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第1章 五歳児
第2話 コールの家族の話
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「黒龍レジェンド」という漫画は俺が愛読する週刊少年誌に最近連載を始めた漫画だ、内容としては剣と魔法のファンタジーの世界で竜と共存して暮らす大国の辺境伯家に生まれたノクス・ドラコ・モンタギュー(幼名コール)はこの世界では珍しい黒髪黒目、伝説の黒の竜騎士と同じ姿ということで生まれ変わりとして同じ名前をつけられ周囲に期待されて育つ。ある日突然国の占い師が黒髪黒目の者が国に災いをもたらすという予言をする、国中の黒髪黒目の人が迫害され主人公は過激派組織に家を襲撃され兄は死ぬ、主人公は身の潔白を証明するため危険な禁地に伝説上の全ての災いを断ち切る剣を探す旅に出る。
正直言って少年誌に体裁するには初っ端から重いし、余計な中二設定も多いし(主人公を貴族に設定する意味も兄を殺す意味もない)そのうち打ち切りにされるんじゃないかと思いながら毎週パラパラと流し読んでいた、けど今は他人事ではないのでもっと真面目に読んでおけば良かったと後悔している……
何はともあれ今俺に出来るのは地道に力をつけて願わくば襲撃される前に伝説の剣を見つける事だ。
「あー、コールってばまた顰めっ面してる!」そう言って、アルバスがビシッと俺を指差す。
「いかがなさいましたか?コールお坊ちゃま、お食事が口に合いませんでしたか?」メイドが心配そうに俺の顔を伺う。
「あ、大丈夫だよカレン、ちょっと考えごとをしていて……」
「お食事中は食べる事に集中すべきですよ、コール様。アルバス様も人を指さすのはお行儀が悪いですよ」すかさず出てくるのは教育係のホーン夫人。そう、俺は今貴族なので昼ごはん一つとるのにもメイドや乳母、教育係に見守られてのことだ。前世からすると人に見られての食事は居心地が悪いものだがいい加減に慣れてきた。
「すみません、以後気をつけます」
「うへえ、わかったよー」アルバスは大げさに肩をすくめると俺を恨めしそうに見る、叱られたのは俺のせいだと言いたいのだろうか
アルバスはコールの双子の兄弟で漫画の中では名前の出なかったキャラだ、とは言っても他の姉や殺された長兄さえ主人公回想で描写されただけで名前は出てこなかったのでたんに漫画上重要キャラじゃなかっただけだろう。(それか出番がまだか)
ちなみに俺とアルバスどちらが兄かというとそれはまだ決まっておらず、この国の風習的に双子は7歳になってからどちらが年上か占いで決めるらしい。ちなみに決まっていないのは年功序列だけではなく、正式名も7歳になってから決まる。つまりコールもアルバスという幼名も正式名が決まるまでの仮名だ。(とは言っても親や兄弟同士では一般的に正式名が決まっても幼名で呼び合う)
これは多分この世界の文明レベルが19世紀ぐらいのせいだ、鉄道はあるらしいが人々の移動は馬車だし医療レベルもまだ低く子供の夭折も多い、世界観的に魔法で病気が治せるがそう簡単にできることではないらしい、一般的な治癒魔法はせいぜい外傷を治すぐらいだと本で読んだ。
まあ日本でも昔はななつまでは神の子って言ってたもんな。
昼食が終わると昼寝の時間だ、寝間着に着替えさせられ前世では漫画でしか見た事がないふかふかの天蓋ベッドにアルバスと横になる。
ものすごいふかふかで幼児の軽い体重でもズブズブ沈み込んでいく。前にメイドのカレンに材質はなにかと聞くと「おぼっちゃまたちのために精霊たちが空の雲を集めて詰めたのですよ」と答えられたが絶対に嘘だ。
「んん~」アルバスが寝返りを打つ。ふわふわの銀髪が顔にへばりついている。
前世では妹一人だった俺はこの世界では随分兄弟が増えた。
モンタギュー家の子供は五人いて長兄がセルレアン・アクア・モンタギュー(幼名ブルーノ)俺たちの父親が早くに亡くなったためまだ18歳ながらにすでに辺境伯だ。普段は忙しくてなかなか会えない。外見は肖像画で見た若い頃の父そっくりで真っ直ぐな褐色の髪とアイスブルーの目の少し厳しそうな長身のイケメンだ。
次に長姉スカーレット・イグニス・モンタギュー(幼名ルビー)13歳。赤みがかったふわふわの栗毛とまんまるい青い瞳、テディベアを人間にしたような人懐っこい見た目に反し人付き合いが苦手で物静かな人だ。俺の前に家族に本の虫と呼ばれていた人でかなりの読書家だ。
次姉ライラック・アエル・モンタギュー(幼名ヴィオラ)11歳。見た目はルビー姉さんとよく似ているけど、もう少し勝ち気にした感じだ。性格も真反対でもっと活発でポジティブだ。瞳は母親譲りの紫、性格も母親譲りらしい。
本当はブルーノ兄さんとルビー姉さんの間にもう一人兄がいたらしいが俺が生まれる前にすでに亡くなっている。つくづく故人が多い家族構成である。
最後に双子の兄弟のアルバス、5歳。兄弟の中で唯一亡くなった母親を譲り受けた銀髪に赤みがかった紫の瞳、バッサバッサ長い睫毛も銀色、肌は透き通るように白く頰はほんのりピンクでまるで天使のような見た目だが中身はただの生意気なクソガキだ。外見詐欺も甚だしいトラブルメーカーなのでこいつといると日常に喧騒が絶えない。
