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第46章|逃げた妃の噂
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――休ませるはずが、“逃げた”に変換される。
――王宮は、弱った者を許さない。
妃の私室は静かだった。
静けさは安らぎではない。
王宮では、静けさは隔離の音に似ている。
厚いカーテンが陽を柔らかく遮り、窓辺の光は白い布のように床へ落ちていた。
暖炉は焚かれているのに、リディアの指先は冷たい。
冷たいのは、体だけではない。
ベッド脇の小卓には薬湯のカップ。
淡い草の匂いが鼻をかすめるたび、彼女は“休むべき者”に分類された自分を思い知らされる。
王太子妃は、休んではいけない。
休めば、物語ができる。
ミナがそっとカップを差し出した。
「妃殿下……少し、口を湿らせてくださいませ」
「ありがとう」
言葉は柔らかい。
けれど、舌が薬草の苦さを拾うたび、胸の奥が縮む。
——こんなことで。
自分が弱いと思いたくない。
弱くなれば、席を奪われる。
席を奪われるのではない。
“奪われたことにされる”。
扉をノックする音がした。
リュクレース女官長の音はいつも一定で、乱れがない。
乱れがない音ほど、悪い知らせが入っている。
「妃殿下。失礼いたします」
女官長は部屋へ入り、礼をしてから口を開いた。
「……噂が動き始めました」
その一文で、リディアは理解した。
休ませたのに。
守ったのに。
——もう、遅い。
「どのように?」
問いは冷静。
冷静であるほど、自分が崩れていない証拠になる。
証拠になれば、また“強い妃”が出来上がる。
強い妃は、守られなくていいとされる。
悪循環だ。
リュクレースは一瞬だけ視線を伏せた。
伏せた視線に、怒りが混じる。
「『妃殿下は気分を害して公務を放棄した』
『舞踏会で恥をかかされた伯爵令嬢が可哀想で、殿下が困っていらっしゃる』
……そのような形です」
“放棄”。
“困っている”。
この言葉の組み合わせは、妃を悪役にし、王太子を被害者にする。
王宮がいちばん好む配置。
ミナが堪えきれず、声を震わせた。
「妃殿下は……倒れかけたのに……!」
リディアはミナを見ない。
見れば、ミナの怒りが彼女の怒りだと受け取られる。
妃は“怒ってはいけない”。
怒れば争いだとされる。
「ミナ。大丈夫よ」
大丈夫ではない。
けれど、妃は大丈夫と言うことで王宮を保つ。
リュクレースが続ける。
「ローラ子爵令嬢が、茶会室の女官たちへ“心配のふり”で話を流しております。
アデラも……『気の毒な殿下』の空気を作っております」
名前が並ぶだけで、リディアの胃が痛む。
ローラは尾ひれをつける。
アデラは空気を整える。
どちらも陰謀ではない。
ただ、“面白い”のだ。
ただ、“快適”なのだ。
妃の苦しみは、彼女たちの暇つぶしに変換される。
——逃げた。
——弱い。
——だから、殿下は別の——
言葉になっていない噂が、すでに完成形へ向かっているのが分かる。
その時、廊下から足音が近づいた。
甲冑の擦れるわずかな音。
近衛ルシアンだ。
扉が開く。
彼は入ってこない。
門番のように、扉の内と外を守る位置で礼をする。
「妃殿下。失礼いたします。
王妃陛下より、噂の場へ立ち入る許可が下りました」
許可。
許可があるから行ける。
許可があるから止められる。
王宮では、正義も許可制だ。
リディアはゆっくり瞬きをした。
「……あなたが?」
「はい」
ルシアンの声は短い。
短いほど、決意が硬い。
「噂の場に、剣は不要です。
