だ、あの戦力を取り込めれば今までよりも金もランクも上に行けると。だが、どうやって取り込めばいいかがわからずにいた。無理にやれば力ずくで潰されるんじゃないかと思っていたからだ。しかし、このままではラッツの所にとられかねないという思いもありラッツ達にも牽制の意味を込めた睨みをおくっていたのである。
「セリム、見てきたぞー」
周りの視線が刺さる中セリムに話かけてくる。二人としてはまったくと言っていいほど関係のないことで見られている為かなり居心地が悪いのだが律義と言うか真面目と言うか戻ってきて報告しにきてくれたのだ。
「何だったんだ?」
「重大ニュースだったよ」
早くこの場から立ち去りたいのかメルが話に割りこんできて話し出す。
「新たに指名手配者が追加されたんだよ。しかも、神敵スキル保持者らしいって」
その言葉を聞いた瞬間セリムは内心まさかっと焦りを覚えた。単なる偶然ならいいがと思いながらも立ち上がり人垣の所へと向かう。平静を保ちつつ、ゆっくりと慌てずに。
「セリム、どうしたんだ?」
話を聞いた瞬間いきなり立ち上がったように見えたセリムに対して、ラッツはどうしたのかと疑問をぶつける。しかしそれに応える事はせず、人垣に向かうセリム。顔を見合わせる二人。
「悪い、通してくれ」
言いながら人垣を割って入っていく。セリムが入っていくと皆が身を引いていく。ここ数日でセリムの事は結構広まっており皆どう接するか迷っていたので遠慮があったのだ。
人垣を割り、依頼ボードの隣になる指名手配者ボードに辿り着く。そこには新たに追加された手配者の情報が張られていた。
・ソート村にて新たな八つ目の神敵スキル保持者と思われる者を発見。歳は七歳前後。見た目は茶髪で子供。
スキル名:神喰
知っている者がいれば直ちに情報提供を求む。
これが掲載されていた新たな保持者の情報だった。
かなり簡素な書き方ではあるが情報としては何一つ間違っていない。ただ、今のセリムとは外見が違うそれだけだ。どうやらこの情報を流し奴はそこまでは考えていないらしい。そもそも考えるやつの方が少ないと思うが。
(クソっが… 完全に俺の事じゃねーかよ)
内心では違う…否、そうであってほしいと思っていたセリム。だがその思いは無残にも裏切られ、自身の内容が掲載されていた。
セリムは情報を見終えるとその場を立ち去る為に人垣からでた。
(暢気に冒険者なんてしてる場合じゃねーな。力を早く力を付けないと…)
改めて自身の立場を理解させられるセリム。いつかはこうなるとは思っていた。だがセリムが思っていたよりも早かったのだ。
「セリムさん、ちょっといいですか」
話しかけてきたのはフィーネだった。
「何です?」
表情には出さないものの内心今は話しかけられたくなかった。その所為で少しつっけんどんな言い方になってしまった。
「マスターが話があるというので付いてきてもらえますか?」
それを少しも気にした様子もなく丁寧に話すフィーネ。しかも笑顔付きだ。今このタイミングでギルドマスターからの話ということで、一瞬嫌な考えが頭を過るが、いくらなんでも早すぎると打ち消す。それから「わかりました」と返事をする。
フィーネに連れられて二階の右手奥、二番目のドアに案内された。フィーネがノックをし連れてきたという旨を伝えると中から返事が返ってくる。
「入ってちょうだい」
中に入るとそこにレイニーとアーサーがいた。二人とも椅子に腰を掛けてこちらを見ている。レイニーに促されセリムも椅子に腰を掛けるとフィーネが紅茶の準備をして運んできてくれた。紅茶の準備が終わると同時にフィーネは退出してしまった。
紅茶やコーヒーは得意ではないのだが今は気にするようなこともない。まず、飲まなければいい話なのだから。
「で、話とは?」
セリムは先程の手配の事かもしれないと自意識過剰な事を考えていたがさすがにあれだけの情報で正体が分かるはずもない。それは次のレイニーの言葉で今回の話の内容が関係ないものだと証明された。
「いきなりね、まぁいいわ。話と言うのはあなたのギルドランクに関する事よ」
