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最終章 私の人生が始まる
春の朝だった。
女子学院の門が開く前から、リディアは事務室の机に向かっていた。
窓の外では、中庭の木々がやわらかく揺れている。冬のあいだ固く閉じていた枝先には、小さな芽が見え始めていた。
机の上には、新しい帳面が並んでいる。
寄付管理簿。教材費一覧。教員予定表。月末報告の下書き。どれも、この数か月で整え直したものだった。
「リディア様、おはようございます」
若い事務補佐の女性が、少し弾んだ声で入ってくる。
「おはよう。新入生の名簿はそろった?」
「はい。こちらです」
差し出された紙を受け取り、リディアは目を通した。
「ありがとう。これなら大丈夫ね。あとで一年生の担当表と合わせておきましょう」
「はい」
補佐の女性はにこりと笑って出ていく。
ほんの短いやり取りなのに、リディアは静かに胸があたたかくなるのを感じた。
ここでは、必要なことを必要なまま口にできる。そうして誰かが動き、また別の誰かが動きやすくなる。
その流れの中に自分がいることが、もう特別ではなくなっていた。
少しして、ローザが教室から顔を出した。
「リディア様、二年生の教材箱、予定通り奥へ置いてよろしいですか」
「ええ。入口側だと新入生と重なるから、そのほうがいいわ」
「分かりました」
ローザはすぐに引き返しかけて、ふと振り返った。
「それにしても、去年とは大違いですわね」
「何が?」
「全部です」
彼女は笑った。
「以前は、この時期になると事務室も教室も、何かしら足りなくなっておりましたもの。今は何をどこへ置くか、皆が分かっております」
その言葉に、リディアは少しだけ目を伏せる。
「皆さんが慣れてくださったからです」
「いいえ」
ローザはきっぱりと言った。
「流れを作ったのは、リディア様です」
そう言って、今度こそ教室へ戻っていった。
その言葉は、くすぐったいようでいて、もう以前ほど居心地が悪くなかった。
認められることを、少しずつそのまま受け取れるようになってきたのだと思う。
昼前、クラウス学院長が事務室へやってきた。
「リディア様、少しよろしいですか」
「はい」
彼の手には、封筒が一通あった。
「こちら、辺境伯様からです」
差し出された封を受け取り、リディアは少しだけ目を瞬いた。
開くと、短い文面が書かれている。
来季の予算案、承認された。
新しい帳簿の形式も、そのまま進めてほしい。
落ち着いたら、今後の運営について話したい。
カイル・アシュベリー
飾りのない文だった。
けれど、その短さの中に、この人らしい信頼があった。
「よいお返事のようで」
クラウスがほっとしたように言う。
「ええ」
リディアは封筒を閉じた。
「予算案も通ったそうです」
「それはありがたい。では、新しい書式も正式に進められますな」
「はい」
話はそれで終わった。
それ以上、誰も余計なことを言わない。その距離が心地よかった。
午後、新入生たちが中庭へ出てくる。
まだ緊張の抜けない顔もある。
けれど、隣の子と小さく笑い合う姿も見えた。
新しい制服の裾を気にしながら歩く娘、教室を間違えてあわてて戻る娘、初めての友人と並んで窓の外を見ている娘。
リディアは事務室の窓辺に立ち、その様子をしばらく見つめていた。
あの子たちにも、これからいろいろなことがあるのだろう。
うまくいく日も、そうでない日もあるはずだ。
それでも、ここが少しでも過ごしやすい場所になればいいと思った。
必要なことがきちんと整えられていて、学ぶことに集中できる場所であってほしいと思った。
「リディア様」
若い補佐が、少し興奮した顔で駆け寄ってくる。
「新入生の保護者の方が、案内がとても分かりやすいとおっしゃっていました」
「それはよかったわ」
「去年はずいぶん混乱したと聞いておりましたから……」
そう言ってから、彼女は少し照れたように笑う。
「今年は、ちゃんと迎えられている感じがします」
迎えられている。
その言葉が、リディアの胸に静かに落ちた。
そうかもしれないと思う。
ここは今、誰かをきちんと迎えられる場所になりつつあるのだと。
夕方になると、一日のざわめきが少しずつ静かになっていく。
生徒たちの足音が減り、教室の扉が順に閉まり、事務室には紙をめくる音だけが残る。
リディアは最後にもう一度、今日の記録を確認した。
新入生名簿
教材受け渡し表
寄付報告の下書き
どれもきちんと揃っている
ペンを置く。
机の上を整え、明日の分の書類を端へ寄せる。
その一つひとつの動きが、今はもう自然だった。
帰り支度をしていると、クラウスが扉口で立ち止まった。
