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第23章|密会の誤解
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王太子の「目障りだ」という言葉は、耳ではなく骨に残った。
廊下を歩いているのに、足の裏が床に触れていない気がする。
息をしているのに、肺に空気が入ってこない気がする。
セシリアは配属替えの指示書を胸に抱え、侍女区画へ戻っていた。
紙は軽いのに、重い。
そこに書かれた文字が、彼女の存在価値を決めてしまったように感じるからだ。
(……私は、嫌われている)
そう思い込まなければ、崩れてしまう。
あの人の目の揺れを思い出してしまうから。
揺れたのに、冷酷だった。
冷酷なのに、揺れた。
矛盾が、心を裂く。
西棟の回廊を曲がった時、風が抜けた。
窓の隙間から、夜に近い冷気が入り込み、頬の熱を冷やした。
同時に、遠くから香の匂いが届く。
甘く、白く、――あの人の周りにある匂い。
(……リディア)
名前を思い浮かべただけで、胃が冷えた。
セシリアは早足になった。
仕事に戻る。
働く音の中に沈めば、痛みは薄くなる。
――そのはずだった。
角を曲がった先、細い回廊の奥に、灯りが一つだけ点っていた。
王宮の表側の灯りではない。
規律で整えられた灯りではなく、誰かが“必要だから”点けた灯り。
その光の中に、人影が二つ見えた。
セシリアの足が止まった。
(……誰?)
夜の回廊で、二人きり。
それだけで王宮は噂を作る。
セシリアは反射的に壁の陰へ身を寄せた。
覗き見するつもりはない。
ただ、通り過ぎるには近すぎた。
灯りに照らされた横顔が見えた瞬間、胸がひゅっと鳴った。
漆黒の髪。
金糸の刺繍の軍装。
肩章の輝き。
――王太子レイヴン。
身体が震えた。
痛みが先に来る。
名前を口にしていないのに、胸が痛む。
(……どうして、ここに)
そして、もう一人。
白い外套。短めの茶色の髪。
灯りを受けて透ける涙の跡。
――リディア。
セシリアの喉が詰まった。
(……密会?)
考えたくない言葉が、勝手に浮かぶ。
王太子と聖女候補。
舞踏会で婚約破棄を宣言した二人。
王宮が今、最も注目する二人。
セシリアの胸が痛いのは、嫉妬だと認めたくない。
自分は思い出していない。
彼を愛していた記憶がない。
それなのに――痛い。
痛みは理屈を無視する。
灯りの中で、リディアが小さく肩を震わせた。
「殿下……私、怖かったんです」
震える声。
守られる者の声。
レイヴンは返事をしない。
返事をしないまま、視線だけをリディアに向けている。
その視線は冷たい。
けれどセシリアには分かってしまう。
その冷たさは、彼の“王太子の仮面”だ。
(……あの人は、いつもそうだ)
冷たい顔をする。
冷たい声を出す。
でも、どこかで自分を壊している。
それを知っているのに――今夜の光景は残酷だった。
リディアが、レイヴンに一歩近づく。
「……私、あなたを信じています。あなたは、正しい方です」
正しい。
その言葉が、セシリアの胸を刺した。
(正しいなら、どうして私は“目障り”だったの)
問いが喉まで上がり、飲み込む。
飲み込むたびに、胸が痛い。
レイヴンが低く言った。
「……用件はそれだけか」
冷たい声。
業務連絡みたいな声。
けれどリディアは引かない。
声をもっと弱くする。もっと可憐にする。
「殿下……セシリア様の件……」
その名前が出た瞬間、セシリアの指先が震えた。
リディアが続ける。
「侍女として働いているなんて……王宮にとって危険です。彼女は私を恨んでいます。いつか、何かを――」
言葉が途切れる。
途切れさせることで、想像を誘う。
セシリアの背筋が冷えた。
(……私を危険だと言う)
危険。
祈祷室で感じた“危険”と、同じ匂いがする。
レイヴンの声が、少しだけ低くなった。
「……脅すな」
短い言葉。
リディアが息を呑む。
でもすぐに涙を滲ませる。
「脅してなんて……私は、ただ、王宮のために……」
王宮のため。
正義のため。
――その言葉が一番危険だ。
レイヴンは一歩、リディアへ近づいた。
セシリアの心臓が跳ねた。
(近づいた……)
自分に対しては「前に出るな」と言ったのに。
自分に対しては「目障りだ」と言ったのに。
彼は今、彼女に近づいている。
それが、決定打だった。
理屈ではなく、感情が理解する。
