好きな子に告白も出来ない男の童貞卒業物語

杉 孝子

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最悪の結末

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 彼女の愛液と体温を感じながらも、興奮している自分と覚めている自分がいた。ここにこうしていることが、昨日までの自分では考えられないことであったし、女性と話すことさえままならない自分がセックスしていることが奇跡でもあった。
 
 ましてや好みのタイプの嬢にも当たることが出来て、興奮していたにもかかわらず、俺はなかなか射精できなかった。今から考えても何故かわからない。気持ちも充分に高まっていたにもかかわらず、どこかで片想いである 生田さんのことが頭にあったのは確かだが。男だったら、興奮すれば行けるはずだとそう思っていた。

 彼女が萎えてきた俺のペニスを抜くと、また口に含んだ。俺のペニスは硬さを取り戻す。

「後からしようか」彼女が尻を俺の方へ向ける。俺は 起き上がると、彼女を後ろから突いた。彼女も声を上げ 腰を振る。しかし、しばらくすると、また俺自身が 萎えてきた。

 俺は愕然とした。なぜ射精できないのか。悲しくなった。少し焦りだしもした。せっかくソープに童貞を捨てに来たのに卒業できないなんて。

「口でやったらいいのに、中に入れたら出来ないね」彼女が傷つけまいと言った。

「時間がなくなってきたから、手でもいい」

 俺は夢から現実へ戻る。彼女たちは、男を行かしていくらなのだ。俺は頷くと、

「いつもはすぐに行ってしまうんやけど。なんでかわからへん。気持ちよかったのに」

 彼女は俺をシャワーのところへ連れて行くと、ペニスをしごき始めた。硬く勃起するものの、最後のフィニッシュまでは至らなかった。

「もういいよ」俺は、必死にペニスをしごいている彼女に言った。

 いけそうもない男に、必死で行かそうとする女。突然、彼女を可哀想に思った。謝りたいのは俺の方だ。

「ごめんね。最後までやらせられずに」

 彼女が謝る。ペニスをシャワーで洗ってくれた。

「俺が悪いんや。ごめん」

「今度また来てね。私より巧い子がいるから」

 タオルで拭いてもらった後、トランクスを履き、テーブルの椅子に座った。

「何か飲む?もう少し時間があるから」

「コーラでいい」

 コーラをグラスで注いだ 彼女は、俺の足を自分の腿の上に持って行き、靴下を履かしてくれた。

 タバコを吸い始めた俺に、何度も謝り、自分の名刺を出すと、それに2人の名前を書いた。

「この2人が上手だから。今度は 指名してあげて」俺に名刺を渡す。

 ちょうどその時 電話が2回コールされた。

「ごめんね、時間だから」彼女は電話を取ると、

「沙月です。今終わりました」と言って電話を切る。

 彼女は俺に上着を着せた後、未払いの2万円を求めた。

 金を払うと、彼女に着いて 部屋を出る。階段を降り、車が来るまでの間、待合室で待つように言われた。そして彼女は待合室から出て行った。

 部屋には、最初に案内したのとは違う男がいた。髪をバックに固めたチンピラ風の男だった。

「どうでした」男は笑いながら言った。

「初めてで、最後までいかなかったんですか」多分女が言ったのだろう。俺は恥ずかしさとともに、何故か怒りが湧き出すのを感じた。

 男は俺の テーブルの前に1枚の紙を置くと、

「車を待っている間、このアンケートを書いてください」

 俺は仕方なく、男からボールペンを受け取ると、アンケートを読んだ。内容は彼女のお客に対する態度がどうだったかという内容のものだった。俺は適当に書くと、男に渡した。男が名刺を俺に渡してきた。

「次に来る時は、電話してもらうと45,000円にさせてもらいます」と言った。

 車が玄関に届けられ、俺は店から出た。

「気をつけてお帰りください」

 男が言うのを聞き流し、車に乗り込んだ。

 俺は童貞を卒業することで何か変われると思っていたが、結局は変われなかった。出会って初めての嬢とでも相手が許すのであれば、精神的な満足も得られる。童貞は卒業できなかったことは、悔やまれたが、彼女とセックスできたことは良かったかもしれない。
 
 片想いにも決着を付けよう。振られるのは覚悟の上で。何故か清々しい想いで雄琴を後にした。
 
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