神すら喰らいしスキルと世界に抗う大罪スキル

てる

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28:寂しい生き方

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ダンジョンに向けて旅立ち、野宿をし一日。ようやく目的のダンジョンに着くことが出来た。思ったよりも近かったというのが素直な感想だ。

 ダンジョンに到着するまでに野宿する日があり、その時にアーサーと手合わせをした。はっきり言って強かった。本気でやれば勝てないことはないと思、がレベルが高く専用スキルを三つも持っているため本気にならなければ…という条件がついてしまうのは現段階では避けられないだろう。同じレベルになったりすれば本気を出す必要もないとは思うが。



 名前  :アーサー・ソリッド
 年齢 :30歳
 種族 :人族
 1次職 :騎士
 2次職 :聖騎士
 3次職  :聖騎士王
 レベル :66
 体力 :13800
 魔力 :7800
 筋力 :10000
 敏捷 :11000
 耐性 :7200

 スキル
 纏衣《まとい》 LV8  
 聖剣技  Lv6
 暗黒剣技  Lv4
 剣技  LV7
 双剣技  Lv4     
 筋力強化   LV10
 体力強化  Lv7   
 敏捷強化  Lv8   
 耐性強化  Lv4 
 光魔法  Lv2
 気配感知  Lv6 
 気配遮断  Lv3  
 王の威圧  Lv3
 光の加護  Lv5

 職業専用スキル
 忠義の証  Lv5
 聖鎧  Lv4 
 約束されし勝利の一撃  Lv3



 名前 セリム・ヴェルグ
 年齢 :7歳≪見た目精神年齢ともに15歳≫
 種族 :人族
 1次職 :異端者
 2次職 :異端児
 レベル :38→44 
 体力 :4700→7300
 魔力 :4200→6400
 筋力 :5500→8900
 敏捷 :4200→6800
 耐性 :4700→7400

 スキル
神喰ゴッドイーター LV2→4】 up
 剣技  LV6→8 up   
 纏衣まとい LV9→10  max   
【拳技  LV6→7】 up  
【筋力強化   LV8→10 】 max  
【体力強化  Lv4→8】 up   
【敏捷強化  Lv4→8】 up   
【耐性強化  Lv1→3】 up  
【魔力強化  Lv2→3】 up  
【反射速度強化  Lv4】 new
【硬化  Lv3→5】 up 
【気配遮断  Lv3→4】 
【気配感知  Lv4→5】 up 
【咆哮  Lv3→4】 up  
【命中率上昇 Lv6】
【嗅覚上昇  Lv3】
【跳躍力上昇 Lv4】   
【毒液  Lv3】 
【火魔法  Lv4→5】 up 
【水魔法  Lv3→4】 up 
【風魔法  Lv1→2】 up 
【白魔法  Lv2→4】 up 
【暗黒魔法  Lv1】
【振動魔法 Lv3→5】 up 
【鑑定  Lv3→5】 up 
【短剣術  Lv3→4】 up 
【夜目  Lv2→3】 up 
【魔力操作  Lv3→6】 up
【受け流し  Lv3→4】 up 
【統率  Lv2→3】 up 
【罠師  Lv3】 new
【重量装備時重量軽減  Lv4】 new
【見切り  Lv5】 new


 職業専用スキル
【呪印 Lv1】 
【正統破壊 Lv1】
【強奪  Lv2→4】 up
【瞬滅  Lv4】 new
【鉄壁硬化  Lv3】 new
【重撃破  Lv5】 new
【乱魔の一撃  Lv2】 new
【空拳  Lv4】 new

 魔道具効果 
 隠蔽  Lv10 max

【】の中身は隠蔽スキルにより視えません。



 最近喰らったものにより大分スキルも増えた。やはり聖騎士というのは格が違うのかアーサーのステータス高すぎだろと初めて見たとき思ってしまった。初めて見た人のステータスがアーサーだったのはある意味良かったのかもしれない。基準として他の者たちがどれくらいなのかが分かる。

 それから野宿の時に剣で戦ったのだが、最初驚かれてしまった。お前剣使えたのかと…




≪闘技のダンジョン≫
 それがこのダンジョンの名前だ。全三十階層からなるダンジョンで、モンスターランクもボスでB、普通に出てくるのはDやCが多いのだそうだ。偶にBも出たりするのだが倒せないことは無いらしい。
 このダンジョンは比較的クリアはしやすいらしくボスに関してもBランクの中では下位に入る部類なのだそうだ。


「今回ダンジョンを訪れたのはお前たち二人の力量を確かめるってのがメインだ。このダンジョンに来るのは二人とも初めてだと思うがこっから先は二人で協力して進んでもらう。俺も着いてはいくが、基本的には口出しはしない。危ないと思ったら助ける」


