35 / 144
鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー
しおりを挟む
床に蹲る隼人を見下ろして、春彦はニヤリと笑った。
「お前変わったな」
「誉め言葉を有り難う御座います」
---処で鈴は何処へ行ったんだ?
黄昏てる場合じゃないと、立ち上がった刹那、剛が隼人を踏みつけた。
「…剛お前…」
「あ、わりいなエロオッサン、鈴がこっち来てないよな? 先生」
「さっきまで居たんだけどね~野獣に気付いて仔ウサギが逃げちゃったの。その人、蹴鞠にして良いよ?」
「へ~え。それ楽しそうだな」
米髪に青筋を浮かした剛が、携帯を握り締めて唸り、踏み付けた隼人を見下ろす。
「逃げちゃったぐらい嫌だったんだろうな~鈴からメール来てんだけど? なんなんだよあんた、鈴に何してくれたわけ!?」
隼人は剛の携帯を奪って、鈴からだというメールを確認した。
『しばらく母ちゃんの所行くから、後宜しく』
「後宜しく? 私のメールも着信も出ないで? ……鈴……」
「「撃沈だな」」
春彦と剛はハモリながら、内心ざまあみろと舌を出す。いっそ浮上せずに海の底に居ろと毒づいた。
「俺前に云ったよな? オッサン。鈴を泣かしたら許さないって。あんた何やってんだよ?」
隼人は苛つく感情を抑えて、首を横に振った。
「そうだな。私が悪い…鈴を迎えに行くよ」
「今はそっとして置いた方が良いんじゃないかな?」
留めを刺した本人は、我関せずとばかりに、窓の外を眺める。
「考える時間をあげないとね」
春彦はうなだれる隼人を見詰めていた。隼人は剛に携帯を返すと、一旦帰ると云って保健室を後にする。
「なんか一気にふけたなオッサン」
「それはそうと。処で…君部活大丈夫? 窓の外から顧問が張り付いてんだけど」
そう云って、晴彦は窓の方を指差した。
「んげ!?」
トカゲのように張り付いた顧問が不気味だ。
「高橋! お前何サボってんだ!」
「すんません!!」
慌てて剛は保健室を飛び出して行く。
「高橋か…やっぱりあの高橋かな。あいつの弟か~タイプじゃん?」
さて、どうやって剛を口説き落とそうかと、春彦は楽しそうに思案していた。
「さて…困りました。此処はいったい何処でしょう?」
その日の夕刻。鈴は携帯を手に、駅からひとりぽつねんと立っていた。時刻は十八時を回っている。周りを見れば田んぼとあぜ道。しかも初めて見ました無人駅。
携帯のナビを頼りに来た鈴は、もう歩けないとしゃがみ込んだ。小学生の頃薫に連れられて里桜と三人、来た景色を思い出しながら、右か左かと悩む。どうやら駅を間違えて降り様だ。仕方無く薫に電話してみた。
『え!? ひとりでやだ来てんの!? 今何処よ!?』
「う~んと、駅降りて眼の前田んぼ~」
『…あんたに訊いた私が馬鹿だったわ…近くになんか目印無い?』
「お前変わったな」
「誉め言葉を有り難う御座います」
---処で鈴は何処へ行ったんだ?
