神同人作家は陸くんを溺愛する。

柏木あきら

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神同人作家は陸くんを溺愛する

3/10 PM15:00

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【三月十日 十五時】

多分もう一生、宝くじ当たらないと思う。
こんな運を使い切ったんだから。

『先ほど【ブロッソ】の話をしたものです。お話出来て嬉しかったです。次回またスペースにお伺いします』
ああどうしよう、なんて書けばいいのだろう。【甘い吐息の行方】の蒼太も、攻めの雅臣にメッセージを送る時に何度も文字を消しては入力して、出来上がった文章をえいや! って送っていたシーンがある。
まさに僕の気持ちはこの蒼太と同じだ。

DMを震える手で送信をタップしたとき、会場内にアナウンスが流れる。
『十五時になりました! これにてJパーク五十五は閉場となります!』
スタッフさんの爽やかな声に、まわりからパチパチと拍手が起こる。みんな笑顔だ。
『次回は秋、九月に開催となります。またその日にお会いしましょう!』

トートバッグの重みも、歩きすぎてぱんぱんになった足も幸せな時間の賜物だ。そして何より高西先生とのかけがえのない時間。僕は大きな背伸びをして、待ち合わせしていたオフ会のメンバーの元へと駆け出した。

カバンの中で、スマホが震える。
それは高西ユウ先生からのメッセージ。

『今度表参道のお店、一緒に行きましょう!』

僕がそのメッセージに気がついたのは、それから一時間後。そのお店に高西先生と一緒に行ったのは、半年後の九月。同人誌即売会の前日に。

そして有明の朝焼けを、一緒に見れたんだ。
その話を、聞いてもらえるかな?
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