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第9章|理由のない涙
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夜の王宮は、昼より静かで、昼より残酷だった。
灯りの落ちる回廊。遠くで鳴る見回りの靴音。風が窓枠を撫でる音。
昼間は働く音がすべてを塗り潰してくれるのに、夜は――胸の中の音だけが、はっきり聞こえてしまう。
セシリアに与えられた侍女の寝室は、小さかった。
壁は白い漆喰。窓は細く、外の月明かりが細い帯になって床を切っている。
寝台は簡素で、シーツは硬い。
伯爵家の柔らかな寝具とは比べものにならないはずなのに、セシリアは不思議と“安心”を感じていた。
――ここは、檻ではない。
自分の働いた分だけ、眠れる場所。
それだけで、十分だった。
なのに。
灯りを落とし、ベッドに横になった瞬間、胸の奥がぎゅっと締まった。
(……また)
理由のない痛み。
突然、呼吸が浅くなる。
喉の奥に、言葉にならないものが詰まる。
セシリアは布団の上で身を起こし、薄い胸元を押さえた。
心臓が、早い。
今日の出来事が頭をよぎる。
偽聖女リディアの涙。
侍女たちの視線。
イヴの言葉。
――身の程を知れ。
それらは全部、痛い。
でも、耐えられる痛みだ。現実だから。
問題は、別の痛みだった。
どうしても、そこに辿り着いてしまう。
琥珀の瞳。
冷たい声。
「忘れたなら、それでいい」
「思い出そうとするな」
――名前を思い浮かべるだけで、胸が痛む。
思い出せないのに。
顔は分かるのに、“思い出”がないのに。
なのに、心が勝手に反応する。
(……私は、何を失ったの)
答えは出ない。
セシリアは枕元の小さな蝋燭に火を灯した。
炎が揺れ、部屋に淡い光が広がる。
光の中で、自分の指を見た。
指輪のない左手。
そこに指輪があったはずだと知っているのに、その重さを思い出せない。
――落ちた。転がった。冷たく光った。
それは覚えている。
自分の心が砕ける音と一緒に。
セシリアは息を吐いた。
息が震えた。
涙が、落ちそうだった。
(泣かない)
泣いたら負ける。
泣いたら、昨夜の舞踏会に戻ってしまう。
そう思っているのに、目の奥が熱い。
ふいに、扉が小さくノックされた。
「……セシリアさん。起きてる?」
小声。
柔らかな女の声。
セシリアは驚いて、慌てて蝋燭の火を少し覆った。
夜番の見回りに見咎められる時間ではないが、何となく、心が落ち着かなかった。
「……はい」
扉が少し開き、顔を覗かせたのは薬草係の侍女サラだった。
昼間、あの場で声をかけてくれた人。
控えめで、柔らかくて、それでいて目が冷静な人。
「ごめんね。遅くに。……持ってきたの」
サラが小さなポットとカップを持って入ってくる。
薬草の香りが、ふっと部屋に広がった。
甘いようで、ほろ苦い香り。
胸の奥の痛みが、ほんの少し緩む。
「……ありがとう、ございます」
言った瞬間、声が掠れた。
自分でも気づかないうちに、限界が近かったのだと分かる。
サラはベッド脇の小さな台にカップを置き、ゆっくり椅子に座った。
何も急かさない。何も決めつけない。
「……今日、あの控室のあと。大丈夫だった?」
セシリアは頷こうとして、できなかった。
頷けば、涙が落ちる。
サラはそれを見て、何も言わずにカップを差し出した。
「飲んで。喉が少し楽になる」
セシリアは両手でカップを包んだ。
温かい。
温かさが指先から伝わって、胸の奥の氷を少しだけ溶かす。
一口飲むと、薬草の苦さが舌に広がり、その後に蜂蜜のような甘みが追いかけてきた。
――苦い。
――でも、少し甘い。
今の自分みたいだと思った瞬間、胸がきゅっとなった。