 まさかのいきなり放任主義な主張にうそだろと驚くセリム。面倒を見るとか言ってた割には自分でなんとかしろと言うのだ。まぁ、色々と言われながらやるよりはやりやすいので構わないのだが。

 そうしてアーサーからの宣言があった後、ダンジョンに入っていった。ちなみにダンジョンは地下に潜るタイプのものや塔などを上っていくタイプのものなどがある。今回は前者だ。その為階段を下っていく。順番はセリム、キーラ、アーサーというもの。


 階段を下り一番最初に眼前に飛び込んできたのは見渡す限りの森だった。


(地下に森ってどうゆう作りなんだ)


 疑問に思っていたのはセリムだけではなくキーラも同じだったようで足を止めている。みとれるのもいいが、いつまでもこうしてはいられないと先に行くことを選択する。

 森に入ると、そこは地上にある普通の木と何ら変わらない普通の木が群生し森になったものだった。鳥が鳴き、鬱蒼と緑の葉をつけた木が生い茂り果実がなっている。アルス近辺でも同じような景色が見られるがここはダンジョンの中なのだ。地上とは違い限られた空間にモンスターが湧き、見つかれば襲い掛かってくる。油断は大敵だ。

 気合を入れなおし進む。するとモンスターが現れた。オークだ。数は二匹と少ない。この程度ならば瞬殺だが今回の目的はセリム、キーラがどこまで戦えるかである。なので、倒すのは簡単だが、一人で倒すのはダメかと思いキーラに声を掛ける。


「キーラ、片方はお前がやってくれ」

「…」


 話しかけるが何か考え事ともしているのか、返事は返ってこない。


「オイっ 聞いてんのか?」

「えっ、あ、何よ」


 少し強めに問いかけると今度は反応があった。だが、それだけだ。状況がまるで掴めていない様子だった。セリムは仕方ないとため息を付き、オークを魔法で焼き殺す。

 昨日からキーラはこの調子なのだ。正直迷惑だった。ただでさえこんなC級程度のダンジョンで力試しだとかで気乗りしないのにだ。

 迷惑になっているんじゃいかと言う自覚は一応キーラにもあった。だが、数日前に見た光景がどうしても頭から離れず、セリムにどう対応していいかわからなかったのだ。人を殺したところは見てないが状況からみて、まず間違いないだろうとキーラは考えていた。その上、自分の目の前で普通の顔で死体を燃やして消し炭にしたのだ。

 そんな相手にどう接したらいいのかまだ十数年しか生きていないキーラには難しすぎる問題だった。

 アーサーは、ここに来るまでの間にセリムとキーラの間に何か違和感があるのを感じていた。それが何なのかわからずこの前の試合の事を気にしてるのかと軽く考えていたのだが、思ったよりも深刻そうだとため息を吐いた。



 セリムはもう一度ため息をつき前を向き直ると進む事にした。さっさとこのダンジョンをクリアしてしまおうと思っているのだ。

 そんなこんなで雰囲気があまり良くない中、ダンジョン攻略は進んでいくのだった。





 その日キーラは殆ど戦闘には参加しなかった。というよりもさせなかった。モンスターが現れてもセリムが直ぐに倒してしまったのである。

 ぱちぱちと焚火の弾ける音が森の中に響く。セリムの力が予想以上で今日だけで二十階層にまで到達してしまい、このままではキーラが何もせずに終わってしまうと思ったアーサーは、最初自身が言ったことを破る形にはなったが今日はここで休むことを提案したのである。


「なぁ、セリム。お前一人だけじゃなくてキーラにも戦わせてやってくれないと」


 今日の出来事を振り返りアーサーはセリムに反省すべき点を告げる。


「分かってるよ、でも今のまま戦わせても怪我させるだけだぞ」


 キーラの今の状態では戦闘に集中するのは難しいだろう。もしそれで怪我では済まないレベルの傷を負ってしまうと思うとセリムはキーラの参加を認められずにいた。既にセリムがキーラの監督役になりつつあるのはしょうがないだろう。戦闘に参加できるのは二人で、一人は戦わないのだから。


「確かにそうだが…セリム、お前キーラと話してこい。期間限定かもしんないが今はパーティーだ。仲間のメンタルのケアしてやるのもパーティーメンバーの務めだ。それにあいつには気兼ねなく付き合える奴が必要なんだよ」