思ってもみない事に顔を訝し気な顔になるセリム。
「私たちはあなたの実力を高く評価しているわ。その年で持てる実力はとても高い。同年代では間違いなくトップじゃないかしらね」
その瞬間セリムは自身の身に冷汗が流れるような感覚を覚えた。今回呼ばれたのは、手配の事と関係がないとわかったがそれでも自身の事について言われ、もしかして知っているのかと勘ぐってしまったのだ。
「それにより特例としてDランク冒険者に無条件昇格させることに決めたの。今日はそれを伝えるために呼んだのよ。Dランクはモンスターを狩りに行ける一番低いランクだけどそこは勘弁して頂戴ね。いきなりCとかにすると周りの反感も買ってしまいかねないから」
そうかと一言だけいい、話の続きはあるかと眼で問うが首を横に振られ話がないのを確認し、退出しようと立ち上がりかけた時、私の話は終わりだけどアーサーからあるわと再び言われ席に着く。
「悪いな、今聞いて貰った通りお前は今日からDランク冒険者だ。受付に行ってカードに記入してもらえ」
「わざわざそんな事を言う為に?」
アーサーはため息をつきなら本題はこれからだと言い話しだす。
「お前の世話というか俺が見る事になった」
「必要ない」
きっぱりと断るセリム。世話と言うのがセリムにとって邪魔にしかならないと思ったからだ。
「まぁ、そう言うな。 ギルドとしても先輩冒険者としても将来有望な者が戦闘ミスして死にました、なんて事にしたくないんだよそれにお前はDランクになったことによって高ランクの冒険者の戦闘に荷物持ちと言う名目で着いてていくことが許される」
この意味が分かるかと問われ少し考える。荷物持ちと言う名目で着いていくと言う事は、そのついていく高ランク冒険者が受ける依頼のモンスターと相対する可能性が出てくるわけだ。
「そうゆう事か…」
「分かってもらえたようで何よりだ」
誰かについて回るのは正直非効率だが格上のモンスターとやれるというのは今現在のセリムにしてみれば魅力的な提案だった。その為、受け入れることにしたのである。
「あぁ、言い忘れてたけど、俺キーラの面倒も見てっから一緒に行動することになっけどな」
だが、そこでアーサーから爆弾?が投下されたことによりやっぱりやめようかと思ってしまうセリムであった。
キーラとのことがあってから一日がたった。いつも通り、顔を洗い朝食をとる。そして冒険者ギルドへと向かう。
「そろそろ本格的に金を稼がないとな。まずは魔石だけでも売っとくか」
売るためだけに魔石は集めていたので特にとっておきたい等とは思わない。素材に関しても正直集めるのが面倒だなと思っているので大体売ってしまう。それでもオーダーメイドで武器を作るなら必要になるのだが…
冒険者ギルドへと到着する。とそこでは何やら人だかりができていた。未だ十時位なのでこれから依頼を受けて出る連中で込んでるんだろうと思い、空くまでモンスターの情報が載った紙を見ておくことにするのだった。
●オーク
〇生態に関して
・非常に性欲が強く人間の女など見境なく襲って犯す。
・雑食で何でも食べる。
・動きは緩慢で格下の冒険者でも倒すことはできないわけではない。
〇スキル
・スキルは基本的に筋力強化、体力強化、咆哮、受け流し、この四つを持つものが多いとされる。オークの身体の脂肪、スキル受け流しにより打撃は効きにくい。剣などの斬撃系の武器で戦うことがいい。
・咆哮を食らうと耐性が低い者は少しの間は身体が動きずらくなるため注意が必要。
とまぁ、ざっくり書かれていた。先日戦ったオークに打撃が効きにくかった理由が判明した。大方予想はできていたが…思ったよりも詳細な情報が載っていた為他のページも読んでみることにする。
すると周りがざわめき始めた。何事かとセリムもそちらに視線を向ける。そこでは人垣を割って中からレイニーが出てくるところだった。
酒場などにいた冒険者たちも他の奴が何に騒いでいるのか気になるようでさっきから人垣の方へと向き直っていたり、直接確かめに行っている。
(何か祭り事でもやるのか?)
