神同人作家は陸くんを溺愛する。

柏木あきら

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神同人作家と陸くんは嫉妬する

酔っ払いの朝

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 朝日が部屋に入って来た頃、僕は目が覚めてもう一度枕元にあるスマホを見たけれどメッセージは入っていない。もしかして、飲み過ぎて倒れているんじゃないかと心配でたまらない。どうにも気になって電話をかけると数回呼び出した後に、由宇さんの声がした。
「もしもし」
 かなりガラガラの声。それだけで飲みすぎたんだなと分かる。とりあえず倒れてはいなかったようで、安心だ。
「おはよう、由宇さん」
「陸か、どうした……?」
「連絡ないから大丈夫かなと思って」
「ああごめん。飲み過ぎたうえに、電源切れちゃって……陸はちゃんと帰れたんだな、よかった」
 なんだ、電源が切れていただけなんだ。よかった。
「僕も安心したよ。起こしちゃって、ごめんなさい」
「いや、心配してくれてありがとうね。……もう少し、寝るよ」
 どうやらかなり辛そうなので、僕は早々に電話を切った。この様子だと復活は昼過ぎぐらいかなあ。
 今日は休日出勤の振替で休みだ。予定はないし、由宇さんに何か持って行ってあげよう。看病という訳じゃないけど身の回りのことするぐらい、いいよね。
 僕の家から由宇さんの家までは電車で三十分くらい。もう何度も通っている道だけど連絡せずに家に行くのは二回目だ。引っ越ししたてのとき、修羅場だという由宇さんのもとに食べ物の差し入れを急に持って行ったら、髪はボサボサで無精髭の生えた由宇さんが出てきたから驚いた。いつも身なりに気を遣っている由宇さんだけど修羅場の時はさすがにむさ苦しい格好なのだ。そのとき、由宇さんは『こんな格好見せたくないから、来てほしくなかったのに』と口を尖らせていたけれど僕は普段見れない由宇さんがみれて嬉しかったんだ。
 今日も突然行ったら由宇さんはまた口を尖らせるだろうか。

 マンションのエントランスに到着して、部屋番号を押すと、由宇さんが出た。
「どちら様ですか」
 まだガラガラ声で思わず笑う。もうお昼過ぎているのに。
「陸です」
「え、どうしたの」
「飲み物とか持ってきました」
 僕の声を聞いて少し驚いたのか沈黙があったけどオートロックは解錠されて、自動ドアが開く。エレベーターで八階まで上がり、由宇さんの部屋のチャイムを鳴らす。少ししてドアが開くと中からは思っていた通りの、少し無精髭の生えた由宇さんが出てきた。
「驚いたよ。仕事じゃないの」
「振替休日なんだ」
 そう言いながらふとドアの向こうに、見覚えのないスニーカーが目に入った。由宇さんのあまり好みではならそうな派手な色のハイテクスニーカー。誰かいるのだろうか。
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