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第10章 薔薇の髪飾りの意味
茶会から戻ったあとも、侯爵家の一日は終わらない。
馬車を降りた瞬間から、リディアはまた侯爵夫人の顔に戻った。
玄関で出迎えた使用人に軽くうなずき、外套を預け、今日の来客記録を確認する。
厨房からは夕食の相談が上がってきて、南棟では暖炉の補修が終わったという報告が届く。
明日の支払い一覧にも目を通さなければならない。
やることはいくらでもあった。
ありがたいことに、仕事をしているあいだだけは余計なことを考えずに済む。
「奥様、こちらを先にご覧になりますか」
家令ジェラルドが、革表紙の帳面と伝票の束を机に置いた。
「今月後半の支払い分でございます。急ぎのものだけ、印をつけてございます」
「ありがとう」
リディアは椅子に腰を下ろし、帳面を開いた。
インクの匂い
紙をめくる乾いた音
数字がきれいに並んでいるのを見ると、少しだけ呼吸が整う気がした。
北領から届いた穀物の輸送費。
南棟の修繕費。
厨房の仕入れ増額分。
学院への寄付金の一部前払い。
どれも必要な出費だ。
どれにどれだけ回し、どこを少し削り、どこだけは落とさないか。
そういうことを考えるのは苦ではなかった。むしろ、自分が一番役に立てるのはこういう場だと分かっている。
「奥様」
エマが茶を置いた。
「少し薄めにしてあります」
「ありがとう」
口に含むと、柑橘の香りがやわらかく広がる。
リディアが疲れているとき、エマはいつもこの茶を選ぶ。
自分の好みを、エマは知っている。
その事実に、ふいに今日の茶会での会話が蘇った。
侯爵様は、わたくしの好きな薔薇のお茶まで覚えていてくださって。
胸の奥が、小さく冷える。
リディアはその感覚を振り払うように、次の伝票へ手を伸ばした。
都の老舗仕立て屋。
義母の外出着の補修。問題ない。
次
馬車の車輪交換。これも必要経費。
次
細身の上等紙に、見覚えのある店名が記されていた。
王都でも指折りの宝飾店。
貴族夫人なら誰でも知っている、高級な店だ。
婚礼の装身具や、夜会用の一点物を扱うことで有名で、軽い贈答に使うような店ではない。
リディアの指先が、ほんのわずかに止まる。
伝票を目で追う。
品名
金額
細かい内訳
そして、受け取り先。
そこに書かれていた文字を見た瞬間、胸の奥がひどく静かになった。
薔薇意匠 ルビー細工髪飾り 一式
その下に、
受取先 ヴァレンタイン子爵家
とある。
しばらく、意味が頭に入ってこなかった。
いや、入ってこなかったのではない。
あまりにもはっきりしていて、逆に思考が止まったのだ。
薔薇意匠
ルビー
髪飾り
ヴァレンタイン子爵家。
セシリアのための品だと、誰が見ても分かる。
「奥様?」
ジェラルドの声が聞こえた。
リディアはとっさに視線を上げる。
しまった、と思った。黙りすぎた。
「……いえ。この支払いは、いつのものかしら」
声は落ち着いていた。
自分でも驚くほど、平静に聞こえた。
「本日の午後でございます。侯爵様名義の私的支出扱いにしております」
「そう」
「何か不備がございましたか」
「いいえ。区分がきちんとしているなら問題ないわ」
問題ない。
口ではそう言えた。
だが胸の内では、何ひとつ問題なくなどなかった。
「では、残りもこちらへ」
ジェラルドが次の伝票を差し出す。
リディアはそれも受け取ったが、数字はもうほとんど頭に入ってこなかった。
あの人は、髪飾りを贈ったのだ。
夜会で隣に立ち、
昼に屋敷へ迎え、
好きな茶を覚えていて、
今度は薔薇の髪飾りまで。
それは、もう「ただの社交」ではない。
ジェラルドが下がり、扉が閉まる。
静かになった事務室で、リディアはもう一度その伝票を見た。
見間違いではなかった。何度見ても同じ文字が並んでいる。
薔薇意匠。
まるで、セシリアそのものみたいだった。
咲いた花のように華やかで、誰もが目を奪われる女に、旦那様は薔薇の髪飾りを贈ったのだ。
そのとき、視線が自然と鏡台のほうへ向いた。
あそこには、夜会のあとにレオンハルトから送られた真珠の髪飾りが置いてある。
今夜のお詫びに。
そう言って渡された、小さな贈り物。
自分には、詫びの真珠。
あの人には、薔薇のルビー。
その違いが、あまりにもはっきりしていた。
比べること自体が惨めだと分かっている。
でも、比べずにはいられなかった。
