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7.二人の王子
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サリーの頬をシャリーフは両手で包み込む。サリーが甘い香りを感じた瞬間、シャリーフの唇が自分の唇に重ねられた。
「ん…ぅ」
甘いのは香りだけではなかった。柔らかいキスはサリーを蕩けさせていく。シャリーフが何故自分に触れてくるのか、分からなくて半分パニックになっていたが啄むキスが情熱的なものに変わってくると思考はもうできなかった。
首筋から胸元へ、そして胸の突起、さらには少し膨らみかけたソレにまでキスをしていくシャリーフ。
「ちょっと!待って、どこまでするつもり?」
「サリーは私が嫌いか?」
「い、いやそんなことはないけど」
嫌いな相手ではない。むしろ…とサリーは心の中でつぶやく。
炎天下の中、桃を買おうとしたのはシャリーフが喜んでくれるかもとと思ったからだ。気がついたらシャリーフのことを考えていたし、姿を追っていた。
同じ王子だから気になっているだけだ、と自分自身を誤魔化していただけなのかもしれない。サリーがそんなことを考えているうちに、シャリーフはするりとサリーの服を脱がし、立ち上がると、自分の服を脱ぎ捨てる。そして顕になったサリーの肌をまじまじと見ながらこう呟いた。
「ほぅ、白い肌が桃色になってきたな」
シャリーフの言葉にサリーは恥ずかしくて顔が真っ赤になっていく。
「言葉で攻めるのやめろよ!」
「攻めて?何を言ってるんだ、愛の行為だ」
だめだ、シャリーフの話が飛躍しすぎる。サリーは諦めて抵抗をやめた。いや、受け入れることにしたのだ。
(俺もこいつに惹かれていたことを認めれば相思相愛ってやつなのか)
ポジティブな性格のサリー。この先のことはその時考えればいいか、とあっさり切り替えた。
自分の体を抱くこの褐色の王子に身を委ねるのもいいかもしれない。
「サリー?」
耳元で囁くシャリーフの声。ゾクリと体を震わせながら、サリーは微笑んだ。
「…いいよ、俺の肌じっくり味わって」
***
「よし、今日はここまでだな。サリー、お疲れ」
髭に手を当てながらナージは手元の書物を棚に戻しそう言う。今日は書庫の整理を二人で作業し、まだあと半分残っているが明日に持ち越しとなった。夏の国の歴史が詰まった書物たち。天井まである棚を見上げながらサリーはポツリとつぶやく。
「お互いの国の情報も、増やせば良いのにな」
「そうだな、お前みたいな間抜けなやつが来るからな」
ナージがニヤニヤしながらそう言うものだから、サリーは頬を膨らます。
シャリーフからこの国で暮らすように言われ、サリーもそれを望んだ。ただ一つ、肌の色が懸念材料だった。シャリーフの魔力であれば生涯、褐色肌を保つことは可能だが、サリーの白い肌を愛でたいと言われ、サリーは真っ赤になりながらこう答えた。
「今までみたいに毎朝、自分で肌の色を変えることもできるけど、皆にずっと嘘をつきたくない。俺は肌の色を変えずに暮らすよ」
その答えにシャリーフは微笑み、頬にキスした。
しばらくしてサリーは自分から冬の国からの来訪者だということを城の仲間達に伝えた。ナージを始め使用人たちは当初驚いていたが、サリーはサリーだ、とナージが発言すると皆も同意し、それからはサリーは肌の色を変えず、白い肌で暮らすようになった。当初は町人の間でも好奇の目で見られたが、それも少しの間だけ。元々好かれていたサリーはあっという間に街に馴染み、国に馴染んでいった。
しかしそんなサリーでも、どうしてもこの国に来た理由を仲間に伝える勇気はなかった。それでもナージだけには『レッドクリスタル』の件を正直に話し、謝罪する。ナージは何も言わずにただ肩を叩いて『よく話してくれたな』と微笑んだ。
その後『ガーリブ王がラシード王の足を気遣い、サリーを使い薬を持ってきた』と門番達が噂をするようになっていた。美談はそのまま国王に伝わり、ラシード王はガーリブ王に感謝の意と贈呈品を送ったという。混乱したるのはガーリブだった。困らせてやろうとした相手から感謝されたのだから。
書庫の整理を終えて服についた埃を払うナージ。
「サリーのおかげで国同士が交流するようになったんだ。これからは春の国も、秋の国も交流するようになるさ」
そう言うと書庫のドアを開け、大きく背伸びをした。開いたドアの向こうから燦々と日光が部屋に注ぎ込む中、サリーは微笑んだ。
****
サリーが鏡に映る自分の体を見ていると、背後に上半身を露わにしたシャリーフの姿が映った。
「どうした?」
鏡越しに話しかけてくるシャリーフ。サリーは自分の右腕を伸ばし、呟く。
「少しずつ、肌に色がついてきたなあって」
真っ白だった肌は夏の国の日差しを浴び続けたおかげで、うっすらと色がつくようになっていた。このままだとシャリーフやナージのような褐色までいかないにしろ、白い肌ではなくなるだろう。
シャリーフは背後からそのサリーの腕を手に取りキスをする。
「せっかくの美しい肌なのにな」
何度触れられても、そのつど敏感に反応してしまうサリーは赤くなりながら振り向いて、シャリーフに聞く。あの甘い香りがしてサリーはクラクラしてしまう。
「白くない肌になったら、俺は用無しになる?」
