神同人作家は陸くんを溺愛する。

柏木あきら

文字の大きさ
51 / 53
神同人作家と陸くんは嫉妬する

出発

しおりを挟む
 そのとき、うしろからポンポンと肩を叩かれた。なんだろう、と思い振り向くとサングラスと帽子を被っている若い男性が立っている。こんな知り合いなんていないけど、とポカンとしていると、そのサングラスをとり顔を見せた。
「焼肉うまいでしょ」
 ニヤリと笑った彼はなんと、大須賀くん本人だった。由宇さんも驚いているようだ。だけど僕らのことなんてお構いなしに大須賀くんは話す。
「高西さんの姿が見えたからさあ、コッソリ様子見してたんだよねぇ。高西さんのお友達さん……てか、彼氏さんだよね」
「え、えええ?」
 突然の言葉に僕が同様していると、由宇さんは耳まで真っ赤にして手で顔を覆っていた。もしかして、僕のことを話したのかな? 大須賀くんは空いている僕の隣の席に座り、通りがかった店員さんに飲み物をオーダーする。
「ごめんねー、デート中に。どうしても高西さんご自慢の可愛い陸くんをみたくて」
 なんと名前まで! 僕が口をパクパクしていると大須賀くんはニマニマ笑っていた。隣で由宇さんが完全に顔を机に伏せている。
「はーい! 特上ロース、厚切り牛タンにせせりね」
 店員さんがたくさんお肉を持ってきた。どうやら大須賀くんが頼んだようで。
「ゆっくり話しよ!」
 確かにテレビで見る大須賀くんとは違いだいぶ砕けた印象だ。仲良くなったらもっと口が悪くなるのだろうか。ちょっと見てみたいな……
「仕事は大丈夫なんですか?」
 由宇さんが言うと、大須賀くんは大笑いする。
「残念でした。明日はオフだからもう自由時間なんだよ。どれだけこの俺が高西さんから陸くんへの溺愛っぷりを聞かされているか、本人に教えてあげないとねー!」
 由宇さんが僕のことをちゃんと恋人として大須賀くんに伝えていたことが、なんだか嬉しい。そして僕らは乾杯して、気がつけば僕と大須賀くんと盛り上がりすぎて、由宇さんがふてくされていた。

***

 待ちに待った【Jパーク】前日。
 前なら早く起きて4時間も新幹線に乗って出発していたのに、いまや仲間たちが来るのを待って電車で数十分。あの頃が懐かしいなあと思いながらも、ワクワク感は変わらない。

「お疲れ様ー!」
 待ち合わせした駅にいつもの仲間たちを見つけて手を振り駆け寄った。しばらく立ち話をしたあとに、席が多い喫茶店に入った。
「このウェブカタログ便利だよね。来訪したいスペースや色分けできるし、スペース行った後に、済みチェックマークをつけられるなんて神じゃない?」
「確かに。効率的に回れるわあ」
「でも紙のカタログもいいわよね。私、サークルさんがオススメする同人誌コーナー大好き」
「分かる! 今、私が推してるモモ先生はカタログのオススメで知ったもん」
 姫野さんとユミさんはおしゃべりは止まらない。
  いつもならホテルでオフ会なんだけど、ふたりがBLアニメの映画を観に行くらしく、喫茶店でお茶タイムだ(声はちゃんと抑えているよ!)次の日が【Jパーク】本番なのに、散財しまくりだなあと二人の様子を見ていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

シスルの花束を

碧月 晶
BL
年下俺様モデル×年上訳あり青年 ~人物紹介~ ○氷室 三門(ひむろ みかど) ・攻め(主人公) ・23歳、身長178cm ・モデル ・俺様な性格、短気 ・訳あって、雨月の所に転がり込んだ ○寒河江 雨月(さがえ うげつ) ・受け ・26歳、身長170cm ・常に無表情で、人形のように顔が整っている ・童顔 ※作中に英会話が出てきますが、翻訳アプリで訳したため正しいとは限りません。 ※濡れ場があるシーンはタイトルに*マークが付きます。 ※基本、三門視点で進みます。 ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

竜人息子の溺愛!

神谷レイン
BL
コールソン書店の店主レイ(三十七歳)は、十八歳になったばかりの育て子である超美形の竜人騎士であるルークに結婚を迫られていた。 勿論レイは必死に断るがルークは全然諦めてくれず……。 だが、そんな中で竜国から使者がやってくる。 そしてルークはある事実を知らされ、レイはそれに巻き込まれてしまうのだが……。 超美形竜人息子×自称おじさん

病弱の花

雨水林檎
BL
痩せた身体の病弱な青年遠野空音は資産家の男、藤篠清月に望まれて単身東京に向かうことになる。清月は彼をぜひ跡継ぎにしたいのだと言う。明らかに怪しい話に乗ったのは空音が引き取られた遠縁の家に住んでいたからだった。できそこないとも言えるほど、寝込んでばかりいる空音を彼らは厄介払いしたのだ。そして空音は清月の家で同居生活を始めることになる。そんな空音の願いは一つ、誰よりも痩せていることだった。誰もが眉をひそめるようなそんな願いを、清月は何故か肯定する……。

経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!

中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。 無表情・無駄のない所作・隙のない資料―― 完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。 けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。 イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。 毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、 凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。 「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」 戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。 けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、 どこか“計算”を感じ始めていて……? 狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ 業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

処理中です...