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妬み
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なにより絶望したのは両親に見放され、養護施設に『捨てられた』ことだ。そのころはまだアルファとしてのプライドが残っていて周りの子供たちと反りが合わなかった。
孤立していたところに来たのが、ルモンドだ。
『アルファからオメガになるなんて、辛かっただろう。もう大丈夫だ。君がダンスを諦めなくて済むように、僕が養ってあげるから』
その声を聞いた瞬間、胸の奥の氷が溶けた気がした。やっと居場所ができたと思ったのだ。両親に捨てられダンスすらままならない中、彼の言葉は希望だった。
しかし、こちらに来て数年。その言葉の裏に隠されていたルモンドの非情さに気がついたのだ。成年になってすぐヒートにもかかわらず舞台に出ろと言われた日。ふらふらになりながら別室に連れて行かれ、朦朧とする意識の中で受けた陵辱は今でも忘れられない。
――あのままアルファだったら、こんな目に遭わないで済んだのに。なぜ僕が。いっそのことアルファに初めから生まれてなければよかったのに!
気がつけば自分にあるものはもうダンスしかなかった。ダンスをしている間は何も考えることはない。素直に肉体を動かし踊る。それ以外は深く考えることをやめた。
お前のダンスを気に入っている奴がいると、ナルから聞き、それがアルファだと聞いてウンザリした。少しだけ挨拶をして離れよう――そう思ったのに。
こんなにも優しいアルファがいるなんて、と彼に惹かれていった。だが、後天性アルファだと聞いた途端――シチャの奥底にある元アルファとしてのプライドが沸々と湧き出るのだ。自分とは真逆を生きてきた彼への妬み。――それでも、どうしても彼を想わずにはいられない。聞かなければよかった。彼に対してこんな感情をぶつけたくないのに。
頭痛がひどくなる中、シチャは目の奥の痛みを感じる。そして一筋の涙が頬を伝った。
翌日。やはりヒートが来てしまった。舞台袖で重い体を引きずるようにして身支度をする。半年に一回、数日間の地獄だがそれを乗り越えればまた半年は安泰なのだ。
前回との違いはカークがいること。おそらく今夜も彼は店に来るだろう。そしてきっと見てしまう。――嫌だと思っていても反応する体に彼は軽蔑するだろう。
今日が来るのが怖いと数日前まで震えるほどだったのに。火照る体のせいか、後天性アルファと聞いてしまったせいか――もうどうでもいいと思ってしまっていた。
橙色の照明が灯る。――あぁ、出番だ。
孤立していたところに来たのが、ルモンドだ。
『アルファからオメガになるなんて、辛かっただろう。もう大丈夫だ。君がダンスを諦めなくて済むように、僕が養ってあげるから』
その声を聞いた瞬間、胸の奥の氷が溶けた気がした。やっと居場所ができたと思ったのだ。両親に捨てられダンスすらままならない中、彼の言葉は希望だった。
しかし、こちらに来て数年。その言葉の裏に隠されていたルモンドの非情さに気がついたのだ。成年になってすぐヒートにもかかわらず舞台に出ろと言われた日。ふらふらになりながら別室に連れて行かれ、朦朧とする意識の中で受けた陵辱は今でも忘れられない。
――あのままアルファだったら、こんな目に遭わないで済んだのに。なぜ僕が。いっそのことアルファに初めから生まれてなければよかったのに!
気がつけば自分にあるものはもうダンスしかなかった。ダンスをしている間は何も考えることはない。素直に肉体を動かし踊る。それ以外は深く考えることをやめた。
お前のダンスを気に入っている奴がいると、ナルから聞き、それがアルファだと聞いてウンザリした。少しだけ挨拶をして離れよう――そう思ったのに。
こんなにも優しいアルファがいるなんて、と彼に惹かれていった。だが、後天性アルファだと聞いた途端――シチャの奥底にある元アルファとしてのプライドが沸々と湧き出るのだ。自分とは真逆を生きてきた彼への妬み。――それでも、どうしても彼を想わずにはいられない。聞かなければよかった。彼に対してこんな感情をぶつけたくないのに。
頭痛がひどくなる中、シチャは目の奥の痛みを感じる。そして一筋の涙が頬を伝った。
翌日。やはりヒートが来てしまった。舞台袖で重い体を引きずるようにして身支度をする。半年に一回、数日間の地獄だがそれを乗り越えればまた半年は安泰なのだ。
前回との違いはカークがいること。おそらく今夜も彼は店に来るだろう。そしてきっと見てしまう。――嫌だと思っていても反応する体に彼は軽蔑するだろう。
今日が来るのが怖いと数日前まで震えるほどだったのに。火照る体のせいか、後天性アルファと聞いてしまったせいか――もうどうでもいいと思ってしまっていた。
橙色の照明が灯る。――あぁ、出番だ。
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