リディアはゆっくりと目を閉じる。
旦那様は優しい。
それは本当だ。
冷たい人ではない。
朝は挨拶をくれるし、体調も気づかってくれる。
仕事の相談もするし、侯爵夫人としての自分を信頼してくれている。
けれど、その優しさとは別のところに、ちゃんと心があるのだ。
覚えたいと思う相手がいる。
贈りたいと思う相手がいる。
会いに行きたい相手がいる。
それが私ではない。
その事実を、伝票はあまりにも冷たく、あまりにも正確に突きつけてきた。
「……奥様」
エマの声だった。
いつの間にか、彼女が少しだけ扉を開けて立っている。
「失礼いたしました。お茶のおかわりを、と」
「ありがとう。でも大丈夫よ」
エマは机の上の伝票には目を向けなかった。
気づいていても、見ないふりをしてくれたのだろう。
「お顔色が……」
「少し、疲れただけ」
「今日はもう、お休みになったほうが」
その気づかいに、リディアは小さく微笑んだ。
「そうしたいところだけれど、もう少しだけ整理しておきたいの」
「……かしこまりました」
エマはそれ以上言わずに下がった。
ひとりになると、部屋の静けさがひどく重く感じた。
帳簿の数字は嘘をつかない。
曖昧な笑顔や、言葉を濁した会話より、ずっと残酷だ。
気のせいではない。
見間違いでもない。
社交辞令の範囲でもない。
レオンハルトは、セシリアに心を動かしている。
そしてその一方で、私は侯爵家の奥方としてここに置かれている。
帳簿を整え、屋敷を回し、問題を起こさず、何も言わずに。
役に立つから。
安心だから。
都合がいいから。
そう思った瞬間、胸の奥に鈍い痛みが走った。
私は、旦那様に愛されていないのかもしれない。
それだけなら、まだ耐えられたかもしれない。
でも本当につらいのは、
愛されていなくても、役に立つから置かれているのではないか
と思ってしまうことだった。
妻としてではなく。
好きな人としてでもなく。
ただ、侯爵家に必要な奥方として。
そのためにここにいるのだとしたら、あまりにも寂しい。
夕食の時間が近づき、外の光が少しずつ弱くなる。
リディアは最後にもう一度伝票を見て、それから丁寧に元の位置へ戻した。
乱れが出ないように。
いつも通り、きちんと。
そういうことだけは、いくらでもできる。
夕食の席で、レオンハルトはいつも通り穏やかだった。
「今日はどうだった」
「変わりなく」
「母上の機嫌は」
「いつも通りです」
簡潔な会話。
向かいに座る彼の顔は静かで、少しも乱れがない。今日、誰かに髪飾りを贈った人の顔だとは思えないほどだった。
リディアは思う。
旦那様は本当に、器用なのだ。
優しい夫でいながら、別の女に心を寄せることができる。
何事もなかったように、妻と食卓を囲める。
それとも、罪悪感すらないのだろうか。
自分が何をしているのか、本気で分かっていないのだろうか。
食事を終えたあと、レオンハルトは立ち上がる前にふとリディアを見た。
「顔色が悪いな」
「少し、疲れただけです」
「今日は早く休むといい」
「……はい」
その気づかいが、今夜は胸に刺さる。
優しい
本当に、優しい人だ
でも、その優しさはもう、私を救わない。
自室へ戻り、鏡台の前に座る。
真珠の髪飾りが、小さく光っていた。
手に取ってみる。
上品で、控えめで、侯爵夫人の自分にはよく似合うだろう。実際、悪い品ではない。
でも、分かってしまう。
これは「お詫び」なのだ。
傷つけたかもしれない妻を、静かに宥めるためのもの。
心が動いたからではない。
贈りたかったからではない。
一方、薔薇の髪飾りは違う
あれは、あの人にこそ似合うと思って選んだのだろう。
笑ってほしいと思って、喜ぶ顔が見たいと思って、贈ったのだ。
その違いが、もう痛いほど分かってしまった。
リディアはゆっくりと髪飾りを置いた。
私は今まで、白い結婚の理由を旦那様の事情だと思っていた。
忙しいから。
政略結婚だから。
時間が必要だから。
違った。
ただ、最初から違っていたのだ。
旦那様が心を向ける相手は、私ではなかった。
それでも私は、役に立つからここに置かれている。
何も知らないふりをして。
何も気づかない奥方の顔で。
そうやって、この家を整えてきた。
そのことが、今夜はひどく惨めだった。
何もかも整えてきたのに。
食卓も、帳簿も、客間も、屋敷の空気も。
でも、私の結婚だけは、最初から何ひとつ整っていなかったのだ。
その事実に、リディアはもう……目を逸らせなくなっていた。