必要なのは——線引きです」
線引き。
リディアが何度もしてきた線引き。
正しい線引きは、いつも“争い”に変換された。
けれど今、線引きをするのは妃ではない。
近衛だ。
王妃の許可を得た、王宮の機構そのものだ。
それが、どれほど救いになるか。
——救いになるのは、心ではなく、体面だけだとしても。
噂は“人が集まる場所”で育つ。
回廊の角、茶会室の控室、礼拝堂前のベンチ、温室の小径。
花の香りが漂う場所ほど、人は優しい声で残酷になれる。
ルシアンは、温室の入口で足を止めた。
硝子越しに、令嬢たちの輪が見える。
輪の中心にいるのはローラ。
彼女は白いハンカチを握り、涙ぐむふりで声を落とす。
「……妃殿下、きっとお辛かったのよね。
でも、殿下だって……殿下だってお可哀想よ。
だって殿下、昨夜はずっと……」
ずっと。
その続きは、聞く者の想像に任せる。
想像は、噂の最良の燃料だ。
アデラが微笑んで頷く。
頷きが“真実味”を足す。
「殿下はお優しいもの。
厳しい妃殿下より、素直な方に……心が寄ってしまうのも——」
素直。
厳しい。
言葉だけで、妃の席を削る。
ルシアンは、そこで一歩前に出た。
甲冑ではない。礼装のまま。
しかし彼の存在は剣より鋭い。
「——それ以上は、言葉の刃です」
令嬢たちが息を止める。
上品な空気ほど、止まると音が痛い。
ローラが目を見開き、すぐに被害者の形を作る。
「まあ……近衛様。わたくし、ただ心配で……」
「心配は結構」
ルシアンは遮った。
遮り方が礼儀正しいほど、逃げ道がない。
「妃殿下は医師の命令により療養中です。
“逃げた”のではない。
そして殿下が“可哀想”という物語は、妃殿下の名誉を損ないます」
名誉。
この言葉は、王宮で最も重い。
恋より重い。涙より重い。
アデラが軽く笑う。
「近衛様。そんなに硬くならなくても——」
「硬くなります」
ルシアンは言い切った。
「王太子妃の名誉を守るのが、私の役目です」
役目。
役目という言葉で、感情を切り捨てる。
切り捨てるほど強い。
ローラの頬が赤くなる。羞恥と怒り。
けれど彼女は笑う。笑えば品位が保てると知っている。
「……失礼いたしました。妃殿下のご快復をお祈りいたしますわ」
祈り。
祈りの形をした撤退。
しかし噂は祈りでは消えない。
噂はただ、場所を変えるだけ。
ルシアンは令嬢たちの輪を見回した。
「この場に居合わせた方々へ申し上げます。
妃殿下の療養に関する憶測、また殿下の私情に関する噂話は——禁じます」
禁じる。
禁じると言われると、人は反発する。
けれど王宮は“禁じられた噂”に弱い。
禁じられると、逆に“危険だ”と理解する。
危険だと理解すれば、黙る。
黙れば表に出ない。
表に出なければ、妃は守られる。
——ほんの少しだけ。
ルシアンが去った後、温室の硝子越しに残る笑顔は、薄くひび割れて見えた。
その報告が、リディアの私室へ届いたのは昼過ぎだった。
窓の光が少し傾き、部屋の空気が冷え始める頃。
「……噂の場に踏み込み、止めました」
ルシアンは淡々と告げる。
淡々と告げるほど、彼も緊張していたのが分かる。
王宮の女の輪に踏み込むのは、戦場より難しいことがある。
リディアはカップを置き、静かに頷いた。
「ありがとう」
ありがとう、という言葉は軽い。
軽い言葉しか出せないほど、彼女は疲れていた。
ミナが小さく泣きそうな顔をする。
泣けば妃が負けたことになる。
だから泣けない。
リュクレースが低い声で言った。
「妃殿下。お休みになることは“逃げ”ではありません。
けれど王宮は、逃げに変えます」
変える。
王宮は変える。
真実を、都合の良い形へ。