黄昏てる場合じゃないと、立ち上がった刹那、剛が隼人を踏みつけた。
「…剛お前…」
「あ、わりいなエロオッサン、鈴がこっち来てないよな? 先生」
「さっきまで居たんだけどね~野獣に気付いて仔ウサギが逃げちゃったの。その人、蹴鞠にして良いよ?」
「へ~え。それ楽しそうだな」
米髪に青筋を浮かした剛が、携帯を握り締めて唸り、踏み付けた隼人を見下ろす。
「逃げちゃったぐらい嫌だったんだろうな~鈴からメール来てんだけど? なんなんだよあんた、鈴に何してくれたわけ!?」
隼人は剛の携帯を奪って、鈴からだというメールを確認した。
『しばらく母ちゃんの所行くから、後宜しく』
「後宜しく? 私のメールも着信も出ないで? ……鈴……」
「「撃沈だな」」
春彦と剛はハモリながら、内心ざまあみろと舌を出す。いっそ浮上せずに海の底に居ろと毒づいた。
「俺前に云ったよな? オッサン。鈴を泣かしたら許さないって。あんた何やってんだよ?」
隼人は苛つく感情を抑えて、首を横に振った。
「そうだな。私が悪い…鈴を迎えに行くよ」
「今はそっとして置いた方が良いんじゃないかな?」
留めを刺した本人は、我関せずとばかりに、窓の外を眺める。
「考える時間をあげないとね」
春彦はうなだれる隼人を見詰めていた。隼人は剛に携帯を返すと、一旦帰ると云って保健室を後にする。
「なんか一気にふけたなオッサン」
「それはそうと。処で…君部活大丈夫? 窓の外から顧問が張り付いてんだけど」
そう云って、晴彦は窓の方を指差した。
「んげ!?」
トカゲのように張り付いた顧問が不気味だ。
「高橋! お前何サボってんだ!」
「すんません!!」
慌てて剛は保健室を飛び出して行く。
「高橋か…やっぱりあの高橋かな。あいつの弟か~タイプじゃん?」
さて、どうやって剛を口説き落とそうかと、春彦は楽しそうに思案していた。
「さて…困りました。此処はいったい何処でしょう?」
その日の夕刻。鈴は携帯を手に、駅からひとりぽつねんと立っていた。時刻は十八時を回っている。周りを見れば田んぼとあぜ道。しかも初めて見ました無人駅。
携帯のナビを頼りに来た鈴は、もう歩けないとしゃがみ込んだ。小学生の頃薫に連れられて里桜と三人、来た景色を思い出しながら、右か左かと悩む。どうやら駅を間違えて降り様だ。仕方無く薫に電話してみた。
『え!? ひとりでやだ来てんの!? 今何処よ!?』
「う~んと、駅降りて眼の前田んぼ~」
『…あんたに訊いた私が馬鹿だったわ…近くになんか目印無い?』
0
あなたにおすすめの小説
流れる星は海に還る
藤間留彦
BL
若頭兄×現組長の実子の弟の血の繋がらない兄弟BL。
組長の命で弟・流星をカタギとして育てた兄・一海。組長が倒れ、跡目争いが勃発。実子の存在が知れ、流星がその渦中に巻き込まれることになり──。
<登場人物>
辻倉一海(つじくらかずみ) 37歳。身長188cm。
若い頃は垂れ目で優しい印象を持たれがちだったため、長年サングラスを掛けている。 組内では硬派で厳しいが、弟の流星には甘々のブラコン。
中村流星(なかむらりゅうせい) 23歳。身長177cm。
ストリートロックファッション、両耳ピアス。育ててくれた兄には甘えん坊だが、兄以外の前では──。
表紙イラストは座頭狂様に描いて頂きました✨ ありがとうございます☺️
優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―
無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」
卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。
一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。
選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。
本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。
愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。
※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。
※本作は織理受けのハーレム形式です。
※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
【完結】毎日きみに恋してる
藤吉めぐみ
BL
青春BLカップ1次選考通過しておりました!
応援ありがとうございました!
*******************
その日、澤下壱月は王子様に恋をした――
高校の頃、王子と異名をとっていた楽(がく)に恋した壱月(いづき)。
見ているだけでいいと思っていたのに、ちょっとしたきっかけから友人になり、大学進学と同時にルームメイトになる。
けれど、恋愛模様が派手な楽の傍で暮らすのは、あまりにも辛い。
けれど離れられない。傍にいたい。特別でありたい。たくさんの行きずりの一人にはなりたくない。けれど――
このまま親友でいるか、勇気を持つかで揺れる壱月の切ない同居ライフ。
血のつながらない弟に誘惑されてしまいました。【完結】
まつも☆きらら
BL
突然できたかわいい弟。素直でおとなしくてすぐに仲良くなったけれど、むじゃきなその弟には実は人には言えない秘密があった。ある夜、俺のベッドに潜り込んできた弟は信じられない告白をする。
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる