神同人作家は陸くんを溺愛する。

柏木あきら

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神同人作家は陸くんを溺愛する

まるでデート

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それからはもどかしいほど、毎日が過ぎるのが遅かった。サークルガイドが発売されて、参加される先生のスペースをチェックする間も僕は高西先生のことばかり考えている。今までならものすごい緻密にスペースを巡る順番を組み立てていたのに、出発まで一度しかしなかった。
それくらい今回の即売会より高西先生と過ごせるのが楽しみで仕方がない。

そしていよいよ、その日が来た。春の時と同じように、早く目が覚めて、シャワーを浴びて家を出る。ホームに新幹線が入線してくると身震いしてしまった。東京までの四時間が長いような短いような、夢見心地でとうとう終点に到着してしまう。
東京駅での待ち合わせ場所は地下にある、銀の鈴。ここぐらいしか自信持って待ち合わせできる場所がない。地方民にとってはかなり頼りになるやつ!

僕は待ち合わせの二十分くらい前に着いたんだけど、何と高西先生はもう待っていた。
ブロッソの特徴的な虹色のラインが入ったグレー地のパーカーにジーパン。スマホ片手に壁にもたれかかっていて、背が高くてスマートだからチラホラと女の子たちが振り返っている。僕は慌てて先生の元に駆け寄った。
「お待たせしました!」
僕が声をかけると、先生はスマホから視線をこちらに向けてパァッと笑顔を見せる。うぅ、眩しい!
「お疲れ様。乗車時間て、四時間だっけ?」
「はい、お尻痛いです」
「ははっ受けみたいなこと言うね」
その言葉に思わず笑ってしまう。だってこんなかっこいい人がそんなこと言うんだから。

それから移動して、ブロッソのある表参道まできた。街行く人がみんなオシャレに見える。僕は先生によくお店に行くんですか、と尋ねると首を振った。
「たまにしか来ないよ」
「えっ、先生は関東住みじゃ?」
「関東っても広いから」
どこにお住まいなんですか、と聞きそうになったけれど踏み込み過ぎかなと思い直した。先生ならこの街にピッタリなのに、と呟くとおだてても何も出ないよ、と笑っていた。

ブロッソには一時間くらい滞在。僕はパンツとシャツを、高西先生はアクセを買っていた。そういえば先生は銀のピアスにゴツい指輪をしているけど、顔立ちが上品だからイカつい感じではなく、シャープだ。チラチラと顔を見ながら僕はそんなことを考えていた。
ホクホクしながら店を後にして、カフェで一休み。前から食べてみたかったフワフワのパンケーキを口にして幸せを噛み締めていたら、高西先生は頬杖をついて僕の方をニコニコと見ていた。そんなにがっついてたかな、恥ずかしい!
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