サラが、淡々とした声で言う。
「……王宮って、怖いでしょう」
セシリアは小さく笑おうとした。
笑えなかった。
「怖いです。でも……働けるから、まだ」
「うん。働いてる間は、考えなくて済む」
サラは頷く。
その言葉が、痛いほど正しい。
沈黙が落ちた。
蝋燭の炎が揺れ、影が壁に揺れる。
サラが、少しだけ声を落とした。
「……ねえ。変なこと聞いていい?」
セシリアはカップを握りしめたまま頷いた。
「あなた……夜になると胸が痛くならない?」
セシリアの指先がぴくりと震えた。
「……なります」
やっと絞り出した声。
サラは目を細めた。
怖がっている目ではない。観察する目。
「それ、薬でどうこうじゃない痛みよね。……“思い出せないのに苦しい”感じ」
セシリアは息を呑んだ。
当てられた。
誰にも言っていないはずなのに。
「……どうして」
「私、薬草係だから。身体の痛みと心の痛みの違いくらい、分かるの」
サラは優しく笑った。
優しいのに、どこか厳しい笑み。
「……それ、たぶん“忘れてる”から痛いの。忘れてるのに、身体だけが覚えてるから」
セシリアの胸が強く脈打つ。
忘れてる。
身体だけが覚えてる。
まるで、呪いみたいだ。
セシリアの視界が滲む。
涙が溜まっていく。
「……私、どうしたらいいんですか」
声が震えた。
サラはすぐには答えなかった。
その沈黙が、怖い。
そして、ゆっくり言った。
「今は――無理に思い出そうとしないで」
セシリアの肩が小さく跳ねた。
その言葉は、あの人の言葉と似ている。
――思い出そうとするな。
胸が痛む。
涙が溢れそうになる。
サラは、セシリアの反応を見て、確信したように目を細めた。
「……やっぱり。誰かに、そう言われた?」
セシリアは答えられない。
答えた瞬間、名前がこぼれてしまう気がした。
サラは追及しない。
ただ、カップの縁に指を置いて、落ち着いた声で言う。
「いい? 思い出すって、時に危険なの。心が耐えられないこともあるし……他人が、それを望まないこともある」
セシリアは唇を噛んだ。
他人が望まない。
――あの人が望まない。
涙が、とうとうこぼれた。
一粒。
頬を伝い、カップの縁に落ちる。
熱いのに、透明で、軽い。
泣きたくなかった。
泣けば負けだと思っていた。
でも今の涙は、負けではなく――行き場のない痛みの排出口だった。
サラは何も言わず、テーブルの上の布をそっと差し出した。
セシリアは受け取って、涙を拭う。
拭っても拭っても、勝手に落ちる。
「……私、変ですよね」
声がひどく小さい。
サラは首を振った。
「変じゃない。あなた、ちゃんと生きようとしてる。……だから痛むのよ」
その言葉が、セシリアの心臓を優しく叩いた。
セシリアは小さく息を吸って、吐いた。
少しだけ呼吸が整う。
サラは立ち上がり、ポットを持った。
「薬草茶、明日も持ってくる。……眠れそう?」
セシリアは頷く。
頷きながら、涙を拭った。
「……はい。ありがとうございます」
サラは扉の前で振り返り、最後に言った。
「――ひとつだけ。あなたが苦しいのは、あなたが弱いからじゃない。誰かが“強く守ってる”からよ」
扉が閉まる。
セシリアはその言葉を胸の中で反芻した。
誰かが強く守ってる。
守る。
その言葉が、また胸を刺す。
思い出せないのに、痛い。
蝋燭の火を消し、セシリアはベッドに横になった。
暗闇の中で、胸の痛みはまだ残っている。
でも、薬草の香りが、少しだけそれを薄めてくれる。
そして、涙が乾いた頃。
セシリアはふと、分からない旋律を口の中で転がしていた。
言葉も意味もない、短い音。
――どこかで聞いた気がする。
どこかで、誰かのために歌った気がする。
その音が、胸の奥の空白に触れかけて、セシリアは自分でも知らない涙をもう一度こぼした。