リディアは目を閉じた。
閉じた瞼の裏に、昨夜の光が蘇る。
守ったと言った夫の声。
守ったのに届かない椅子。
争う必要はない、という“場”の言葉。
——守られても、心は戻らない。
目を開ける。
瞳は濡れていない。
濡らさない。
濡らせば物語になる。
「……戻ります」
ミナが息を呑む。
「妃殿下、まだ——」
「逃げない。けれど」
リディアは言葉を区切った。
区切りが、彼女の線引き。
「殿下の隣は、空けます」
その宣言は、敗北ではない。
勝利でもない。
ただ、折れないための形。
リュクレースが頷く。
「導線を固めます。
妃殿下が“戻った”という事実を、公にします。
そして——“隣”の意味も」
隣。
隣は席ではない。
心だ。
心は命令で戻らない。
その時、外からノックが響いた。
アーヴィンだ。
ノックの音が揺れている。
揺れる音は、彼の迷い。
「リディア……入っていいか」
リディアは返事をしない。
返事をすれば、夫婦の会話が始まる。
夫婦の会話は、まだ彼女の胸を痛める。
リュクレースが扉へ向かい、低く告げた。
「殿下。妃殿下は医師の命令で静養中です。
面会は王妃陛下の許可を得てからに」
王妃の許可。
許可が必要な夫。
その事実が、リディアの心に小さな棘を残す。
扉の向こうで、アーヴィンが息を飲む気配がした。
そして、何も言わず去った。
去る足音が遠ざかる。
遠ざかるほど、リディアの胸が静かに冷える。
守るのが遅いと、守りは償いに見える。
償いは温度にならない。
温度にならないものは、心を溶かせない。
けれどリディアは立ち上がった。
立つことが、妃の仕事だ。
立つことが、逃げない証明だ。
——逃げない。
——でも、隣は空ける。
その線引きが、王宮の物語を少しだけ変える。
少しだけ。
たった少しだけ。
だが“少し”が積み重なれば、空気は変わる。
変えるのは恋ではない。
制度と線と、折れない背筋だ。
――王宮は、弱った者を許さない。
妃の私室は静かだった。
静けさは安らぎではない。
王宮では、静けさは隔離の音に似ている。
厚いカーテンが陽を柔らかく遮り、窓辺の光は白い布のように床へ落ちていた。
暖炉は焚かれているのに、リディアの指先は冷たい。
冷たいのは、体だけではない。
ベッド脇の小卓には薬湯のカップ。
淡い草の匂いが鼻をかすめるたび、彼女は“休むべき者”に分類された自分を思い知らされる。
王太子妃は、休んではいけない。
休めば、物語ができる。
ミナがそっとカップを差し出した。
「妃殿下……少し、口を湿らせてくださいませ」
「ありがとう」
言葉は柔らかい。
けれど、舌が薬草の苦さを拾うたび、胸の奥が縮む。
——こんなことで。
自分が弱いと思いたくない。
弱くなれば、席を奪われる。
席を奪われるのではない。
“奪われたことにされる”。
扉をノックする音がした。
リュクレース女官長の音はいつも一定で、乱れがない。
乱れがない音ほど、悪い知らせが入っている。
「妃殿下。失礼いたします」
女官長は部屋へ入り、礼をしてから口を開いた。
「……噂が動き始めました」
その一文で、リディアは理解した。
休ませたのに。
守ったのに。
——もう、遅い。
「どのように?」
問いは冷静。
冷静であるほど、自分が崩れていない証拠になる。
証拠になれば、また“強い妃”が出来上がる。
強い妃は、守られなくていいとされる。
悪循環だ。
リュクレースは一瞬だけ視線を伏せた。
伏せた視線に、怒りが混じる。
「『妃殿下は気分を害して公務を放棄した』
『舞踏会で恥をかかされた伯爵令嬢が可哀想で、殿下が困っていらっしゃる』
……そのような形です」
“放棄”。