興味がないわけじゃなかったが、人が多いところにわざわざ行きたいとは思わない性質なのでそのまま紙をめくっていく。
「セリムは見に行かないのか?」
「おはよう、セリム」
そう言って話しかけてきたのはこの都市で初めてあった冒険者ラッツとメルの二人だ。
「おはよう。まぁ、人が多いからな」
「苦手なの?」
何か意外そうな感じで問うメル。メルとしてはセリムが試合をしたときに人が大勢集まり、その中で戦ったのを知っていたのでああゆうのは好きなんじゃないかと思ったのだ。実際には人垣と試合での人垣では違うものがあるのだが。
「心外だな、俺にも苦手なものはある。あれが男ばっかな集団ってことも関係するが…逆に女の集団なら喜んで飛び込むぞ」
そういってメルの方向を向くとひきつり顔もしくは引いた顔をしながら物理的に距離をとっていた。
「セリムってもしかしてそうゆう目で私を見てたの?」
「だったら嬉しいか?」
ここで少しは照れたりすれば可愛げがあるのかもしれないが生憎そんなものはなかった。セリムのからかいにメルが悲鳴にも似た声を上げる。その横でラッツはちょっと顔を赤くしていた。この程度で赤くなるとはさては童貞か?とも思ったがセリムとしても同じなのでそこは言わない。
「で、あの集団は何なんだ?」
最初の話に戻る。セリムとしても気にはなっていたので聞いてみることにしたのだ。
人垣の方へ視線を向けたラッツは自分たちに他の冒険者たちの視線が向いているのに気づく。視線にさらされて多少居心地悪くなりながらも話し出す。
「それがさ、俺たちもまだ見てないんだ」
どうやら二人もまだ人だかりの意味を知らないようだった。セリムとしては二人が知って入れば良かったなと思っていたのだが、それは残念ながら期待外れだったようだ。
「そうか。なら、見てきたら教えてくれ」
見てきたら教えろと自分はあくまでも行かないスタンスを貫く。
「ったく、今回だけだぞ」
二人は微妙な表情をしながらも了承してくれた。その表情には仕方がないと言うよりも周りの視線を気にしての事だった。その為、二人はそそくさとこの場を離れていった。また戻ってくるはめになるのだが。
中々いい奴等だ。そう思いながら二人を眼で追う。そこで、皆がこちらを遠巻きに見ているのに気が付いた。
(何だ? 何かしただろうか)
セリムとしては特に思い当たる節は無かった。あるとすれば自分がルーキーだからってことで調子乗んなよ的なものかと思ったくらいだ。実際にはそんな事ではないのだが。
周りの冒険者はセリムが両試合で見せた力に対して興味を持っていたのだ。ルーキーということでまだどこのパーティ属してしない筈だ、あの戦力を取り込めれば今までよりも金もランクも上に行けると。だが、どうやって取り込めばいいかがわからずにいた。無理にやれば力ずくで潰されるんじゃないかと思っていたからだ。しかし、このままではラッツの所にとられかねないという思いもありラッツ達にも牽制の意味を込めた睨みをおくっていたのである。
「セリム、見てきたぞー」
周りの視線が刺さる中セリムに話かけてくる。二人としてはまったくと言っていいほど関係のないことで見られている為かなり居心地が悪いのだが律義と言うか真面目と言うか戻ってきて報告しにきてくれたのだ。
「何だったんだ?」
「重大ニュースだったよ」
早くこの場から立ち去りたいのかメルが話に割りこんできて話し出す。
「新たに指名手配者が追加されたんだよ。しかも、神敵スキル保持者らしいって」
その言葉を聞いた瞬間セリムは内心まさかっと焦りを覚えた。単なる偶然ならいいがと思いながらも立ち上がり人垣の所へと向かう。平静を保ちつつ、ゆっくりと慌てずに。
「セリム、どうしたんだ?」
話を聞いた瞬間いきなり立ち上がったように見えたセリムに対して、ラッツはどうしたのかと疑問をぶつける。しかしそれに応える事はせず、人垣に向かうセリム。顔を見合わせる二人。
「悪い、通してくれ」
言いながら人垣を割って入っていく。セリムが入っていくと皆が身を引いていく。ここ数日でセリムの事は結構広まっており皆どう接するか迷っていたので遠慮があったのだ。
人垣を割り、依頼ボードの隣になる指名手配者ボードに辿り着く。そこには新たに追加された手配者の情報が張られていた。
・ソート村にて新たな八つ目の神敵スキル保持者と思われる者を発見。歳は七歳前後。見た目は茶髪で子供。
スキル名:神喰
知っている者がいれば直ちに情報提供を求む。
これが掲載されていた新たな保持者の情報だった。
