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天使は甘いキスが好き
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恵は何を云おうとしているのか解ると、目許を染めて頷いた。
「一生愛し続ける。恵」
「俺も、龍之介さんだけを愛し続けます」
龍之介はポケットから紙袋を取り出して、中から二つの指輪を掌に載せた。恵は双眸を見開き、龍之介を見詰める。龍之介はまず、恵の左手の薬指にシルバーの指輪を嵌めた。
「恵、今度は君だ」
云われるままに、恵は龍之介の指に真似て嵌めてみる。
「いつの間に俺の指のサイズを?」
「君が眠っている時にね」
恵は眼を潤ませて指輪を嵌めた手を虹色の光の中に向けた。キラキラ光る。魔法の指輪。恵にとってそれはまさしくそうであった。
「俺もプレゼントあるんだ」
同じ様にポケットにしまった物を取り出す。
「はいこれ。本当は昨日渡したかったんだけど…二人きりの時に渡したかったから」
今は他に客は居ない。恵は袋からペンダントを出して、龍之介にしゃがんで貰った。まるで騎士が主に誓いを交わす様な、そんな姿だ。恵は龍之介の首に、これまたシルバーのペンダントを付けてあげた。
「一日遅れのクリスマスプレゼントだね」
恵は微笑むと、龍之介は立ち上がって恵を抱き締めた。恵も龍之介の背に両手を回す。大きな背中。広い胸と鼓動。
ーーー神様、どうか俺達の事を許して下さい。禁じられた恋でも、止められないんです。
だからどうか。
俺達の我侭を。
この愛に光を差し伸べて下さい。
永遠に。死が二人が分かつまで。
二人は夕方になって帰宅した。最初に恵の眼に映ったのは、粉々に壊された雪ダルマと雪ウサギ。恵は車から飛び出して、壊れた雪ダルマの前で呆然と立ち尽くす。
「酷い…」
恵は膝を付いて、固まった雪を手に涙をポタリと零した。龍之介に喜んで欲しくて作った雪ダルマ。
「なんだ? これは…誰がいったい…恵。中に入ろう?」
「お帰り~お昼寝してたらもうこんな時間…あれ? どうしたの」
俊彦が外へ出て来る。龍之介は恵の肩を抱いた。
「あ…俺二階で昼寝してて気付かなかった。きっと旅行者の悪戯だろうね。俺が直ぐ気付いてれば…」
恵は涙を零しながら顔を横に振った。その拍子に涙の玉が風に乗って舞い散る。
「気にしないで。俺があそこに…目立つ所に置いたりしたから……俊彦さんのせいじゃないよ? 気にしないでね?」
俊彦は眼を見張る。
「恵、中でコーヒーでも淹れるから。飲んで落ち着こう」
「うん」
恵はこくりと頷いて、右手で目許を拭った。
「あれ?」
俊彦は恵の左手の薬指を見る。
「どうしたの、それ? 龍之介とお揃い? 本格的に夫婦みたいだな」
恵は首筋まで紅くなって、左手を右手で隠した。
「俊彦、好い加減にしろよ? どこか気分転換に出掛けたらどうだ。明日には絶対帰って貰うからな。恵は学校の勉強があるんだ。落ち着いて出来ないだろうが」
「わーかったって。ほんじゃ出掛けるか。明日には帰るから。恵君あんま気を落とすなよ?」
恵は涙眼でこくりと頷くと、龍之介と中へ入って行った。
車の出る音がする。俊彦が出掛けたのだろう。
「あの雪ダルマ、可哀想な事したな。俺、龍之介さんに見せたくて作ったのに」
「恵は頑張って作ったんだ。神様はちゃんと見ていてくれてるよ」
「うん」
恵は主寝室からバッグを持って来て、本屋で買った数学のテキストを、テーブルに広げる。その間に、龍之介はコーヒーを淹れにキッチンへ向かった。
冷蔵庫を開けると、龍之介は眉根を寄せる。
「どうしたの?」
恵が駆け寄ると、在った筈の食材が無い。
「うわ、卵も無いや」
「俊彦はヤケ食いでもしたのか?」
恵はクスクスと笑い出す。