“困っている”。
この言葉の組み合わせは、妃を悪役にし、王太子を被害者にする。
王宮がいちばん好む配置。
ミナが堪えきれず、声を震わせた。
「妃殿下は……倒れかけたのに……!」
リディアはミナを見ない。
見れば、ミナの怒りが彼女の怒りだと受け取られる。
妃は“怒ってはいけない”。
怒れば争いだとされる。
「ミナ。大丈夫よ」
大丈夫ではない。
けれど、妃は大丈夫と言うことで王宮を保つ。
リュクレースが続ける。
「ローラ子爵令嬢が、茶会室の女官たちへ“心配のふり”で話を流しております。
アデラも……『気の毒な殿下』の空気を作っております」
名前が並ぶだけで、リディアの胃が痛む。
ローラは尾ひれをつける。
アデラは空気を整える。
どちらも陰謀ではない。
ただ、“面白い”のだ。
ただ、“快適”なのだ。
妃の苦しみは、彼女たちの暇つぶしに変換される。
——逃げた。
——弱い。
——だから、殿下は別の——
言葉になっていない噂が、すでに完成形へ向かっているのが分かる。
その時、廊下から足音が近づいた。
甲冑の擦れるわずかな音。
近衛ルシアンだ。
扉が開く。
彼は入ってこない。
門番のように、扉の内と外を守る位置で礼をする。
「妃殿下。失礼いたします。
王妃陛下より、噂の場へ立ち入る許可が下りました」
許可。
許可があるから行ける。
許可があるから止められる。
王宮では、正義も許可制だ。
リディアはゆっくり瞬きをした。
「……あなたが?」
「はい」
ルシアンの声は短い。
短いほど、決意が硬い。
「噂の場に、剣は不要です。
必要なのは——線引きです」
線引き。
リディアが何度もしてきた線引き。
正しい線引きは、いつも“争い”に変換された。
けれど今、線引きをするのは妃ではない。
近衛だ。
王妃の許可を得た、王宮の機構そのものだ。
それが、どれほど救いになるか。
——救いになるのは、心ではなく、体面だけだとしても。
噂は“人が集まる場所”で育つ。
回廊の角、茶会室の控室、礼拝堂前のベンチ、温室の小径。
花の香りが漂う場所ほど、人は優しい声で残酷になれる。
ルシアンは、温室の入口で足を止めた。
硝子越しに、令嬢たちの輪が見える。
輪の中心にいるのはローラ。
彼女は白いハンカチを握り、涙ぐむふりで声を落とす。
「……妃殿下、きっとお辛かったのよね。
でも、殿下だって……殿下だってお可哀想よ。
だって殿下、昨夜はずっと……」
ずっと。
その続きは、聞く者の想像に任せる。
想像は、噂の最良の燃料だ。
アデラが微笑んで頷く。
頷きが“真実味”を足す。
「殿下はお優しいもの。
厳しい妃殿下より、素直な方に……心が寄ってしまうのも——」
素直。
厳しい。
言葉だけで、妃の席を削る。
ルシアンは、そこで一歩前に出た。
甲冑ではない。礼装のまま。
しかし彼の存在は剣より鋭い。
「——それ以上は、言葉の刃です」
令嬢たちが息を止める。
上品な空気ほど、止まると音が痛い。
ローラが目を見開き、すぐに被害者の形を作る。
「まあ……近衛様。わたくし、ただ心配で……」
「心配は結構」
ルシアンは遮った。
遮り方が礼儀正しいほど、逃げ道がない。
「妃殿下は医師の命令により療養中です。
“逃げた”のではない。
そして殿下が“可哀想”という物語は、妃殿下の名誉を損ないます」
名誉。
この言葉は、王宮で最も重い。
恋より重い。涙より重い。
アデラが軽く笑う。
「近衛様。そんなに硬くならなくても——」
「硬くなります」
ルシアンは言い切った。
「王太子妃の名誉を守るのが、私の役目です」
役目。
役目という言葉で、感情を切り捨てる。
切り捨てるほど強い。
