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天使は甘いキスが好き
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「へぇ。おんなのこか?」
成田が訊く。桃ちゃんは首を横に振った。
「カッコイイおとこのこっ? なんだかかげがあるっていうか、おとうさんはびょういんのおいしゃさんだって! せもたかくて、もう~さいこうっすきなことかいるのかな??」
伊吹も成田も呆気に取られて、胸糞悪いと成田が伊吹を教室へ押し込む。伊吹は昨日の英治の、唇にされたキスを思い出してひとり紅くなった。
「やっぱおまえぐあいわるいんじゃないのか? かおあかいぞ?」
「だじょうぶっ! ぜんぜんへいきだから」
伊吹は顔を引き攣らせて笑う。成田は訝しげに伊吹を見詰めた。赤ちゃんの時からの付き合いだ。伊吹の嘘は直ぐにばれる。
「いぶきはうそつくとはながあかくなるんだよな」
伊吹はビックリして自分の鼻を押さえた。
「ひっかかったな」
伊吹は紅くなって、成田の後を追い駆ける。
「もう、いじわるっ」
「いぶきがすなおすぎるんだよ」
伊吹は真っ赤になってそっぽを向いた。
「こら静かにしなさい!」
成田の母が二人の腕を捕まえる。
「克幸、良い子にしてるのよ?」
成田の母親が鞄をロッカーに置くと、伊吹の背中を撫でた。
「具合悪かったら、先生に云うのよ? 克幸は伊吹君を見ててあげてね」
「わかった」
成田が母親を見送ると、職員室から担任の沼田が親子二人を連れて、此方へ遣って来るのが見えた。成田が黙り込む。さっき桃ちゃんが話していた親子だと直ぐに判ったようだ。伊吹は咄嗟に成田の背に隠れた。
「皆おはよう、新しいお友達を紹介するから集まって」
【ばら組み】の子供達が、沼田の声に集まってくる。新しい【友達】に興味深げに皆が英治を見詰める。玉木は教室の外から見守ると、沼田にお辞儀をして保育園を後にする。沼田も玉木に目礼して小さな子供達を見た。
「新しいお友達の【玉木英治】君です。皆、仲良くしてあげてね」
「は~い」
女の子達が眼を輝かせながら返事をする。伊吹は小さくなって成田の後ろに隠れたままだ。英治はそれを見逃さない。
「それじゃ、机を並べて。英治君は伊吹君の隣ね。今日は粘土で動物を作るよ?」
「は~い」
皆が教室の端に置かれた机を、指定の場所に並べる。
「なんでいぶきのとなりがあいつなんだ?」
成田は面白くないとばかりに、伊吹に耳打ちする。伊吹は困って英治を見た。英治は成田を睨むと、伊吹の隣に机をくっ付ける。
「きのうのよるおれたちあったんだよな?」
「…そうなのか?」
「う、うん…」
成田はムッとして、伊吹の前に机を向き合う様にくっ付ける。
「おれはいぶきの【しんゆう】ってやつだ。あかんぼうのときからしってんだぞ? ほくろのかずだってしってるんだからな。かわいいおしりにもあってだな」
「かつゆき??」
伊吹は焦って止める。そんな恥ずかしい話しは止めて欲しい。女の子達が耳をすまして聞いているではないか。
「そうかおれはいぶきのみらいのだんなさまだ。いぶきはおれの【よめ】になるとやくそくをした」
伊吹は真っ赤になって成田を横目で睨み、英治を見る。自慢げに云う成田に英治の発せられた言葉が、教室中の悲鳴を招く。伊吹は真っ赤になりながら頭を抱え、成田は唖然とし、女の子達は悲鳴をあげる。
「どういうことだいぶき!?」
「きかないで~」
ーーーどうしてここでそれをいうの~? 伊吹は泣き顔。此処でなくとも他で云っても同じだが。教室内は男&男のカップル誕生に、パニック状態。沼田は直後、他の教室の担任からご注意を受ける破目になる。
ゲイだ、ホモだ、カップル誕生だ。皆の頭の中はエンドレス状態となった。
外は十一月とはいえ日差しが温かそうで、伊吹はそちらへ逃げたい衝動に駆られたが、取り敢えず今は我慢した。
「いぶき、それウサギか?」