――私は、捨てられた。
セシリアの胸が、静かに沈んだ。
涙が出ない。
怒りも出ない。
ただ、冷える。
リディアが、レイヴンの袖に指先を触れた。
触れたのは一瞬。
でも、セシリアの目には長く見えた。
(……触れた)
セシリアの喉が痛い。
息が詰まる。
レイヴンの声が、さらに低く落ちた。
「……これ以上、彼女に手を出すなら――」
その先が聞こえない。
風が窓を鳴らし、灯りが揺れた。
でもセシリアには、聞こえた気がした。
“守る”という単語が。
(……彼は、リディアを守っている)
そう思った瞬間、胸の奥の何かが、静かに割れた。
セシリアは背を向けた。
これ以上見たら、耐えられない。
目を逸らして、仕事に戻らなければ。
踵を返した瞬間、足元の石が鳴った。
ほんの小さな音。
それだけで十分だった。
灯りの中のレイヴンが、顔をこちらへ向けた気配がした。
セシリアは振り返らない。
振り返ったら、最後の何かが崩れる。
セシリアは廊下を小走りに去った。
胸が痛い。
でも泣かない。
泣けば、まだ彼を求めていると認めることになるから。
扉の陰に入った瞬間、セシリアは壁に背をつけ、息を吐いた。
冷たい空気が肺に入って、ようやく呼吸ができる。
(……やっぱり、私は嫌われてる)
そうだ。
そう思えば、すべてが説明できる。
彼は自分を嫌い、彼女を選んだ。
だから婚約破棄をした。
だから冷たかった。
――それだけだ。
セシリアは目を閉じた。
目を閉じた瞼の裏で、琥珀の瞳が揺れた。
冷たいのに痛い瞳。
その揺れが、なぜか“嘘”に見えてしまうのが、何より苦しかった。
⸻
一方、灯りの中。
レイヴンは、廊下の曲がり角へ視線を固定したまま、指先を握り潰していた。
リディアの袖に触れられたその手は、すぐに払いのけた。
触れさせたわけではない。
触れさせてはいけない。
オスカーが影の奥で微笑む。
「……殿下。脅迫は効きますよ。彼女の命が惜しいなら、我々の条件を飲むしかない」
レイヴンの声は低い。
「黙れ」
それはリディアに向けた言葉ではない。
オスカーに向けた言葉だった。
リディアは震える声で言う。
「殿下……私、ただ王宮のために……」
レイヴンは答えない。
答えられない。
――今、廊下を去ったのがセシリアだと分かったからだ。
そして、彼女が見た光景が“誤解”を生むことも分かっている。
だが追えない。
追えば、守れない。
レイヴンは心臓を切り捨てるように、視線を戻し、冷たい王太子の声で言った。
「……条件を言え」
その言葉は、彼女を守るための交渉の始まりだった。
だがセシリアには、永遠に――“裏切り”として刻まれる夜になる。
廊下を歩いているのに、足の裏が床に触れていない気がする。
息をしているのに、肺に空気が入ってこない気がする。
セシリアは配属替えの指示書を胸に抱え、侍女区画へ戻っていた。
紙は軽いのに、重い。
そこに書かれた文字が、彼女の存在価値を決めてしまったように感じるからだ。
(……私は、嫌われている)
そう思い込まなければ、崩れてしまう。
あの人の目の揺れを思い出してしまうから。
揺れたのに、冷酷だった。
冷酷なのに、揺れた。
矛盾が、心を裂く。
西棟の回廊を曲がった時、風が抜けた。
窓の隙間から、夜に近い冷気が入り込み、頬の熱を冷やした。
同時に、遠くから香の匂いが届く。
甘く、白く、――あの人の周りにある匂い。
(……リディア)
名前を思い浮かべただけで、胃が冷えた。
セシリアは早足になった。
仕事に戻る。
働く音の中に沈めば、痛みは薄くなる。
――そのはずだった。
角を曲がった先、細い回廊の奥に、灯りが一つだけ点っていた。
王宮の表側の灯りではない。
規律で整えられた灯りではなく、誰かが“必要だから”点けた灯り。
その光の中に、人影が二つ見えた。
セシリアの足が止まった。
(……誰?)
夜の回廊で、二人きり。
それだけで王宮は噂を作る。
セシリアは反射的に壁の陰へ身を寄せた。
覗き見するつもりはない。
ただ、通り過ぎるには近すぎた。
灯りに照らされた横顔が見えた瞬間、胸がひゅっと鳴った。
漆黒の髪。
金糸の刺繍の軍装。
肩章の輝き。
――王太子レイヴン。
身体が震えた。
痛みが先に来る。
名前を口にしていないのに、胸が痛む。
(……どうして、ここに)
そして、もう一人。
白い外套。短めの茶色の髪。
灯りを受けて透ける涙の跡。
――リディア。
セシリアの喉が詰まった。
(……密会?)