ローラの頬が赤くなる。羞恥と怒り。
けれど彼女は笑う。笑えば品位が保てると知っている。
「……失礼いたしました。妃殿下のご快復をお祈りいたしますわ」
祈り。
祈りの形をした撤退。
しかし噂は祈りでは消えない。
噂はただ、場所を変えるだけ。
ルシアンは令嬢たちの輪を見回した。
「この場に居合わせた方々へ申し上げます。
妃殿下の療養に関する憶測、また殿下の私情に関する噂話は——禁じます」
禁じる。
禁じると言われると、人は反発する。
けれど王宮は“禁じられた噂”に弱い。
禁じられると、逆に“危険だ”と理解する。
危険だと理解すれば、黙る。
黙れば表に出ない。
表に出なければ、妃は守られる。
——ほんの少しだけ。
ルシアンが去った後、温室の硝子越しに残る笑顔は、薄くひび割れて見えた。
その報告が、リディアの私室へ届いたのは昼過ぎだった。
窓の光が少し傾き、部屋の空気が冷え始める頃。
「……噂の場に踏み込み、止めました」
ルシアンは淡々と告げる。
淡々と告げるほど、彼も緊張していたのが分かる。
王宮の女の輪に踏み込むのは、戦場より難しいことがある。
リディアはカップを置き、静かに頷いた。
「ありがとう」
ありがとう、という言葉は軽い。
軽い言葉しか出せないほど、彼女は疲れていた。
ミナが小さく泣きそうな顔をする。
泣けば妃が負けたことになる。
だから泣けない。
リュクレースが低い声で言った。
「妃殿下。お休みになることは“逃げ”ではありません。
けれど王宮は、逃げに変えます」
変える。
王宮は変える。
真実を、都合の良い形へ。
リディアは目を閉じた。
閉じた瞼の裏に、昨夜の光が蘇る。
守ったと言った夫の声。
守ったのに届かない椅子。
争う必要はない、という“場”の言葉。
——守られても、心は戻らない。
目を開ける。
瞳は濡れていない。
濡らさない。
濡らせば物語になる。
「……戻ります」
ミナが息を呑む。
「妃殿下、まだ——」
「逃げない。けれど」
リディアは言葉を区切った。
区切りが、彼女の線引き。
「殿下の隣は、空けます」
その宣言は、敗北ではない。
勝利でもない。
ただ、折れないための形。
リュクレースが頷く。
「導線を固めます。
妃殿下が“戻った”という事実を、公にします。
そして——“隣”の意味も」
隣。
隣は席ではない。
心だ。
心は命令で戻らない。
その時、外からノックが響いた。
アーヴィンだ。
ノックの音が揺れている。
揺れる音は、彼の迷い。
「リディア……入っていいか」
リディアは返事をしない。
返事をすれば、夫婦の会話が始まる。
夫婦の会話は、まだ彼女の胸を痛める。
リュクレースが扉へ向かい、低く告げた。
「殿下。妃殿下は医師の命令で静養中です。
面会は王妃陛下の許可を得てからに」
王妃の許可。
許可が必要な夫。
その事実が、リディアの心に小さな棘を残す。
扉の向こうで、アーヴィンが息を飲む気配がした。
そして、何も言わず去った。
去る足音が遠ざかる。
遠ざかるほど、リディアの胸が静かに冷える。
守るのが遅いと、守りは償いに見える。
償いは温度にならない。
温度にならないものは、心を溶かせない。
けれどリディアは立ち上がった。
立つことが、妃の仕事だ。
立つことが、逃げない証明だ。
——逃げない。
——でも、隣は空ける。
その線引きが、王宮の物語を少しだけ変える。
少しだけ。
たった少しだけ。
だが“少し”が積み重なれば、空気は変わる。
変えるのは恋ではない。
制度と線と、折れない背筋だ。
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