「本日も、ありがとうございました」
「こちらこそ」
リディアが答えると、学院長は少し笑った。
「こうして言えるのが、うれしいですな」
「何がですか」
「明日も、よろしくお願いしますと、自然に言えることです」
その言葉に、リディアは小さく笑った。
「ええ。明日もよろしくお願いいたします」
学院を出ると、外の空気は少しだけ冷えていた。
けれど風はもう冬のそれではない。どこかやわらかく、春の匂いを含んでいる。
馬車へ乗り込む前に、リディアは一度だけ振り返った。
石造りの本館
低い講義棟
中庭の木々
窓の向こうに見える、自分の机
そこには、もう置かれているのではない自分がいた。
誰かの妻として与えられた場所ではなく。
誰かの都合のために残された席でもなく。
自分で選んで、働き、整え、明日も戻ってくる場所。
それが、ひどくうれしかった。
実家へ戻ると、ノアが玄関ホールの窓辺に立っていた。
「姉上、お帰りなさい」
「ただいま」
「今日はどうでしたか」
「忙しかったわ。でも、いい一日だった」
そう答えると、ノアは少しだけ笑った。
「顔を見れば分かります」
以前なら、その一言に照れたかもしれない。
でも今は、ただ素直に受け取れた。
夜、自室の机に向かう。
事務室の鍵を机の端へ置き、新しい帳面を開く。
最初の頁に、静かに書きつけた。
来季の整備項目
その文字を見つめながら、リディアはふと、あの頃の自分を思い出した。
空っぽだと思っていた。
何も残っていないのだと、本気で思っていた。
でも違った。
なくしたものは確かにある。
痛みも消えてはいない。
それでも、自分の中に何もなかったわけではなかった。
見て、整えて、考えて、支える力。
そして、自分の人生を自分で選びたいという気持ち。
それらは最初から、自分の中にあったのだ。
私はもう、誰かに選ばれるのを待つ妻ではない。
自分の足で立って、自分の人生を生きていく。
その思いは、今のリディアにはもう願いではなかった。
明日もまた、その続きを生きていくのだという、静かで確かな実感だった。
最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。
更新を追ってくださった方、応援してくださった方
ここまで見届けていただけたこと、心から感謝しております。
また新しい令嬢物語をお届けできるよう、これからも頑張ります。
次の物語でも、楽しんでいただけたら嬉しいです。
女子学院の門が開く前から、リディアは事務室の机に向かっていた。
窓の外では、中庭の木々がやわらかく揺れている。冬のあいだ固く閉じていた枝先には、小さな芽が見え始めていた。
机の上には、新しい帳面が並んでいる。
寄付管理簿。教材費一覧。教員予定表。月末報告の下書き。どれも、この数か月で整え直したものだった。
「リディア様、おはようございます」
若い事務補佐の女性が、少し弾んだ声で入ってくる。
「おはよう。新入生の名簿はそろった?」
「はい。こちらです」
差し出された紙を受け取り、リディアは目を通した。
「ありがとう。これなら大丈夫ね。あとで一年生の担当表と合わせておきましょう」
「はい」
補佐の女性はにこりと笑って出ていく。
ほんの短いやり取りなのに、リディアは静かに胸があたたかくなるのを感じた。
ここでは、必要なことを必要なまま口にできる。そうして誰かが動き、また別の誰かが動きやすくなる。
その流れの中に自分がいることが、もう特別ではなくなっていた。
少しして、ローザが教室から顔を出した。
「リディア様、二年生の教材箱、予定通り奥へ置いてよろしいですか」
「ええ。入口側だと新入生と重なるから、そのほうがいいわ」
「分かりました」
ローザはすぐに引き返しかけて、ふと振り返った。
「それにしても、去年とは大違いですわね」
「何が?」
「全部です」
彼女は笑った。
「以前は、この時期になると事務室も教室も、何かしら足りなくなっておりましたもの。今は何をどこへ置くか、皆が分かっております」
その言葉に、リディアは少しだけ目を伏せる。
「皆さんが慣れてくださったからです」
「いいえ」
ローザはきっぱりと言った。
「流れを作ったのは、リディア様です」
そう言って、今度こそ教室へ戻っていった。
その言葉は、くすぐったいようでいて、もう以前ほど居心地が悪くなかった。
認められることを、少しずつそのまま受け取れるようになってきたのだと思う。
昼前、クラウス学院長が事務室へやってきた。
「リディア様、少しよろしいですか」
「はい」
彼の手には、封筒が一通あった。
「こちら、辺境伯様からです」
差し出された封を受け取り、リディアは少しだけ目を瞬いた。