成田は粘土で象を作ると、目の前で伊吹が作る粘土の動物を見る。
「…いぬ」
成田は伊吹の拗ねた顔を見ると笑う。
「そうかいぬか。かわいいな」
成田が訊く。桃ちゃんは首を横に振った。
「カッコイイおとこのこっ? なんだかかげがあるっていうか、おとうさんはびょういんのおいしゃさんだって! せもたかくて、もう~さいこうっすきなことかいるのかな??」
伊吹も成田も呆気に取られて、胸糞悪いと成田が伊吹を教室へ押し込む。伊吹は昨日の英治の、唇にされたキスを思い出してひとり紅くなった。
「やっぱおまえぐあいわるいんじゃないのか? かおあかいぞ?」
「だじょうぶっ! ぜんぜんへいきだから」
伊吹は顔を引き攣らせて笑う。成田は訝しげに伊吹を見詰めた。赤ちゃんの時からの付き合いだ。伊吹の嘘は直ぐにばれる。
「いぶきはうそつくとはながあかくなるんだよな」
伊吹はビックリして自分の鼻を押さえた。
「ひっかかったな」
伊吹は紅くなって、成田の後を追い駆ける。
「もう、いじわるっ」
「いぶきがすなおすぎるんだよ」
伊吹は真っ赤になってそっぽを向いた。
「こら静かにしなさい!」
成田の母が二人の腕を捕まえる。
「克幸、良い子にしてるのよ?」
成田の母親が鞄をロッカーに置くと、伊吹の背中を撫でた。
「具合悪かったら、先生に云うのよ? 克幸は伊吹君を見ててあげてね」
「わかった」
成田が母親を見送ると、職員室から担任の沼田が親子二人を連れて、此方へ遣って来るのが見えた。成田が黙り込む。さっき桃ちゃんが話していた親子だと直ぐに判ったようだ。伊吹は咄嗟に成田の背に隠れた。
「皆おはよう、新しいお友達を紹介するから集まって」
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「新しいお友達の【玉木英治】君です。皆、仲良くしてあげてね」
「は~い」
女の子達が眼を輝かせながら返事をする。伊吹は小さくなって成田の後ろに隠れたままだ。英治はそれを見逃さない。
「それじゃ、机を並べて。英治君は伊吹君の隣ね。今日は粘土で動物を作るよ?」
「は~い」
皆が教室の端に置かれた机を、指定の場所に並べる。
「なんでいぶきのとなりがあいつなんだ?」
成田は面白くないとばかりに、伊吹に耳打ちする。伊吹は困って英治を見た。英治は成田を睨むと、伊吹の隣に机をくっ付ける。
「きのうのよるおれたちあったんだよな?」
「…そうなのか?」
「う、うん…」
成田はムッとして、伊吹の前に机を向き合う様にくっ付ける。
「おれはいぶきの【しんゆう】ってやつだ。あかんぼうのときからしってんだぞ? ほくろのかずだってしってるんだからな。かわいいおしりにもあってだな」
「かつゆき??」
伊吹は焦って止める。そんな恥ずかしい話しは止めて欲しい。女の子達が耳をすまして聞いているではないか。
「そうかおれはいぶきのみらいのだんなさまだ。いぶきはおれの【よめ】になるとやくそくをした」
伊吹は真っ赤になって成田を横目で睨み、英治を見る。自慢げに云う成田に英治の発せられた言葉が、教室中の悲鳴を招く。伊吹は真っ赤になりながら頭を抱え、成田は唖然とし、女の子達は悲鳴をあげる。
「どういうことだいぶき!?」
「きかないで~」
ーーーどうしてここでそれをいうの~? 伊吹は泣き顔。此処でなくとも他で云っても同じだが。教室内は男&男のカップル誕生に、パニック状態。沼田は直後、他の教室の担任からご注意を受ける破目になる。
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「いぶき、それウサギか?」
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「…いぬ」
成田は伊吹の拗ねた顔を見ると笑う。
「そうかいぬか。かわいいな」
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