考えたくない言葉が、勝手に浮かぶ。
王太子と聖女候補。
舞踏会で婚約破棄を宣言した二人。
王宮が今、最も注目する二人。
セシリアの胸が痛いのは、嫉妬だと認めたくない。
自分は思い出していない。
彼を愛していた記憶がない。
それなのに――痛い。
痛みは理屈を無視する。
灯りの中で、リディアが小さく肩を震わせた。
「殿下……私、怖かったんです」
震える声。
守られる者の声。
レイヴンは返事をしない。
返事をしないまま、視線だけをリディアに向けている。
その視線は冷たい。
けれどセシリアには分かってしまう。
その冷たさは、彼の“王太子の仮面”だ。
(……あの人は、いつもそうだ)
冷たい顔をする。
冷たい声を出す。
でも、どこかで自分を壊している。
それを知っているのに――今夜の光景は残酷だった。
リディアが、レイヴンに一歩近づく。
「……私、あなたを信じています。あなたは、正しい方です」
正しい。
その言葉が、セシリアの胸を刺した。
(正しいなら、どうして私は“目障り”だったの)
問いが喉まで上がり、飲み込む。
飲み込むたびに、胸が痛い。
レイヴンが低く言った。
「……用件はそれだけか」
冷たい声。
業務連絡みたいな声。
けれどリディアは引かない。
声をもっと弱くする。もっと可憐にする。
「殿下……セシリア様の件……」
その名前が出た瞬間、セシリアの指先が震えた。
リディアが続ける。
「侍女として働いているなんて……王宮にとって危険です。彼女は私を恨んでいます。いつか、何かを――」
言葉が途切れる。
途切れさせることで、想像を誘う。
セシリアの背筋が冷えた。
(……私を危険だと言う)
危険。
祈祷室で感じた“危険”と、同じ匂いがする。
レイヴンの声が、少しだけ低くなった。
「……脅すな」
短い言葉。
リディアが息を呑む。
でもすぐに涙を滲ませる。
「脅してなんて……私は、ただ、王宮のために……」
王宮のため。
正義のため。
――その言葉が一番危険だ。
レイヴンは一歩、リディアへ近づいた。
セシリアの心臓が跳ねた。
(近づいた……)
自分に対しては「前に出るな」と言ったのに。
自分に対しては「目障りだ」と言ったのに。
彼は今、彼女に近づいている。
それが、決定打だった。
理屈ではなく、感情が理解する。
――私は、捨てられた。
セシリアの胸が、静かに沈んだ。
涙が出ない。
怒りも出ない。
ただ、冷える。
リディアが、レイヴンの袖に指先を触れた。
触れたのは一瞬。
でも、セシリアの目には長く見えた。
(……触れた)
セシリアの喉が痛い。
息が詰まる。
レイヴンの声が、さらに低く落ちた。
「……これ以上、彼女に手を出すなら――」
その先が聞こえない。
風が窓を鳴らし、灯りが揺れた。
でもセシリアには、聞こえた気がした。
“守る”という単語が。
(……彼は、リディアを守っている)
そう思った瞬間、胸の奥の何かが、静かに割れた。
セシリアは背を向けた。
これ以上見たら、耐えられない。
目を逸らして、仕事に戻らなければ。
踵を返した瞬間、足元の石が鳴った。
ほんの小さな音。
それだけで十分だった。
灯りの中のレイヴンが、顔をこちらへ向けた気配がした。
セシリアは振り返らない。
振り返ったら、最後の何かが崩れる。
セシリアは廊下を小走りに去った。
胸が痛い。
でも泣かない。
泣けば、まだ彼を求めていると認めることになるから。
扉の陰に入った瞬間、セシリアは壁に背をつけ、息を吐いた。
冷たい空気が肺に入って、ようやく呼吸ができる。
(……やっぱり、私は嫌われてる)
そうだ。
そう思えば、すべてが説明できる。
彼は自分を嫌い、彼女を選んだ。
だから婚約破棄をした。
だから冷たかった。
――それだけだ。
セシリアは目を閉じた。
目を閉じた瞼の裏で、琥珀の瞳が揺れた。
冷たいのに痛い瞳。
その揺れが、なぜか“嘘”に見えてしまうのが、何より苦しかった。
⸻
一方、灯りの中。
レイヴンは、廊下の曲がり角へ視線を固定したまま、指先を握り潰していた。
リディアの袖に触れられたその手は、すぐに払いのけた。
触れさせたわけではない。
触れさせてはいけない。
オスカーが影の奥で微笑む。
「……殿下。脅迫は効きますよ。彼女の命が惜しいなら、我々の条件を飲むしかない」
レイヴンの声は低い。
「黙れ」
それはリディアに向けた言葉ではない。
オスカーに向けた言葉だった。
リディアは震える声で言う。
「殿下……私、ただ王宮のために……」
レイヴンは答えない。
答えられない。
――今、廊下を去ったのがセシリアだと分かったからだ。
そして、彼女が見た光景が“誤解”を生むことも分かっている。
だが追えない。
追えば、守れない。
レイヴンは心臓を切り捨てるように、視線を戻し、冷たい王太子の声で言った。
「……条件を言え」
その言葉は、彼女を守るための交渉の始まりだった。
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