開くと、短い文面が書かれている。
来季の予算案、承認された。
新しい帳簿の形式も、そのまま進めてほしい。
落ち着いたら、今後の運営について話したい。
カイル・アシュベリー
飾りのない文だった。
けれど、その短さの中に、この人らしい信頼があった。
「よいお返事のようで」
クラウスがほっとしたように言う。
「ええ」
リディアは封筒を閉じた。
「予算案も通ったそうです」
「それはありがたい。では、新しい書式も正式に進められますな」
「はい」
話はそれで終わった。
それ以上、誰も余計なことを言わない。その距離が心地よかった。
午後、新入生たちが中庭へ出てくる。
まだ緊張の抜けない顔もある。
けれど、隣の子と小さく笑い合う姿も見えた。
新しい制服の裾を気にしながら歩く娘、教室を間違えてあわてて戻る娘、初めての友人と並んで窓の外を見ている娘。
リディアは事務室の窓辺に立ち、その様子をしばらく見つめていた。
あの子たちにも、これからいろいろなことがあるのだろう。
うまくいく日も、そうでない日もあるはずだ。
それでも、ここが少しでも過ごしやすい場所になればいいと思った。
必要なことがきちんと整えられていて、学ぶことに集中できる場所であってほしいと思った。
「リディア様」
若い補佐が、少し興奮した顔で駆け寄ってくる。
「新入生の保護者の方が、案内がとても分かりやすいとおっしゃっていました」
「それはよかったわ」
「去年はずいぶん混乱したと聞いておりましたから……」
そう言ってから、彼女は少し照れたように笑う。
「今年は、ちゃんと迎えられている感じがします」
迎えられている。
その言葉が、リディアの胸に静かに落ちた。
そうかもしれないと思う。
ここは今、誰かをきちんと迎えられる場所になりつつあるのだと。
夕方になると、一日のざわめきが少しずつ静かになっていく。
生徒たちの足音が減り、教室の扉が順に閉まり、事務室には紙をめくる音だけが残る。
リディアは最後にもう一度、今日の記録を確認した。
新入生名簿
教材受け渡し表
寄付報告の下書き
どれもきちんと揃っている
ペンを置く。
机の上を整え、明日の分の書類を端へ寄せる。
その一つひとつの動きが、今はもう自然だった。
帰り支度をしていると、クラウスが扉口で立ち止まった。
「本日も、ありがとうございました」
「こちらこそ」
リディアが答えると、学院長は少し笑った。
「こうして言えるのが、うれしいですな」
「何がですか」
「明日も、よろしくお願いしますと、自然に言えることです」
その言葉に、リディアは小さく笑った。
「ええ。明日もよろしくお願いいたします」
学院を出ると、外の空気は少しだけ冷えていた。
けれど風はもう冬のそれではない。どこかやわらかく、春の匂いを含んでいる。
馬車へ乗り込む前に、リディアは一度だけ振り返った。
石造りの本館
低い講義棟
中庭の木々
窓の向こうに見える、自分の机
そこには、もう置かれているのではない自分がいた。
誰かの妻として与えられた場所ではなく。
誰かの都合のために残された席でもなく。
自分で選んで、働き、整え、明日も戻ってくる場所。
それが、ひどくうれしかった。
実家へ戻ると、ノアが玄関ホールの窓辺に立っていた。
「姉上、お帰りなさい」
「ただいま」
「今日はどうでしたか」
「忙しかったわ。でも、いい一日だった」
そう答えると、ノアは少しだけ笑った。
「顔を見れば分かります」
以前なら、その一言に照れたかもしれない。
でも今は、ただ素直に受け取れた。
夜、自室の机に向かう。
事務室の鍵を机の端へ置き、新しい帳面を開く。
最初の頁に、静かに書きつけた。
来季の整備項目
その文字を見つめながら、リディアはふと、あの頃の自分を思い出した。
空っぽだと思っていた。
何も残っていないのだと、本気で思っていた。
でも違った。
なくしたものは確かにある。
痛みも消えてはいない。
それでも、自分の中に何もなかったわけではなかった。
見て、整えて、考えて、支える力。
そして、自分の人生を自分で選びたいという気持ち。
それらは最初から、自分の中にあったのだ。
私はもう、誰かに選ばれるのを待つ妻ではない。
自分の足で立って、自分の人生を生きていく。
その思いは、今のリディアにはもう願いではなかった。
明日もまた、その続きを生きていくのだという、静かで確かな実感だった。
最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。
更新を追ってくださった方、応援してくださった方
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