理由のない涙は、
“失ったもの”が確かに存在する証だった。
灯りの落ちる回廊。遠くで鳴る見回りの靴音。風が窓枠を撫でる音。
昼間は働く音がすべてを塗り潰してくれるのに、夜は――胸の中の音だけが、はっきり聞こえてしまう。
セシリアに与えられた侍女の寝室は、小さかった。
壁は白い漆喰。窓は細く、外の月明かりが細い帯になって床を切っている。
寝台は簡素で、シーツは硬い。
伯爵家の柔らかな寝具とは比べものにならないはずなのに、セシリアは不思議と“安心”を感じていた。
――ここは、檻ではない。
自分の働いた分だけ、眠れる場所。
それだけで、十分だった。
なのに。
灯りを落とし、ベッドに横になった瞬間、胸の奥がぎゅっと締まった。
(……また)
理由のない痛み。
突然、呼吸が浅くなる。
喉の奥に、言葉にならないものが詰まる。
セシリアは布団の上で身を起こし、薄い胸元を押さえた。
心臓が、早い。
今日の出来事が頭をよぎる。
偽聖女リディアの涙。
侍女たちの視線。
イヴの言葉。
――身の程を知れ。
それらは全部、痛い。
でも、耐えられる痛みだ。現実だから。
問題は、別の痛みだった。
どうしても、そこに辿り着いてしまう。
琥珀の瞳。
冷たい声。
「忘れたなら、それでいい」
「思い出そうとするな」
――名前を思い浮かべるだけで、胸が痛む。
思い出せないのに。
顔は分かるのに、“思い出”がないのに。
なのに、心が勝手に反応する。
(……私は、何を失ったの)
答えは出ない。
セシリアは枕元の小さな蝋燭に火を灯した。
炎が揺れ、部屋に淡い光が広がる。
光の中で、自分の指を見た。
指輪のない左手。
そこに指輪があったはずだと知っているのに、その重さを思い出せない。
――落ちた。転がった。冷たく光った。
それは覚えている。
自分の心が砕ける音と一緒に。
セシリアは息を吐いた。
息が震えた。
涙が、落ちそうだった。
(泣かない)
泣いたら負ける。
泣いたら、昨夜の舞踏会に戻ってしまう。
そう思っているのに、目の奥が熱い。
ふいに、扉が小さくノックされた。
「……セシリアさん。起きてる?」
小声。
柔らかな女の声。
セシリアは驚いて、慌てて蝋燭の火を少し覆った。
夜番の見回りに見咎められる時間ではないが、何となく、心が落ち着かなかった。
「……はい」
扉が少し開き、顔を覗かせたのは薬草係の侍女サラだった。
昼間、あの場で声をかけてくれた人。
控えめで、柔らかくて、それでいて目が冷静な人。
「ごめんね。遅くに。……持ってきたの」
サラが小さなポットとカップを持って入ってくる。
薬草の香りが、ふっと部屋に広がった。
甘いようで、ほろ苦い香り。
胸の奥の痛みが、ほんの少し緩む。
「……ありがとう、ございます」
言った瞬間、声が掠れた。
自分でも気づかないうちに、限界が近かったのだと分かる。
サラはベッド脇の小さな台にカップを置き、ゆっくり椅子に座った。
何も急かさない。何も決めつけない。
「……今日、あの控室のあと。大丈夫だった?」
セシリアは頷こうとして、できなかった。
頷けば、涙が落ちる。
サラはそれを見て、何も言わずにカップを差し出した。
「飲んで。喉が少し楽になる」
セシリアは両手でカップを包んだ。
温かい。
温かさが指先から伝わって、胸の奥の氷を少しだけ溶かす。
一口飲むと、薬草の苦さが舌に広がり、その後に蜂蜜のような甘みが追いかけてきた。
――苦い。
――でも、少し甘い。
今の自分みたいだと思った瞬間、胸がきゅっとなった。
サラが、淡々とした声で言う。
「……王宮って、怖いでしょう」
セシリアは小さく笑おうとした。
笑えなかった。
「怖いです。でも……働けるから、まだ」
「うん。働いてる間は、考えなくて済む」