馬車を降りた瞬間から、リディアはまた侯爵夫人の顔に戻った。
玄関で出迎えた使用人に軽くうなずき、外套を預け、今日の来客記録を確認する。
厨房からは夕食の相談が上がってきて、南棟では暖炉の補修が終わったという報告が届く。
明日の支払い一覧にも目を通さなければならない。
やることはいくらでもあった。
ありがたいことに、仕事をしているあいだだけは余計なことを考えずに済む。
「奥様、こちらを先にご覧になりますか」
家令ジェラルドが、革表紙の帳面と伝票の束を机に置いた。
「今月後半の支払い分でございます。急ぎのものだけ、印をつけてございます」
「ありがとう」
リディアは椅子に腰を下ろし、帳面を開いた。
インクの匂い
紙をめくる乾いた音
数字がきれいに並んでいるのを見ると、少しだけ呼吸が整う気がした。
北領から届いた穀物の輸送費。
南棟の修繕費。
厨房の仕入れ増額分。
学院への寄付金の一部前払い。
どれも必要な出費だ。
どれにどれだけ回し、どこを少し削り、どこだけは落とさないか。
そういうことを考えるのは苦ではなかった。むしろ、自分が一番役に立てるのはこういう場だと分かっている。
「奥様」
エマが茶を置いた。
「少し薄めにしてあります」
「ありがとう」
口に含むと、柑橘の香りがやわらかく広がる。
リディアが疲れているとき、エマはいつもこの茶を選ぶ。
自分の好みを、エマは知っている。
その事実に、ふいに今日の茶会での会話が蘇った。
侯爵様は、わたくしの好きな薔薇のお茶まで覚えていてくださって。
胸の奥が、小さく冷える。
リディアはその感覚を振り払うように、次の伝票へ手を伸ばした。
都の老舗仕立て屋。
義母の外出着の補修。問題ない。
次
馬車の車輪交換。これも必要経費。
次
細身の上等紙に、見覚えのある店名が記されていた。
王都でも指折りの宝飾店。
貴族夫人なら誰でも知っている、高級な店だ。
婚礼の装身具や、夜会用の一点物を扱うことで有名で、軽い贈答に使うような店ではない。
リディアの指先が、ほんのわずかに止まる。
伝票を目で追う。
品名
金額
細かい内訳
そして、受け取り先。
そこに書かれていた文字を見た瞬間、胸の奥がひどく静かになった。
薔薇意匠 ルビー細工髪飾り 一式
その下に、
受取先 ヴァレンタイン子爵家
とある。
しばらく、意味が頭に入ってこなかった。
いや、入ってこなかったのではない。
あまりにもはっきりしていて、逆に思考が止まったのだ。
薔薇意匠
ルビー
髪飾り
ヴァレンタイン子爵家。
セシリアのための品だと、誰が見ても分かる。
「奥様?」
ジェラルドの声が聞こえた。
リディアはとっさに視線を上げる。
しまった、と思った。黙りすぎた。
「……いえ。この支払いは、いつのものかしら」
声は落ち着いていた。
自分でも驚くほど、平静に聞こえた。
「本日の午後でございます。侯爵様名義の私的支出扱いにしております」
「そう」
「何か不備がございましたか」
「いいえ。区分がきちんとしているなら問題ないわ」
問題ない。
口ではそう言えた。
だが胸の内では、何ひとつ問題なくなどなかった。
「では、残りもこちらへ」
ジェラルドが次の伝票を差し出す。
リディアはそれも受け取ったが、数字はもうほとんど頭に入ってこなかった。
あの人は、髪飾りを贈ったのだ。
夜会で隣に立ち、
昼に屋敷へ迎え、
好きな茶を覚えていて、
今度は薔薇の髪飾りまで。
それは、もう「ただの社交」ではない。
ジェラルドが下がり、扉が閉まる。
静かになった事務室で、リディアはもう一度その伝票を見た。
見間違いではなかった。何度見ても同じ文字が並んでいる。
薔薇意匠。
まるで、セシリアそのものみたいだった。
咲いた花のように華やかで、誰もが目を奪われる女に、旦那様は薔薇の髪飾りを贈ったのだ。
そのとき、視線が自然と鏡台のほうへ向いた。
あそこには、夜会のあとにレオンハルトから送られた真珠の髪飾りが置いてある。
今夜のお詫びに。
そう言って渡された、小さな贈り物。
自分には、詫びの真珠。
あの人には、薔薇のルビー。
その違いが、あまりにもはっきりしていた。
比べること自体が惨めだと分かっている。
でも、比べずにはいられなかった。
リディアはゆっくりと目を閉じる。
旦那様は優しい。
それは本当だ。
冷たい人ではない。
朝は挨拶をくれるし、体調も気づかってくれる。
仕事の相談もするし、侯爵夫人としての自分を信頼してくれている。
