好きな子に告白も出来ない男の童貞卒業物語

杉 孝子

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泡踊り

 ソープランドの嬢と生田さんがダブって見えた。生田さんが自分の彼女になっていれば、ここへ来ることもなかっただろう。彼女も彼氏にこんなことをしているのだろうか。そんなことを考えている間も立ちっぱなしの状態だった。

「ちょっと浸かってて」沙月ちゃんが、フェラチオを止めて、風呂から出て口をゆすいで、ビニールのマットを洗い場に敷く。シャワーでマットを洗った後、ボディシャンプーを付け、腹ばいになってマットの上をすべりはじめた。

 しばらく俺はオットセイが滑っているみたいな彼女の姿を見ていた。失礼した、オットセイでなくてアシカにしておこう。

 充分彼女の体でマットに泡がつけられると、彼女がこっちに来るように言った。

 俺は彼女が言う通り、マットに腹ばいになった。その上から泡まみれの彼女が覆い被さる。そしてマットでしていたように、今度は俺の背中を滑り出した。

 2人の体が密着して、彼女のアンダーヘアーが背中を擦る。今まで体験したことがないくらい、くすぐったかった。それと同時に気持ちよかった。これが本心だ。

 彼女がどんなことをしているか腹ばいになった俺からは見えなかったが、舌や乳房、指先、陰毛、体全体を使って愛撫しているのがわかっていた。

 突然に尻の穴にも舌が入ってきたようだった。

 俺は結構我慢していたが、体が引きつって仕方なかった。

「これってくすぐったいな」笑い声を堪えて言った。

「でも気持ちいいでしょう」

「うん。くすぐったいけど気持ちいい」

「慣れればくすぐったく無くなるよ」

 彼女が俺の体を仰向けにすると、顔を近づけてきた。キスをすると、彼女の方から舌を入れてきた。俺もそれに応えて、彼女の舌に自分の舌を絡ます。彼女は息を少し荒げて、俺の耳たぶを咥えたり、耳に舌を入れてきたりした。その間も、体を俺に擦りつけてきて、手は執拗にペニスを愛撫していた。

 彼女が体を擦り付けるたび、乳房よりも柔らかいたわしのような陰毛が俺をさらに興奮させた。俺も彼女の尻や乳房を優しく触る。演技だったろうが、さらに息を荒げてハードなキスを求めてくる。マットの上で泡に塗れて激しく舌を絡め合う。

 俺は彼女が演技でやっているのを知っていたが、それでも満足だった。5万円分俺の女になってくれれば良かった。今までに出会ったどんな女より彼女は優しかった。それが彼女の仕事でも、一時の間俺は幸せを感じられた。

 マットでの泡踊りが終わり、彼女が頭を洗うか聞いてきたので、俺は洗ってくれるように言った。三度目の浴槽に浸かり、上がると体を拭いてくれた。まるで小さな子供に戻ったみたいな気分だった。

 彼女がタオルを俺の腰に巻くと、冷蔵庫のドアを開け、俺を振り返り、

「何か飲む」と聞いた。

「何があるの」

「ビールにサイダー、コーラ、オレンジ」

「アルコールはいらんから、オレンジでいい」

「車で来てるからね。どこから来たの」

「俺、草津からや」

「それだったら、そんなに遠くないね」

 俺は注がれたジュースを一口飲んだ。彼女はタバコを出す。銘柄はわからなかったが、細いメンソールを吸い始めた。

「タバコは?吸わないの」

「いや、吸うよ」

 テーブルの上にいくつかのタバコが置いてあった。

「いつもどれ吸ってる」彼女がタバコが入ったトレイを俺の方へ動かす。

「マイルドセブンでいいわ」俺はその中から選んだ。彼女はマイルドセブンの箱を取ると、封を切りタバコを一本俺に差し出した。俺が受け取ると、すかさずライターで火をつけてくれた。

「俺幾つぐらいに見える」今度は俺の方から話しかけた。しばらく彼女は俺を見て言った。

「23、くらい」

「はずれ、25。25にもなって童貞って可笑しいやろ」

「そんなことないよ」煙草の煙を吐き出し彼女が言った。

「高校は男子校やったし、会社は女の子が少ないし。出会う機会がなかったねん。沙月ちゃんは俺より下やろ」

「私は24」さばを読んでても気にしない。

 そこまで話して、俺はこれからどんな会話をすればいいか困った。この商売のことを聞くのも気が引けたし、彼女の私生活を聞くのはもっと気が引ける。

 俺が黙って彼女を見つめていると、彼女は不審に思い、

「どうかした」と聞いてきた。

「いや、別に何でもない」俺は静かに答えた。
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