用無しなんてならないと答えはわかっているのに、そんなことを聞くサリー。シャリーフはその可愛らしいことを言う唇にキスをする。
「そんなわけないだろう、私の愛しいサリー」
【了】
「ん…ぅ」
甘いのは香りだけではなかった。柔らかいキスはサリーを蕩けさせていく。シャリーフが何故自分に触れてくるのか、分からなくて半分パニックになっていたが啄むキスが情熱的なものに変わってくると思考はもうできなかった。
首筋から胸元へ、そして胸の突起、さらには少し膨らみかけたソレにまでキスをしていくシャリーフ。
「ちょっと!待って、どこまでするつもり?」
「サリーは私が嫌いか?」
「い、いやそんなことはないけど」
嫌いな相手ではない。むしろ…とサリーは心の中でつぶやく。
炎天下の中、桃を買おうとしたのはシャリーフが喜んでくれるかもとと思ったからだ。気がついたらシャリーフのことを考えていたし、姿を追っていた。
同じ王子だから気になっているだけだ、と自分自身を誤魔化していただけなのかもしれない。サリーがそんなことを考えているうちに、シャリーフはするりとサリーの服を脱がし、立ち上がると、自分の服を脱ぎ捨てる。そして顕になったサリーの肌をまじまじと見ながらこう呟いた。
「ほぅ、白い肌が桃色になってきたな」
シャリーフの言葉にサリーは恥ずかしくて顔が真っ赤になっていく。
「言葉で攻めるのやめろよ!」
「攻めて?何を言ってるんだ、愛の行為だ」
だめだ、シャリーフの話が飛躍しすぎる。サリーは諦めて抵抗をやめた。いや、受け入れることにしたのだ。
(俺もこいつに惹かれていたことを認めれば相思相愛ってやつなのか)
ポジティブな性格のサリー。この先のことはその時考えればいいか、とあっさり切り替えた。
自分の体を抱くこの褐色の王子に身を委ねるのもいいかもしれない。
「サリー?」
耳元で囁くシャリーフの声。ゾクリと体を震わせながら、サリーは微笑んだ。
「…いいよ、俺の肌じっくり味わって」
***
「よし、今日はここまでだな。サリー、お疲れ」
髭に手を当てながらナージは手元の書物を棚に戻しそう言う。今日は書庫の整理を二人で作業し、まだあと半分残っているが明日に持ち越しとなった。夏の国の歴史が詰まった書物たち。天井まである棚を見上げながらサリーはポツリとつぶやく。
「お互いの国の情報も、増やせば良いのにな」
「そうだな、お前みたいな間抜けなやつが来るからな」
ナージがニヤニヤしながらそう言うものだから、サリーは頬を膨らます。
シャリーフからこの国で暮らすように言われ、サリーもそれを望んだ。ただ一つ、肌の色が懸念材料だった。シャリーフの魔力であれば生涯、褐色肌を保つことは可能だが、サリーの白い肌を愛でたいと言われ、サリーは真っ赤になりながらこう答えた。
「今までみたいに毎朝、自分で肌の色を変えることもできるけど、皆にずっと嘘をつきたくない。俺は肌の色を変えずに暮らすよ」
その答えにシャリーフは微笑み、頬にキスした。
しばらくしてサリーは自分から冬の国からの来訪者だということを城の仲間達に伝えた。ナージを始め使用人たちは当初驚いていたが、サリーはサリーだ、とナージが発言すると皆も同意し、それからはサリーは肌の色を変えず、白い肌で暮らすようになった。当初は町人の間でも好奇の目で見られたが、それも少しの間だけ。元々好かれていたサリーはあっという間に街に馴染み、国に馴染んでいった。
しかしそんなサリーでも、どうしてもこの国に来た理由を仲間に伝える勇気はなかった。それでもナージだけには『レッドクリスタル』の件を正直に話し、謝罪する。ナージは何も言わずにただ肩を叩いて『よく話してくれたな』と微笑んだ。
その後『ガーリブ王がラシード王の足を気遣い、サリーを使い薬を持ってきた』と門番達が噂をするようになっていた。美談はそのまま国王に伝わり、ラシード王はガーリブ王に感謝の意と贈呈品を送ったという。混乱したるのはガーリブだった。困らせてやろうとした相手から感謝されたのだから。
書庫の整理を終えて服についた埃を払うナージ。
「サリーのおかげで国同士が交流するようになったんだ。これからは春の国も、秋の国も交流するようになるさ」
そう言うと書庫のドアを開け、大きく背伸びをした。開いたドアの向こうから燦々と日光が部屋に注ぎ込む中、サリーは微笑んだ。
****
サリーが鏡に映る自分の体を見ていると、背後に上半身を露わにしたシャリーフの姿が映った。
「どうした?」
鏡越しに話しかけてくるシャリーフ。サリーは自分の右腕を伸ばし、呟く。
「少しずつ、肌に色がついてきたなあって」
真っ白だった肌は夏の国の日差しを浴び続けたおかげで、うっすらと色がつくようになっていた。このままだとシャリーフやナージのような褐色までいかないにしろ、白い肌ではなくなるだろう。
シャリーフは背後からそのサリーの腕を手に取りキスをする。
「せっかくの美しい肌なのにな」
何度触れられても、そのつど敏感に反応してしまうサリーは赤くなりながら振り向いて、シャリーフに聞く。あの甘い香りがしてサリーはクラクラしてしまう。
「白くない肌になったら、俺は用無しになる?」
用無しなんてならないと答えはわかっているのに、そんなことを聞くサリー。シャリーフはその可愛らしいことを言う唇にキスをする。
「そんなわけないだろう、私の愛しいサリー」
【了】
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