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第十二章 試される覚悟
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王妃教育の初日。
広間には十数名の貴婦人が集まっていた。
卓上には礼儀作法や歴史、外交文書などが並び、重苦しい空気が漂う。
「公爵令嬢とはいえ、まだお若い。王妃となるには早すぎるのではなくて?」
「浄化の件で浮き立っただけに過ぎませんわ。王妃の務めはもっと重いのですから」
ささやき声が聞こえても、私は背筋を正した。
昨日までなら怯んでいたかもしれない。
けれど今は――アランの言葉が胸にある。
――逃げるな。俺の隣に立て。
深く息を吸い、学びの席についた。
授業は苛烈だった。
王国の歴史を問われ、答えを誤れば冷笑が浴びせられる。
食卓作法の細部を試され、ほんのわずかな乱れも指摘される。
まるで「お前に王妃は務まらない」と証明しようとしているかのように。
それでも、私は一つひとつに真摯に答えた。
完璧ではなかったが、逃げなかった。
やがて、年長の公爵夫人が口を開く。
「では最後に……もし王国が隣国と戦になるとしたら、王妃としてどう振る舞うか。お答えになれますか?」
突きつけられた問いに、広間の空気が固まる。
これはただの知識ではなく、覚悟を問う試練。
私は唇を噛み、そしてゆっくりと答えた。
「……民の心が乱れれば、国はすぐに揺らぎます。
だからこそ、王妃は民に安らぎを示し、陛下を信じて寄り添うべきです。
恐怖に屈することなく、共に国を支える。それが、わたくしの務めだと考えます」
広間に沈黙が落ちた。
やがて数名の貴婦人が目を細め、わずかに頷いた。
その夜。
疲れ切った私を迎えに来たのは、アランだった。
彼は執務を終えたばかりだというのに、まっすぐにこちらへ歩み寄る。
「今日一日、噂を聞いたぞ」
「……失敗も多かったのです」
「関係ない。お前が逃げなかったこと、それが全てだ」
彼の腕に抱き寄せられる。
強く、そして熱く。
「エリシア……お前はもう十分に王妃だ。あとは、それを周囲に思い知らせるだけだ」
低く囁く声に胸が震えた。
彼の隣に立つため、私は決して退かないと、改めて誓った。
広間には十数名の貴婦人が集まっていた。
卓上には礼儀作法や歴史、外交文書などが並び、重苦しい空気が漂う。
「公爵令嬢とはいえ、まだお若い。王妃となるには早すぎるのではなくて?」
「浄化の件で浮き立っただけに過ぎませんわ。王妃の務めはもっと重いのですから」
ささやき声が聞こえても、私は背筋を正した。
昨日までなら怯んでいたかもしれない。
けれど今は――アランの言葉が胸にある。
――逃げるな。俺の隣に立て。
深く息を吸い、学びの席についた。
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まるで「お前に王妃は務まらない」と証明しようとしているかのように。
それでも、私は一つひとつに真摯に答えた。
完璧ではなかったが、逃げなかった。
やがて、年長の公爵夫人が口を開く。
「では最後に……もし王国が隣国と戦になるとしたら、王妃としてどう振る舞うか。お答えになれますか?」
突きつけられた問いに、広間の空気が固まる。
これはただの知識ではなく、覚悟を問う試練。
私は唇を噛み、そしてゆっくりと答えた。
「……民の心が乱れれば、国はすぐに揺らぎます。
だからこそ、王妃は民に安らぎを示し、陛下を信じて寄り添うべきです。
恐怖に屈することなく、共に国を支える。それが、わたくしの務めだと考えます」
広間に沈黙が落ちた。
やがて数名の貴婦人が目を細め、わずかに頷いた。
その夜。
疲れ切った私を迎えに来たのは、アランだった。
彼は執務を終えたばかりだというのに、まっすぐにこちらへ歩み寄る。
「今日一日、噂を聞いたぞ」
「……失敗も多かったのです」
「関係ない。お前が逃げなかったこと、それが全てだ」
彼の腕に抱き寄せられる。
強く、そして熱く。
「エリシア……お前はもう十分に王妃だ。あとは、それを周囲に思い知らせるだけだ」
低く囁く声に胸が震えた。
彼の隣に立つため、私は決して退かないと、改めて誓った。
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