 キーラはちょっと気の強い性格をしている。その為に周りとの関係がうまくいかないこともある。加えてエルフと言う事で国が壊滅にあい、憐みの目やらで見られてきたのだ。アーサーとは多少縁があったおかげで面倒を見てもらっているが、所詮は他人だ。歳の離れた人物というのもあり、心を開けずにいるのだ。ただ、力を求めてアーサーの世話になっている。それだけだ。だから、キーラは一人なのだ…

 アーサーはそこで歳の近いセリムに、キーラの友達ないしそれに近しい存在になってほしいと考えていた。


「俺は歳が離れちゃってるからさ、お前のように近い奴がいいんだよ。あいつを一人にしないでやってくれ」


 面倒だなと思いつつもどうするかを考える。このままダンジョンをクリアしてしまうのは簡単な事だ。明日には終わるだろう。だが、それではキーラは何もせずにただ来ただけになってしまうここで、見捨てていくのは簡単だ。現に今は力を付けることを最優先にしなければいけなくなっている。正体がバレるのも時間の問題であるのだからだ。だが、セリムにはそれが出来なかった。生前の性格ゆえか…それとも”一人”という言葉に今の自分を重ねたのか…

 どちらにしろ思うものがあったのは確かなのだろう。頭をガシガシと掻くと何かを決意するように立ち上がる。


(はぁ~、まぁ人間関係を円滑に進める為の練習だと思えば、な…)


 そう自分を納得させキーラの元へと向かった。






 キーラは水辺で木に寄りかかり座っていた。そっと近づていく。


「キーラ…」


 名前を呼ぶと一瞬ビクッと身体を震わせる。どうやら気が付いてはいなかったらしい。恐る恐ると言った様子で振り向くキーラ。


「セリム…」

「隣、いいか?」

「…」


 返事はなかったが隣に座る。とは言え人一人分位間をあけてだが…隣に…なんて言葉は座るための常套句とかなのだろう。

 腰を下ろしセリムも木を背にする。するとキーラは少し動かしセリムから遠ざかる。


「やっぱりな…この前の事を気にしてんだろ?」

「…」


 何も応えはなかったが、原因はこれしかないとセリムは思っていた。というより確信があった。最後に会ったのはあの路地裏での日が最後なのだから。


「無理に呑み込もうとしなくていい。無理なら無理で距離を置いてくれて構わない。それも嫌なら、明日このダンジョンが終わったら俺は他の街に行くからもう気にしなくていい」


 出来るだけ優しく諭すように言い、この場を立ち去ろうとする。結局いい案が思いつかず目の前から消えるのが一番だろうと言うのが解決策だった。

 誰かを傷つけるなら自分が犠牲になった方がいい。これは人によってはこちらのことを想ってと捉えることもできるこ、人によってただの逃げにも捉えかねられない。自己犠牲の精神など所詮は自己満足。自己を満たすための都合のいい言い訳だ。相手がどう思っていようが関係ない。

 優しくもあり酷くもある複雑なもの。けれど、セリムは選ぶ。自己が犠牲になれば済むのなら、それで解決の糸口でも見えるのならその方がいい。それでしか護れないものだってあるのだから…

 俯いてしまっていて表情からはどう思っているのかは窺いしれない。


「…何でそんなに簡単に一人になろうとするのよ?」


 思ってもみない返答に少し驚く。優しさに感謝するわけでも、酷さに逃げるなと言うでもなく、セリムの答えに意を唱えた。


「人付き合いなんてどちらかが折れる事でうまくいくんだよ。で、今回は俺がいなくなれば解決するだろ。それだけだ」


 何の答えにもなっていない答えを口にするセリム。生憎とセリムはキーラを納得させるだけの言葉を考え付かないし、持ち合わせてもいない。だから、どうしてもこのような答えになってしまうのだ。


「違う、何でそんな簡単に一人になろうとすんのかって聞いてんのよ?」


 キーラはセリムの答えがさっきと変わっていないことに苛立ちを覚え、つい大きな声を出してしまう。

 少しの間考えるセリム。そして答えを出す。さっきとは違った答えを。


「どうしてもやらなきゃならない事があるからさ、その為には一人になるのがいいんだよ」


 誰かを巻き込んだらそれこそ何で一人になったのかわからないだろ。

 この言葉は口にはせず心うちにとどめた。言っても理解など得られないだろうと…

 セリムはソート村を出る時に皆を巻き込まない為に一人で全てを背負って戦うと決めたのだ。

 それだけ言うとセリムは、この場を足早に離れていく。まるで答えを聞かないように。


「そんな生き方さびしいわよ…」


 そうつぶやいたキーラの声は、先程のまで木に寄りかかっていた人物には届かなかった。まるでセリムが離れた途端、今まで受けていた熱を失っていくかのごとく、キーラの言葉は森の中へと消えていった。

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