ちなみに俺の見た目とはいうと少年マンガ主人公らしい癖が強い黒髪に黒目、兄弟たちと比べると地味な見た目だがこの世界ではかなり珍しがられる。まるで伝説上の竜騎士のようだ!とよく褒められるが将来この見た目で迫害されるのを知っているのであまり喜べない。
正直言って少年誌に体裁するには初っ端から重いし、余計な中二設定も多いし(主人公を貴族に設定する意味も兄を殺す意味もない)そのうち打ち切りにされるんじゃないかと思いながら毎週パラパラと流し読んでいた、けど今は他人事ではないのでもっと真面目に読んでおけば良かったと後悔している……
何はともあれ今俺に出来るのは地道に力をつけて願わくば襲撃される前に伝説の剣を見つける事だ。
「あー、コールってばまた顰めっ面してる!」そう言って、アルバスがビシッと俺を指差す。
「いかがなさいましたか?コールお坊ちゃま、お食事が口に合いませんでしたか?」メイドが心配そうに俺の顔を伺う。
「あ、大丈夫だよカレン、ちょっと考えごとをしていて……」
「お食事中は食べる事に集中すべきですよ、コール様。アルバス様も人を指さすのはお行儀が悪いですよ」すかさず出てくるのは教育係のホーン夫人。そう、俺は今貴族なので昼ごはん一つとるのにもメイドや乳母、教育係に見守られてのことだ。前世からすると人に見られての食事は居心地が悪いものだがいい加減に慣れてきた。
「すみません、以後気をつけます」
「うへえ、わかったよー」アルバスは大げさに肩をすくめると俺を恨めしそうに見る、叱られたのは俺のせいだと言いたいのだろうか
アルバスはコールの双子の兄弟で漫画の中では名前の出なかったキャラだ、とは言っても他の姉や殺された長兄さえ主人公回想で描写されただけで名前は出てこなかったのでたんに漫画上重要キャラじゃなかっただけだろう。(それか出番がまだか)
ちなみに俺とアルバスどちらが兄かというとそれはまだ決まっておらず、この国の風習的に双子は7歳になってからどちらが年上か占いで決めるらしい。ちなみに決まっていないのは年功序列だけではなく、正式名も7歳になってから決まる。つまりコールもアルバスという幼名も正式名が決まるまでの仮名だ。(とは言っても親や兄弟同士では一般的に正式名が決まっても幼名で呼び合う)
これは多分この世界の文明レベルが19世紀ぐらいのせいだ、鉄道はあるらしいが人々の移動は馬車だし医療レベルもまだ低く子供の夭折も多い、世界観的に魔法で病気が治せるがそう簡単にできることではないらしい、一般的な治癒魔法はせいぜい外傷を治すぐらいだと本で読んだ。
まあ日本でも昔はななつまでは神の子って言ってたもんな。
昼食が終わると昼寝の時間だ、寝間着に着替えさせられ前世では漫画でしか見た事がないふかふかの天蓋ベッドにアルバスと横になる。
ものすごいふかふかで幼児の軽い体重でもズブズブ沈み込んでいく。前にメイドのカレンに材質はなにかと聞くと「おぼっちゃまたちのために精霊たちが空の雲を集めて詰めたのですよ」と答えられたが絶対に嘘だ。
「んん~」アルバスが寝返りを打つ。ふわふわの銀髪が顔にへばりついている。
前世では妹一人だった俺はこの世界では随分兄弟が増えた。
モンタギュー家の子供は五人いて長兄がセルレアン・アクア・モンタギュー(幼名ブルーノ)俺たちの父親が早くに亡くなったためまだ18歳ながらにすでに辺境伯だ。普段は忙しくてなかなか会えない。外見は肖像画で見た若い頃の父そっくりで真っ直ぐな褐色の髪とアイスブルーの目の少し厳しそうな長身のイケメンだ。
次に長姉スカーレット・イグニス・モンタギュー(幼名ルビー)13歳。赤みがかったふわふわの栗毛とまんまるい青い瞳、テディベアを人間にしたような人懐っこい見た目に反し人付き合いが苦手で物静かな人だ。俺の前に家族に本の虫と呼ばれていた人でかなりの読書家だ。
次姉ライラック・アエル・モンタギュー(幼名ヴィオラ)11歳。見た目はルビー姉さんとよく似ているけど、もう少し勝ち気にした感じだ。性格も真反対でもっと活発でポジティブだ。瞳は母親譲りの紫、性格も母親譲りらしい。
本当はブルーノ兄さんとルビー姉さんの間にもう一人兄がいたらしいが俺が生まれる前にすでに亡くなっている。つくづく故人が多い家族構成である。
最後に双子の兄弟のアルバス、5歳。兄弟の中で唯一亡くなった母親を譲り受けた銀髪に赤みがかった紫の瞳、バッサバッサ長い睫毛も銀色、肌は透き通るように白く頰はほんのりピンクでまるで天使のような見た目だが中身はただの生意気なクソガキだ。外見詐欺も甚だしいトラブルメーカーなのでこいつといると日常に喧騒が絶えない。
ちなみに俺の見た目とはいうと少年マンガ主人公らしい癖が強い黒髪に黒目、兄弟たちと比べると地味な見た目だがこの世界ではかなり珍しがられる。まるで伝説上の竜騎士のようだ!とよく褒められるが将来この見た目で迫害されるのを知っているのであまり喜べない。
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