かなり簡素な書き方ではあるが情報としては何一つ間違っていない。ただ、今のセリムとは外見が違うそれだけだ。どうやらこの情報を流し奴はそこまでは考えていないらしい。そもそも考えるやつの方が少ないと思うが。
(クソっが… 完全に俺の事じゃねーかよ)
内心では違う…否、そうであってほしいと思っていたセリム。だがその思いは無残にも裏切られ、自身の内容が掲載されていた。
セリムは情報を見終えるとその場を立ち去る為に人垣からでた。
(暢気に冒険者なんてしてる場合じゃねーな。力を早く力を付けないと…)
改めて自身の立場を理解させられるセリム。いつかはこうなるとは思っていた。だがセリムが思っていたよりも早かったのだ。
「セリムさん、ちょっといいですか」
話しかけてきたのはフィーネだった。
「何です?」
表情には出さないものの内心今は話しかけられたくなかった。その所為で少しつっけんどんな言い方になってしまった。
「マスターが話があるというので付いてきてもらえますか?」
それを少しも気にした様子もなく丁寧に話すフィーネ。しかも笑顔付きだ。今このタイミングでギルドマスターからの話ということで、一瞬嫌な考えが頭を過るが、いくらなんでも早すぎると打ち消す。それから「わかりました」と返事をする。
フィーネに連れられて二階の右手奥、二番目のドアに案内された。フィーネがノックをし連れてきたという旨を伝えると中から返事が返ってくる。
「入ってちょうだい」
中に入るとそこにレイニーとアーサーがいた。二人とも椅子に腰を掛けてこちらを見ている。レイニーに促されセリムも椅子に腰を掛けるとフィーネが紅茶の準備をして運んできてくれた。紅茶の準備が終わると同時にフィーネは退出してしまった。
紅茶やコーヒーは得意ではないのだが今は気にするようなこともない。まず、飲まなければいい話なのだから。
「で、話とは?」
セリムは先程の手配の事かもしれないと自意識過剰な事を考えていたがさすがにあれだけの情報で正体が分かるはずもない。それは次のレイニーの言葉で今回の話の内容が関係ないものだと証明された。
「いきなりね、まぁいいわ。話と言うのはあなたのギルドランクに関する事よ」
思ってもみない事に顔を訝し気な顔になるセリム。
「私たちはあなたの実力を高く評価しているわ。その年で持てる実力はとても高い。同年代では間違いなくトップじゃないかしらね」
その瞬間セリムは自身の身に冷汗が流れるような感覚を覚えた。今回呼ばれたのは、手配の事と関係がないとわかったがそれでも自身の事について言われ、もしかして知っているのかと勘ぐってしまったのだ。
「それにより特例としてDランク冒険者に無条件昇格させることに決めたの。今日はそれを伝えるために呼んだのよ。Dランクはモンスターを狩りに行ける一番低いランクだけどそこは勘弁して頂戴ね。いきなりCとかにすると周りの反感も買ってしまいかねないから」
そうかと一言だけいい、話の続きはあるかと眼で問うが首を横に振られ話がないのを確認し、退出しようと立ち上がりかけた時、私の話は終わりだけどアーサーからあるわと再び言われ席に着く。
「悪いな、今聞いて貰った通りお前は今日からDランク冒険者だ。受付に行ってカードに記入してもらえ」
「わざわざそんな事を言う為に?」
アーサーはため息をつきなら本題はこれからだと言い話しだす。
「お前の世話というか俺が見る事になった」
「必要ない」
きっぱりと断るセリム。世話と言うのがセリムにとって邪魔にしかならないと思ったからだ。
「まぁ、そう言うな。 ギルドとしても先輩冒険者としても将来有望な者が戦闘ミスして死にました、なんて事にしたくないんだよそれにお前はDランクになったことによって高ランクの冒険者の戦闘に荷物持ちと言う名目で着いてていくことが許される」
この意味が分かるかと問われ少し考える。荷物持ちと言う名目で着いていくと言う事は、そのついていく高ランク冒険者が受ける依頼のモンスターと相対する可能性が出てくるわけだ。
「そうゆう事か…」
「分かってもらえたようで何よりだ」
誰かについて回るのは正直非効率だが格上のモンスターとやれるというのは今現在のセリムにしてみれば魅力的な提案だった。その為、受け入れることにしたのである。
「あぁ、言い忘れてたけど、俺キーラの面倒も見てっから一緒に行動することになっけどな」
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