けれど、その優しさとは別のところに、ちゃんと心があるのだ。
覚えたいと思う相手がいる。
贈りたいと思う相手がいる。
会いに行きたい相手がいる。
それが私ではない。
その事実を、伝票はあまりにも冷たく、あまりにも正確に突きつけてきた。
「……奥様」
エマの声だった。
いつの間にか、彼女が少しだけ扉を開けて立っている。
「失礼いたしました。お茶のおかわりを、と」
「ありがとう。でも大丈夫よ」
エマは机の上の伝票には目を向けなかった。
気づいていても、見ないふりをしてくれたのだろう。
「お顔色が……」
「少し、疲れただけ」
「今日はもう、お休みになったほうが」
その気づかいに、リディアは小さく微笑んだ。
「そうしたいところだけれど、もう少しだけ整理しておきたいの」
「……かしこまりました」
エマはそれ以上言わずに下がった。
ひとりになると、部屋の静けさがひどく重く感じた。
帳簿の数字は嘘をつかない。
曖昧な笑顔や、言葉を濁した会話より、ずっと残酷だ。
気のせいではない。
見間違いでもない。
社交辞令の範囲でもない。
レオンハルトは、セシリアに心を動かしている。
そしてその一方で、私は侯爵家の奥方としてここに置かれている。
帳簿を整え、屋敷を回し、問題を起こさず、何も言わずに。
役に立つから。
安心だから。
都合がいいから。
そう思った瞬間、胸の奥に鈍い痛みが走った。
私は、旦那様に愛されていないのかもしれない。
それだけなら、まだ耐えられたかもしれない。
でも本当につらいのは、
愛されていなくても、役に立つから置かれているのではないか
と思ってしまうことだった。
妻としてではなく。
好きな人としてでもなく。
ただ、侯爵家に必要な奥方として。
そのためにここにいるのだとしたら、あまりにも寂しい。
夕食の時間が近づき、外の光が少しずつ弱くなる。
リディアは最後にもう一度伝票を見て、それから丁寧に元の位置へ戻した。
乱れが出ないように。
いつも通り、きちんと。
そういうことだけは、いくらでもできる。
夕食の席で、レオンハルトはいつも通り穏やかだった。
「今日はどうだった」
「変わりなく」
「母上の機嫌は」
「いつも通りです」
簡潔な会話。
向かいに座る彼の顔は静かで、少しも乱れがない。今日、誰かに髪飾りを贈った人の顔だとは思えないほどだった。
リディアは思う。
旦那様は本当に、器用なのだ。
優しい夫でいながら、別の女に心を寄せることができる。
何事もなかったように、妻と食卓を囲める。
それとも、罪悪感すらないのだろうか。
自分が何をしているのか、本気で分かっていないのだろうか。
食事を終えたあと、レオンハルトは立ち上がる前にふとリディアを見た。
「顔色が悪いな」
「少し、疲れただけです」
「今日は早く休むといい」
「……はい」
その気づかいが、今夜は胸に刺さる。
優しい
本当に、優しい人だ
でも、その優しさはもう、私を救わない。
自室へ戻り、鏡台の前に座る。
真珠の髪飾りが、小さく光っていた。
手に取ってみる。
上品で、控えめで、侯爵夫人の自分にはよく似合うだろう。実際、悪い品ではない。
でも、分かってしまう。
これは「お詫び」なのだ。
傷つけたかもしれない妻を、静かに宥めるためのもの。
心が動いたからではない。
贈りたかったからではない。
一方、薔薇の髪飾りは違う
あれは、あの人にこそ似合うと思って選んだのだろう。
笑ってほしいと思って、喜ぶ顔が見たいと思って、贈ったのだ。
その違いが、もう痛いほど分かってしまった。
リディアはゆっくりと髪飾りを置いた。
私は今まで、白い結婚の理由を旦那様の事情だと思っていた。
忙しいから。
政略結婚だから。
時間が必要だから。
違った。
ただ、最初から違っていたのだ。
旦那様が心を向ける相手は、私ではなかった。
それでも私は、役に立つからここに置かれている。
何も知らないふりをして。
何も気づかない奥方の顔で。
そうやって、この家を整えてきた。
そのことが、今夜はひどく惨めだった。
何もかも整えてきたのに。
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でも、私の結婚だけは、最初から何ひとつ整っていなかったのだ。
その事実に、リディアはもう……目を逸らせなくなっていた。
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