「だからお腹いっぱいで寝てたのかな。まるで熊みたい」
それには龍之介も噴出す。
「一生愛し続ける。恵」
「俺も、龍之介さんだけを愛し続けます」
龍之介はポケットから紙袋を取り出して、中から二つの指輪を掌に載せた。恵は双眸を見開き、龍之介を見詰める。龍之介はまず、恵の左手の薬指にシルバーの指輪を嵌めた。
「恵、今度は君だ」
云われるままに、恵は龍之介の指に真似て嵌めてみる。
「いつの間に俺の指のサイズを?」
「君が眠っている時にね」
恵は眼を潤ませて指輪を嵌めた手を虹色の光の中に向けた。キラキラ光る。魔法の指輪。恵にとってそれはまさしくそうであった。
「俺もプレゼントあるんだ」
同じ様にポケットにしまった物を取り出す。
「はいこれ。本当は昨日渡したかったんだけど…二人きりの時に渡したかったから」
今は他に客は居ない。恵は袋からペンダントを出して、龍之介にしゃがんで貰った。まるで騎士が主に誓いを交わす様な、そんな姿だ。恵は龍之介の首に、これまたシルバーのペンダントを付けてあげた。
「一日遅れのクリスマスプレゼントだね」
恵は微笑むと、龍之介は立ち上がって恵を抱き締めた。恵も龍之介の背に両手を回す。大きな背中。広い胸と鼓動。
ーーー神様、どうか俺達の事を許して下さい。禁じられた恋でも、止められないんです。
だからどうか。
俺達の我侭を。
この愛に光を差し伸べて下さい。
永遠に。死が二人が分かつまで。
二人は夕方になって帰宅した。最初に恵の眼に映ったのは、粉々に壊された雪ダルマと雪ウサギ。恵は車から飛び出して、壊れた雪ダルマの前で呆然と立ち尽くす。
「酷い…」
恵は膝を付いて、固まった雪を手に涙をポタリと零した。龍之介に喜んで欲しくて作った雪ダルマ。
「なんだ? これは…誰がいったい…恵。中に入ろう?」
「お帰り~お昼寝してたらもうこんな時間…あれ? どうしたの」
俊彦が外へ出て来る。龍之介は恵の肩を抱いた。
「あ…俺二階で昼寝してて気付かなかった。きっと旅行者の悪戯だろうね。俺が直ぐ気付いてれば…」
恵は涙を零しながら顔を横に振った。その拍子に涙の玉が風に乗って舞い散る。
「気にしないで。俺があそこに…目立つ所に置いたりしたから……俊彦さんのせいじゃないよ? 気にしないでね?」
俊彦は眼を見張る。
「恵、中でコーヒーでも淹れるから。飲んで落ち着こう」
「うん」
恵はこくりと頷いて、右手で目許を拭った。
「あれ?」
俊彦は恵の左手の薬指を見る。
「どうしたの、それ? 龍之介とお揃い? 本格的に夫婦みたいだな」
恵は首筋まで紅くなって、左手を右手で隠した。
「俊彦、好い加減にしろよ? どこか気分転換に出掛けたらどうだ。明日には絶対帰って貰うからな。恵は学校の勉強があるんだ。落ち着いて出来ないだろうが」
「わーかったって。ほんじゃ出掛けるか。明日には帰るから。恵君あんま気を落とすなよ?」
恵は涙眼でこくりと頷くと、龍之介と中へ入って行った。
車の出る音がする。俊彦が出掛けたのだろう。
「あの雪ダルマ、可哀想な事したな。俺、龍之介さんに見せたくて作ったのに」
「恵は頑張って作ったんだ。神様はちゃんと見ていてくれてるよ」
「うん」
恵は主寝室からバッグを持って来て、本屋で買った数学のテキストを、テーブルに広げる。その間に、龍之介はコーヒーを淹れにキッチンへ向かった。
冷蔵庫を開けると、龍之介は眉根を寄せる。
「どうしたの?」
恵が駆け寄ると、在った筈の食材が無い。
「うわ、卵も無いや」
「俊彦はヤケ食いでもしたのか?」
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それには龍之介も噴出す。
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