サラは頷く。
その言葉が、痛いほど正しい。
沈黙が落ちた。
蝋燭の炎が揺れ、影が壁に揺れる。
サラが、少しだけ声を落とした。
「……ねえ。変なこと聞いていい?」
セシリアはカップを握りしめたまま頷いた。
「あなた……夜になると胸が痛くならない?」
セシリアの指先がぴくりと震えた。
「……なります」
やっと絞り出した声。
サラは目を細めた。
怖がっている目ではない。観察する目。
「それ、薬でどうこうじゃない痛みよね。……“思い出せないのに苦しい”感じ」
セシリアは息を呑んだ。
当てられた。
誰にも言っていないはずなのに。
「……どうして」
「私、薬草係だから。身体の痛みと心の痛みの違いくらい、分かるの」
サラは優しく笑った。
優しいのに、どこか厳しい笑み。
「……それ、たぶん“忘れてる”から痛いの。忘れてるのに、身体だけが覚えてるから」
セシリアの胸が強く脈打つ。
忘れてる。
身体だけが覚えてる。
まるで、呪いみたいだ。
セシリアの視界が滲む。
涙が溜まっていく。
「……私、どうしたらいいんですか」
声が震えた。
サラはすぐには答えなかった。
その沈黙が、怖い。
そして、ゆっくり言った。
「今は――無理に思い出そうとしないで」
セシリアの肩が小さく跳ねた。
その言葉は、あの人の言葉と似ている。
――思い出そうとするな。
胸が痛む。
涙が溢れそうになる。
サラは、セシリアの反応を見て、確信したように目を細めた。
「……やっぱり。誰かに、そう言われた?」
セシリアは答えられない。
答えた瞬間、名前がこぼれてしまう気がした。
サラは追及しない。
ただ、カップの縁に指を置いて、落ち着いた声で言う。
「いい? 思い出すって、時に危険なの。心が耐えられないこともあるし……他人が、それを望まないこともある」
セシリアは唇を噛んだ。
他人が望まない。
――あの人が望まない。
涙が、とうとうこぼれた。
一粒。
頬を伝い、カップの縁に落ちる。
熱いのに、透明で、軽い。
泣きたくなかった。
泣けば負けだと思っていた。
でも今の涙は、負けではなく――行き場のない痛みの排出口だった。
サラは何も言わず、テーブルの上の布をそっと差し出した。
セシリアは受け取って、涙を拭う。
拭っても拭っても、勝手に落ちる。
「……私、変ですよね」
声がひどく小さい。
サラは首を振った。
「変じゃない。あなた、ちゃんと生きようとしてる。……だから痛むのよ」
その言葉が、セシリアの心臓を優しく叩いた。
セシリアは小さく息を吸って、吐いた。
少しだけ呼吸が整う。
サラは立ち上がり、ポットを持った。
「薬草茶、明日も持ってくる。……眠れそう?」
セシリアは頷く。
頷きながら、涙を拭った。
「……はい。ありがとうございます」
サラは扉の前で振り返り、最後に言った。
「――ひとつだけ。あなたが苦しいのは、あなたが弱いからじゃない。誰かが“強く守ってる”からよ」
扉が閉まる。
セシリアはその言葉を胸の中で反芻した。
誰かが強く守ってる。
守る。
その言葉が、また胸を刺す。
思い出せないのに、痛い。
蝋燭の火を消し、セシリアはベッドに横になった。
暗闇の中で、胸の痛みはまだ残っている。
でも、薬草の香りが、少しだけそれを薄めてくれる。
そして、涙が乾いた頃。
セシリアはふと、分からない旋律を口の中で転がしていた。
言葉も意味もない、短い音。
――どこかで聞いた気がする。
どこかで、誰かのために歌った気がする。
その音が、胸の奥の空白に触れかけて、セシリアは自分でも知らない涙をもう一度こぼした。
理由のない涙は、
“失ったもの”が確かに存在する証だった。
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